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コレクションでもあり実用品でもあるBicの限定モデル【Bic スターリングシルバー ボールペン レビュー】

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皆さんこんばんは。
 
フランスの筆記具メーカー、Bic(ビック)社のビックオレンジボールペンが2021年に生産を終了してから早くも5年の月日が流れました。
現在はBicのボールペンが登場した当時と同じモデル、クリアオレンジ軸の「ビック クリスタル オリジナル ファイン」が主力商品となっています。
 
私が学生の頃は、かなりの確率で書斎やバイト先の職場の事務所に転がっていたBicのボールペン。日本国内では、それがジェットストリームのボールペンに置き換わってもうどれくらい経ったでしょうか。
 
日本製の洗練された流線型のデザインの筆記具も格好良いですが、個人的には直線的なシルエットで、少しノスタルジックな感じのするBicボールペンのデザインがなんとも愛おしいと感じるのです。
 
高度経済成長期の日本を、いや、世界を支えてきたBicのボールペン。
今もなお世界中の人々に愛されながら、筆記具マニアの中ではBicオレンジのボールペンは言わばレジェンドモデルのような位置付けにもなっています。
 
今回レポートする筆記具は、そんなBicボールペン40周年の記念モデル。
以前に同じく40周年記念モデルの、バーメイルキャップにブライヤー胴軸を持った「RADICA」をレポートしました。
 
それのスターリングシルバーモデルが今回の記事の主役。
「Bic スターリングシルバー ボールペン」を取り上げていきたいと思います。
 

 
ブライヤー軸のRADICAを手に入れてから、やはり忘れられず追い求めていたスターリングシルバー軸のBicボールペン。
 
簡易的なクリップ付きのキャップ、鉛筆のようなストレートなシルエット。
伝統的なデザインはそのままに、贅を尽くした重みのある総スターリングシルバー軸というギャップ。
これぞ究極のBicボールペンではないでしょうか。
 

 
代表的なBicクリスタルオリジナルボールペンのフォルムそのままに、スターリングシルバーで作られたボールペン。
世にローラーボールというジャンルが出てくる前の「キャップ式ボールペン」の走りとも言えるモデル。
 
素材にスターリングシルバーを用いているため重量は40gオーバーとなり、銀の塊を持っている感がすごいです。
 
スペックは、
全長(携帯時):156mm
全長(筆記時):145mm
重量:47g(キャップ:12g、軸:35g)
軸径:8mm
 

 
それでは、各部を見ていきます。
胴軸キャップ寄りにある「Bic」のロゴ。
 
手元の個体のロゴ部分はバーメイルとなっていますが、このロゴが本体と同じシルバーの個体も確認しています。
こちらのBicクリスタル発売40周年記念モデルということで、このモデルが発売されたのが1990年(Bicクリスタルは1950年発売)となります。
 
実は、1975年(Bicクリスタル発売25周年)においてもスターリングシルバーモデルが発売されており、その時のバリエーションは、スターリングシルバー、バーメイル、ソリッドゴールドの3種類。
25周年記念モデルのスターリングシルバー軸は、Bicロゴもシルバーであることが確認されています。
 

 
手元のスターリングシルバー軸は、ボックスに収められていた説明カードから40周年記念モデルであることは明白。
一方、例えばBeginの元編集長であるK氏が愛用されているBic スターリングシルバーモデルは25周年記念(1975年発売)のもので、ロゴがシルバー。(K氏のYoutube動画内で語られています)
 
ということで、Bicのスターリングシルバーモデルにおいて、
・25周年記念モデル(1975年発売):Bicロゴがシルバー925
・40周年記念モデル(1990年発売):Bicロゴがバーメイル
 
という事になります。
 
また、製造時期は不明ですが、このBicロゴが尻軸側に「ビックボーイ無しロゴ」として備わっているモデルもあるようです。
Bic社のマスコットキャラクターであるビックボーイは、フランスのポスター画家であるレイモン・サヴィニャックによって1961年にデザインされました。
 
そのことから、ビックボーイ無しBicロゴのスターリングシルバーモデルは、1975年発売の25周年記念モデルよりもさらに前に発売されていた可能性があります。
 
それが10周年記念モデルなのか、15周年記念モデルなのかは定かではありませんが、なかなか夢のあるバリエーションではないかと思います。
 

 


 
40周年記念モデルは尻軸にあるキャップについてもバーメイル。
25周年記念モデルはこちらもシルバー925。
 
手元にある同じく40周年記念モデルのRADICA(ブライヤー軸)も尻軸キャップがバーメイルですが、こちらはゴールドプレートが剥がれ落ちており、見た目はシルバー925となってしまっています。
それからも分かる通り、あまり良いゴールドコーティングではないのかもしれません。
 

 
尻軸付近にあるスターリングシルバーを表す刻印。
こちらの個体には「925」と「☆ 872 MI」の刻印が見られます。
 
Bicボールペンはフランス製ですが、この刻印からこちらの個体の製造国はイタリア。
刻印から、イタリアはミラノの審査機関にて872番目に認可された製造所で製造されたことが分かります。
 
この部分の刻印についても「925」のみのものが確認されています。
 

 
胴軸には、リフィル内のインクの通りをよくするための空気穴が樹脂軸のBicボールペンと同様に設けられています。このBicオレンジボールペンとそっくりそのままなところがまたいい。
Bicクリスタルのようにリフィルが入った胴軸内が密閉される構造の場合、インクの出が悪くなるのを防ぐために空気穴が必要となります。
 

 
Bicボールペンと言えば、この一体型クリップ付きのノスタルジックなキャップ。
キャップだけでも12gあり、これだけでも現行Bicクリスタル オリジナル ファインの約2倍強の重量があります。
 

 
キャップ内には透明樹脂のインナーキャップがあり、ペン先のインクの乾きを抑制するとともに、ねっとりとしたキャップの嵌合をもたらしてくれます。
経年使用によりインナーキャップが潰れたとしても、厚めのセロハンテープで補強するなどして対処できそうな構造です。
 

 
クリップの内側にある925とイタリアの純銀ホールマークの刻印は、読めないほどに潰れてしまっていますが、形から尻軸と同じ刻印が入っていると思われます。
 
こちらの刻印についても、「925」のみや、1961年以前の製産で「STERLING」の刻印があるものも確認しています。
 

 
キャップのフォルムは伝統的なBicボールペンそのもの。
総金属軸モデルはキャップの先に穴が空いていませんが、お洒落なキャップのフォルムが再現されています。
 

 
Bic スターリングシルバーの各部仕様まとめ。
尻軸付近にロゴがあるパターンは、1975年の25周年記念モデルよりも前に発売されたモデルの可能性があり、その場合ビックボーイは無しということになります。
 

 


 
続いて、Bic スターリングシルバーの握り心地について。
キャップを尻軸にポストせずに握った場合、鉛筆のようなストレート軸に35gの重量が合わさり、安定した使用感が得られます。
 
ボールペンにおいて、筆記時にペンの重量を感じなくなるグリップポイントというのがあると思っているのですが、このBic スターリングシルバーにおいてはちょうどロゴの下あたりを握った場合にそうなります。
 
スターリングシルバーのしっとりとした触り心地。素材の熱伝導率の高さによって、握るうちに掌の温度に馴染んで自分の指と一体となっていく感覚。
 

 
重心はペンのど真ん中。
 
尻軸側の重みはペン先をコントロールするためのスタビライザーとなり、結果、樹脂軸のBicボールペンを彷彿とさせる軽い握り心地となるのです。
 

 
Bicのボールペンは六角軸で軸径8mm。
個人的に慣れ親しんだカランダッシュのエクリドールと同じ金属質&軸径のため非常に握りやすいし書きやすい。(インクは正直カランダッシュの方が好みですが…)
 

 
字幅は細字・中字・太字が存在し、シルバーには細字、ブライヤーには中字を入れています。
字幅毎にペン先のデザインが異なり、太字になるとまるでマグナム弾のような形状のペン先に。
 

 
実は、Bicボールペンのリフィルの先の黒い樹脂部分には「Bic」の文字が刻まれています。
あまり気に止めることもないですが、改めてこのリフィルと軸のデザインの統一感と、あえてBicロゴを気付きにくい部分に配置するあたりとてもお洒落ではないですか。
 

 
尻軸にキャップをポストすると、12gの重量がリアにのしかかり、先ほどの位置を握って書く場合 さしずめ思い槍を扱っているかのような感覚に陥ります。
 
グリップ部がペン先より遠い位置の方は、逆にキャップをポストしたスタイルのほうがフィットするかもしれません。
 

 
このリミテッドモデルが、伝統的なBicボールペンと同じデザインであることの一番のメリットがリフィルの互換性。
ペン先からリフィルを引き抜くだけで、ブラックでも、レッドでも、ブルーでも、そしてグリーンでも、好きなリフィルを差し込んで使えます。
 
手元の個体はリフィル差し込みのホールドが弱めですが、リフィルが軸と嵌合する部分に少しだけセロハンテープを巻けば問題は解決します。
 

 
Bicの40周年記念モデルのペン先側を比較してみます。
スターリングシルバー軸のこの厚み。40gの重量は伊達ではありません。
それもあってペン先側のシェイプは異なりますが、ブライヤーもしっかりとした金属の中軸が入っており適度な重みと質感も上々。
 

 
Bicの油性ボールペンのインクというと、私の古い記憶の中では、黒色でも少し薄めで 書き始めは擦れるというイメージがあります。おそらく昔、祖父の書斎に置いてあったBicオレンジの書き味はきっとそうだったに違いありません。
 
しかし、近年のBicボールペンのインクは黒はしっかりと黒く、赤は鮮やかに赤いのです。
 
また、132mmもある長いリフィルは十分なインク容量を有し、3.5kmの筆記距離を誇ります。
海外製のボールペンではカランダッシュのゴリアットリフィルが8kmと最長ですが、Bicの凄いところはコストパフォーマンスの高さ。
100円たらずの価格で3.5kmは海外製のボールペンにおいて一番ではないでしょうか。
 

 
さて、今回はフランスのBic社がBicクリスタルボールペンを発売してから40年の節目に発売した「Bic スターリングシルバー」をレポートしました。
 
Bicの伝統的なフォルムそのままに、スターリングシルバーを贅沢に用いたプレミアムなボールペン。
Bicファンなら抑えておきたい一本です。
40周年記念モデルは、ボックス付きで3万円~4万円の間の落札価格で推移しています。
 
グリップする位置によって40gオーバーの重みを打ち消すストレートな形状は、Bicクリスタルボールペンの歴史を超えた筆記体験をもたらしてくれることでしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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