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クロス タウンゼント スターリングシルバー ボールペンのバリエーションを探る

2021年5月19日

皆さんこんにちは。

筆記具の沼にハマるとなかなか抜け出すのが難しく、あれよあれよと軸が増えていきます。

現行では買えない希少なモデルや限定モデルに手を出したものなら諭吉さんが何人も去って行くことになり、懐が悲鳴を上げている方も多いかと思います。そのような筆記具界隈の環境のなかで、中古市場で比較的安価に入手できる有名メーカーの筆記具があることをご存じでしょうか。

 

前々回の記事でスターリングシルバーのキャップを持つボールペンを3本比較しました。その中に前振りの筆記具、すなわち個人的に今「熱い」ボールペンが混ざっていて、それが今回の記事ネタです。

 

随分と前の記事で、私が中学生になった時に母からクロスのシャープペンシル(メカニカルペンシル)をプレゼントされずっと使っていたという話を書いたことがあります(確か)。

 

 




 

クロスというメーカーはそのようなことがあってか、私にとっては思い入れのあるメーカーなのです。

そのラインナップの中で一番満足度が高く、中古市場においてそれほど大枚をはたかなくても手に入るのが「タウンゼント」。

タウンゼントはクロスのコレクションのなかではピアレス125に続いて高級なラインの筆記具で、重さ・軸の太さ・仕上げにおいて非常に満足度の高い筆記具です。

オバマ前大統領がタウンゼントのローラーボール(ブラックラッカー×クロム)を愛用されていたことは有名な話ですが、トランプ大統領もセンチュリーⅡを使われているらしく、クロスはアメリカ大統領御用達の筆記具となっています。

 

今回はタウンゼントコレクションの中から「タウンゼント スターリングシルバー ボールペン」を取り上げてレビューしていきます。

タウンゼントを数本置いてみて気付いたことはたくさんありました。もしかするとモンブランと同じくらい面白い筆記具かもしれません!それでは見ていきます。

 

 




 

 

 

 

 

 

【タウンゼントの年代や製造国による刻印の違いについて】

タウンゼントの面白さはまずここにあると言って良いでしょう。クロスの筆記具はモンブランのように一国で生産され続けているのではなく、パーカー筆記具のように製造国が変わります。

製造国の違いによってキャップに刻まれる刻印が違ったり仕様が違ったりと、かなり奥の深い筆記具となっているのです。

 

▲左の2本がクラシックセンチュリー、右の2本がタウンゼント

 

まずは製造年代からですが、クロスのコレクションの中でタウンゼントはまだ新しい部類の筆記具です。タウンゼントが発売されたのは1993年のこと。2019年の今からすると実に26年前になりますがクロスの筆記具の歴史からすると随分若いコレクションとなります。

タウンゼントの名前の由来などはメーカーHPを見て頂くとして、ここでフィーチャーするのはクリップの刻印です。

 

 

一般的にタウンゼントにおいて大きく分けて筆記体のロゴが付いているものは初期型(1993年~)。

そして「CROSS」のロゴがついているのが2000年以降から現行に続くモデルという認識です。

 

厳密にいつからロゴが変わったのかは定かではありませんが、クラシックセンチュリーのように「・CROSS・」のような前後にドット入りのロゴが入った個体には出会っていませんので、おそらくタウンゼントのメーカーロゴについては筆記体「CROSS」への変更のみと思われます。

(もしこの先「・CROSS・」の刻印がついたタウンゼントに出会うことがあればご報告します)

 

 

ちなみに歴史の深いクラシックセンチュリーとなるとロゴは筆記体の他に前述したような「・CROSS・」やドット無しの「CROSS」があったりとバリエーションがさらに多岐に渡ります。クラシックセンチュリーは値段も手頃なことから集め出すと止まらないため注意が必要かも知れません(笑)

 

ということで、話がそれましたが手元にあるタウンゼントは初期型とタウンゼントアップデートになる前のモデル。タウンゼントの個人的に気に入っている点としてちょうど良い軸の太さと重みがあります。

 

 

タウンゼントは総金属の筆記具ですので、ズッシリとした手応えと長めの軸からくる筆記の安定感が魅力です。全長が長いのは欧米人の手の大きさに合わせてか、毎回比較で使用しているモンブランの#164と比べても10mm近く長いです。クラシックセンチュリーとの慎重差はさらに+3mmほど。

 

グリップ部分の軸径はモンブラン#164やペリカンK600、アウロラオプティマとほぼ同じですので、これらと同じ感覚で握るならクラシックセンチュリーではなくタウンゼントを選ぶべきでしょう。

 

 

 

 

【タウンゼント スターリングシルバーを比較する】

ここでは手元にある2本のスターリングシルバー(SV925)のタウンゼントについて比較していきます。

素材は同じですが刻印や仕様の違いが製造年代や製造国によって異なっているようです。

 

まずはじめに製造国についてですが、アメリカ(USA)の他に、アイルランド(IRELAND)、そして近年は中国で生産されているようです。中国製造には生産国の刻印無し。

一般的に初期に造られた筆記体ロゴの方が造りが良いとされていますが、使ってみた感じあまり変わりがないようにも感じます。

 

 

キャップを比較すると片方は「CROSS -USA-」、もう片方は「CROSS」に加えスターリングシルバーを表す刻印がいくつか見られます。「CROSS -USA-」のUSAの部分が製造国を表していると考えるのが妥当ですので、こちらはアメリカ製と思われます。

 

 

一方、「CROSS」の他に様々なホールマークが入っている方ですが、刻印の状況からアイルランド製?と思われます。ただアイルランド製と判断するのに不可解な点があり、キャップの刻印にコモンコントロールマーク(天秤に925)やホールマークがロンドンで押されたことを示すレオパードが刻印されている点です。

 

▲一番右の刻印がロンドン・アセイ・オフィスのホールマーク

 

イングランド(UK)製という可能性もありますがUK製のクロスというのはあまり聞いたことがありません。

推測ですが、パーツの製造がロンドンで組み立てがお隣の国であるアイルランドで行われたものなのかと。

 

 

ちなみに刻印のひとつである楕円に×にATと刻印されたマークは、スターリングシルバー製のクラシックセンチュリーのキャップにも見られます。また、このマークはクロスの万年筆のニブにも見られます。

 

 

続いてクリップの部分です。

 

 

どちらも筆記体のCROSSが刻印されています。アイルランド製と思しきタウンゼントにはさらに「METAL」の刻印が。これはクリップ部分の素材がSV925以外であることを示しています。例えば真鍮にクロムメッキを施してあるとか。

2本のクリップの素材は違いますが、挟み込む時の硬さを比べるとどちらも変わりがないように仕上げてあるようです。

 

 

アイルランド製の胴軸にはキャップと同じコモンコントロールマークが刻印されています。スターリングシルバー軸のこういった細かい刻印を探すのも面白いです。USA製にはこの刻印はありません。

 

 

最後はペン先にあたる口金の比較です。

左からクラシックセンチュリーSV925、IRELAND製(?)タウンゼントSV925、そして一番右がUSA製のタウンゼント。見比べるとお分かりになるとおり、色味の違いからもUSA製のタウンゼントは口金もSV925でできています。

 

 

口金がクロム処理された2本にはクリップと同じく「METAL」の刻印あり。真ん中のタウンゼントはキャップのホールマークからIRELAND(?)製と判断できますが、左のクラシックセンチュリーはおそらく近年製造された中国製ではないかと考えています。

それにしても、この辺のバリエーションは見ているだけでも楽しいですね。

 

 




 

 

【実は深いクロスの筆記具】

このように様々なバリエーションがあるクロスの筆記具(主にクラシックセンチュリーやセンチュリーⅡ、タウンゼント)ですが、今回複数本を比較することで感じた奥の深さをまとめておきます。

 

 

①キャップの刻印とコニカルトップのデザイン

 

 

製造国が入っているものもあれば入っていないものもあり。金張りのモデルについてはクリップ上部に素材や仕様を表す刻印があります。コニカルトップとは円錐形の天冠部分を指し、黒い樹脂部分の割合が少ないほど高級なモデルとなります(一部例外もあり)。

 

 

クラシックセンチュリーについてはタウンゼントより刻印のバリエーションが豊富で初期のものには「Century」と刻印が入ったモデルも見られます。左のモデルは「IRELAND」の刻印。右はUSA製で「Century」の刻印入り。

 

 

②内部メカニズム

 

 

新たな発見として内部ツイストメカニズムユニットの違いもあるようです。

手元にあるタウンゼントとクラシックセンチュリーの内部ツイストメカニズムユニットの刻印を書き出しますが、刻印が無しのものを除いて同じ物が二つとないのも面白いです。

 

 

タウンゼントSV925USA製)・・・1147B0727

タウンゼントSV925IRELAND?)・・・205C

タウンゼント18KT GOLD FILLED・・・刻印無し

タウンゼントブラックラッカーツートン・・・4305C

 

クラシックセンチュリーSV925・・・4316C

クラシックセンチュリー12KT GOLD FILLEDUSA製)・・・刻印無し

クラシックセンチュリーマルン(USA製)・・・刻印無し

クラシックセンチュリークロム(USA製)・・・刻印無し

クラシックセンチュリークロム(IRELAND製)・・・2013C

 

 

内部ツイストメカニズムユニットの刻印が製造年代を表すものなのか、又は型番を表すものなのか定かではありませんが上記の刻印状況から推測するに、おそらく近年に造られたものには数字4桁とCの刻印、金張りのモデルは刻印無しなのかなと。違っていたらごめんなさい。

 

繰り出し操作感についてはタウンゼントSV925USA製)のみ少し重めの操作感になり、あとは同じなのですが、これは単に長期保管品由来のグリス硬化の可能性もあるので一概に旧モデルの回転操作感が重く近代が軽いということはなさそうです。

 

 

 

 

【タウンゼント スターリングシルバーまとめ】

さて、今回はクロス タウンゼント スターリングシルバーのレビューをメインに、クラシックセンチュリーを交えて刻印の違いなどを比較しました。

スターリングシルバー軸は持っているだけでも満足感の高い筆記具ですが、バリエーションの違いを見ていき製造された当時に思いを馳せることでさらに愛着のわくものになります。

 

 

スターリングシルバーや金張りのモデルは、キャップや軸に入る刻印を眺めたり探したりするのも楽しみの一つです。バリエーションの違いをコレクションするのも面白いかもしれません。

 

さらにクロスボールペンの沼はツイストメカニズムユニットにまで広がっていました。今回の記事で上げたツイストユニットの刻印は氷山の一角にすぎませんので、ぜひお手持ちのクロスボールペンと見比べて頂きたいと思います。

 

 

軸の愉しみ以外でも、タウンゼントのサイズや軸径からくる持ちやすさに加え、クロスはリフィルの書き味も良いので仕事やプライベートで非常に使いやすいボールペンです。これほど完成度の高い筆記具が欧州筆記具よりも比較的安価に手に入るのも魅力の一つではないでしょうか。

それでは今回はこの辺で。最後までお読み頂きありがとうございました。

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