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モンブラン マイスターシュテュック クラシック #144 年代ごとのペン先の特徴と極細(EF)~太字(B)比較

一度自分の手に合った万年筆が手に入ると、他の万年筆が欲しいという感情がなくなります。
しかし今度は、手に合った万年筆のペン先のバリエーションや字幅による書き味の違いを楽しみたいという感情が芽生えてくるのです。
 

それが万年筆沼の恐ろしいところ…。
 

今回記事にする万年筆も然り、老舗筆記具メーカーの万年筆の中では比較的手に入りやすいモデル。
私自身も、細軸で軽く取り回しのきく万年筆として使い続けているものがこちら。
 

 
「モンブラン マイスターシュテュック クラシック #144」
 

2000年代に入り廃番となっている#144ですが、いまでも中古市場を賑わしているモデルと言えます。
モンブランのマイスターシュテュックと言えばボールペンの#164をお使いの方も多いと思いますが、そのサイズに一番マッチした万年筆が#144となります。
 

現在は#145(ショパン)に世代交代していますが、変わらず人気な#144。
1970年代後半から販売されていたためバリエーションも多く、様々な字幅のペン先をもつ#144に出逢うことができます。
 

私の手元の#144もこれで4本目。
マイスターシュテュックにおける字幅もOBを除き揃いました。
 

過去記事でも2回ほど取り上げている#144ですが、今回は軸とペン先の刻印バリエーション、字幅の比較を行っていきたいと思います。
 

 

 

 

【モンブラン万年筆の中では取り回しのし易さ№1!】

モンブランのマイスターシュテュック万年筆を一番楽しむのに#144が最適だと考える理由。
 

それはクラシックでシンプルなデザインと細軸で軽量なサイズではないかと考えます。
まさにモンブランの原点回帰なモデル(というより万年筆のスタンダード)がマイスターシュテュッククラシック#144と言えるのではないでしょうか。
 

日本のメーカーも昔はこぞってマイスターシュテュックを模範とし研究したと言われています。
(これが本当なのかどうかは分かりませんが…)
 

 
モンブランの万年筆を使っていると、やがて興味は特別生産品などの限定モデルに行き着くことになりますが、素のモンブランを楽しみたい場合は間違いなく#144。
 

これは例えるならコーヒーをブラックで楽しむようなもので、マイスターシュテュックという傑作を混じりっけ無しで楽しむためのモデルなのです。
 

さて、取り回しのし易さを裏付けるものとして#144のサイズ感がありますが、今一度ボールペンの#164や後継モデルである#145と比較していきましょう。
 

 
何本あっても困らない(?)マイスターシュテュックのボールペン#164と。
こちらの#164もシリアルナンバーが刻印される前のクリップリングの背(クリップ対面)に「GERMANY」とだけ刻印されたモデル。手元の#144ブラックも同世代のものとなります。
 

うーむ、このサイズ感ですよ。
このサイズのモデルは万人に使いやすく、まさに不変の名作と言えるのではないでしょうか。
 

 
後継モデルの#145と先輩モデルの#144。
少しだけ背が高くなっている#145。全長以外では軸径とキャップの取り外しが嵌合式からネジ式になったことが変更点として挙げられます。
 

 
▲左から、#144、#164、#145。
 

#164とのマッチングを考えるとやはり#144ということになりますが、上位モデルの#146や#149のようなネジ式キャップの操作感を好まれる場合は#145が良いでしょう。
 

 
▲右の#145のキャップはネジ式となる
 

#144の重量は14g(カートリッジ含む)
コンバーターを装着しても17gという軽さ。
 

 
私個人としては重めの万年筆が好みですが、ジャケットの胸ポケットに挿して持ち運ぶ場合は#144のような軽量な万年筆が扱いやすく感じていて、ペンケースに入れて持ち運ぶ場合は#146や#149、ポケットに挿すのは#144と使い分けています。
 

モンブランの特別生産品に疲れた方、これからモンブランの万年筆を使ってみたいけど、書き味や軸を試してみたい という方はクラシック#144を手にしてみては如何でしょう。
 

 

【製造年代によるキャップや軸の特徴】

前述したとおり手元の#144がソリテールドゥエ(#1441)を含めて4本になりましたので、年代による軸の特徴をまとめていきたいと思います。
 

以前の記事でも取り上げた1970~80年代にかけての初期型#144について、詳しくはこちらの記事でご覧頂くとして、
 


 
手元にある初期型のボルドーと中期型のブラックの共通点として、クリップリングの「GERMANY」刻印の位置。それ以外に年代を見分ける点として、キャップリング、首軸、ペン先があります。
 

大まかにですが、マイスターシュテュックシリーズのクリップリング周りの刻印位置の変化を以下にまとめてみました。
 

 
この特徴からも手元の#144ブラックは80年代前半に作られたものであると考えることができます。
この#144は2000年に入り廃番となっていますので その後の仕様は無いわけですが、キャップの仕様についてはボールペンの#164も同じです。
 

 
現行モデルの#164はクリップリングの背の部分(#144でGERMANYの刻印があった部分)にシリアルナンバーが刻まれており、GERMANYはクリップ裏に「made in Germany」という形で移動することとなります。
 

続いて軸の特徴を見ていきましょう。
胴軸のデザイン・軸径はずっと変わらず、違いがあるのは首軸の部分となります。
 

 
初期型の首軸のカラーは軸色がブラックかボルドーかに関わらずブラックが基本となっています。
某オークションでもボルドーの#144をよく見かけますが、首軸がブラックのものは初期型に近い製造年代と考えて良いです。
 

また、初期から中期にかけては首軸と胴軸を繋ぐネジ切り部分の素材が樹脂製となっており、見た目も黒いので見分けが付けやすいかと。
 

 
後期型になると首軸と胴軸を繋ぐネジ切りは金属製に変更され、それに伴い重量も2gアップ。
キャップを尻軸にポストせずに書くという方は、後期型の#144の方が手に馴染むかも知れません。
 

 
尻軸にリングがあるのはマイスターシュテュック共通のデザインですが、#146や#149と違って#144はカートリッジ/コンバーター両用式。
そのため、デザインは#146等と同じでも尻軸部分をくりくりと回すことはありませんが、このサイズで尻軸をくりくり回す吸入式のマイスターシュテュックがあれば面白いのになぁと考えてしまいます。
 

ペリカンのM300が100mm足らずの全長でピストン機構を搭載していることからも技術的にできないわけではなさそうですが、顧客の様々なニーズに応えるという意味や、ターゲットとしている若年層や女性ユーザーにも扱いやすいようにとカートリッジ/コンバーター両用式が採用されたのだと推測します。
 

 
モンブラン#144の首軸のゴールドトリム(メッキ)はインクに弱く、腐食している個体がほとんど。
後継モデルである#145の首軸は、このトリムが廃止されて樹脂製のパーツに変更。
このあたりは前モデルの教訓を活かしていると言えるでしょう。
 

 
ということで、首軸が綺麗な#144を入手された場合は コンバーターではなくカートリッジで使われることをお勧めします。
 
インク瓶からの吸入も楽しいですがカートリッジの手軽さも捨てがたく、特にカートリッジを数本鞄に忍ばせておくことで 例えコンバーター内のインクが出先で無くなった時でも慌てずに対応することができるのです。
 

 

【製造年代によるペン先の違いについて】

続いて、先ほどの#144の特徴をまとめた表にもあった「ペン先の違い」についても掘り下げていきます。
 

長きにわたって製造されたモデル故にペン先にもバリエーションが存在します。
今回は初期型のペン先に加え、中期~後期のペン先も一緒に見ていきましょう。
まさに#144の総集編。
 

 
初期~中期型にかけての#144はニブのカラーが全金となっていて、その全金ニブも初期と中期で若干の違いが見られます。
 

初期型はモンブランのロゴが太め、ニブの飾りであるラインの位置もハート穴側に寄っており こじんまりとした印象。
この初期型のモンブランのマッシブなロゴはたまに某オークションで見かける#149の全金ニブでも見られることがあって、そちらも非常に興味がそそられます。
 

 
中期型は飾りラインの位置がペン先寄りとなり、モンブランのロゴが現行と同じものになっています。
#146の全金ニブでもよく見かけるニブのデザインですね。
 

このあたりのニブは実際に使っていて 書き味がとても柔らかい(筆のようにしなる)印象を受けます。
特に#146の全金ニブは個人的にマイスターシュテュックの中で一番柔らかく、書きやすいのではないかと感じるほど。
 

 
▲#1441の18金バイカラーニブ
 

中期型から後期型にかけてはニブが全金からバイカラーに変わり飾り彫刻が変更となります。
後期型のニブは後継モデルの#145のニブと同じで、#145になるとペン芯が縦溝から横溝(横に走るフィン)のタイプに変更。
ペン芯を変更することで初期~中期型に起こりやすいと言われるインク漏れが改善されているとのこと。
(実際に使っていてインク漏れに遭遇したことがないためインク漏れがあるかは未検証ですが…)
 

それでは そのペン芯の比較をしていきます。
初期型から後期型への変化です。
 

 
初期型はエボナイトのペン芯。
70~80年代のマイスターシュテュック#146や#149と同じエボナイトのペン芯は酸性インクに強いとされ、凹凸のある表面はインクを弾かないためインクの乗りが良いように思います。
 

後に生産コスト的な面でプラスチックのペン芯に変わっていきますが、この初期型のエボナイトペン芯はなんとも味わい深いとは思いませんか?
 

 

【#144(14金ペン先)の字幅を比較】

最後に#144の書き味を比較していきましょう。
 
マイスターシュテュックは基本スペックとして#144が14金ペン先、#1441が18金ペン先となっています。
これは#146にも言えることで、特別生産品やソリテールといったモデルには18金のペン先が搭載されていますが、基本は14金のニブ。
 

14金ニブがあまりに完成されているため、#145と#146のベースモデルに採用されているのでしょう。
 

手元にある#144(#1441)の字幅は、EF・F・Bの3種類。
 

EF…#144 ボルドー
F…#1441 ソリテールドゥエ
B…#144 ブラック
 

となっています。
ちなみにモンブランの万年筆ペン先には字幅を特定するための表記(F・M等)がないため、ペン先の形状および、購入時に付いている字幅表記のシールが判断基準となります。
 

4本あるうちの2本はこの字幅表記シールが付いたままとなっていますが、他の2本は譲り受けた時の情報とペン先からの推測です。
 

最近はネットでも気軽にプロにペン先調整を依頼できるようになっているため、入手した万年筆の書き味がピンとこない場合は、プロに依頼して磨いで頂くのも手です。
(本当に書きやすくなります!)
 

 
字幅については面白いほどしっかりとした差があり、B(太字)はインクの濃淡が最大限に楽しめて味わいのある文字に。
画数の多い漢字は苦手ですが、これについては一角をうまく省略することで潰さずに文字の雰囲気を残すことができます。
 

 
インクはお気に入りのカヴェコ「スモーキーグレー」(カートリッジ)
 

Fは最も書きやすいと感じる字幅。国産のMに近い字幅でインクフローも良好。
筆圧によって細くも太くも書け、文字に抑揚が付けやすいのもF(中字)のメリットではないでしょうか。
インクはモンブランの「ペトロールブルー」(コンバーター使用)
 

#144のEF(極細字)は国産のEFに引けをとらず細い文字が書けます。
ペン先の細さもそうですが、うまくインクフローが抑えられているということも綺麗な細字が書ける要因ではないかと考えます。
使用インクはペリカンの「エーデルシュタイン タンザナイト」(コンバーター使用)
 

 
最近ハマっているのがモンブランのB(太字)!
まあ、モンブランに限らずですが万年筆は太字が面白い。
 

そして、太字があるとまた中字や細字の万年筆が使いたくなるという。
万年筆の楽しみ方に深みが出てくるように思います。
 

 
ペリカンのOBニブとも書き比べてみました。
インクフローやタッチの滑らかさはペリカンの18金ニブが上を行きますが、モンブランのBも どの角度でも安定した太字が書けてこれまた良い!
 

インクの濃淡を楽しむなら間違いなく太字でしょう。
秋なのでもう少し茶色っぽいインクでもよかったような気もしますが。
 

今回は、モンブラン万年筆の基礎とも言える、マイスターシュテュック#144の各年代のバリエーションまとめ(考察含む)とペン先&書き味比較をしてきました。
 

特別生産品の記事が多くなっていた最近ですが、原点回帰してシンプルでクラシックな#144で文字を書くと、万人にお勧めできる良いペンだということを改めて感じることができます。
 

特に女性にも扱いやすいところや、モンブランの万年筆の中でもリーズナブルなユーズド品として手に入れやすいことから万年筆を始めたばかりの方にもお勧めなモデルです。
 

 
▲混じりっけなしの純粋なマイスターシュテュック(最高傑作)を楽しもう!
 

そして、私のように一旦 特別生産品に疲れた方 笑
たまにはシュガーもミルクも入れずに、ストレートのコーヒーや紅茶を味わうように、#144を楽しんでみては如何でしょう。
 

それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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