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モンブラン モーツァルト万年筆に好きな色のインクを入れて使う方法!【モンブランマイスターシュテュック モーツァルト#114レビュー】

2025年1月13日

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皆さんこんにちは。
 
今まで幾度か手帳に合う筆記具を紹介してきました。その中でペリカンとモンブランのミニペン(ボールペンとメカニカルペンシル)をレビューしたのですが、今回はミニペンの万年筆についての記事です。
 
モンブランとペリカン、それぞれのフラッグシップモデルであるマイスターシュテュック(モンブラン)とスーベレーン(ペリカン)はサイズが数種類用意されており、その中で最もコンパクトなモデルにモーツァルト(モンブラン)300シリーズ(ペリカン)があります。
 
手元にあるミニペンはモンブランのマイスターシュテュックモーツァルト#117(ペンシル)とペリカンのスーベレーンK300(ボールペン)
残るはミニ万年筆なのですが、これがモンブランかペリカンかどちらにしようか相当迷いました。
(基本、使うことが趣味ですので両方の3種類〈万年筆・ボールペン・ペンシル〉揃えることは考えていないのです)
 
今まで万年筆を使ってきて一番使いやすいと感じているのがモンブランのマイスターシュテュック。
しかしモーツァルト#114はカートリッジ専用の万年筆。万年筆には色々なインクを入れて楽しみたい派ですので、色数が限られるカートリッジ専用万年筆というのは何となく気持ちが許さないところ。
 
一方、ペリカンのスーベレーンM300万年筆はその小ささでありながらインク吸入機構を備えたモデル。凄く惹かれるのですが、重量が10g程で私には軽すぎる気がする
 
迷いに迷った挙げ句、試したいこともあって思い切ってモンブランのモーツァルト#114をチョイス。
オークションやフリマサイトを張ること数ヶ月、晴れて手元にミニペンの万年筆を迎え入れたのでした。
 

 
そのような経緯で手にしたミニ万年筆「モンブランマイスターシュテュックモーツァルト#114」。
 
前置きが長くなりましたが、今回記事のコンセプトとしては、
「何とかしてこのモーツァルトをコンバーターで使うことはできないだろうか…、そしてインク瓶のインクを入れて使いたい!」
なのです。
 
カートリッジ専用というとどうしても「仕事道具」「文字を書くためだけの筆記具」という枠を出ない気がするのですが、そこを何とか!
このモーツァルト#114を、色々なインクを入れて楽しめる趣味性の高い万年筆としても楽しみたい!
 
という検証になります。
モーツァルト#114そのもののレビューと併せてかなり長い記事になりますが、どうかお付き合い頂ければと思います。
 

 

 

 

極小の万年筆!でもしっかりモンブランのマイスターシュテュック

モーツァルト#114を手にしてみて最初に感じたことが、小さいのだけどちゃんと「モンブランのマイスターシュテュック」が崩れていないこと。
マイスターシュテュックの名を冠するうえで当たり前のことと言えばそれまでなのですが、実は凄いことだな、と。
 
元の質感のまま小さくするというのは簡単なようで凄く難しい。しかし決してチープにはならず、むしろ魅力を凝縮することに成功しているのがモーツァルト#114
 

 
まずモーツァルト#114のスペックですが、携帯時の全長が114mm、筆記時が120mm。重量は約16g。
 
最近よく記事にするコンパクトなカヴェコスポーツが携帯時105mm、筆記時130mm、重量11gですので、ほぼ変わらないくらいのサイズ感となります。(キャップ径や軸径は全く違いますが…)
 

 
これはまさに手のひらに収まるサイズのマイスターシュテュック!
そして、小さいのに結構重みがあるな、というのが感じたこと。この重さが嬉しいのです。
 
スペック上の「万年筆で16g」というとむしろ軽い部類の万年筆なのですが、このサイズで16gとなった途端16gが重く感じるという不思議。
 
16gの重量の秘密を紐解いていくと、モーツァルトの軸全体に金属素材と樹脂素材がうまく使い分けられていることが分かってきます。
 

 
まずキャップは他のマイスターシュテュックと同じ樹脂製で、クリップとリングが金属。
胴軸は首軸と胴軸が金属にラッカー仕上げ。尻軸と首軸の一部(ペン先との間の部分)が樹脂。
 
この絶妙な異素材によるバランスがモーツァルト#114万年筆の完成度を高めているのです。
 

 

続いて、マイスターシュテュックではお馴染みのクリップリングとキャップの刻印を見ていきます。
 

 
クリップリングの刻印は他のサイズのマイスターシュテュックと同様に「GERMANY」と「シリアルナンバー」。これだけ細いクリップリングにおいても抜かりなく丁寧に刻印されています。この情報量と密度感!
 

 
キャップリングには「MONTBLANC-MEISTERSTÜCK-」の刻印で、Pix®の刻印はクリップ裏共にありません。
 

▲#145(#146・#149)と#114のネジ切り位置の違い。
 
キャップの中にはインナーキャップが仕込まれているのですが、このインナーキャップの耐久性は今ひとつ。
嵌合式と間違えてキャップを真っ直ぐ引き抜こうものなら、胴軸と一緒に抜け出てきてしまうので注意が必要です。
※首軸のネジ切りがキャップではなくインナーキャップと嵌め合わさるため。
 

 

次に尻軸を見ていきましょう。
 

 
この胴軸よりも一段シェイプされた尻軸には秘密があり、金属リングが「ネジ切り」になっています。
そうです。この部分こそモーツァルト最大のお気に入りポイント。
 
キャップを尻軸にポストする際、ネジ切りにてキャップを固定できるのです!
これが相当使いやすい。
 
通常尻軸にキャップをポストして使う場合、胴軸にキャップの跡がついたりします。
それを恐れて緩めに差し込むと、今度は筆記中にキャップがグラグラと安定しなくなる。そういった経験は皆さんもあるかと思います。
 

 
モーツァルトのキャップ無し筆記の際の全長はわずか100mm。このまま書こうと思えば書けなくもないのですが軸が安定せず心許ないです。
 

 
そこで、キャップを尻軸にネジって固定することで筆記時のキャップずれの心配もなくなり、さらに胴軸を傷つけてしまうかも…という心配もすることなく、書きやすい全長で書くことができるのです。
これは本当に素晴らしい仕組みだと思います。
 

 

最後に万年筆の命であるペン先です。
モーツァルト#114のペン先は14金の全金ニブ。
 

 
145や#144のニブよりもさらにコンパクトに作られています。
首軸の金属リングにはネジが切られていて、しっかりネジ式キャップの機能を果たしています。
こういう機能を両立させたさり気ないデザインは好きですね。
 

▲#145と#114のペン芯
 
ペン芯はプラスチックペン芯でこちらは90年代~2000年代にかけてのもの。
現行品はペン芯に三角形の溝があるものと思われます。
 

 
書き心地はインクフロー良好。
小さくてもマイスターシュテュックの書き味で、同じ14金の#145や#144、#146と比べると若干柔らかめな感じがします。
 
やはり金属軸の効果は抜群で、軸が軽すぎないためにペン先が走ってしまうこともありません。 
 

 

各部のデザインをマイスターシュテュックシリーズで比較

モーツァルトの万年筆を入手したことで手元にあるマイスターシュテュック万年筆が全サイズ揃いましたので、大きさとデザインについての比較を行っていきます。
 
思えば最初に買ったマイスターシュテュックは#145のプラチナラインでした。
万年筆の購入順としては、#P145→146→149→1441→144→114
トラベラーだけ未入手ですが、また機会があれば…。
 
一本買うと様々なサイズのマイスターシュテュックを試してみたくなるという、恐ろしい筆記具だと言えます。(まだ私の場合、数々の限定モデルが欲しくならないだけマシかも知れませんが…)
 

▲左から、#149、#146、#P145、#144、#114。
 
早速全サイズの携帯時全長比較から。
モデルナンバーの#114他は携帯時の全長に由来します。ということで#114だけ特段に小さいですね。
 
モーツァルトとしてはメカニカルペンシル(117)に続いての2本目となりますが、このサイズ感で万年筆という、なんと言いますか凝縮感が堪りません。
 

 
サイズは小さいのですが天冠のホワイトスターのみ、他のマイスターシュテュックと同サイズなんですよね。
この磨かれたホワイトレジンの雪山が本当に可愛くお洒落です。
 
続いてペン先の比較をしていきます。
前項で少しだけ触れましたが、ニブのサイズは#145よりもさらに小さく、というより縦の幅は同じで横幅がシェイプされたデザインとなっています。
 

 
この微妙な横幅の違いにより、よく見るとニブの刻印も違っていることが分かります。
4810周りの飾り刻印を見比べるとお分かり頂けるかと。
 
飾り刻印が途中までしかありません。このデザインこそ#114にバイカラーニブがない理由とも言えますね。
 

 
手元にあるマイスターシュテュックのペン先を並べてみます。
左から、#149、#146、#P145、#144、#114
 
やっぱり私は全金ニブよりバイカラーの方が好きなのですが、この#114の小さいニブがまた愛おしいです。
ちなみにプラチナラインのモーツァルト#P114のニブは銀色です。
 

 

カヴェコのミニコンバーター類が使えるか試してみる

さて、ここからは本題の「モーツァルトをコンバーターで使えるか」の検証です。
コンパクトな万年筆につきまとう“カートリッジ専用”のしがらみをなんとか乗り越え、インク瓶から好きな色のインクを吸えるのか。
ということをやっていきます。
 

 
ということで、最近出番の多いミニ万年筆御用達であるカヴェコの「ミニコンバーター2」を使って検証していきます。
 
まずは、ミニコンバーター2がモンブラン#114に嵌まるのか、というところからですが
 

 
差し込んだところ問題はなさそうです。
しっかりと固定されています。
 

 
続いてインク吸入。
こちらも問題なく、ペン先をインクに浸し吸い上げることができました!
なんだ普通に吸えるじゃないか。あとは胴軸に収納するのみ…。
 

 
が、胴軸に差し込む程にペン先からインクを吐き出してしまいます…!
 
いけると思ったのですが、どうやら尻軸のリング部分の内側にミニコンバーター2の先が干渉して、これ以上差し込めないようです。
…これは非常に残念!
 
 
胴軸の見た目からなんとなく結末は予想していましたが…悔しいです。
 
しかし!
カヴェコにはもう一つの小さなコンバーターがあるのですよ。
 

 
こんなこともあろうかと買っておいた「カヴェコのスポイトコンバーター」
満を持してこちらを投入してみます。
 
スポイトコンバーターとは首軸に装着した後、透明のゴムサック部分を捻っては放しを何度か繰り返しインク瓶からインクを吸い上げるクラシカルな機構を持ったコンバーター。
 
早速、首軸に取り付けようとしたところ…。
 

 
入らない…!?
そもそも首軸に入らない…!
 
スポイトコンバーターの金属部分が首軸の口と干渉して奥まで差し込めません。
まさかインクを吸い上げるところまで行かないとは…。
 

 
今回の検証でモーツァルト#114は、カートリッジ差し込み口から尻軸に向かって28mmまでの長さのカートリッジは収納が可能ですが、28mmを超えるコンバーターは使用不可能ということが分かりました。
 
また、差し込むカートリッジ/コンバーターの横幅が6mmを超える場合も挿入不可。
 

 
ちなみにですが、モーツァルトのペン先をインク瓶に浸す際、金属リング部分までインクに浸してしまうと、金属リングと首軸の間のすき間にインクが入り込み、持ち方によっては筆記時に指をインクで汚すことになります。
 
また、この部分にインクが溜まることでインクの種類によっては金属部分のメッキ腐食の可能性も出てくるかもしれません。
カートリッジ専用と言われるだけに、首軸をインク瓶に浸けるだけでも色々と不都合が出てきそうです。
 
むう…、やはりカートリッジ専用の呪縛からは逃れられないのでしょうか。
 

 

どうしてもインク瓶のインクを入れたいのだよ

と言っても、諦めの悪い私は次の手を考えます。
こうなったら最近入手したピナイダーのスノーケルを使って奥の手を使うことに…。
 

 
用意する物は、
空カートリッジ・コンバーター・ピナイダースノーケル、そして好きな色のインク(インク瓶)
 
はい、もう皆様ならお分かりかと思います。
そうです、バケツリレー的なインク移動方法で空カートリッジに好きなインクを入れて使う方法。
 
まずは、使用後の空カートリッジを用意。
中を洗浄します。(ここでもスノーケルが大活躍)
 

 
続いて、インク瓶からスノーケルを使ってコンバーターにインクを吸入。
 

 
吸入したインクを空カートリッジに注入。
 

 
この手順でカートリッジに好きな色のインクを満たせました。
あとはモーツァルトに差し込んで筆記を楽しむのみ!
 
非常に単純な方法でインク瓶のインクをモーツアルトに入れることができました。
まあ、本来はコンバーターを使ってインクを吸入して使う予定でしたので、本来の目標を達成したとは言えませんが…。
 

 
とにかく、この方法であれば好きな色のインクを入れてモーツァルトを使えますね。
紆余曲折しましたが、モーツァルト#114に好きな色のインク!
これでインク遊びのできるコンパクトなマイスターシュテュックを楽しむことができます。
 
今回は、モンブラン マイスターシュテュック モーツァルト#114のレビューと、カヴェコのミニコンバーター2を使ったインク吸入~実用の検証を行ってきました。
 
手のひらにすっぽりと収まり、スーツの内ポケット等に入れて軽快に持ち運べるミニ万年筆は一本あるとかなり便利です。
 
そして、少し変わった方法にはなりますが、スノーケル+空カートリッジで実現するモーツァルトをはじめ「コンバーター非対応のコンパクトな万年筆にカートリッジには無い好きな色のインクを入れて使う」という楽しさ。こういった楽しみ方も万年筆の醍醐味の一つではないかと考えます。
 
今回も長い記事にお付き合い頂きありがとうございました。
それではまた。

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