カヴェコス ペシャル 万年筆のペン先をBOCK社製に交換して100倍楽しむ!【カヴェコ スペシャル 万年筆 レビュー】
皆さんこんにちは。
万年筆の楽しさとは何でしょう?
昨今は筆記具ブームも手伝って、一昔前はニッチだった万年筆が一般的に使われるようになっています。
普段万年筆を使わない・見たことしかないという方からも、見た目が美しく、一番複雑かつクラシックな機構を持つ筆記具として認知されつつあるのではないでしょうか。
星の数ほどあるデザインの軸を選ぶ、好きな字幅を選んで書く、好きな色のインクで書くというのが、万年筆の楽しみ方ですが、次の段階として「ペン先交換」もお勧め。
さらに練度(万年筆愛?)が増してくると、ペン先の調整や分解メンテナンスなど専門的な方向へ進んで行く人も出てきますが、今回の記事は楽しみ方の中級編といった内容となります。
ペン先交換については「ペン先ユニット交換で済む」、言わばペン先の分解を必要としないメーカーもあります。
そしてネットショッピングの普及により、誰でもある程度手軽にペン先ユニットを入手できるようになりました。
ペン先交換を行うにあたり個人的にお勧めなのがペリカン(PELIKAN)とカヴェコ(Kaweco)。
どちらもドイツのメーカーなのですが、ネジ式のペン先ユニットを外して乗せ替えるだけという手軽さです。
中でもカヴェコは万年筆自体の値段も比較的リーズナブルですので、ペン先交換が試しやすい。
万年筆入門の方、また、今までオーソドックスに万年筆を楽しまれてきたきた方は、是非カヴェコを使ってペン先交換にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
ということで、今回はカヴェコの万年筆をペン先交換で100倍楽しもうという記事です。
(100倍は言いすぎかもしれませんが…笑)
それではやっていきましょう!
ペン先交換で楽しむカヴェコの万年筆
冒頭でも書いたとおり、ペン先交換でお勧めなのがカヴェコの万年筆。
以前もカヴェコのペン先交換の記事は出していますが、今回のモデルは「スポーツ」ではなく「スペシャル」。
カヴェコの万年筆のラインナップは、
・スポーツ(クラシック・スカイライン・AL・AC・STEEL・ブラス・ルックス等)
・スペシャル
・リリプット
・スプラ
・スチューデント
・ディア
・エレガンス
・パケオ(ペン先交換不可?)
※廃番含む
となり、結構種類があります。
スポーツのクラシックとスカイラインは首軸交換、それ以外はペン先ユニットの交換が可能。
(パケオはペン先交換不可と思われますが未検証)
そもそも今回のスペシャルのペン先交換に至った経緯は、気になるペン先ユニットを見つけてしまった事から。
ドイツ BOCK社製のチタンニブペン先ユニット。
最近ネットでよく見かけるようになったBOCK社のペン先ですが、チタン製は見たことがありませんでした。
ペン先ユニットの形状からカヴェコと互換性があるだろうと踏んで購入。
こちらは後半でペン先交換の検証をしていきます。
カヴェコの万年筆に着いているペン先の素材はスチールですが、表面仕上げが様々なのが面白いところ。
クラシックスポーツには金色のニブ(※金ペンではない)、スカイラインスポーツやスペシャルのようにトリム(天冠のカヴェコロゴ)がシルバーのものは銀色。
そしてナイトブラックエディションなど、一部の限定モデルには黒いニブが着くことがありますが、いずれも各カラーのニブに交換が可能。
カヴェコの万年筆は上記のように種類が豊富ですが、いずれの万年筆も使われるペン先サイズは同じで、それぞれ互換性があります。
スポーツシリーズはコンパクトなサイズが魅力。スペシャルは一般的な万年筆サイズとなります。
黒いニブというとカヴェコかラミーか、というイメージ。
うーむ、格好良い。
スペシャルについてもいずれはオールブラックを目指したいものです。
ペン先のカラーと連動する天冠のカヴェコロゴ。
前々から書いているのですがこのロゴボタン、学ランのボタンみたいですね。
このボタンが付いた服を着てみたいと思うのは私だけ?
キャップをしたスペシャルとスポーツ。
カヴェコは八角形の軸やキャップがトレードマークとなっています。
エッジのあるデザインからはモダンな印象も受けるため、純クラシックなデザインが苦手な方の手にも馴染むかと思います。
それでは次の項ではカヴェコスペシャル万年筆のディティールを見ていきましょう。
カヴェコ スペシャル 万年筆のディティール
カヴェコスペシャルというとペンシルを使っている方も多いかと思います。
万年筆もそのペンシルと同じ軸径で万年筆の中では細身な部類。
セミグロスの表面仕上げが書くための「道具」を強く演出していますね。
黒い筆記具ってなんでこんなに格好良いんでしょう。
天冠にはペンシルやボールペンでもお馴染みのアールデコデザインの天ビスが。
尻軸にはキャップを嵌めるためのネジ切りがあります。
デフォルトではクリップがついていません。
「Kaweco Special FP Germany」のロゴはキャップではなく胴軸側。
刻印ではなく印刷ですが、漆黒にシルバーの文字がお洒落です。
ペンシルやボールペンと軸径が同じということで、クリップも同じものが使えます。
クリップを着けたところ。スペシャル用はこの鰻クリップのシルバーのみです。
ブラックカラーのクリップが用意されていないのが疑問ですが、まあ、いずれ天ビスとクリップは黒いラッカースプレーで塗り潰そうかと考えています。
クリップの位置は調整可能。
個人的にはクリップがある方が利便性が良いため好みです。
机の上を転がっていくのを防止できるほか、指がかりが良くなるためキャップの着け外しがしやすいと感じます。
取り外し可能ということで気分やシーンによって選べるのは良いことです。
ちなみにクリップを着ける時は、キャップの端にセロテープを一巻きすることで取り付け時の不注意での塗装剥がれを防げます。
(本来こんなことしなくても塗装は剥がれないのかも知れませんが、精神衛生上おすすめです笑)
スペシャル万年筆のブラックには銀色のニブが付属。
限定カラーのレッドエディションには金色、ブルーエディションには銀色のニブがそれぞれ付属。
このデフォルトのスチールニブが書きやすいのなんの。
個体差はありますが、だいたい外れのないカヴェコのペン先は信頼できます。
ニブも素晴らしいですが、個人的に気に入っているのが首軸の形状。
ペン先に向かうにつれて広がっておりラッパのような形です。
これ、首軸でもペン先に近い位置を握って書く人にとっては、非常に書きやすい形状ではないでしょうか。
首軸を外してみます。
カヴェコスペシャル万年筆はカートリッジ/コンバーター両用式。
購入時は空のカートリッジとブルーのカートリッジが1本付いています。
スポーツで使っているミニコンバーターを差してみるとこんな感じです。
もちろんカヴェコのロングタイプのコンバーターや欧州規格のペリカンコンバーターも使えます。
カヴェコはカートリッジインクのカラーラインナップも豊富なため、ここはカートリッジ運用も良いかと。
しかもスポーツと比べて胴軸が長いため、カートリッジを1本挿した状態でさらにもう1本胴軸内に予備カートリッジを収納できるのです。
首軸には「首軸×胴軸」用兼「胴軸×キャップ」用のOリングが設置してあり、気密性を高めています。
Oリングは自分でも取り外し可能なため、市販のカラーのものを着けてカスタムするのも面白そう。
キャップを外した状態の重量が14g。
(胴軸内予備のカートリッジがある場合)
普通に軽くて使いやすいです。老若男女にお勧めできるカヴェコスポーツ。
尻軸にキャップをポストするとかなりロングになります。重量は22g。
クリップをしていないとデラルー オノトのロングサイズ万年筆のよう。
しかし、やはりキャップはポストせずに使う運用が一般的かも知れません。
次の項では、このスペシャルの首軸にBOCK社製のチタンニブ(ユニット)を着けて遊んでみます。
カヴェコ スペシャル万年筆のペン先交換をしてみよう
さて、今回の記事の肝とも言うべきカヴェコスペシャルのペン先ユニット交換。
やっていきましょう。
もともと BOCK社製のチタンペン先ユニットは、ニブのサイズからもスペシャルではなくスポーツの方がマッチすると考え、スポーツシリーズで使う予定でした。
しかしながら、なんとスポーツの首軸にBOCK社製ペン先ユニットを着けたことろ、着いたまでは良かったのですが、キャップが閉まらない…。
▲とても似合うんですけどねぇ…
ALスポーツ、ブラススポーツ、ACスポーツ、スポーツルックスと一通り試しましたが、どのスポーツシリーズの万年筆においても、キャップ内のインナーキャップにニブが干渉、もしくは大きめのペン先を収納するスペース(長さ)自体がスポーツキャップにはなく、断念せざるを得ない事態に。
私としては思惑が外れ、苦虫を噛み潰したような状態でしたが、スペシャルのキャップ内にはスペース的に余裕があることを突き止め、購入に踏み込むに至りました。
それでは、ペン先ユニットの交換方法です。
ティッシュや柔らかい布でペン先を軽く固定し、首軸をネジの向きと同じように回します。
首軸の後方でネジ接続されているペン先ユニットが外れ、スポッと外せました。
ペリカンもですが、オペと呼べるものはこれだけという手軽さ。
BOCK社のペン先は手元にあるチタン以外にも、カリグラフィーニブやフレックスニブがあり、まさに呼吸するように特殊字幅のペン先や字幅の変更ができるのです。
カヴェコのペン先ユニットとBOCK社のチタンペン先ユニットを並べたところ。
黒い樹脂のソケット部分は全く同じで互換性があることが覗えます。
ニブサイズは一回り大きく、飾り模様に丸ロゴとニブのデザインもどことなく似ていて違和感無し。
チタンのグレーカラーが良い味出してます。
あとは、外した時と正反対の操作をして クリクリと首軸にペン先ユニットを収めます。
いやー、まったくもって簡単です。
無事にスペシャルの首軸にBOCK社のチタンニブが着きました。
見た目も良い塩梅です。
心配していたキャップへの収まりも問題なし!!
横幅はギリギリですが、このサイズのペン先をカヴェコの万年筆で使える喜びですよ。
ついでにチタンペン先を詳しく見ていきましょう。
ペン芯はデルタの万年筆で見たものと同じですね。
ニブの形状も素材はチタンということですが特殊でもなく、一般的な形状。
横から見ると、ペン先はお辞儀ではなく少し反っているかな、ということろ。
書き比べは次項で行っていきたいと思います。
ペン先交換したチタンニブの書き味と比較
さて、万年筆において肝心なのはその書き味。
ということで、BOCK社のチタンペン先をカヴェコの万年筆で使うにあたり紆余曲折ありましたが、 書き味のレポートをしていきたいと思います。
結論から書くと、意外と硬かった!
です。
「硬い」という表現が適正なのかは分かりませんが、もう少し厳密に言うと「あまりしならない」となります。チタンペン先というとフレックス並みに“しなる”というイメージがあったためこのような表現になるのですが、細かく見てくとそうなる要因は幾つかあるのかな、と。
私のチタンペン先のイメージの基となっている「スティピュラのアメリゴ・ヴェスプッチ」とのペン先比較を行いながら考察していきたいと思います。
まるでモビルアーマーなスティピュラのアメリゴ・ヴェスプッチと。
ううむ、まさかカヴェコスペシャルを横に並べる日が来るとは…笑
アメリゴ・ヴェスプッチの書き味から チタンペン先=しなるペン先というイメージが着いたのですが、この2本を並べてみて、それは幾つかの要因があってのことだということに気付きます。
まずその軸のサイズと形状。
言ってみれば、アメリゴ・ヴェスプッチはまんま「筆」なんですよね。
筆と言っても毛筆に近い筆。
太くて重い胴軸を支えながら書こうとすると、ペン先にもおのずと筆圧にプラスした力が加わります。
それに加えて、このニブの形状の違い。
スティピュラはニブの先がかなり細く作られているため、筆圧の影響を受けやすく、力が加わればペン先が開きやすい形状です。
チタンという硬い素材+先細のニブ形状=しなり(弾力)
だったのに対して、BOCK社のチタンニブは形状に特殊性がないためスティピュラほどのしなりが得られません。なので、BOCK社チタンペン先の面白さはしなりではなく、紙へのタッチであったり、独特なカラーであったりします。
2本のニブの表面処理には違いがあり、BOCKは斑っぽい見た目、スティピュラは滑らかできめ細かい見た目です。
手触りは同じでどちらもツルッとしていて、これぞチタンといった触り心地。
裏側とペン芯の比較です。
アメリゴ・ヴェスプッチは首軸にペン先が収納される独特な構造のためペン芯は薄め。
見比べるとペン芯から出ているニブのペン先の幅が、
BOCK製…短い
スティピュラ…長い
という違いもあり、これも書き心地の違いに関わっていると考えます。
見た目と脳内の書き味にギャップが生じたBOCK社製チタンペン先。
しかし、スルスルとひっかかりなく紙面を滑るペン先は、まさにチタンニブ!
個人的にはもう少し書き味が特徴的でもよかった気もしますが、カヴェコでチタンペン先が使えた事も含め概ね満足です。
カヴェコスペシャルに付属しているカートリッジで書いてみました。
BOCK社製チタンペン先の評価や感じ方は人それぞれですが、カヴェコ万年筆のカスタマイズ性は万人にお勧めできる要素と言えます。
今回カヴェコスペシャルでできたということは、軸に互換性のあるエレガンスでもできる可能性が高いですね。
さて、今回はカヴェコスペシャル万年筆のスチールペン先をBOCK社製のチタンペン先へ交換して書き味をレポートしました。
本検証で分かったことは、カヴェコスペシャルの万年筆は色々カスタマイズできて楽しい!ということに尽きます。
BOCK社製のフレックスニブ等も試す価値ありではないかと。
すでにスペシャルの万年筆をお持ちの方、これから購入を考えている方の参考になれば幸いです。
それでは今回はこの辺で。
最期までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして
ブログにコメントするのは初めてで、何かと失礼にあたることもあるかもしれませんが、よろしくおねがいします。
ブログでも何回か掲載されている「カヴェコ スポーツ ルックス」の万年筆を求めて、40軒ほど文房具店に問い合わせてみたのですが、未だ出会えておりません。
廃盤品と承知の上で探しているので、もうそろそろ諦めようと考えているのですが、ブログにコメントができることを知り、最近どこかでお見かけしたことがないか聞いてみたかったのでコメントしました。