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美しいクロスの金属軸×ローラーボールでメリハリのある文字書き!【タウンゼントとセンチュリーの比較】

2024年2月14日

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寒い朝にペンケースから金属軸の筆記具をひとつ。
ペンが伝える金属の冷たさで冬の到来を実感する季節となりました。
 

久しぶりにクロス(CROSS)のローラーボールを持ちだして すらすらと文字を書いていると、金属軸の美しさ、油性ボールペンにはない柔らかなタッチが至福のひとときをもたらしてくれます。
 

前々回の記事でファーバーカステル クラシックコレクション スターリングシルバーのローラーボールをフィーチャーしましたが、スターリングシルバーのローラーボールと言えばもう一つ。
 

肝心な「タウンゼント ローラーボール」の記事をまだ書いていないことに気付いてしまいました。
もう結構長い付き合いです。
 

 
そして、タウンゼントとは別に同じクロスの「センチュリー」のローラーボールも手元に舞い込んできましたので、そのあたりの違いも一緒に見ていこうと思います。
 

ということで、今回の記事はタイトルにもある通り、
「クロス タウンゼント セレクチップローラーボール」と「センチュリー ローラーボール」を比較していきます。
 

 

 

 

タウンゼントとセンチュリーのローラーボール

クロスと言えば円錐形のコニカルトップ(天冠)が美しいクラシックなデザインの筆記具が旗艦モデルとなっています。
 

個人的に名前は違えどデザイン的な共通点から同じシリーズとして位置づけているモデルが、クラシックセンチュリー、センチュリーⅡ、タウンゼント、ピアレス125。
 

モンブランのマイスターシュテュックと違い、同名でサイズだけが異なる仕様ではなくデザイン的な共通点はあるもののそれぞれ名を冠しており似て非なる4モデルなのがクロスらしい。
(まあ別モデルなので当然と言えば当然なのですが…)
 

 
今回はタウンゼントとセンチュリーのローラーボールということで、2本を並べてみました。
素材はどちらもスターリングシルバー。
ひんやりと指から伝わる金属の冷たさと、それでも少し黄みがかった温かみのある色合いがクロームのそれとは別の印象を与えています。
 

表面のデザインはタウンゼント(右)がアールデコ調の全面ストライプ。
センチュリーは3本ラインが等間隔に入ったシンプルなデザイン。
 

 
タウンゼントの尻軸には黒い樹脂のリングがアクセントに。天冠の黒樹脂リングと対になっていて全体的に見て締まりのある出で立ちです。
 

このセンチュリーは過去のモデルで、尻軸にリングはないものの胴軸のラインが尻軸には施されていないなど変化がつけられています。
 

 
センチュリーのコニカルトップ。
クリップのロゴは旧タイプの特徴である「筆記体」で、天冠の黒い部分は樹脂。
刻印は「CROSS STERLING SILVER MADE IN USA」。アメリカ製ですね。
 

筆記体のロゴはセンチュリーのクラシックな印象をさらに加速させている部分で、旧ロゴを好まれる方は多いです。
 

 
こちらはタウンゼントのキャップリング付近。
タウンゼントと言えばダブルリングが格好良いです。そして、その上には「CROSS USA AT」の刻印。
この部分の刻印はモデルや製造年代・場所によって様々ですので、ここの違いを楽しむだけでご飯何杯もいけます。
 

 
キャップを尻軸にポストした場合のサイズ比較。
 

全長は
・タウンゼント(写真右):筆記時155mm、携帯時149mm
・センチュリー(写真左):筆記時146mm、携帯時131mm
 

キャップをポストするとかなり長い部類に入るペンではないでしょうか。
首軸の黒い部分はどちらも樹脂で、筆記時には良好なグリップ感が得られるようになっています。
 

2本ともキャップは嵌合式で、タウンゼントは硬めな締まり心地。センチュリーもキャップこそ薄いですが、隙間無く嵌合していく手応えがあり密閉感が高いことを物語っています。
 

 
ペン先を拡大してみました。
タウンゼントローラーボールのペン先の美しいこと。
センチュリーも珍しいペン先で、ダイヤ型と言いますか首軸からペン先に向けて真っ直ぐなラインではないところが面白い。
 

ペン先の丸い“しるし”はどちらも共通して付いていますが、おそらくペン先を回転させて使う用の“しるし”かと思われます。(ペン先のボールの摩耗防止のためにペン先は定期的に回転させつつ書いた方が良いそうです)
 

 
センチュリーⅡのシルバーブルーラッカーとローラーボール。
センチュリーローラーボールのキャップの径や形状はセンチュリーⅡに似ています。
 

 
コニカルトップの比較。
このセンチュリーⅡもキャップはスターリングシルバー。ローラーボールの方は樹脂のコニカルトップでフラットな天面です。
 

 
タウンゼントスターリングシルバーのコニカルトップもフラットな天面で、こちらは黒い樹脂リング以外は総金属製。
左のクオーツブルーラッカーはセンチュリーⅡと同じく天面の真ん中に黒丸の墨入れがあます。
 

コニカルトップの種類もモデルによって様々ですが、これの違いを見つけるのもクロス筆記具の面白さかも知れません。
 

 

万年筆にも引けをとらないローラーボールの美しいペン先

万年筆は世界一美しい筆記具と言われています。
しかし、それに負けないほどローラーボールのペン先も美しいと感じているのが私です。
 

以前からも書いているとおり携帯時の外観は万年筆そのもの。
 

確かにペン先の装飾デザインは万年筆の方が上ですが、シンプルで西洋のスピアのようなローラーボールのペン先も相当格好良い。
 

 
▲ファーバーカステルクラシックコレクション ローラーボールのペン先
首軸の部分のデザインは同万年筆と共通しますが、総金属製のペン先は重厚感もあり水性インクは書き味も滑らか。
 

 
クロスのローラーボールはさらに上を行く美しさ!(主観です)
左からクロスタウンゼント、ファーバーカステルクラシック、モンブランヘリテイジ(共にローラーボール)
 

胴軸からペン先に向かって細くなるという、ある意味統一され尽くした油性ボールペンでは見られない、キャップによって隠されたメーカー独自デザインのローラーボール首軸。
 

 
クロスの首軸は円盤みたいな受け皿(?)が付いているのがかなり格好良い!(またしても主観です)
胴軸のストライプともマッチしていますね。
 

 
キャップを尻軸にポストする事でその美しさを増すタウンゼント。
天冠からペン先まで、流線型が作り出すまとまりのあるシルエット。
 

 
センチュリー ローラーボールのダイヤ型ペン先。
こちらはコニカルトップの黒樹脂と首軸の黒樹脂のバランスが素晴らしい。
 

キャップを尻軸にポストするということは一本分の重量が指にかかるわけですが、センチュリーは総重量21gとタウンゼント(41g)の約半分ほどとなっているため、軽めの金属軸がお好きな方にも◎。
 

 

クロス・ペリカン・モンブランのローラーボール書き味比較

じっくりとデザインを見てきたところで、今度は書き味の比較を行っていきましょう。
ローラーボールは水性インクを使うためサラサラとした書き味を楽しめる筆記具。
 

言わば、ボールペンでありながら万年筆のような書き味。
かつ、「ボールペン」という構造上、ペン先が開く万年筆と違い一定の字幅で書けるということも使い方によってメリットとなるのではないでしょうか。
 

手元のタウンゼントとセンチュリーではセンチュリーの方が古いモデルということもあり、装填されていたリフィルにも違いがありました。
 

 
旧センチュリーのリフィルは「02865」という品番で日本製。
字幅の記載はありませんが、太さからF(細字)と判断。
やはり昔は細いリフィルといえば日本製だったのでしょう。
 

現在この「02865」は廃番となっていますが、互換性のあるリフィルは「8514」でしょうか。
 

一方、0.7mmのぬらぬらとした太字を吐き出す「8523」のリフィル。こちらは中国製。
リフィル自体にM(中字)やB(太字)の記載は無く、「0.7mm」と書いてあります。
 

かなり濃いブラックで、しかも0.7mmと言えど太い線のため遠目からでもクッキリとした文字が確認できます。インクがドバドバ出てくる感じ。
 

 
クロスのローラーボールは「セレクチップローラーボール」と呼ばれ、この水性ローラーボール(ジェルインク)の他に、通常の油性インク(大容量)とポーラス芯と言われるペン先がフェルトチップタイプの水性インクの計3種類から選ぶことができます。
 

ポーラス芯はモンブランで使っていますが、何となくペン先の乾きが気になるためクロスでは通常のジェルインクリフィルを。
 

 
私が持っているローラーボールの中では断トツに太く濃い線が書けるため、一枚ペラの書き置きやA4コピー用紙に対して威力を発揮しています。
 

反対に、手帳のように裏面も使う用紙に対してはインクの「裏抜け」が怖い仕様と言えます。
昨今、手帳用のリフィルは紙質がどんどん薄くなっていますので、ドバッと出る水性インクだと貫通しちゃうんですよね…。
 

このクロスの0.7mmという表記ですが、実際に書くと表記以上に太い線が書けているように思います。
 

それは何故かというと、ペンを立てて書いた時の字幅が表記の字幅だから。
 

試しに三社のローラーボールで、ペン先を90°近くまで立てて書いた文字と、通常の筆記角である45°近くまで傾けた場合の2通りで文字を書いてみましょう。
 

エントリーするのはこちらの三本。
 

 
▲左から、クロスタウンゼント、ファーバーカステルクラシック(ペリカンリフィル)、モンブランヘリテイジ。
 

上にも書いてある通り、ファーバーカステルクラシックにはペリカンのリフィルが装填されています。
毎度のことながら、私はペリカンの水性インクが大好きでして…。
 

ペリカンと互換性のある軸には全てペリカンの水性インクをいれてあるのです!
(ファーバーカステル様、すいません…)
 

 
実際に書いてみるとこのようになります。
立て:ペン先を90°まで立てて書いた文字(私はかなり書きにくかったです)
斜め:ペン先を45°近くまで倒して書いた文字。
 

明らかに違うと分かるくらい字幅に差があります。
90°近くまで立てて書く=ボールポイントそのままの字幅となり、だいたいの人の通常の書き方であろう少し寝かせた状態で筆記すると、表記の字幅よりも太くなるという結果になりました。
 

ローラーボールの書き味が好きだけど、Fなのになんだか文字が太いな…と思っていらっしゃる方は、少しペン先を立て気味にして書くと今より細い字が書けるということになります。
 

ボールペン自体がペン先を立てて書くようにできているため、ローラーボールについても正しい書き方は「なるべく立てて書く」ということなのでしょう。
 

ついでに三社のリフィルによる裏抜け選手権を行っていきましょう。
(と言っても先ほどの紙を裏返すだけですが…)
 

 
表と裏の様子です。
上からクロス、ペリカン、モンブランの順。
※使用した用紙はポケットサイズのトモエリバー(ダヴィンチ用)
 

この検証からも字幅表記がFの場合の裏抜けは最小、字幅が太くなるにつれてインクの裏抜けが目立つということになります。
ペン先を立てて書いた場合はさらに裏抜けを防止できるという結果に。
 

インクの裏抜けに強いトモエリバーでさえブチ抜くクロス水性インク0.7mmの威力。
ペリカンも全く裏抜けしないということはありませんが、この中では断トツで裏抜けしないということになります。ペリカンはM(中字)でも裏抜けしにくいのがお気に入りポイント。
 

手帳用にはペリカンやモンブラン、一枚ものにはクロスという具合に使い分けることで、はじめて各社の水性インクの性能を発揮できると言えるでしょう。
 

もしくは手帳用として使う場合、なるべくF(細字)を選ぶようにすることで、クロスやモンブランでも裏抜けを最小限に抑えることができるかと思います。
 

 

クロスのクリップが開いてしまった時の対処方法

最後にプチネタとして、万が一クロスクラシックセンチュリー(センチュリーⅡやタウンゼントも同様)のクリップが開いてしまった場合の対処法を書いていきたいと思います。
 

と言っても私が実際にクリップ開きに遭遇したのは、センチュリーではなくソバージュというモデル。
流線型のボディが美しいモデルで、クリップは形は違うもののセンチュリーと同じ構造のクリップを採用しています。(というかクロスは皆同じ構造なのかも…)
 

 
根元から一度反った形状はクリップ先に向けて胴軸と平行になる美しいライン。
クリップリングのないこの独特な形状は、くの字に曲げられたクリップが根元とクリップ先が胴軸に向かう力によって成り立っています。
 

根元に部品を設ける必要が無く一つのパーツのみで構成されているため、天冠から流れるようなラインを作ることができるのですね。
 

クリップ先が開くということは、この根元とクリップ先にかかる力が片方外れるわけですので、根元のみで支えられたクリップは全体がグラつき、挟み込むことができなくなります。
 

クリップの開きを直すためには、クリップ自体の「くの字」を再生してやることで解決します。
ということで下に図を用意しました。
 

 
クリップがくの字になる力(C)がクリップ根元(B)とクリップ先(A)で釣り合っています。
クリップが開く=Cの右側(クリップ先)が開くことでAに働く下向きの力がなくなり、Bを基点にグラグラな状態に。
 

Cの下向きの力を復活させるために、もう一度Cをくの字に戻します。
 

赤丸1は爪楊枝のような細い木製の棒(もしくは竹串)で、Bの方向に向かって奥まで差し込みます。
その状態で2のように力を加えてクリップ先を胴軸側に曲げればOK。
※爪楊枝や竹串のような柔らかい素材を使うことで、胴軸側が凹んでしまうことを防いでいます。
 

この方法で、ソバージュは改善しましたので同じ構造を持つセンチュリーのクリップでも使えるかと。
まあ、クロスのクリップ先が開くこと自体珍しく、これを行うケースは滅多にないんですけどね。
 

もしクロスの筆記具のクリップが開いてしまってどうしようもないよーという方は、一度試してみられてはいかがでしょう?
(と言いつつ、この直し方はあくまで応急処置で 行う場合は自己責任となります。修理に出す時間がある方は修理に出しましょう!※クリップの開きはユーザー責のためおそらく有償修理)
 

 

さて、今回はクロスのローラーボール(セレクチップローラーボール)のデザインとインク・字幅の比較を行いました。
 

 
クロスに限らずローラーボールのペン先は美しいのです!(今後、各社のローラーボールのペン先にも注目していきたいと思います)
 

そして三社の水性インクの比較にもあったように、クロスの0.7mmジェルインクの性能を活かすには 個人的にコピー用紙への記入やメモでの利用が合っていると考えます。
ローラーボールは単なる油性ボールペンの延長線上にあるものではなく、インクの色選びを含め、万年筆のような様々な用途があるような気がしてなりません。
 

それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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