唯一無二のモンブラン八角軸×ノック式のボールペンは未知なる書きやすさ!【ヘリテイジ エジプトマニア】
今年も残すところあとわずか。
皆さんは如何お過ごしでしょうか。
その年の最後の記事は何にしようかと毎回悩むのですが、毎年モンブランを取り上げているように思いますので、今年の年末も例に漏れずモンブランの筆記具を…ということで。
年末になると巷で囁かれる「忘年筆」というものではないですが、数ヶ月前に入手してプライベートで大活躍しているモンブランの筆記具を見ていきます。
通常当ブログではビジネス向きの筆記具を取り上げることがほとんどですが、たまにやってしまうビジネスには不向き(であろうと考える)なボールペン。
いや、この際ビジネス向きという固定概念は取っ払った方が良いのかも知れません。
なぜなら相手に対して嫌みな印象を与えず、かつ相手に使って頂く場合でも使いやすいボールペンということで言えば、今回の筆記具も十分ビジネスライクの範囲内と言えるからです。
デザインはエジプシャンですが、カラーはブラック×ゴールドのベーシックな仏壇カラー。
しかもモンブランでありながら珍しいノック式は、誰にでも扱いやすいボールペンと言えます。
ということで今回は、「モンブラン ヘリテイジ エジプトマニア スペシャルエディション ボールペン」を見ていきましょう。
モンブランのエジプシャンペン「エジプトマニア」
もともと考古学に興味のある私ですので、このペンの随所に見られるエジプト的なコンセプトとサイズ感、重量を含めドンピシャな要素が多いのがお気に入りのポイント。
そもそもこちらのエジプトマニアは1920年代にモンブランがデザインしたエジプシャンペンが基となっているようで、そちらも八角柱だったそう(おそらくペンシルだったのではと思います)。
八角柱のペンシルやボールペンと言えば「カヴェコ(Kaweco)」が思い浮かびますが、今回はモンブランの八角柱。
さらにモンブランのボールペンには珍しい機構やデザインが随所に散りばめられており、使う者をワクワクさせてくれるのです。
デザインは次項で見ていくとして、ボールペンとしての機構から見ていくとしましょう。
まずは一番の特徴と言って良いかもしれません、ノック機構。
モンブランの高級ボールペンのラインナップにはノック式はおろかキャップスライド式すら存在しなかったわけですが、エジプトマニアは生粋のノック式。
ノックすると「シュコッ…」という控え目なノック音とともに沈んで固定されるノックボタン。
再度ノックするとペン先は収納され、「カチ…」とこれまた控えめな音が響く。
モンブランのノック式というだけで心躍りますが、この操作音や少し重めのノック感も洗練されていて「さあ書こう」という気にさせてくれるのです。
リフィル交換はペン先を外して行うという、胴軸が一体型かつノック機構ならではの操作感。
八角柱の胴軸から丸軸に変わる境目が美しい…。
エジプトマニアの重量は約42g。
結構ずっしりときますが、重心はフロントでもリアでもなく真ん中(クリップの下あたり)に合わせてきているのが流石はモンブランといったところ。
胴軸の中を見るとなるほど、上から下まで真鍮なんですね。
真鍮の筒(芯)の外装にはモンブランお馴染みのプレシャスレジン。
しっとりと手に吸い付く感じはグリップ感も高めてくれます。
もう一つ、モンブランのボールペンとしては珍しい機構がクリップ。
デザインは後ほどですが、驚いたのが「バネ式のクリップ」を採用しているという点。
デザイン的にクリップリングがなく、クリップが胴軸から生えているためこういった仕組みが組み込めるのでしょう。
バネはしっかりと弾力があり5mmほど開くため十分に挟み込めます。
エジプトマニアはヘリテイジモデルということで、同じヘリテイジの「ルージュ&ノワール」、そしてベーシックな#164サイズの「ユニセフ」と並べてみました。
全長はノック前とノック後で変わりますが、ノック時は「ルージュ&ノワール」とほぼ同サイズ。
#164サイズの「ユニセフ」と比べてもコンパクトな部類のボールペンです。
それでいて軸径はこの3本の中でも最大で、八角柱の軸と相まってしっかり握り応えのあるボールペンとなっています。
ついでに手元にある特別生産品を並べてみました。
(アレクサンドル・デュマのみメカニカルペンシル)
携帯時の全長差は写真の通りで、左から
・グレートキャラクターズ JFK スペシャルエディション(144mm)
・ドネーションペン ユーディ・メニューイン(138mm)
・作家シリーズ チャールズ・ディケンズ(135mm)
・作家シリーズ アレキサンドル・デュマ(134mm※メカニカルペンシル)
・ヘリテイジ エジプトマニア(132mm)
・ヘリテイジ ルージュ・エ・ノワール(126mm)
となり、メニューインが#164とほぼ同サイズということを考えると、右の4本は結構コンパクトなモデルではないでしょうか。
この中では、エジプトマニアの重量はJFKに続いて重いです。
キャップのないデザインはエジプトマニアとチャールズ・ディケンズのみ。
そこにノックボタンが加わって独特なシルエットとなっています。
次の項ではデザインの詳細を見ていきます。
エジプトマニアのディティール
さて、ノック機構・ペン先からのリフィル交換・バネ式クリップが特徴のエジプトマニア。
各部のディティールもなかなか異質なものとなっていて面白いです。
左がエジプトマニア、右が#164(ユニセフ)
すでにお気づきの方も多いであろう、トリムの仕上げが珍しい。
というより、モンブランでこのアンティークゴールドの仕上げはエジプトマニアのみではないでしょうか。
アンティークゴールドのトリムは、通常の鏡面仕上げのトリムに比べて重厚感と高級感が増し増し。
この鈍い光の反射が何とも言えず美しいです。
遠目では玉クリップ?と思えるクリップの先にはエジプトではお馴染みの神聖なる甲虫「スカラベ」(フンコロガシ)がデザインされています。
ここがビジネス向けではなくプライベート向けと言わしめる一番のポイントなのですが、このペンの顔ともいうべきお洒落なポイントではないかと個人的に思います。
そのクリップサイドにはエジプトの象形文字。
どういう風に解読するのか分かりませんが、これでモンブラン(白い山)を表しているそう。
お遊びで象形文字翻訳アプリで変換にトライしようと思いましたが結果はうまくいかず。
エジプト王朝の年代や地域によって「白い山」の訳も変わってくるのでしょうか?
その辺について考察するのも面白そうです。
クリップを横から見ると特徴的な形です。
スカラベは楕円。根元に向けて真っ直ぐ伸びたクリップは段差があり、リベットがデザインされています。
そしてクリップの右側面には9桁のシリアルナンバー。
個人的に唯一残念なポイントがクリップ付け根にあり、リベットが単なる一体もののデザインに過ぎないこと。
この部分だけ少しチープに見えてしまいます。
贅沢な注文かも知れませんが、できればヤード・オ・レッドのように別パーツのリベットを打ち込んで欲しかった…。(ヤードはクリップを固定するために打ってるのですが…)
ここだけが「本当に惜しい!」と声を大にして言いたい 笑
クリップの裏にはお馴染みとなっている刻印「Made in Germany」「METAL」。
字体は通常のものと違い、レーザー刻印ですが凝った太文字となっています。
胴軸の「Montblanc」が象形文字なので、モンブラン感がないではないか!という声も聞こえてきそうですが、しっかりノックボタンにモンブランがあります。
アンティークゴールドのホワイトスター。
こちらはいつもの象嵌ではなくクラシックなライン彫りでの再現。
こちらもモンブランのクラシックなメカニカルペンシルを彷彿とさせますね。
非常に格好いいデザインです。
特徴的な八角柱の胴軸(多角形軸比較)
続いては同じ多角形のボールペンを集めてサイズ比較をしてみます。
世の中には様々な丸軸以外のボールペンがありますが、当ブログで取り扱う事の多いメーカーのボールペンを用意しました。
左から、
・カヴェコスポーツ(八角軸)
・カヴェコ スペシャルS(八角軸)
・モンブラン エジプトマニア(八角軸)
・カランダッシュ 849(六角軸)
・ステッドラー コンクリート(変形六角軸)
久々に登場した、黄ばんだカヴェコスポーツ(クリア)とステッドラーコンクリート。
カヴェコはコンパクトでエジプトマニアの4分の3程の全長。
コンクリートはノックボタンのせり出しが大きく、この中ではかなり大型な印象を受けます。
うむ、やはり黒軸のプロダクトは締まりがあって格好良い。
左から右へ軸径が太くなる順に並べ替えてみました。
ノックをしてペン先を出した時にノックボタンが沈み込み全長が変わるモデルが、849、エジプトマニア、カヴェコスポーツ。
エジプトマニアのノックボタン消失具合いがまたお洒落です。
多角形の軸にはノック機構のボールペンが多いように感じます。
手元には無いですが、多角形の回転繰り出し機構を持つボールペンはオマスやビスコンティ、モンテグラッパが思い浮かびます。
モンブランのプレシャスレジン×八角軸はエッジが際立ちシャープな印象。
非常に艶やかでまるでピアノの鍵盤のような透明感のある光沢を放っています。
プレシャスレジンのグリップ感は指が乾燥する冬でも十分な握りやすさを実現しています。
書きやすさについては事項で。
本体重量とインクの粘度からもたらされる「書きやすさ」
エジプトマニアの重量は約42g。
一般的に重い部類のボールペンですがモンブランの油性インクとのコンビは絶妙で、このあたりはしっかり調整されていると感じます。
昔の油性ボールペンのインク粘度は硬く、書き始めにダマになりやすいものがほとんどでしたので現在の各社のインク性能の進歩は目を見張るものがありますね。
個人的に一番書きやすい海外メーカーの油性インクはカランダッシュですが、二番目はモンブランだと感じています。
カランダッシュに比べると少し粘度が高いですが、ダマにならず、20g以上の軸が多いモンブランのラインナップに非常によくマッチしていると考えます。
(カランダッシュは849のような軽い軸にも合うようにチューニングされているような…)
重い軸に対して粘度の低いインクを使うと文字が暴れがちになりますが、低粘度と高粘度の間に位置するモンブランのインクは軸の重さに任せながらも、指先で軸をコントロールしやすく自分が書きたい文字が書けるのです。
▲しっとりと手に馴染むプレシャスレジンの胴軸
モンブランのミステリーブラックF(細字)のリフィルは特に優秀で、細さも十分。
小さな記入欄に書く時も問題なく任させることができます。
今年の年末調整の用紙もこのエジプトマニアで書きましたが、とても快適に欄を埋めることができました。
ペン先を立てるほどに細い字が書けるというボールペンの特性もあり、クッキリと黒いミステリーブラックで書いた文字は見やすいです。
また、モンブランのリフィルはインクの持ちが非常に良いと感じます。
書く量にもよりますが、現在一日に数ページだけメモを取る程度の私の使い方で少なくとも1年以上リフィルを換えずに使えています。
更に細い文字を書くにはジェットストリームがお勧め。
こちらは国際規格リフィルのため、独自規格のリフィルを使うモンブランには適合しませんが、0.5mmでも相当に細い文字が書けます。(さらに0.38mmもあり…!)
4C規格のリフィルであればリフィルアダプターを使うことでモンブランでもジェットストリームが楽しめますが、モンブランのリフィルの書きやすさとインクの持ちという点から、わざわざモンブランでジェットストリームを使う理由が見当たらない というのが私の結論です。
さて、今回はただでさえ特徴的なモンブランの特別生産品をさらに尖らせたノック式のヘリテイジモデル「エジプトマニア」ボールペンを見てきました。
エジプトマニアのラインナップは万年筆・ローラーボール・ボールペンの3種類。
さらにエジプトマニアの上位モデルとして軸全体に象形文字があしらわれた、シルバー×ブラックモデルの「エジプトマニア ドゥエ」もあり、こちらもかなり気になるところ。
エジプト好きや考古学好きには堪らないモデルです。
そして筆記具としての完成度も高く、重量とインク粘度のバランスの良さ、八角軸×プレシャスレジンの握りやすさを含め使いやすいボールペンに仕上がっています。
唯一無二のモンブランのノック式ボールペン。
気になる方はぜひペンケースに加えてみてはいかがでしょう?
それでは今回はこの辺で。
また来年の記事でお会いしましょう。
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