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カランダッシュの廃番ボールペン ヘクサゴナルコレクション 比較レビュー

2021年6月10日

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皆さんこんにちは。

 

以前より仕事で使うボールペンのメインがファーバーカステルとカランダッシュに絞られてきていて、スーツの胸ポケットと内ポケットには必ずどちらかの何かが挿さっているという状態です。

 

衣替えも終わり仕事でスーツのジャケットを着るようになると、数本のボールペン及び万年筆の携行が楽になって良いですね。

皆さんは普段、どこのメーカーの何というボールペンを携行していますか?

 

使いたい筆記具が多い場合、どうしても「日替わりで携行」ということになりますが、自分で使う場合モチベが上がる最高の一本を使いたいところです。

 

接客業や営業職の方は先方へのサインでお貸しするボールペンもありますので、自分が使いやすいモノ+誰でも使いやすいモノを挿しておく必要があります。

 

私は現在、胸ポケットの方にカランダッシュを。内ポケット×2にファーバーカステルと日替わりの万年筆を挿すことが多いです。

 

六角軸の筆記具は日本人なら幼少より慣れ親しんでいますし、カランダッシュのゴリアット芯はまず間違いない書き心地ですので、自分が使う場合も人に一時的に貸す場合も外さないのが強み。

 

 

今回の記事のボールペンはその胸ポケットに挿すことがあるカランダッシュの一本。

 

エクリドールやバリアスといったメジャーなラインナップの他に、ちょっとマイナーだけど仕上げが良いというモノがあります。

 

 

 

それが、「カランダッシュ ヘクサゴナルコレクション カーボンファイバー ボールペン」。

 

ヘクサゴナルコレクションは現在ラインナップから外れている言わば廃番モデルですが、ベースはエクリドールのような金属製の六角軸で、軸の表面に異素材を組み合わせるなど作りはより凝ったものとなっています。

 

感覚としてはエクリドールとバリアスの間のようなモデルでしょうか。

六角形の金属軸ベースに手元のモデルはカーボンですが、中には中国漆が施されているモデルもあります。

 

それでは前置きが長くなりましたが、エクリドールに代わり使うことが多いヘクサゴナルのボールペンを以下で詳しく見てきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

【ヘクサゴナルコレクションカーボンのデザイン】

ヘクサゴナルコレクションの位置付けはエクリドールの高級ラインということになりますが、同じく六角形の軸を備えている点や、真鍮にシルバープレート+貴金属コーティングといった仕上げの面で共通点があります。

 

 

ヘクサゴナルカーボンの場合、胴軸に貼られたカーボンファイバーによりキリッと引き締まった全体像と、ボディの約半分の長さになるロングクリップが目を引きます。

 

 

エクリドールの旧タイプロングクリップモデルと並べても、そのクリップの長さと、全長そのものもノックボタン一つ分長いことが分かります。

 

スペックの違いは、

 

〈ヘクサゴナル〉

全長:携帯時135mm(筆記時+3mm)

重量:約27g

 

〈エクリドール〉

全長:携帯時128mm(筆記時+3mm)

重量:約26g

 

同じ部分としては先に書いた本体の材質の他、胴軸径、ノックボタンのストローク、同じゴリアット芯を有する事。

印象としては高級なガスライターのような質感・表面の仕上げを筆記具に落とし込んだ、といったところでしょうか。

 

 

カーボンの胴軸はその名の通りカーボンファイバーが貼り付けられています。

ベースのシルバーとブラックグレーのカーボンファイバーが端正なヘクサゴナルコレクションを印象づけています。

 

 

カーボンファイバーは見る角度によってチェックにもドットにも見える面白い素材。

高強度・高弾性に優れた素材がゆえ、産業分野の構造素材やスポーツ・レジャー用品に使われることがメインですが、最近こうした高級筆記具に装飾として使われるケースも増えてきました。

 

 

クリップの下には「CARAN d’ACHE  Swiss Made」の刻印が控えめに入っています。

この部分への刻印はエクリドールではなく849コレクションに似ており、デザインを邪魔しない控えめなロゴ刻印となっています。

 

 

ボディにメーカーロゴと製造国が刻まれているからか、ノックボタンに刻印はなくソリッドな作り。

ただ、ヘクサゴナルコレクションにおいても製造年代によりノックボタン上面に「CdA」のメーカーロゴが入るものも確認できます。

 

さらにエクリドールと違う点として、クリップ横にシリアルナンバーの刻印があることも見て取れます。

アルファベットから始まる6桁のナンバー。これが刻まれているだけで所有満足度も変わってきますね。

 

 

ノックボタン上面の比較がこちら。

エクリドールはどの年代のものでも「CARAN D’ACHE」やメーカーロゴは付いていますので、何もないつるんとしたノックボタンは逆に新鮮だったりもします。

 

 

エクリドールとのクリップの違い比較。

旧タイプのエクリドールはロングクリップですが、ヘクサゴナルは更に長い仕様。

そして、クリップの上部には「CdA」のマークが埋め込まれています。

このCdAマークも製造年代によって、「丸にCdA」や「横向きCdA」といったバリエーションが存在します。

 

 

クリップを横から見比べるとデザインコンセプトの違いが見えてきます。クリップにバネ等は仕組まれておらず、金属自体のしなりで挟み込むという仕様はエクリドールと同じ。

フィックスペンシルから生まれ、エクリドールペンシルへと引き継がれていった伝統的な湾曲クリップのエクリドールに対して、エッジの効いた純ストレートクリップのヘクサゴナル。

 

このデザインからもやはり大人な雰囲気を醸し出しているように感じます。

まさにライターのデザインから派生した直線的なシルエットではないでしょうか。

 

 

さて、まずはじっくりとヘクサゴナルコレクションのデザインを見てきましたが、大人のもつ色気やダンディズムが感じられるデザインとなっており、温かみのあるエクリドールとは対象的なコンセプトで作られたことが覗えます。

 

 

 

 

【エクリドール・バリアスとのデザインの違いについて】

続いてカランダッシュ六角軸の上位モデルであるバリアスも加えて比べてみます。

 

 

左から、バリアスメットウッド、ヘクサゴナルカーボン、エクリドールレトロ。

 

全長はバリアスの方がさらに長く、軸径も太くなっています。

軸の部分の仕上げとしてはバリアスと共通する部分があるヘクサゴナル。

バリアスにもカーボンモデルがありますが、ヘクサゴナルのような面貼り付けではなく、真ん中の異素材部分がすべてカーボンという仕様。

 

 

ノックストロークは3モデルとも同じ。

ノック面の広いバリアスは流石にノック動作が安定しています。

 

ヘクサゴナルはエクリドールと軸径が同じで全長が長い分、ノック時の親指の移動幅も長くなります。

このあたり、エクリドール慣れしていると最初は違和感があるかもしれません。

 

 

六角軸のシリーズの安定した操作感・書きやすさに一役買っているのがペン先のカット。

ペンポイントまでの長さ、軸の形、リフィルの繰り出し幅などが共通しており、3モデルともほぼ同じ筆記感で書くことができます。

本当に美しいペン先だと思います。

 

 

最後にクリップの比較。

ヘクサゴナルはバリアスの前身モデルですが、バリアスのクリップ形状はエクリドールのデザインを踏襲しています。

しかし、近年のバリアスは写真のようなショートクリップからロングクリップに変わっており、エクリドールのデザインとは差別化が図られているようです。

 

どちらかというと、ヘクサゴナルのような長いクリップに戻ったバリアス。

これがヘクサゴナルへのオマージュだと感じるのは私だけでしょうか。

 

 

 

 

【ノック機構の違いと書き味】

続いて3種の六角軸ボールペンのノック機構の違いを見ていきましょう。

 

通常のノック式ボールペンのように大きなノック機構をボディ側に搭載しないカランダッシュはノックボタン=ノック機構となっています。

 

 

ノックボタンを胴軸に向かって反時計回りに回すとノックボタンが外れてノック機構が現れます。

このようにノック機構の構造自体は3モデルとも同じ。

白い樹脂の部分が胴軸に固定され、真鍮のパーツがリフィルを押し出す役割です。

 

 

白い樹脂の部分を上げてみました。

ヘクサゴナルとバリアスのノック機構はノック部分のキャップ以外は同じだということが分かります。

一方、真鍮部分の先端を切ったように短いのがエクリドールのもの。

これは軸の長さの違いによるものです。

 

 

ノック部分の金属パーツを見比べると、メーカーロゴや製造国「SWISS MADE」の刻印が無いのがヘクサゴナル。ヘクサゴナルにおいて製造国の刻印は胴軸側にありますので、キャップには刻印が無いということになります。

 

ちなみに、白い樹脂部分が同じパーツのため頑張ればノックボタンの付け替えができますが、互換性がないため隙間が空いたり埋まったりでノックボタンの役割を果たせません。

着け替えでの運用は不可となります。

 

 

ノックボタンを外したついでに、エクリドールのように胴軸から覗いたさい万華鏡のように見えるのか。

ヘクサゴナルでもやってみると…。

 

 

 

やはり見えました!

しかし本当に万華鏡機能が組み込んであるわけではなく、六角軸+胴軸内の仕上げによりペン先から入った光が乱反射しまるで万華鏡のように見えるわけです。

(リフィルとバネを外した状態で確認可能)

 

 

ヘクサゴナルの書き味について、軸の持ちやすさやリフィルの性能によりエクリドールと同等の書き味となりますが、7mmの全長差は意外と大きく、エクリドールの扱いとは若干異なります。

 

 

重心は少しリア気味となるため、私は多少コントロールが難しいと感じました。(それでも慣れれば問題ないですが…。ようは慣れですな!)

 

手の大きい人にはちょうど良いサイズかも知れませんね。

 

 

ヘクサゴナルもエクリドールも、この筆記時のペン先からグリップポイントにかけての美しさがなんとも言えんのです。

まさに金属の鉛筆。

人が筆記具を持つ時の三点保持に適した六角軸は非常に合理的なデザインで書くことが楽しくなります。

 

 

 

 

【エクリドール・ヘクサゴナルの胴軸仕上げの種類】

それでは最後に、エクリドールとヘクサゴナルの軸の仕上げの種類について(考察含む)です。

 

 

さて、この6本の伝説の剣…、

 

ではなくエクリドール(&ヘクサゴナル)の金属部分の仕上げがそれぞれ違うのですが、お分かりでしょうか。

 

 

表面を寄って見てみます。

どうでしょう。それぞれ仕上げが異なるのですが。

 

 

いかがでしょう。

わずかな発色の違いにも注目です。

 

 

 

正解はこちら!

 

 

それぞれの胴軸の仕上げはこのようになっていました。

これは数本のエクリドールを所有して気付いたことです。実は結構、金属軸の表面処理に種類があることが分かります。

 

スターリングシルバーは銀の含有率が92.5%の素材で、シルバー925とも呼ばれます。

エクリドールだと、アンモナイトやベネシアン(SV925)、リーニェ(SV925)などの一部の限定モデルに使われています。

 

その少し黄みがかった温かみのある色合いと、手に吸い付くような触り心地は他のエクリドールとは違うものがあります。硫化で黒ずんできますが、それを磨くのも楽しみの一つといえます。

 

 

シルバープレートはエクリドールの旧モデルの表面仕上げ。

エクリドールは真鍮のボディに10μという厚めのシルバープレートが施されています。

 

まさにエクリドールのベースとなる仕上げで、こちらも性質はスターリングシルバーと同じとなるため硫化や酸化で黒ずみます。手にした時の質感もスターリングシルバーに近いものがありグリップ感も良好。

 

そしてシルバーの美しさを保つためにシルバープレートの上から更にコーティングを施されたモデルが、ロジウムコート、パラジウムコート、クロームフィニッシュとなります。

 

個人的にですが、パラジウムコートよりもロジウムコートの方が滑りにくく感じます。

が、この2つの仕上げについて、色合い等の見た目はほぼ同じといって良いと思います。

 

クロームフィニッシュについては若干青味がかった色をしていますので区別しやすいかと。

クローム仕上げも旧モデルのエクリドールに採用されていたもので、現在のエクリドールはパラジウムコートが主となっています。

 

 

最後のガラスビーズブラスティングは文字の通り、小さな無数のガラス玉を表面に吹き付けることで細かな凹凸を出す仕上げ。

一部のモデルに採用されている仕上げで、昨今のエクリドールは写真のバリエーションの他、ブラックのクロムメッキ加工やサンドフィニッシュといった、シルバーカラー意外の仕上げも増えてきています。

 

 

皆さんはどの仕上げがお好みでしょうか。

軸のデザインに加えて、金属軸表面の仕上げの違いにも注目してエクリドールを選ぶというのも面白いかもしれません。

 

 

今回は惜しくも廃番となったモデル、「カランダッシュ ヘクサゴナルコレクション カーボンファイバー ボールペン」を比較を交えて見てきました。

 

ヘクサゴナルはエクリドールや849好きなら是非とも手に入れたい一本。

今回レビューしたロジウムコート×カーボンの他にゴールドプレート×中国漆のモデルや精密な正方形が彫り込まれた美しいキューブといったモデルもあります。

 

いずれもスイスの高級ライターを彷彿とさせる、洗練されたデザインと高級感を併せ持つモデルとなっています。

 

気になった方はぜひ探してみてはいかがでしょうか。

また違った面からカランダッシュ六角軸を体験できると思います。

 

それでは今回はこの辺で。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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