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伯爵コレクションのさらに深みへ誘うボールペン【ファーバーカステル 250周年記念 エレメントオリーブ レビュー】

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皆さんこんばんは。
 
ううむ、またやってしまった…。
伯爵コレクションの油性ボールペンはクラシックのペルナンブコ、アネロのエボニー、イントゥイションのエボニー、そしてスターリングシルバー軸を手にして、もう沼の底に辿り着いたとばかり思っていました。
 
普段使いとして太軸のイントゥイションが私の掌にマッチしており、イントゥイションのエボニーこそが自分のファーバーカステル ボールペンの終着点だったわけですが、まさか沼の底どころか岩盤層まで到達するモデルが存在するとは…。
 
ということで、今回の記事はしばらく新ペン開拓が停滞していたファーバーカステルの油性ボールペンについてです。
 

 
ファーバーカステルの筆記具において「限定モデル」というと何を思い浮かべるでしょうか。
万年筆だと「Pen of the year(ペンオブザイヤー)」という有名な至高のコレクションがあるため、万年筆とローラーボールについては行き着く先(いつかは使いたい!)がまだあると理解できます。
 

 

それでは、ペンオブザイヤー意外に限定モデルはないのでしょうか。
 
実は、ペンオブザイヤー以外にも創業から節目となる年にリミテッドエディションを出しており、他業種老舗メーカーとのコラボモデルを出す場合もあるのです。
直近(2025年7月)では、ドイツの老舗カメラメーカー「Leica(ライカ)」とコラボしたライカ200周年記念モデルが発表されています。
 
私も大好きなライカとのコラボは、ブラッククロームのM型ライカを思わせる漆黒のパーフェクトペンシルとボールペン。(ボールペンはタミシオがベース)
 
少し前の2025年2月に ファーバーカステルの人気エントリーモデルである「アンビション」の登場20周年を記念した限定モデルが発売されたことも記憶に新しいかと思います。
シデの木をブルーに染め上げたバレルを採用したブルーウッドと、ライトブルーの高級レジンに斜めのラインを施したイタリックアイスブルーの2カラーで、万年筆とボールペンをラインナップ。
 
2021年に遡ると、創立260周年記念として引き締まったオールブラックに翡翠のカボションが付いた、パーフェクトペンシル260周年アニバーサリーエディション「翡翠」の発売。
そして、さらに遡る2019年には 自動車メーカーのベントレーとコラボしたベントレー100周年記念モデル等を発売してきました。(ファーバーカステルはしばしば他業界の100周年とコラボしますね!)
 
伯爵コレクション万年筆の限定モデルとして、2016年に創業255周年を記念して発売された「ヘリテージコレクション(アレグサンダーとオッテリー)」なるモデルも存在しています。
 
ファーバーカステルの限定モデル(発売時期と本数)を簡単にまとめると下の図のようになります。
 

 
※表に漏れている限定モデルがあるかもしれません
 
ペンオブザイヤーを含め、実際に使っている方をあまり見かけない(おそらくコレクションされている)ファーバーカステルの限定モデルですが、振り返ってみると10年や5年周期で発売されている事が分かります。
 
そして、今回レポートする油性ボールペンが…、
 

 
「250周年記念モデル エレメントオリーブ」
 
筆記具業界最古である1761年創業のファーバーカステル。
同社が2011年に創業250周年を記念して発売したモデルがエレメントオリーブとなっています。
 
ラインナップは万年筆が2,500本、ボールペンが1,500本、ローラーボールとペンシルについてはネットにも情報が少なく、おそらくセット販売のみで250本ずつ(?)ではないかと思われます。
 
油性ボールペンについてはこのエレメントオリーブが、私にとって伯爵コレクションのクラシックを超える使いやすさ且つ、愛用のイントゥイションエボニーを超える所有満足感を持ったモデルとなります。
 

 
通常のクラシックとは違いイントゥイションがベースの太軸で、バレル(軸)にはオリーブウッドが採用されています。
私が伯爵コレクションの中でもイントゥイションを気に入っている理由が、この「太軸である」ということ。
 
ファーバーカステルに限らずですが、軸径が10mm程度あり重量が30g前後のボールペンは筆記感が非常に安定しており、書いていて疲れが少ないのです。
 

 
胴軸のオリーブは通常の木軸のような一体形成とは異なり、6つのピースをつなぎ合わせて(縦に接ぎ木)作られており、表面は美しく磨かれています。
6つのピースはぞれぞれ 杢目の向きや色味が微妙に違い、それが他の木軸ペンには無い表情を見せてくれるのです。
 
まさに工芸品と呼べる輝きは、いつまでも掌に止めておきたい、触っていたいという衝動に駆られます。
 

 
ペン先側のリングには伯爵コレクションではお馴染みの「HANDMADE IN GERMANY」と「GRAF VON FABER-CASTELL」の刻印。
 
最近は、PVDコーティング(ブラック)やゴールド系のトリムの伯爵コレクションも発売されていますが、伯爵と言えばこのプラチナコーティングやシルバー925といったシルバー系のトリムが木軸によく合うと感じます。
 

 
伯爵コレクションの顔でもあるバネ式のクリップ。
まるで中世の道具や武器のような、優雅なデザインのクリップの裏側は生地を挟む部分にスリットが入っており、しっかりとペンを保持してくれます。
 
クリップの可動幅も4mmあり、厚手の生地も楽に挟むことが可能。
本物の伯爵でも自称伯爵でも、どちらの胸ポケットにも映える筆記具です。
 

 
イントゥイションがベースということは、ペン先の繰り出しがまろやかで操作しやすいということ。
クラシックコレクションに比べて大口径かつ、天ビス全体にローレットが施されているため 楽に回せるのです。(回転角が180°なのは同じ)
 
パーカーのデュオフォールドもそうですが、ポケットからペンを取り出しながら、その手で天ビスを捻って芯を出しスムースに書き始める。この流れるような所作が優雅でありながら効率的でもある、天ビスが操作部を兼ねているペンを使う特権とでも言えましょうか。
 

 
リフィルの交換は、他の伯爵コレクションと同じで ペン先側を外して行います。
対応リフィルはG2規格。ファーバーカステルの油性ボールペンは軸の造りが良いのはいうまでも無く、G2規格のリフィルに対応しているところがポイント高いです。
すなわち、ファーバーカステル、パーカー、ペリカン、アウロラ、デルタ、ビスコンティ、カヴェコ、そしてジェットストリーム他のG2リフィルインクが使えるというメリット。
 
私はいつもペンの軸径、重さ、長さ、重心、ペン先のデザインを加味して上記の数あるG2リフィルから最適なメーカーを入れて使っており、今はアウロラのリフィルが入っています。
(グリップ箇所が胴軸寄り、重量33gのためインク粘度高めをチョイス)
 

 
口金のネジ切り上部にはいつもの製造コード(?)ではなく、シリアルナンバー。
エレメントオリーブのボールペンは世界1500本限定となっていて、「****/1500」の4桁のシリアルナンバーが付きます。
 

 
それでは、エレメントオリーブと他の伯爵コレクションを並べて比較します。
左から、ギロシェ、クラシック(ペルナンブコ)、エレメントオリーブ、イントゥイション(エボニー)。
 

 

全長は、
ギロシェ:133mm
クラシック:134mm
エレメントオリーブ:134mm
イントゥイション:134mm
 
クラシックとイントゥイションは全長が同じなのです。
そして、軸径はギロシェとクラシックが9mm、イントゥイションが10mm。その差たったの1mmですが 実際に握ってみると確かな違いが感じられます。
 
この中でもイントゥイション木軸(エボニー)のペン先のデザインは特徴的ですね。
しかもグリップ部まで木軸が来ているため非常に握りやすくなっています。
 

 
クリップから天ビス周りの比較。
まずクリップのベース部分ですが、ギロシェとクラシックは高め、イントゥイションとエレメントオリーブは低めで、クリップ自体の形状も違います。
 
それぞれ上位モデルにあたるクラシック(木軸)とエレメントオリーブはクリップベースの部分にリングが設けてあり 高級感が増し増し。
 

 
エレメントオリーブとイントゥイション(木軸)の比較。
エレメントオリーブのベースはイントゥイションですが、ペン先(口金)の形状と先ほどのクリップベース部リングの有無により印象は随分異なって見えます。
 

 
ペン先はイントゥイション+クラシックといった具合に上手くミックスされたデザインで、コーティングされたオリーブの触り心地も無垢材のエボニーと比べて樹脂軸のような指への吸い付き。
重く、太く、グリップ感もある。そしてこのデザインによって所有満足感はかなりのものです。
 

▲左:エレメントオリーブ、右:イントゥイション
 
エレメントオリーブとイントゥイションの天ビスの違い。
「GRAF VON FABER-CASTELL」の刻印はそのままに、エレメントオリーブは磨かれたオリーブのチップが埋め込まれ、通常のイントゥイションはロゴが刻印されています。
 
当然ながらこの天ビスには互換性があり、2本の天ビスを入れ替えることも可能。
 

 
それぞれ、リフィル交換の際はペン先がこのように分割されます。
クラシックのみ口金のリングごと外れる仕様。他の3モデルは胴軸側にリングが残ります。
 
エレメントオリーブ以外はネジ切りの上部に製造コードあり。
この製造コードについては過去記事で書いていますので、よろしければそちらもご参考に。
 

 
ところで、ファーバーカステルのボールペンに入れるG2リフィル。
メーカーによって若干の全長差があるのはご存じでしょうか。
 
上がファーバーカステル純正のリフィル、下がパーカーのリフィルを同じペルナンブコに入れた様子。
ファーバーカステル純正リフィルは少しリフィル全長が長めになっているようで、このクラシックの細めの口金から良い塩梅で露出するようになっています。
 
そこまで考えてのリフィル全長調整かは定かではないですが、リフィルの繰り出し幅は例え1mmの違いであっても 紙面の視認性が大きく変わりますので、重要なポイントと言えます。
 
手持ちのリフィルではビスコンティのリフィルもファーバーカステルと同様の繰り出し幅でした。
 

 
リフィル先端を拡大してみると、ファーバーカステル純正は やはりペン先(リフィル先?)のパーツが1mm長くなっているようです。(リフィルの個体差という可能性もありますが…)
 

 
太めの軸とでしっかりと保持でき、グリップ感も良好。
少し硬めのインク粘度と相性が良いように感じます。
 
何よりも艶やかで美しいオリーブウッドは俄然筆記モチベーションが上がります。
油性ボールペンに止まらず、是非とも万年筆やペンシルも使ってみたい逸品です。
 

 
さて、今回は久しぶりのファーバーカステル油性ボールペンのレポートとなりました。
ファーバーカステルの油性ボールペンはどのモデルも密度感が高く、堅牢性と(クラシックシリーズ)は木軸の経年変化も愉しめる、持っていて損はないお勧めんのペン。
 
値段は決して安くはありませんが、それを補って余りある所有満足感と筆記モチベーションが得られる素晴らしい筆記具。
今年に入って記念モデルやコラボモデルが相次いで発表されていることもあり、これを機に貴重な限定モデルを入手してみるというはいかがでしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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