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ツイスビー(TWSBI)のマイカルタは素材を楽しむ万年筆

2023年2月18日

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万年筆をはじめ筆記具の楽しみ方は様々ですが、皆様はどのように楽しんでいらしゃいますでしょうか。
 
筆記具の中でも万年筆はその独特な見た目からも「最も美しい筆記具」と言われています。毛細管現象を利用したペン先は繊細で剣先のような形状にはそれぞれのモデルで装飾や刻印が施され、眺めているだけでも飽きません。
 
また、限定モデルに至っては豪華な装飾がついているものもあり、コレクターが付くのも頷けます。まさに「目で見て楽しく使っても楽しい筆記具」が万年筆の魅力と言えますね。
 
そのような楽しみ方の中の一つの要素に、素材の経年変化というものがあります。今回はその素材の経年変化を楽しめるものとしてツイスビーのマイカルタを例にとって見ていきたいと思います。
 

 
経年変化が楽しめる素材としては、主にレザーやウッドといった天然素材と、レジンなどの人工素材があるわけですが、今回記事に取り上げる「マイカルタ」という素材もレジンと同じく人工的な素材になります。
 
マイカルタはアメリカのウエスチングハウス社によって開発され、インターナショナル・ペーパー社で製造されている素材で、キャンバス、リネン、合板、紙などを核とした合成素材をフェノール樹脂で固めて作られているものです。堅牢性や耐久性に優れた素材でナイフのハンドル等に使われているそうです。
 
その素材をまるごと軸に使用した万年筆がツイスビーのマイカルタ。
この万年筆の珍しいところはネジ切りを含めたすべてがマイカルタで作られているところです。個人的に耐久性はどうなんだ?というところが気になっていたのですが、その辺りも含めてレポートしていきます。
 

 

 

 

【マイカルタの軸は他とどう違うのか】

まずはその特徴的な「マイカルタ」という素材について見ていきます。
 
触った感じは木のようなレザーのようなレジンのような…と、いずれとも違いながら指にピタリと吸い付くような心地よい手触りを味わえます。素材としても強度がある方なのですが、レジンと違って弾力がある感じがします。
 

 
軸を指で弾いてみるとレジンのようなカチカチという乾いた音ではなく、コンコンという厚みのある音と同時に指には振動が返ってきます。
 
キャンバスやリネンといった繊維質の素材を樹脂で固めることで、素材自体にしなり・弾力を持たせて強度を確保しているのでしょう。
 
ナイフのハンドルに使われている素材ということですが、なるほど筆記具の軸にも合っているかもしれません。
 

 
他の人工素材の筆記具と表面を見比べてみます。
 
経年変化が楽しめる人工素材の軸を持った筆記具で思い浮かぶのがラミー2000シリーズ、ファーバーカステルのギロシェやアンビションの軸でしょう。
 
ラミー2000シリーズは細かなヘアライン加工を施すことで握りやすさと、経年使用にともなう艶が出てくる筆記具です。
 
ファーバーカステルのギロシェも同じく、波縞加工の軸はグリップの良さに一役買っていますし、コニャックの軸などは艶の出る経年変化が特に感じられて楽しめます。
 

 

 
続いて天然素材の軸はどうでしょうか。
 
以前記事にしたパイロットのカスタムカエデやデルタのSEA WOODなどがそれにあたります。これらは天然の木軸のため、言わずもがな文句なしに経年変化の楽しめる軸ですね。
 
加工された後と言えど、木軸の筆記具は呼吸をしている気がするのです。
 
マイカルタは人工素材ですが、どちらかというと経年変化の傾向は天然素材に近い人工素材といいましょうか。レジンの軸のような指紋との摩擦によって艶が出てくるというよりは、油分や水分を吸収して熟成していく天然素材に近い性質を持っていると言えます。
 
それでは素材を踏まえた上で、マイカルタのデザインを見ていくとしましょう。
 
マイカルタには二種類のバリエーションがあり、クリップありのモデルとクリップ無しのシガータイプと呼ばれるモデルがあります。
 
手元にあるのはシガータイプ。職場でペンケースから取り出したとき葉巻と間違われたことがありますが、まさに葉巻のような色形をしていますね。(といっても私はタバコを吸わない達ですが…)
 

 
キャップは天冠にツイスビーのロゴが。
 
この「文」を三つ合わせてあるロゴが結構好みで、家紋のようなどこかバイオハザードマークのような筆記具メーカーらしからぬ、一見抽象的なロゴだと思います。
 
キャップエンドには「TWSBI」「三文堂」の刻印。
また、上部にはモデルナンバーの「803」が刻印されています。
 
そのほかは刻印や装飾が一切無く、素材の質感のみを存分に楽しめるようなシンプルな造りとなっています。
 

 

【ペン先のサイズなどを比較】

続いてお馴染み、他の筆記具とのサイズやペン先の比較をしていきます。
 
サイズはペリカンのスーベレーンM800とほぼ同等のサイズ。胴軸が樽型ということもあり軸径はM800に比べ若干の太さを感じます。
 
黒いM800専用のペンケースに丁度収まる長さと太さですので、このマイカルタに合うペンケースも多数存在しそうです。
 

 

ニブもスーベレーンM800やセンチュリー#3776と同等サイズ。金色をしていますが金ペンではなく厚みのあるスチールペン先。
 
刻印はツイスビーのロゴとTWSBIのメーカー名、ニブの横にはペン先のサイズ(F)が表記されています。
 
ちなみにペン芯はプラスチック製。
 

 
ペン芯を横から見るとフィンも細かくなかなかに男前です。
 
インクフローも良好。スチールだけあって書き味は硬めですがガチガチな感じはせず、文字に緩急が付けやすく漢字の筆記に適しています。
 
この前レビューしたPENBBSもそうですが、アジア系の万年筆は漢字を書くことを意識したペン先の造りになっているに違いありません。
 

 

 

【インク補充やメンテナンスの注意点は?】

特殊な素材であるがゆえにインク補充や洗浄時も注意しなければならない点が幾つかあります。
 
まずはインクの補充について。ツイスビーというとクリア軸の吸入式万年筆であるエコが有名ですが、マイカルタはカートリッジ/コンバーター対応となります。
 
コンバーターは最初から一つ付いているのですが、無くした場合や壊れた場合はヨーロッパ規格のコンバーターが使用できますので、Amazonでペリカンのコンバーターを買うのがベストです。私もマイカルタには信頼の置けるペリカンのコンバーターを使用しています。
 
首軸と胴軸をつなぐネジ切り部分にはPENBBSにもあったようなOリングがあり、万が一のインク漏れに備えています。そして同時に、ネジを締めた際のクッションの役割も担っているのではないかと思います。
 

 
経年変化を楽しめる素材ということで外部からの油分や水分の影響を受けやすいのですが、インクに浸かったり水でじゃぶじゃぶ洗われたりする首軸はどうしても色が濃くなります。
 
色が変わるから首軸をインクに浸すのが嫌だという場合はカートリッジを使うのも手です。もしくはコンバーター+ハミングバードという手もありですね。
 

 
ペン先を洗う場合もなるべく洗った後はすぐにティッシュでペン先の水を拭き取るようにしています。
 
あとは、まだやったこと無いですが温度が高めのお湯で洗う場合、イメージ的に白くなりそうな素材のため気をつける必要がありそうです。もしかしたらお湯でも大丈夫なのかもしれませんが…。
 

 

【マイカルタまとめ】

今回は台湾の万年筆メーカーTWSBIのマイカルタをレビューしました。
 
毎回書いている気がしますが経年変化を感じられる万年筆は良いものです。
 
天然素材と人工素材のハイブリッドのような質感の軸は時を経るごとに赤黒く熟成していきます。
 
それはレジンの経年変化とも木軸の経年変化とも違ったマイカルタ特有の経年変化。毎日使うのが楽しくなる万年筆です。
 

 
そして筆記具としても非常に満足度の高い1本だと言えます。
 
スチールですが大きめのニブでインクフローも良し、太軸でマイカルタの手触りからは適度なグリップが得られるためとても書きやすく感じました。
 
マイカルタを手に入れるには、おそらくオークションやフリマサイトで中古を購入することになりそうです。なかなかレアなため、ぜひ見つけた際はその独特な手触りと熟成を味わっていただきたいものです。
 
今回の記事はこの辺で。
それではまた。

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