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壮大なテーマを持ったビスコンティのボールペン【ホモサピエンス】で、書くことの愉しさに浸る

2024年9月22日

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皆さんこんばんは。
 
2024年がスタートしました。昨年の後半は煌びやかな軸を手にすることが多く、少しビジネス用途とは離れてきている部分もありましたが、今年はまたシックな軸も色々試し、レポートできればと考えています。
今年もよろしくお願い致します。
 

 

さて、新年一発目の記事は何にしようかと毎年考えるのですが、今回は「モンブランに始まりモンブランに終わる」から脱し、イタリア軸からのスタートとなります。
 
去年末、モンブランのマイスターシュテュックソリテール「ラムセス二世」を入手し、ラピスラズリの軸に触れていく中で、石の魅力(触り心地や温度=冷たさ)を感じ、他に軸の素材に「石」が使われているモデルをピックアップしようと考えました。
しかしモンブランのような高価な軸はおいそれと買えないため、他のメーカーでと色々調べていると、少し前に話題になっていたビスコンティのモデルが目に止まったという次第です。
 
X(旧Twitter)のTLでも使っている人がいたな と思いながら、当時は気に留める程度でしたが、よくよく考えると非常に凝った内容のモデルで、製品のコンセプトも素晴らしいことに気付きます。
 
イタリア製の筆記具は素材にとことん拘り、そのコンセプトに忠実にデザインする。
そんなイメージが強いのですが、ビスコンティにおいてもそれはしっかりと生きていると感じます。
 

 
ということで、今回のレポートは「ビスコンティ ホモサピエンス ボールペン」について。
軸の魅力とホモサピエンスで使うお勧めのインクについて書いていきたいと思います。
 

 

まず、ビスコンティの「ホモサピエンス」とは何なのかについて。
コンセプトは、人類繁栄の要である「書く」という文明にフォーカスし、軸には地球誕生の歴史と切り離すことのできない「玄武岩(玄武溶岩)」が使われ、人類の文明において一番古くから使われてきた金属「青銅」をトリムに配したモデルとなります。
 
ホモサピエンスのバリエーション自体は、この玄武岩(ブラック)×青銅(ブロンズ)のカラー意外に、ホワイト、イエロー、レッド、ブルーの鮮やかなカラーを加えた「ラヴァカラー」、トリムがシルバーの「マリーンスティール」、トリムがブラックの「ダークエイジ」等があります。
(亜種である特別生産品を加えると、他にも様々なバリエーションあり)
 

 
カラフルな軸のバリエーションからも分かる通り、軸に使われる玄武岩(バサルティック ラーバ)は原石削り出しではなく、ビスコンティ独自の技術によって樹脂と配合された特殊素材。
言わば、ポリストーンのような素材で、且つ玄武岩の荒々しさも表面に残したマットな質感となっているのです。
 

 
この触り心地がまた良い。
今まで様々な素材の軸を握ってきましたが、しっとりと手中に収まるこの握り心地は 他の素材の追随を許さないといった独特なもの。
玄武岩の粗い粒子と樹脂の指がかりの良さ、両方の良いところ取りな素材だと感じます。
 
そして握り心地が良いだけでなく、このようなマットな表面の軸というのは「指紋が付かない」というメリットも併せ持っており、モンブランのウルトラブラックやその他マットブラックの軸に人気が出るというのも頷けます。
手汗をかいていてもヌルつかない=安定したグリップ感が担保されている、ということになります。
 
軸の香りも、ほのかに岩石そのものの匂い(何というか、ちょっと鉄棒っぽいような懐かしい匂い)がして、個人的には「玄武岩で書いてる感」があって気に入っています。
 

 
ブロンズのトリムについても、不思議とシルバーのトリムに比べて指紋が目立たないように感じます。
色味もゴールドほど主張せず、シルバーほど眩しくない、落ち着いたカラーではないかと。
 
意外とトリムにブロンズを使っている筆記具は少なくて、私が持っている筆記具の中ではこのホモサピエンスとスティピュラの特別生産品であるアメリゴヴェスプッチくらいでしょうか。
 

 
青銅のトリムは経年変化(酸化)で変色します。
初めは淡い色合いの青銅ですが、写真のように茶色濃くなっていくのが特徴。そして、最終的にはよく見る10円玉のような褐色へと…。長く使い込むことで相応の変化を見せてくれる。たまりませんな。
 
金属磨きクロス等で拭くとしばらくは綺麗になりますので、輝きを戻したい場合はクロスでのこまめなお手入れか、化学的に還元するかが必須です。
 

 
すんぐりとした太めの軸から感じる力強さ。
 
芯の繰り出し機構は回転繰り出し式で、軸中央のリングより上の部分(キャップにあたる部分)が回転します。
シルエットは若干樽型が見られる寸胴タイプというか、胴軸とキャップに段差のない真っ直ぐなシルエット。クリップに対して十文字を描くキャップ中程のダブルリングがなんとも中世的で、デザインとして良いアクセントになっています。
 

 
個人的にたまらないポイントが、この天ビス付近のデザイン。
少し突き出したクリップと、スパッと切られたような玄武岩のエッジに、小さめの径で配置されたブロンズのメダル。
 
以前、ヴァンゴッホのボールペンを所有していましたが、その丸い天冠とは打って変わったデザイン。
同じ天ビスを持つビスコンティの上位モデル「ディヴィーナ」もそうですが、これがビスコンティにおけるフラッグシップモデルの特徴なのかも知れません。
 

 
天ビスのメダルにはビスコンティのロゴ。
こちらも青銅製で、長きに渡り愛用することで経年変化を伴います。
 
こちらのロゴは新ロゴとなっており、ホモサピエンスには「VISCONTI」の文字が入る旧ロゴの個体も存在します。
 

 
胴軸の真ん中に位置する「HOMO SAPIENS」のロゴ。
クラシックな自体が使われており、まるで人類が文字と共に歩んできた歴史を物語っているようです。
ロゴの仕様について、ブラック×ブロンズカラーのモデルは写真のようにタイプライターのような字体で深い刻印となりますが、最近の派生モデルでは浅めのレーザー刻印や印刷のものもあり、コスト削減も垣間見れます。
ここは重厚な打ち込み刻印のスタイルに拘ってほしいところ。
 
このロゴは同軸側に配置されているため、ペン先を出す動作によって表にあるこのロゴは筆記時に裏側に回る仕組みとなっています。
 

 
この文字やトリムの黒いラインは、経年使用で薄く(文字の塗装が剥がれる?)なっている個体もみられます。
そんなときは、エナメル塗料で黒を足してあげることで再びキリッと引き締めることが可能。
 
私はこういったメンテをしながら使うのが大好きですので、トリムに深い刻印があり黒い墨入れの入ったホモサピエンスやパイロットのカスタム等は、より楽しめる筆記具として評価が高いです。笑
 

 
使ったのはタミヤの墨入れ塗料(ブラック)流し込み用。
プラモデルのスミ入れでも使われる塗料で、金属のトリムに使うにはエナメル塗料がピッタリです。
 
はみ出てもあとで修正が可能ですし、仕上がりも綺麗。(慌てず、十分に乾かすことが重要)
ただし、エナメル塗料を樹脂軸に使う場合は軸割れの原因にもなるため要注意です。
 

 


 
メンテの方に多少話がそれましたが、クリップについての素晴らしい点を記述しておきます。
 
ビスコンティのクリップは、イタリアのポンテベッキオ橋をモチーフにデザインされた独特な半円形のクリップとなっています。
アイデンティティがあり、一目でビスコンティの筆記具だと分かるシンボルマーク。
クリップ側面のフォントは、写真のようなオールドスタイルから、現在はゴシックへとデザインチェンジしています。
 
他のメーカーのクリップと比べて平べったいデザインのため、どうしても指がかりは良くないのですが、クリップの先が少し上を向いており、これにより生地に挿しやすくなっているのです。(矢印部分)
ユーザーの使いやすさに配慮した、こういうさり気ない優しさが良いですよね。
 
それでも冬場の厚い生地には挿しにくいのですが、親指と人差し指でキャップをつまみ、中指でクリップを内側から持ち上げれば、ジャケットの内ポケット等にも容易に差し込めるようになります。
 

 
さて、これまでホモサピエンスのデザインについて書いてきましたが、ここからはお勧めのインクについて書いていきたいと思います。
グリップ感が素晴らしいホモサピエンスですが、このボールペンの性能を十分に発揮するために、装填するインクにも気を遣いたいところ。
 
以前のビスコンティの記事でも触れたかもしれませんが、ビスコンティにデフォルトで装填されているリフィルは「ゲルインク」であることが多いです。
(装填されるインクはモデルによって違う可能性もありますが…)
 
ホモサピエンスのスペックは、
 
全長:128mm
重量:34g
グリップ部の軸径:10mm(ペン先近くは9mm)
 
と、重めで短めで太めという、少しコロンとした形をしています。
 
筆圧が弱い人はペンの自重に任せて、ぬらぬらとゲルインクで書くのが書きやすいかも知れません。
一方、私のように筆圧を乗せて書くタイプの人類には、インクが柔らかすぎることで線が暴走してしまう問題が浮上してくる。
それほど、ビスコンティのゲルインクは「軽い」のです。
 
そのため、しっかりと油性を感じるインクとして、ファーバーカステルのリフィルか、インクの粘度が固すぎず柔らかすぎずのパーカー クインクフローをおすすめします。
 
普段の私であれば迷わずクインクフローを装填するのですが、このホモサピエンスにはファーバーカステルのリフィルを入れて使っています。
 

 
その理由が、口金からのペン先(リフィルの先)の出具合。
 
パーカーもファーバーカステルもビスコンティも、G2タイプのリフィルのため規格は同じなのですが…、どういうわけか口金から出るペン先の幅が微妙(本当に微妙な範囲ですが!)に違います。
 
写真に撮るとまったく違いが分からなくなってしまい自分でも困惑していますが、ファーバーカステルのリフィルはパーカーのリフィルよりも少し出ているのがお分かり頂けるでしょうか?
(この写真だと本当に分かりにくくてすいません!)
 
ペン先のボール径の違いだけでなく、ファーバーカステルのリフィルは他のメーカーのG2リフィルと比べて「ペン先からリフィルの出る幅が大きい」のです。
 

 
うーむ、リフィルだけを並べてみると全く同じように見えるのですが…謎です。
 
やはりお気に入りの軸を最大限に活用するには、自分のペン先フィーリングに合ったリフィルを使いたいものです。
少しの拘りが快適な筆記体験に変わります。
もし、デフォルトで装填されているインクが好みに合わなかった場合は、ぜひ他メーカーのG2リフィルをお試し下さい。
 

 


 
ちなみに今回の記事に出した3メーカーのリフィルを書き比べたところ、このようになっています。
ビスコンティのゲルインクは、まるでローラーボールを使っているかのようなペン先の滑り具合い。好みの人もいれば、油性と思って使うとアレ?と感じる書き心地です。
 
一方、純油性インクを感じるファーバーカステルとパーカーのインク。
書き出しのかすれもありますが、それは私が古めのインクを使っているため。
他にもジェットストリームやアウロラのインク等、様々なメーカーのリフィルが使えるのがG2リフィル対応の良いところです。
 
また、ビスコンティをはじめイタリア筆記具メーカーのボールペンは、胴軸内のバネが強く、回転繰り出し動作時にしっかりとした弾力でペン先を繰り出せるので気持ちが良いです。
 
ペン先を収納する際も少ない力でスッと戻っていく、このキビキビとした動作もイタリア軸ボールペンの良いところではないでしょうか。
 

 
さて、今回はビスコンティのボールペン「ホモサピエンス」をレポートしました。
 
人類が歩んできた「書く」ことで発展してきた文明。
それが感じられる、壮大なコンセプトを持ったペン。
 
カラーラインナップも様々で自分の個性に合った一本を探しやすいのも、このモデルを選ぶポイントではないかと思います。
 
玄武岩の冷たさと握り心地。
書くという文明に浸りながら筆記を楽しめる。
 
これはまさに、ビスコンティがもたらした「人類の人類による人類のためのホモサピエンス(HOMO SAPIENS of the homosapiens, by the homosapiens,and for the homosapiens)」。
 
この先人類のコミュニケーション手段がどのように進化していくのか楽しみでなりませんが、筆記するという行為はまだ数百年においては継続されるだろうと考えています。
 

 
余談ですが、2024年はまた人類が月に行くかもしれないということで、持っている方は人類の宇宙開発をコンセプトとしているモンブランの「新スターウォーカー」とセットで持つと、気分が上がることうけあいです。
 
大地で生まれた人類が宇宙へ。
私もそれに肖って、新たな筆記具体験ができるように今年も愉しんでいきたいと思います。
 
それでは、今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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