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モンブラン レオナルド が書きやすい理由を考える

2021年5月19日

皆さんこんにちは。

過去に出たモンブランのボールペンは何度か取り上げているのですが、今回はその中でも8090年代初頭にかけてのボールペンを新たに入手しましたのでレポートしていきたいと思います。

ヴィンテージと呼ぶにはまだ若く、しかし現行品には無い金属軸モデルが多数存在する頃のモンブラン。この頃は今のようなマイスターシュテュックの派生モデルやPIXシリーズがメインのラインナップではなく、様々な種類の金属製ボールペンが発売されていました。しかも今とは比べものにならないほど安価で。

 

 




 

その中から特に異彩を放つモデルであるボールペン「レオナルド」をレビューします。

このボールペンはその名の通り芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」より着想を得て製作されたと言われていて、随所に特徴的なデザインが採用されています。

 

ラインナップはボールペンのみで3種類。カラーはシルバーとブラックでそれぞれクリップとノック部がシルバーのものとゴールドのもの、そして上位モデルの総金色のチタンゴールド仕上げがありました。

 

 

見ていくレオナルドはスタニウム仕上げのシルバーモデル。当時はこれが5000円に満たない価格で買えたのですから、今のモンブランのラインナップがいかに高いかが分かります。

 

 




 

 

 

 

 

 

【筆記感や持ちやすさと連結したレオナルドのデザイン】

レオナルドの一番の特徴はその軸の形。扇形の軸はクリップの面とその背面にあたる半円の部分がグロス加工、それ以外の面がヘアライン加工となっています。この表面処理の違いからくるデザイン性は現在のクラシックな趣に偏ったモンブランではなかなかお目にかかれません。

そしてその形はデザインだけでなく、実に理に適ったデザインだということが使ってみると分かってきます。

 

なぜ丸軸ではなく三角軸でもなく、扇形なのか。

通常、人が筆記具を持つ時(特殊な持ち方は除いて)は親指と人差し指で軸をつまみ、中指を添えるような持ち方になるかと思います。

 

 

上の写真左のように軸には三方向からの力が加わるのですが、その力が加わる三面と指との接点が狭いほど力を入れて保持しなければならなくなります。丸軸の筆記具はこの接点が一番狭くなるため力を一番かけていることになりますね。

仮にラミーのノトやステッドラーノリス(鉛筆)といった正三角の軸ならどうでしょう。

 

親指・人差し指・中指に触れる面は一番広くなりますが、今度は指と指の間の間隔が狭くなるため力が入ることとなります。三角軸は総じてペンの軸径も細くなる傾向にあり、それも余分な力をかけてしまう要因と言えます。

 

そこでレオナルドを見てみると、クリップの延長面をA面(上の写真右、太線の部分)としたとき、親指と人差し指でつまむ面(ヘアラインの面)の間に若干広めのA面があります。このA面があることでペンの中心に向かう力が分散されるのです。四角でも三角でもない絶妙な角度で作られた台形のような形がレオナルドの握りやすさの秘密ではないでしょうか。

 

また、A面の対角面が曲面になっている理由としても、中指を添える面を曲面にすることで接点にある程度の自由度を持たせ余計な力を逃がす役割があるのではと考えています。

 

 

このように扇形軸には丸軸のメリットと三角軸のメリット、そして四角軸のメリット全てが存在していると言えます。

絶妙な軸径に加え重さが25gというのもポイントで、マイスターシュテュックシリーズに通ずる約12mmの軸径は太すぎず細すぎず、取り回しのしやすい太さ。このサイズのボールペンとしては少し重めの25gという重さも、ペン先にかかかる力をペンの自重を得ることで和らげているのです。

 

 

 

 

【今では珍しいリフィル交換方法】

続いて、特徴的なリフィルの交換方法について。

ここもレオナルドの面白いところで、通常のボールペンのようにペン先のパーツを外して換えるでもなく、ノック部を引き抜いて換えるでもない、特殊な方法を用います。

 

 

クリップと反対側の曲面には丸い凹みがあり、ここを爪(あるいは先の尖ったもの)で押してノックユニットのロックを解除・取り外し、リフィルを交換します。

押すとユニットのスプリングの力で「シュッ」とノック部がスライドします。

 

 

プラスチック製のノックユニットは造りとしてはシンプルですが、何やら複雑な形をしています。

ちなみに、このノック部の金属パーツが無い個体をよく見かけるため、金属パーツは接着が甘く外れやすいと推測します。レオナルドを探す際はノック部の金属パーツがあるか注意しましょう。

リフィル交換が終わったらユニットを胴軸に戻すのですが、私が気になったことを書いておきます。

 

上がブラックのリフィル、下がブルーのリフィル

 

モンブランの純正リフィルはブラックとブルーを持っているのですが、ブルーを装填した時は写真のようにペン先が少ししか出ず非常に書きにくいです。

 

 

リフィルを並べてみるとリフィル自体の形は全く同じですが、長さが若干違うように思います。

リフィルの製造年代により長さが若干違うのか、色によって違うのか、はたまた字幅(写真ではブルーがM、ブラックがF)により違うのか定かではありません。もし、レオナルドを持っているけどペン先から出るリフィルが短いから書きにくい!という方がいらっしゃったら、リフィルを違うものと交換することで解消するかもしれませんのでぜひお試し頂きたいです。

 

 

ノック感はなめらかで、「コクッ」と控えめの音を立てます。この年代のボールペンはSラインもそうですがリフィルの繰り出しはスタンダードなノック式がラインナップされていました。現行のモンブランは回転式がメインですので今となってはノック式のモンブランというのも新鮮な感じがしますね。

 

 




 

 

【他のモンブラン筆記具と比較】

それでは次に、他のモンブランのボールペンと大きさやデザインを比較していきます。

 

 

上から、#782、レオナルド、№164、シニアム。

上から3本はモンブランでは一般的な軸径である約12mmで、シニアムのみ細軸です。この中ではマイスターシュテュックのみが現行に続くモデルとなっていますが、他の3本はすでに廃番となっていてフリマやオークション、もしくはペントレでのみ入手可能となっています。

 

 

4つのホワイトスターを並べてみました。天冠のデザインは様々。レオナルドとシニアムは小ぶりのホワイトスターです。マイスターシュテュック以外はモダンなデザインですね。なぜこのようなデザインがモンブランから消滅したのか非常に興味深いです。

4本すべてがボールペンですがそれぞれリフィルの繰り出し方法は異なっており、左からセーフティーレバーメカニズム(ハンマートリガー)、ノックボタン式、回転式、キャップスライド式。

 

 

この4本の中でクリップが特に格好いいのがレオナルドとシニアム。横から見るとどのボールペンとも違う形状をしています。薄型で直線的なクリップフォルムは使用時に適度にしなり、使いやすいと同時に軸のデザインと見事に調和しています。

 

 

 

 

【レオナルドまとめ】

今回は惜しくも廃番となったモンブランのボールペン「レオナルド」を詳しく分析・レビューしてきました。そのデザイン性と持ちやすさで今も根強いファンがいるもの頷けます。

 

懐古主義ではないですが、80年代のモンブラン筆記具のデザインには惹かれるものがあります。クラシックなデザインではなく当時としては先進を目指したモダンなデザイン。発売当初は賛否両論あったデザインかも知れませんが、現代の樹脂軸で似たようなデザインばかりの筆記具を見慣れている目には特段新鮮に映ります。

 

扇形の軸には持ちやすく且つ書きやすいための工夫や、人間工学に基づいた緻密な設計がうかがえました。なぜこのような使いやすいボールペンが姿を消したのかは謎ですが、現在のモンブランにもこういった合理的で攻めたデザインの筆記具を出してほしいものです。

 

 

モンブランが純粋な筆記具メーカーであった頃の小さいけど誇らしげな刻印。リフィル交換時、ロック解除ボタン上には「MONTBLANC GERMANY」が見えます。モンブランにはこれからも素晴らしい筆記具を生み出し続けて欲しいと願います。

それではまた。

 

 

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