パーカー デュオフォールド ボールペンの新旧モデル比較【デュオフォールド プレステージ ブルーシェブロンGT】
最近パーカーの筆記具に注目している当ブログ。
今回もデュオフォールドのボールペンについてです。
以前の記事で旧型デュオフォールドのシリアルコードをもとに年代を割り出す早見表を載せましたが、どうもその一部間が違っている可能性があります。
というと、今回の現行モデルのデュオフォールドを詳しく見ている中でそのように考えたわけで、いやー、新しい発見があるたび やはり筆記具は面白いなと感じるわけです。
デュオフォールドというとパーカーのフラッグシップモデルで、現行モデルは4色展開となっています。
いつかは欲しいと思っている「ビッグレッド」をよそに、今回レポートするのは2020年6月に発売されたモデル。
「パーカー デュオフォールド プレステージ ブルーシェブロンGT」
うーむ、かなり長い名前です(笑
プレステージは同じデュオフォールドでも胴軸が金属製のモデルで重量があります。
詳しくは後の項で見ていくとして、ブルーのシェブロンパターンにゴールドトリムの出で立ちは高級感増し増し。
プレステージはデュオフォールドの上位モデル、と言われるだけのことはあります。
そして、冒頭でも触れたデュオフォールド(というかパーカー筆記具全般かも…)のシリアルコードについての気づきなど。
新旧モデルを比べて色々と分かることが出てきましたので、それについても考察を交えながら見ていきたいと思います。
【デザインから見るデュオフォールド ボールペンの年代による変化】
デュオフォールドは前にも触れたとおり、筆記具業界では老舗であるパーカーのフラッグシップモデル。
かなり長い年月ラインナップされてきたわけですが、「デュオフォールドのボールペン」についての歴史はデュオフォールド全体のそれと比べて短いと言って良いでしょう。
某オークションやフリマサイトを見てお気づきの方も多いように、デュオフォールドのラインナップとして万年筆とペンシルが主軸でした。
その後ボールペンが発売され、それからのバリエーションや刻印の変化は前回のデュオフォールドの記事で書いた通りです。
現在手元には4本のデュオフォールドボールペンがあり、それぞれの製造年代によって外観に特徴があります。
▲左から1990年製造、1996年製造、2009年~2014年製造、2015年以降製造。ともにパーカー デュオフォールド。
それぞれの年代の目立った外観的な特徴は、胴軸のリングの数、胴軸の素材(仕上げ)、全体的なデザインなど。デュオフォールドのボールペンは近代に向かうにつれて胴軸が太くなっていっています。
各年代における口金近くのリングの違い。
デュオフォールドボールペンの初期型はリングがダブルで、その後シングルに変更、さらに現行モデルでは3連になっています。
この部分だけを見てもクラシックなデザインからモダンなデザインへと変貌を遂げていることがうかがえますね。
旧と新のクリップデザインを比較。
デュオフォールド ボールペンのクリップは初期型から現行までほぼほぼ同じデザイン。
デュオフォールド以外のボールペンや万年筆だとモデル毎に矢羽クリップのデザインがちがったりしますが、
そこまで大きな変化がないのがデュオフォールド。
(基本デザインはそのままで、わずかに根元や矢先が違っていたりしますが)
初期型と現行の全長は全く同じサイズ。
現行は全体に対して胴軸の締める割合が大きく、洗練されたデザインに。
ここで、胴軸径に注目なのですが、旧モデルのデュオフォールドの中でも初期型はひときわ胴軸径が細く、握った感覚も現行品と大きく異なるということ。
滑りにくさという点ではプレステージの金属よりもアクリライト樹脂の方が上で手に馴染みます。
ついでに初期型デュオフォールドの大きな特徴として、天冠の黒丸が挙げられます。
以降のモデルでは金属製のエンブレム(ロゴ)が設置されていますが、初期型はこの黒丸と胴軸のダブルリングが大きな外観的特徴となっているのです。
デュオフォールド プレステージに戻りましょう。
プレステージは高級感増し増しモデル。
胴軸は金属製(アルミ合金?)となり、緻密なシェブロン柄が彫り込まれています。
濃紺のボディーカラーはゴールドトリムとの相性も抜群、かつ、このブルーシェブロンGTはトリムと胴軸の情報量の多さ(ラインが多い)から非常にゴージャスな印象を受けます。
天冠のロゴはエース。これは前モデルと同じですね。
万年筆の場合はこれと同じエースのロゴがペン先にも刻印されます。
このエースのロゴ、ラインの運びがかなり複雑で、他のメーカーのロゴはだいたい書けたりするのですが、パーカーのエースだけは見ながら書いてもうまく書けません 笑
現行となり大きく変わった繰り出し操作部(キャップ)のデザイン。
個人的にはこちらのデザインの方がスタイリッシュで好みとなりました。キャップの全長も旧型に比べると短くなっておりバランスが良いように感じます。
キャップについてはラインの刻印のみでロゴや今までのデュオフォールドにあったような製造国の刻印が見当たりません。
メーカー名とロゴはというと、ペン先側の3連リングの中に刻まれています。
ロゴ、社名ともに現行の太字で、シンプルに外観に刻まれる文字はこちらのみ。
では、シリアルコードは何処に…?
ということで事項に続きます。
【パーカー筆記具お馴染みのシリアルコードはどこへいった?】
さて、キャップからもリングからも消え去った製造国の刻印とシリアルコード。
これはどこへ行ったのでしょう?
ということであれこれチェックした結果、口金内部のネジ付近で発見!
今までのような打ち込みではなく、レーザー刻印にて記されていました。
ちょっと味気ないな、と感じつつも近代製造工程への変化なのか、作業効率の良いレーザー刻印。
まあこれは時代の流れというもので仕方ないですが、あえて外観に刻印せず見えないところに配置させたのは好感が持てます。
これでだけでペンとしてのミニマルさが増したように感じます。
「FRANCE」と「シリアルコード」。
と、ここでお気づきの方は多いかと思いますが、旧モデルであったような「アルファベットとローマ数字によるシリアルコード」ではなく「8桁のシリアルナンバー」に変わっているではないですか。
うーむ、いつからそうなったのでしょう…。
こちらのブルーシェブロンGTの前オーナーは「4年ほど前に購入(2017年)」とのこと。
そして現行モデルに大きくモデルチェンジしたのが2015年から。
ということを踏まえるとモデルチェンジとなった2015年に発売された筆記具から例のシリアルコードは廃止され、8桁のシリアルナンバーに変わったと考えるのが自然です。
手元のブルーシェブロンGTのシリアルナンバーが写真にあるように「1531 1282」の8桁。
モデルチェンジした2015年以降に製造されたとして、製造年月を表すような数字の並びに注目すると何となく製造日っぽい数字の並びは確認できますが…。
左の1531→2015年3月1日製造?ということでしょうか。
右の1282は上記の当てはめ方と、モデルチェンジ&購入日の情報から当てはまらないため、ロットナンバーか何かということになります。
海外製筆記具のシリアルナンバーの場合、日本のようにYY/MM/DD(年/月/日)ではなく、DD/MM/YY(日/月/年)と表示される場合がありますので、必ずしもこの考察が当たりとは言えないのですが…。
これは何本かの現行デュオフォールドがないと検証は難しそうです。
ということで、前回のデュオフォールドの記事で出した製造コード早見表は一部訂正となり、下図のようになります。
皆さんのお手元のデュオフォールド(現行モデル)のシリアルナンバーはいかがですか?
【リフィルの交換方法について】
さて、旧型と新型(現行)の違いでもう一つ大きな違いがあり、それはリフィルの交換方法となります。
2015年製造までの旧型デュオフォールドの場合、キャップ部分をネジって外し胴軸の上からリフィル交換を行いました。
一方、現行モデルのリフィル交換は口金部分を外して行います。
ようはファーバーカステルの伯爵コレクションと同じリフィル交換方法です。
先ほどの項にあったシリアルナンバーと製造国の刻印はこの口金のネジ部分。
今までのデュオフォールドになれている場合、キャップを捻ってしまいそうですが壊すといけませんので注意が必要です。
口金部分の樹脂パーツは独立していますが、Oリングにより外れなくなっているため不意にどこかへいってしまうということはなさそう。
このOリングのお陰で口金ネジの締め心地は良好。
キャップも真っ直ぐに引き抜くことは可能です。
メンテナンスや胴軸分解の際はこちらからできそうですが、今のところおかしな動作もないため分解は避けましょう。
キャップを外すのはクリップに対してロゴの位置を直す時くらいでしょうか。
デュオフォールドをはじめパーカーの筆記具をお勧めする理由として、毎回書いていますがリフィルの選択幅が広がるため。
普段コンビニのジェットストリーム等を使っているという方は是非ともパーカーの軸をゲットして、G2タイプのジェットストリームリフィルで使って頂きたい!
【新旧デュオフォールドの筆記感の違い】
最後はデュオフォールドプレステージの筆記感について。
通常のデュオフォールドは胴軸にアクリライト樹脂が使われており、重量は約33g。
プレステージについては金属軸(おそらく胴軸はアルミニウム)のため、37gと少し重めです。
重心はちょうどクリップ先のあたりで、旧モデルに比べても中心寄りの重心となっています。
このあたりは改善されていると言えますね。
ただ、樹脂軸のデュオフォールドに比べると金属軸に塗装という処理がスベスベしており若干滑りやすいと感じました。
これは好みの話ですが太軸でどっしり重い書き心地ならプレステージ、デュオフォールドでも軽くて細めの軸をお求めであれば初期型のものがお勧め。
ペン先を繰り出す操作については現行モデルが圧倒的に使いやすく感じます。
トルクは滑らかで、摘まむ部分の太さもベストではないでしょうか。
うーむ、現行モデルのビッグレッドは欲しいところです。
口金のシリアルナンバーも気になりますが、ビッグレッドだけの胴軸の「DUOFOLD」刻印(彫り込み)は非常に格好良く、デュオフォールドファンならずともパーカーファンとしては持っておきたいところ。
さて、今回はデュオフォールドの新旧比較について、そしてシリアルコードの謎について考察しました。
パーカー沼は底知れぬものがありますが、デュオフォールドだけ抜粋してもかなりのバリエーションがあり楽しめます。
ヴィンテージの万年筆やペンシルでデュオフォールドの歴史に浸るのも粋ですね。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
たにけんさん
いつも楽しく拝見させて頂いております。昨年12月にPILOTのカスタム切子の件でコメントさせて頂いたshinです。その節はシルバーの磨き方等についていろいろ教えて頂き、ありがとうございました。
今回このデュオフォールドの記事を拝見し、益々これが欲しくなりました。私は少ない小遣い制(涙)の中で、無理無く・無駄無く素晴らしいボールペンが欲しいと思っていて、上がりはデュオフォールドか、PILOTのCUSTOM URUSHIのどちらかで、と決めています。余裕がある方はどちらも買えば済む話ですが、私にはなかなか…。なのでとても迷っています。
今のところ、デュオフォールドに気持ちが傾いています。そこで教えて頂きたいのですが、プレステージとそれ以外の違いはプレステージは胴軸が金属製、それ以外は胴軸がアクリライトということで合っておりますでしょうか?ネットで見てもプレステージが2万円程高くなっていたので、違いがなかなか分かっていませんでした。
お手数お掛けしますが、よろしくお願いいたします。
ただ…いろいろなボールペンを見ているとあれもこれも欲しくなり、もはや何が欲しいのか分からなくなってきました 笑
沼にハマりすぎないように頑張ります。たにけんさんの記事を楽しみにしていますので、今後も頑張ってください!
shinさん
コメントありがとうございます。
お久しぶりとなります。カスタム切子は順調にお使いでしょうか?
自身の手に合うボールペンの追求。とても素敵なことだと思います。
様々な情報をもとに仰るようになるべく無駄なく、ベストな一本を手にできれば最高です。
そのために、当ブログサイトをご愛読いただき本当に嬉しい限りです!
これからもぜひご参考になさってください。
さて、本題のパーカーデュオフォールドプレステージに関するご質問の回答です。
改めて自分でも記事(比較の項)を読み返してみたのですが、確かに重量以外の点については書かれておらず、これは情報サイトとしてお恥ずかしい限り…笑
デュオフォールドの旧モデルと現行モデルの違い、そしてプレステージとの違いについてですが、大きくは3つあると考えています。
一つ目:軸径の違い
これは、筆記という行動において一番のポイントになるのではと感じています。
プレステージを含む現行モデルのデュオフォールドの方が軸が太いです。
個人的には太軸好きなので言ってみればたまらない変更点なのですが、細い軸の方がお好みの場合は一度握ってみる、もしくは周りに環境がある場合は試し書きが一番かと思います。
筆記感は新旧で結構違います。
二つ目:操作感の違い
新モデルのデュオフォールドは文字通り「フルモデルチェンジ」しています。
操作感の違いとしては2つ、
1,回転繰り出しのし易さ。軸が太くなったことでペン先回転繰り出しのためのノブ(天冠)も太くなり、操作感が増しています。
太い=指で挟む力が少なくて済むため、楽に捻ることができます。
2,リフィル交換のしやすさ
旧モデルは回転繰り出し機構兼天冠を外して、上からリフィル交換を行っていました。
現行モデルはペン先トリムを外してリフィル交換を行います。
これは回転繰り出し機構やキャップに対する故障のリスクマネジメントだと考えています。
まあ、他のボールペンと同じで ペン先からの方がリフィルは入れやすいですからね。
三つ目:重量の違い
これは記事に書いた通りですが、プレステージはデュオフォールドの中でも一番の重量を誇っています。
私は太くて重い方が書きやすいと感じるため、プレステージの重さもお気に入りなのですが、バランス的には通常の現行モデルが一番ではないかと考えています。
(とはいえ現行モデルで書いたことないんですけどね…)
胴軸がレジン(アクリライト)であることのメリットは、グリップ感もそうですが、軽量化できることでもあります。
現行モデルのデュオフォールドは太軸になり、軸に使われる金属部分の総重量も増しています。
プレステージて書いてみて重いかな…、とお感じであれば現行モデルのデュオフォールドはぴったりマッチするかと思います。
長々と書きましたが、モデル選定のご参考に頂ければ幸いです。
沼にはまるのは楽しいですが、財布が軽くなりすぎるのは考えものです。
「自分の手に合い使いやすい」ということだけは決してブレないように。
この先も、効率よくベストな一本を手にできるよう願っております。
たにけんさん
早速ご返信頂き、ありがとうございます。
カスタム切子の件、詳しくお伝え出来ておりませんでした。もちろん、快適に使用しております!ご紹介頂いた商品を購入し磨いてみたところ、予想以上にキレイになり愛着が湧きました。これからも大切に使っていきたいと思います。
デュオフォールドの件、詳しく教えて頂き大変参考になりました!ありがとうございます。当初プレステージが欲しいと思っておりましたが、アクリライトのビッグレッドもいいな、と感じています。ただ、たにけんさんが仰られた「自分の手に合い使いやすい」という言葉にハッとさせられました。デザイン、価格、ブランドで決めていましたが、実際は手に合って、且つ使いやすいものが一番ですよね。そこに飽きのこないデザインが加わっていればサイコーです。
次に購入するものは、その考えをしっかりもって選定したいと思います。出来れば実店舗で試し書きが可能なら判断しやすくなるかもですね。
ありがとうございました。今後も記事楽しみにしています!