「積み革ペンレスト」で物書き時間を優雅なものに。
筆記具が好きな人において、身の回りの革製品は特別なものに違いありません。
そして昨今、筆記具が好きだと身の回りに良質な革製品が増えていく、というのが定説となりつつあるのではないでしょうか。
身のまわりの革小物は使う者と共に時を経ていき、そのかけがえのない時間は革製品の色味や古傷のような経年変化となって残ります。
色の変化、染み、インク汚れ、それがどんな形であれ、本当に好きなモノであれば愛着になっていくように思います。
モノが溢れる時代ですが、一つの製品を長い時間をかけて使い続けるという楽しみ方は、エコであると同時にモノとの向き合い方というのも考えさせてくれるように思うのです。
さて 前置きはこれくらいにして、今回は前から気になっていた革小物を購入しましたのでレポートしていきましょう。
「積み革ペンレスト」
革小物仕立てyoshii氏による作品で、ブッテーロレザーを重ね合わせて作られています。
これはもう商品という域を超え、芸術作品。
一般的にペンレストやペントレーというとあまり馴染みがなく、使っているという方もそう多くはないでしょう。
しかしこういった革小物は、あれば間違いなくデスク周りや書くという行為を楽しくさせてくれるアイテム。
一つ良いものがあるだけで気持ちが晴れやかになりますし、何よりも書こうという気持ちにスイッチが入ります。
▲腰を据えて「書こう」という気持ちにさせてくれる積み革ペンレスト。
注文し、手元に届いたカラーはナチュラル×ワインのボーダー。
オーダー製作となり、注文からは一ヶ月あまりの時間を要します。
それもそのはず、実際に手に取ってみて気付く事は、手間暇を惜しまず本当に丁寧に作られているということ。美しく磨かれた表面は、まるで最初から一つの形を成していたかのように滑らかです。
これが全ての過程において手作業で行われている。
この作品が手元にあるというだけで感慨深いものがあります。
均等に並んだナチュラル×ワインのブッテーロレザー。
半楕円の端が丸く削られ、しっかりと筆記具を受け止めます。
ブッテーロだけあって、今後の経年変化も楽しみのひとつ。
小傷も味となりそうです。
裏面には手触りの良いスウェードが貼り付けられており、心地の良い接地性が確保されています。
積み革ペンレスト自体の約95gという重量とスウェードの摩擦で、デスクに張り付くような使用感。
ファーバーカステルのクラシックコレクションを乗せてみました。
ミドル~大型サイズの万年筆がよく似合う積み革ペンレスト。
モンブランマイスターシュテュック#149。
ペンレストの溝には深さがあるためオーバーサイズの万年筆でも転げることはありません。
もちろん、#146や#145を乗せてもフィット。
スティピュラのアメリゴ・ヴェスプッチ。
ダ・ヴィンチと同じ仕様で、胴軸にチーク材を用いた特別モデル。
ゴールドトリム、木軸と落ち着いた積み革ペンレストとのカラーマッチングも申し分なし。
デルタ ドルチェビータミディアムオリジナル。
#149よりも太軸のミディアムオリジナルはゆったりとペンを走らせたい時に使用。
軸が太いと筆記時に指にかかる余計な力が抜け、丁寧な文字が書ける。
私事ではありますが、ボールペンを握ると どうも仕事モードになるのか、丁寧な字が書けず走り書きになってしまいます。
万年筆ではどうでしょう?
これが不思議とゆっくり丁寧な文字になり、万年筆とはそういった心に余裕をもたらす筆記具なのではないかと感じるのです。
ゆっくりとペンを走らせ、休む、そしてまた書く。
そういった「書く」という動作をもとに自分を振り返るような、万年筆とは自分と向き合う時間を与えてくれる道具なのではないかと思うようになっています。
そんな万年筆とゆったり流れる時間、「書く」という行為をより愉しむためのアイテムが「積み革ペンレスト」。
文字を走らせ、ペンを置き、考え、休む。
また、ペンを握り書き始める。
思考を巡らせる間にペンを休ませるためのアイテム。
人も同じで、書いたら休む。
紅茶でも入れてゆったりと。
またペンを握り、そして書き、また休ませる。
「書く」時間を優雅で特別な時間に変えていく…。
積み革ペンレストはペンをただ休ませる(乗せる)だけでなく、筆記途中のペン置きとして使うことも可。
万年筆はツイスビー(TWSBI)のマイカルタ。
最近熱い台湾文具。吸入式の万年筆がリーズナブルに楽しめるメーカーですが、中にはこんな変わり種も。
もちろんミドルサイズ~細軸のボールペンにも使えます。
やはりブラウンのカラーはシルバートリムとの相性が抜群に良いですね。
クラシックフライターのような細軸のボールペンを乗せても美しい。
縦の長さは約130mm。
乗せる筆記具の上下(天冠や尻軸)がはみ出るため「乗せる・手に取る」がしやすい設計。
ローラーボールを使ってゆったりと文字を書く。
お気に入りのペンをさらに特別なモノに。
デスクに置いておくだけでなく、時にはアクティブに持ち歩きたいペンレストです。
さて、今回はデスクの名脇役でありながら万年筆の玉座と呼ぶに相応しい「積み革ペンレスト」をレポートしました。
レザーのみ「積み重ねて」作られているため密度が高く、それがデザイン性と重量による安定感に繋がっています。
そして何より、手仕事により時間をかけて磨かれた滑らかな表面は一見の価値あり。
オーダーメイドとなっているため、カラー等の相談も可能となっています。
(マルチカラーのものも作成されていましたが、これもまた良い!)
yoshii氏のインスタグラムでは製作過程や美しい作品を見ることができます。
作品の製作過程や美しく丁寧な手仕事の数々は、筆記具好きや革小物好きに大きく響く事でしょう。
yoshii氏のインスタグラムリンクはこちら。
作品と一緒に写る美しく希少な万年筆や筆記具の数々からも分かるとおり、同氏も筆記具が好きで、その思いを作品に反映させたいという意志が伝わってきます。
例えばペンケースであれば収納する筆記具を傷つけないための工夫やクリップを魅せるデザイン、収納力など、痒いところに手が届く仕様は筆記具周りの革小物をメインに作られているからこそ。
今回レポートした積み革ペンレスト以外にも様々な作品があり、その中でも個人的に気になっているのが5本差しのラウンドファスナーペンケース。
これは私が筆記具の調査収集を終え、自分に合った万年筆を5本手元に残す際に使いたいと思っているペンケース。
ペンケース以外にも手帳やインク用レザートレイ等、気になる作品はたくさんありますが、こういった上質な作品で身のまわりを固められたら素敵だなと思います。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
【参考リンク】
yoshii6x6:インスタグラム
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