社会人の所有欲を満たす芯ホルダー!【カランダッシュ フィックス ペンシル】レビュー
最近、専らカランダッシュの筆記具を使うことが多くなっているのですが、何故かと考えた時、やはり六角軸の持ちやすさや手馴染みの良さが理由として挙げられます。
私もそうですが一般的に三本の指で筆記具を保持すると考えて、軸が三角形や六角形ということは丸軸に比べ自然と指にフィットする面積が増えるため保持しやすくなります。
まさに筆記具を使って快適にものを書くという行動に沿った合理的な形と言えるわけです。
仕事中はカランダッシュのボールペンを必ず一本はポケットに挿していて、プライベートでは鉛筆を使うことが多い昨今ですが、大人が使う鉛筆(というか黒鉛)として「芯ホルダー」に注目しています。
自分の人生において「芯ホルダー」の使い道とはいつなのか。
厳密にはいつ“だった”のか。
社会人になると日常使う筆記具はボールペンか万年筆がほとんど。
小学生の時は有無も言わさず鉛筆一点張りですし、中学に入るとシャープペンシル(メカニカルペンシル)の使用に許可が降りてほぼそればかり。
メカニカルペンシルのような構造で鉛筆のような芯を装填して使うのが芯ホルダー。
うーむ、今まで使ってこなかったなーというのが芯ホルダーです。
もしかしたら美術系の専門学校に進んだ方は日常的に使っておられるのかもしれません(想像ですが…)。
今回の記事はそんな芯ホルダーから、
カランダッシュの筆記具の原点でもある芯ホルダー「カランダッシュ フィックス ペンシル」を見ていきたいと思います。
【カランダッシュの原点フィックスペンシル】
フィックスペンシルの始まりは1929年になります。
この記事を書いている時点(2020年)からみて、もう90年以上も前に誕生したということになります。
かなり歴史の深い筆記具ですね。
▲左から、フィックスペンシル、エクリドール×4、849。
フィックスペンシルが発売された当時のデザインは分かりませんが、おそらく今とよほど変わらない見た目をしていたのではないかと思います。
その後、六角形のデザインを引き継ぎながらエクリドール(メカニカルペンシル)が発売され、後に849コレクションへと続いていきます。
どのシリーズも六角形の軸を採用していて持ちやすさと共にカランダッシュのアイコン的存在となっています。
左から、フィックスペンシル、エクリドール、849。
ノックボタン一つ分
長さはフィックスペンシルが一番長いですが、フォルムはカランダッシュの筆記具から連想される形そのもの。
軸を挟み込むように着いているクリップは849へと継承されていることが覗えます。
手元のフィックスペンシル、849共にクリップ形状は旧タイプとなります。
フィックスペンシルのスペックですが、全長138mm(携帯時)、重さは8g。
素材がアルミニウムのため軽く、そして六角形からくる堅牢なデザインが所有欲を満たしてくれます。
クリップ下に隠れるペイントを見てみると、「CARAN d’ACHE」「FIXPENCIL 22 METAL」
2mm芯を使うこと、素材が金属であることが記されています。
こうした印字を前面に出さずにクリップ下に控えめに配置されていることも、どこか日本のものづくりと共通点があるようで素敵ですね。道具としての格好良さがあります。
クリップ上にはお馴染みの「SWISS MADE」がプリントされています。
これもカランダッシュの筆記具ではお馴染みですね。
ノックボタンは各カラーが準備されていて、ブルーやイエローにも変更可能。
2mm芯も原色については様々な色がありますので、芯の色に応じてキャップを変えるのも分かりやすくて良いかと。
ノックボタンは一見横に回したくなるようなデザインですが、回転繰り出し式ではなくノック式ですので、操作については普通にノックボタンを押し込むことでペン先のチャックを解放します。
【2mm芯は「テクノグラフ」】
フィックスペンシルに装填されている芯は、カランダッシュの黄色い鉛筆でも知られる「テクノグラフ」。
硬度Bを使っていますが階調豊かな表現が得意な柔らかい芯です。
鉛筆テクノグラフとフィックスペンシル。
1929年当時の木材不足より誕生したフィックスペンシル。軸径は鉛筆よりも少し太い8mm、軸の表面はマットブラックで塗装されておりグリップ感も良好。
昔文房具店で軸が黄色いと言うだけで選んでいたカランダッシュの鉛筆。
皆さんは黄色い鉛筆と聞いてどれを想像しますか?(そういえばタイコンデロガも黄色ですね…)
鉛筆の軸には様々な文字が刻まれています。
今となっては筆記具の様々を詳しく見るのがクセ付いていますが、鉛筆をメインで使っていた小学生の頃は鉛筆に名前がつけられているなんて思いもしませんでした。
テクノグラフ「TECHNOGRAPH」には3匹の魚のシルエット。これが可愛いんですよね。
ペン先の比較です。
フィックスペンシルにはBの芯、鉛筆のテクノグラフは4Bです。
鉛筆は当然削りますのでペン先に向けて鋭角に傾斜がかかりますが、芯ホルダーであるフィックスペンシルも鉛筆と同様にペン先に向けて細くなるデザインが採用されています。
これがまた筆記面が見やすくて使いやすいのです。
胴軸からペン先(チャック)までのパーツのない一体型デザインも筆記やデッサンに集中できる要因なのかも知れません。
フィックスペンシルはペン先から芯を装填します。
芯径が2mmといえど装填時は折らないように慎重に。
私が感心したことは、この芯にまでテクノグラフのプリントがされていること。
「TECHNOGRAPH B CARAN D’ACHE 6077 B」という文字が見てとれます。
※写真には写っていないですが「SWISS」の文字もあります
ボーペンのゴリアット芯もそうですが、リフィルや芯のような消耗品にも名前がつけられているところに製品品質に対するカランダッシュ社の自信が覗えます。
【フィックスペンシルの使用感と芯の性能】
さて、アルミ軸で軽量かつ堅牢なフィックスペンシル。
マットな塗装が持ちやすさにも貢献していることは先にも触れましたが、ここでは実際に描いてみての使用感やテクノグラフ芯の性能について書いてきたいと思います。
テクノグラフにも様々な硬度がありますがお勧めなのは「硬度B」。
文字もいけて絵もいけるという万能芯で、階調も豊かです。
軸が軽く握りやすいので、筆圧のコントロールもしやすく感じました。
しかも2mm芯というのは絶妙な芯幅で、芯研ぎの仕方によって、また、使い方によって様々な太さ・濃さの線が引けるようになっています。
紙面を撫でるように筆を走らせます。
また、重ねて線を置くことでも階調豊かな表現が可能。
紙質にも左右されますが、フィックスペンシルを立てたり寝かしたり、また芯のどの部分を使うかで細かな陰影等の表現も可能DEATH!!
芯ホルダーならではの軸の重みに任せた使い方ができるのも鉛筆との違いでしょうか。
文字を書く、絵を描くといった使用以外に子供の宿題を採点する時の赤ペンとしても活躍します。
赤い2mm芯は丸付けの太さもベスト。
赤い芯を使う際はキャップも赤に変更しています。
【芯ホルダーは芯削りにも拘りたい】
フィックスペンシルをたっぷり使って、ペン先が丸まったら「芯を削る」という楽しみも待っています。
鉛筆と違って木の削りカスが出ないのは芯ホルダーのメリット。
フィックスペンシルのキャップの内側には芯研ぎ器が備わっており、これ一本で書く・削るは完結することができます。
削る際は長めに芯を出してキャップに差し込み、ゆっくりと軸を回していきます。
ピンピンに尖らせることも削り方によってはできますが、普通に削るとこのような感じ。
そして芯の削りカスを受ける部分はないため、ティッシュは必須ですね。
手元にある他の芯研ぎ器も試します。
やはり「削る」という行為にも拘りたいものです。
ファーバーカステルのハンディ芯研ぎ器の使用感は先ほどのキャップとほぼ同等のため割愛。
非常に優れているのが三菱uniの2.0mm芯ホルダー用ポケットシャープナー。
コンパクトな円筒に穴が空いていて、底に芯を差し込みぐりぐりするだけですが、①蓋があること、②芯カスを溜めておけるスペースが設けてあること、がとても便利なのです。
(中に溜まった芯カスは底面の蓋をスライドして空いた穴から捨てられる仕様!)
芯の先もかなりピンピンに尖らせることができます。
非常に小さな芯シャープナーですので携帯にも向いており頼れる存在。これは2mm芯使いには必携のアイテムと言えます。
さて、今回はカランダッシュ高級筆記具の原点「フィックスペンシル」をレポートしてきました。
六角軸の持ちやすさ、特徴的なクリップから感じるカランダッシュのDNA。
芯ホルダーというカテゴリーですが、マットブラック塗装やアルミ素材など高級感も併せ持つ、まさに大人の筆記具ではないでしょうか。
この記事の冒頭でも書いたように、私としては今まで使う機会に恵まれなかった芯ホルダー。
しかし、使ってみると鉛筆にはない非常に合理的な造りと、取り回しの良さに驚きました。
うーむ、新たな沼が広がっていそうな芯ホルダー。
また使ったことがないという方はぜひこの世界も覗いてみてはいかがでしょう。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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