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音楽家に捧ぐモンブランの限定万年筆レビュー【モンブラン ドネーションペン ヨハネス・ブラームス】

皆さんこんにちは。

 

今年度に入ってからはカランダッシュやファーバーカステルの記事がメインでしたが、このサイトを訪問される方はモンブランの記事を求めて来られる方が多いです。

 

当サイトは読者の方の役に立つという事がコンセプト。ということで、今回は久しぶりにモンブランに回帰した記事にしてみようと思います。

 

筆記具メーカーはたくさんありますが、その中から皆さんがモンブランを選ぶ理由は何でしょう?
改めて他の筆記具メーカーとモンブランの違い、そしてモンブランの魅力とは何かを考えることにしましょう

 

リーズナブルに手に入るハイクオリティな金属軸の筆記具といえばカランダッシュ。
六角形で程良い軸径の持ちやすさに加え、バリエーションの多さは自分に合ったデザインを見つけやすいというメリットがあります。

 

ファーバーカステルはどうでしょう。
フラッグシップモデルの伯爵コレクションは伝統に裏付けられた高貴なデザインと、美しい木軸素材と金属の重みによる高級感、それにより満たされる所有満足感が一番のポイントではないでしょうか。

 

それではモンブランはーー。

 

モンブランの筆記具ラインナップは樹脂軸がメインですが、樹脂は軽く長時間筆記でも指が疲れにくいという点と、その指に吸い付くような握り心地の樹脂(プレシャスレジン)が書きやすさという点でも大きなアドバンテージとなっています。

 

また、モンブランの筆記具ラインナップはマイスターシュテュックやヘリテイジコレクション、作家シリーズのようなクラシックなデザインもあれば、スターウォーカーやモンブランM(マークニューソン)に見られるモダンなデザインもありと、その幅広さも魅力。
 

 
そして、書きやすい要因は軸の性能だけではありません。
万年筆のインクは種類が豊富で、ベーシックなカラーからグリーティングインクのような変わり種限定インクまでカバーしており様々な色を愉しめますし、万年筆のインクに限らずボールペンのインクは、油性は王道の油性でありながらダマにならず、ローラーボールで使う水性インクは裏抜けがしにくい絶妙な水分量に調整されているのです。

 

モンブランが人を惹きつけてやまない理由は、このように筆記具としての書きやすさとプレシャスレジンという素材を最大限に引き出した機能的なデザインではないでしょうか。

 

今回はそんなクラシカルなデザインとレジンが融合したモンブランの万年筆。
2012年の限定モデルである「モンブラン ドネーションペン ヨハネス・ブラームス 万年筆」を取りあげていきたいと思います。

 

 

【モンブラン ドネーションペンとは】

ドネーションペンは、モンブランの筆記具ラインナップの中で歴史に残る偉大な音楽家に敬意を表した特別なモデルで、ドネーションペンの売り上げの一部は音楽に関する文化プロジェクトの費用に充てられるなど、筆記具の枠に捕らわれない音楽と深い関わりを持ったコレクションとなっています。

 

モンブランのラインナップの中では作家シリーズやパトロンシリーズに近い位置づけになるかと思うのですが、価格から見えてくる筆記具のランクとしてはドネーション<作家<パトロンといった順となり、比較的新品もユーズドもリーズナブルな価格設定となっています。
(と言っても筆記具としてみると目が飛び出るくらい高いのですが…)

 

そのようなことで限定モデルの中では手に入りやすい部類のドネーションペン。
ユーズドでも球数は多く、たまにコレクター発の新品が出品されていたり、状態の良いユーズド品が出てきたりと、割と手にされている方も多いのではないでしょうか。

 

ラインナップは万年筆とローラーボールとボールペン。
不思議なことにメカニカルペンシルはラインナップされていない(確か)のですが、五線譜への書き込みは黒インクというイメージなのか、万年筆やボールペンというライティングシステムがピタリと嵌まっているような気がします。
 

 
数あるドネーションペンの中から、選んだのは「ヨハネス・ブラームス」。
ブラームスは19世紀のドイツの作曲家でありピアニストであり指揮者。バッハやベートーヴェンと並ぶ大音楽家です。

 

ブラームスと言えば20年の歳月をかけて完成させたという「交響曲第一番」。個人的に交響曲第一番のような重厚な交響曲を聞くと震えが止まらないのですが、一方で、「子守歌」のような優しい旋律でも知られています。

 

特に私のような既婚者はブラームスに対して「子守歌」なイメージを持っていらっしゃるのではないでしょうか?
なぜかというと昔使っていた自動式のバウンサー(ゆりかご)は、揺れる際にBGMとしてブラームスの子守歌を流すことができたから…。

 

決してクラシック音楽をやっていたわけでは無いですが、このようにブラームスの楽曲はどこかで聞いたことがあるという曲が多いです。
ベートーヴェンの第九やショパンの別れの曲くらいブラームスの子守歌は聞いたことある楽曲ではないかと思います。

 

そして、ドネーションペンは音楽に携わる人であれば思わずニヤリとしてしまいそうなディティールがペンのあちらこちらに散りばめられているのです。

 

それを次の項で見ていくとしましょう。

【モンブラン ヨハネス・ブラームスの外観デザイン】

モンブラン ヨハネス・ブラームスはその名の通り大音楽家に敬意を表したモデル。
 

 
軸の全体像はプレシャスレジンの艶やかなブラックとシルバートリムのコントラストが美しい。
スタイルは王道のネジ式キャップの万年筆です。
 

 
モンブランのブラームスを初めて見た時、まず目に入るのが特徴的な音叉型のクリップではないでしょうか。
最近はデジタルチューナーがあるので音叉を使って調律する機会はあまりないのですが、バッグに忍ばせておくとチューナーの電池が切れてしまっていたという時に役に立つのです。
 

 
音叉と並べてみると、音叉の形状をうまくクリップのデザインに落とし込んでいることが覗えます。
ブラームスは作曲家/ピアニスト/指揮者という音楽全般に携わった人物ということで、音叉のデザインが採用されたのかも知れませんね。
※音叉は音楽関係に限らず、医療や理科実験、ヒーリングなど様々な分野で利用されています。
 

 
クリップの左側面には「9桁のシリアルナンバー」と「GERMANY」の刻印。
かなり小さな文字で刻印されていますのでスルーしてしまいそうになります。

 

そしてその付け根。クリップリングの位置には楽譜でお馴染みの五線がデザインされています。
こうした細かな部分にまで音楽に関するものがデザインとして落とし込まれているところにモンブランの拘りを感じます。
 

 
キャップリングの正面には「Johannes Brahms(ヨハネス・ブラームス)」のサインが刻印されています。
 

 
リアには「MONTBLANC」。
このキャップリングに関しては非常にシンプルですが、キャップリングの幅が7mmとクリップリングとしてデザインされている五線と同じ幅にされており、万年筆全体としてのデザインバランスに一役買っています。
 

 
ホワイトスターのある天冠は緩やかなドーム型。
ホワイトスターの色は作家シリーズとは異なり、ブラームスに関しては純粋なホワイトとなっています。
 

 
尻軸にはシンプルなリングが一つ。
マイスターシュテュックとデザイン的に大きく違うのは尻軸の長さ。
これは後々比較の時に見ていきますが、ピストン吸入機構を固定するリングとしても機能しています。

 

音楽に携わっていらっしゃる方にはニヤリとくるデザインが幾つかあったのではないかと思います。

 
まさに音楽家に捧げる特別なペン。

 

他にもカラヤンやバッハ等バリエーションがありますが、それぞれのペンにもこのようにそれぞれの音楽家にちなんだデザインが施されているのです。

【ドネーションペンの筆記感とペン先/ペン芯】

冒頭でも書いたとおり、ドネーションペンをはじめモンブランの筆記具に使われている「プレシャスレジン」によるグリップ感。これはモンブラン筆記具の書きやすさを語るうえで大きなポイントとなります。
 

 
モンブラン ヨハネス・ブラームスの全体重量は30g。
キャップを省いた時の重量は17g(キャップのみで13g)となっており、万年筆としては程良い重量です。
 

 
キャップを尻軸にポストするとリアに13g分の重量が乗るためかなりリアヘビーに。
前々からそうですが、私はキャップをポストしない派ですので写真のような使い方はしていません。
(軸にキズというかキャップ痕もつかないですし)
 

 
ペン先には平和の象徴である鳩の刻印。
刻印は「4810」「モンブランのロゴ」「Au585」「MONTBLANC」となっています。
個人的にドネーションペンと言えばこの鳩ニブなんですよね。

 

この鳩の刻印は全てのドネーションペンにあるわけではなく、ブラームスの他では1996年限定発売のレナード・バーンスタイン(18金ペン先全金ニブ)、2000年限定発売のユーディ・メニューイン(18金バイカラーニブ)、2003年のヘルベルト・フォン・カラヤン(18金バイカラーニブ)、2005年のサー・ゲオルグ・ショルティ(18金ロジウムプレートニブ)、2007年のアルトゥーロ・トスカニーニ(18金ロジウムプレートニブ)の全10種類中6種類。

 

他の4モデルのニブは音楽家にちなんだニブの刻印となっています。
詳細は下記表(モンブラン ドネーションペン 一覧)を参照
 

 
この表を見てお気づきの方も多いでしょう。
実はドネーションペンのペン先はもともと18金ニブだったものが、2012年のヨハネス・ブラームスを堺に以降14金ニブへと変更になっているのです…!

 

個人的には残念ですが、その分14金ペン先のモデルは新品・中古の価格設定が安めとなっており、手に入りやすくなっています(だから買えたというのが本音…汗)。

 

まあ、14金ニブでもマイスターシュテュック ル・グラン #146の書き味をご存じの方はお分かりの通り、素晴らしい書き味なのは変わりありません。
ただ、ドネーションペンの金ペンをお探しの方は2010年限定ジョン・レノン スペシャルエディション以前のドネーションペンを求める必要があるのでご注意ください。
 

 
トモエリバーに書いてみました。
非常に滑らかな紙あたり。インクはペリカンの定番ブルーブラックを入れているのですが相性もとても良く、味(濃淡)のある文字が書けています。
 

 
もともとBだったペン先を細く研ぎ直したものを購入していますので、Bのヌラヌラ感が生きているのかも知れませんが、軸が軽くしかもペリカンのような優しい紙あたりのため疲れません。
ペン芯は現代モンブランのデフォルトとなっているプラスチックペン芯。ドネーションペンだから(?)なのか、ペン芯の先には「D」の文字が見えます。
 

 
ロロマクラシックとのデザイン的な相性も良いモンブランのドネーションペン。
手帳が少し小さい(M5サイズ)ですが、バイブルサイズあたりと合わせると非常にマッチするかと思います。

【ベースモデルは?ブラームスと#146の比較】

さて、今までモンブラン ドネーションペン ヨハネス・ブラームスの詳細を見てきましたが、ここからはマイスターシュテュック#146との比較です。

 

別の限定品である作家シリーズはモデル(作家)によってサイズ感が様々でしたが、ドネーションペンはある程度サイズ感が統一されているのも特徴の一つ。
 

 
早速、他のモンブランのペンと並べてみました。
※万年筆(FP)・ボールペン(BP)・ローラーボール(RB)・メカニカルペンシル(MP)混合で並べています

 

左から、
・マイスターシュテュック ソリテールドゥエ シグナムクラシック(RB)
・作家シリーズ アレキサンドル・デュマ(MP)
・作家シリーズ チャールズ・ディケンズ(BP)
・ドネーションペン ヨハネス・ブラームス(FP)
・ヘリテイジコレクション ルージュ&ノワール(BP)
・マイスターシュテュック#149(FP)
・マイスターシュテュック ソリテールドゥエ スターリングシルバー(BP)
・マイスターシュテュック#146(FP)

 

クラシックなデザインのモンブラン筆記具達。たまりませんなぁ。
万年筆で見ると#149に匹敵するサイズとなってるのがドネーションペン。

 

しかし#149よりは随分と細く、#146に比べてもストレートな胴軸のため細長さが際立ちます。
どことなくパーカーのデュオフォールドのようなシルエット。
 

 
ついでにお馴染みのホワイトスター比較として並べてみましょう。
※ソリテールドゥエは1本割愛
作家シリーズやヘリテイジはオフホワイトですが、ヨハネス・ブラームスはマイスターシュテュックと同じ純ホワイトとなっています。
ドネーションペンがすべてホワイトというわけではなく、メニューインはオフホワイト等モデルによって異なります。
 

 
マイスターシュテュック#146、#149と共に並べました。
胴軸は#149並みに長いですが、軸径とペン先サイズは#146とほぼ同サイズ。
ドネーションペンのベースモデルは#146だということが分かります。
 

 
ペン先を拡大。
ニブサイズは#146と同じですが、ニブの形状は少し異なっているようです。
(ペリカンに近いような形状)
マイスターシュテュックのペン先は豪華ですが、ドネーションのペン先の鳩はかなりお洒落です。
 

 
続いて、70~80年代の#146(全金ニブ)と1世代前の現行#146(バイカラー)と共に並べました。
ドネーションのニブの横腹がシェイプされておらず、書き味は通常の#146より“しなり”が少なく感じます。
 

 
ペン芯は全金ニブ#146がエボナイト製、ヘミングウェイペン芯を持つ#146はプラスチック、そしてドネーションもプラスチックですがボエムと同じ(サイズ違い)のペン芯が搭載されています。
製造年代はエボナイト(70~80年代)→ヘミングウェイ型(90年代初頭)→ボエム型(2000年代~)という順。
 

 
ちなみにペン先を分解する時のカニ目穴は形状は違えど同じ工具が使えそうです。
 

 
インク窓~首軸のシルエット。
ブラームスの首軸は美しくシェイプされておりペン先を深く持つ人も持ちやすい設計と言えます。
インク窓はライトブルー。ほとんどのドネーションペンがブルーストライプのインク窓を備えていて、バッハとジョン・レノン、ヨハン・シュトラウスのみブルー以外となっています。
 

 
尻軸のピストン機構も比較してみます。
70~80年代の#146以外は金属製の吸入機構を備えていて、それにより胴軸の重さが異なっています。
胴軸の重量スペックを並べると、

 

・ヨハネス・ブラームス:17g
・90年代以降#146:19g
・70~80年代の#146:14g

 

ピストンユニットの素材により重さに2g~5gの開きがあります。
持ち比べてみるとやはりピストン機構が重くなるほど後ろに引っ張られるような感覚はありますが、筆記バランスに影響する程ではありません。樹脂製ピストン機構を備える70~80年代#146のみやけに軽く感じはしますが、どれがいいというのは無く好みの問題と言えましょう。

 

さて、今回はモンブランの2012年限定モデル「ドネーションペン ヨハネス・ブラームス 万年筆」をレポートしました。

 

偉大なる音楽家に敬意を表し、デザインされた特別なモデル。
モンブランのプレシャスレジンの握りやすさとゆかりのある楽器や音楽に関する素材を落とし込んだデザインは一見の価値ありです。
特に音楽関連の趣味をお持ちの方や仕事に携わられている方には打って付けではないでしょうか。

 

しかし残念ながらドネーションペンにも偽物が存在するようで、それらはキャップリングのデザインが似せてあるだけで全く別物であったり、ペン先がそれぞれの音楽家にちなんだデザインや鳩ニブではなく通常の#146ニブのコピーであったりします。

 

誤って粗悪なコピー品を入手してしまうと音楽の文化活動への寄付ではなく、コピー業者への寄付になりかねません。
もしドネーションペンを入手される際は、デザインをしっかりと確認されることをお勧めします。

 

それでは今回はこの辺で。
長い記事になりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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