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パーカー デュオフォールド センテニアル 万年筆の書き味について

2024年2月14日

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皆さんこんにちは。

 

朝晩が随分と涼しくなってきましたが、どのようにお過ごしでしょうか。

我が家の二階も真夏の灼熱地獄から解放され、やっと書斎の机に向かうことができそうです。

 

秋の夜長はお気に入りの万年筆で文字をしたためたり絵を描いたりと、より一層ペンとふれ合う時間が増えそうですね。

 

さて、今回はモンブラン、ペリカンに続く老舗筆記具メーカーの万年筆をレポートします。

少し前に手に入れていたのですが、なかなか機会に恵まれず今となりました。

 


 

パーカーのフラッグシップモデルである、

「デュオフォールド センテニアル ブラックGT」。

 

ひとえに「デュオフォールド」といっても様々なバリエーションがあり、さらに歴史も長いのでモデルチェンジの幅も考えると、世の中にはかなりの種類があると思われます。

 

手元にあるのは現行モデルの一つ前のモデル。

デュオフォールドの中では比較的価格もこなれてきているため手に入れやすいモデルではないでしょうか。

 

オーソドックスなブラック×ゴールドの仏壇カラー。

この年代のデュオフォールドは軸が美しいモザイクのレジンでできたものや、もちろん歴史あるビッグレッドもあるため相当悩んだのですが、まずは基本から押さえようということで。

 

見た目ももちろんですが、巷で噂のパーカーデュオフォールドにしか出せない「独特な書き味」と言うのがどうしても気になってしまったのです。それで一番求めやすい90年代~のデュオフォールドに着地となりました。

 

といっても個人的には現行モデルが特にスタイリッシュで格好良いと思っているので、いつかは現行モデルを手にしたいなと思っているのです。(オイオイ…汗)

 

それでは、パーカーデュオフォールドの魅力と書き味をみていくのですが…。

単品レビューではなく、いつもながらにモンブランの#146(時々#149)とペリカンM800を使って比較しながら見ていきましょう!

 

 

 

 

デュオフォールド センテニアルの外観デザイン

まずはここから。

実は、私自身デュオフォールドの万年筆に興味が出る前まで サイズが2種類あることを知りませんでした。

デュオフォールドのボールペンのサイズが一種類だから、万年筆も一種類だろうと。

 

あっ、そういえばデュオフォールドボールペンのレビューまだしてなかったですね…。

ちょくちょく比較で出していたのでレビューしたものと思い込んでいました…。

そちらもそのうち書いていきたいと思います。

 

実際はパーカーデュオフォールドには、この「センテニアル」と一回り小さめの「インターナショナル」の二種類が存在します。

センテニアルを選んだのは、言うまでもなく太軸好きなため。

 

インターナショナルを持っていないのでサイズ比較ができないのですが、サイズ比較の部分は後のモンブラン・ペリカン編でやるとして、デザインをみていきましょう!

 


 

全体像です。両脇の2本は毎度比較でおなじみのモンブラン#149(右)と#146(左)。

セーラーやモンブランのような天冠と尻軸の“丸み”はなく、言ってみればペリカンのような両側がフラットなデザイン。

まあ、パーカー75もそうだったのですが、パーカーは昔からフラットな天冠や尻軸をしていますね。

 

もしかするとですが、誤って落下させてしまった時などに両側が丸く出ていないことで落下の衝撃を分散させるような働きがあるのかも知れません。

胴軸についてもアクリル樹脂が非常に分厚く、持っただけでもその厚みや堅牢性が軸からひしひしと伝わってきて、信頼できる上質な万年筆だということが分かります。

 

デュオフォールドが発売された当時のプロモーションで、上空の飛行船の上からデュオフォールドを落として(撒いて?)堅牢さをアピールしたという話も有名ですね。

 

続いてキャップを見ていきます。

パーカーと言えば「矢羽クリップ」。デュオフォールドのクリップは根元が太く、先に向かって徐々に細くなっています。矢という物質的な武器というよりは生物的な丸みもあり、昔のような野暮ったさを感じません。

 


 

手元にあるパーカー筆記具のクリップを並べてみました。年代ごとモデルごとに様々な形の矢羽クリップがあり歴史を感じますね。

 


 

クリップの内側には気圧調整用?の小さな穴があけられています。機密性を高めるためにこの穴を塞いでいるユーザーもいらっしゃるようです。(手元のデュオフォールドの穴も塞がっています)

 


 

キャップリングは太めのダブルリング。こちらはインターナショナルも同様のデザインとなっています。

リングがキャップの極ではなく、ややクリップ寄りに配置されているところもポイント。

現行品はキャップリングが一つにまとめられより洗練されたデザインに。

 

 

そして天冠にはもはやデュオフォールドの代名詞とも言えるエンブレムメダルが。

メダルは世代によって変わります。

別注モデル等の特別なモデルを除き、初代はメダル無しのフラット天冠、続いて楕円を重ねたようなシンボル→リボン→エース(当モデル~現行)へと続きます。

 

最後は尻軸。

こちらもまるでスパッと切ったようなフラットな尻軸デザインです。

尻軸にはクリップリングと同幅のリングがひとつ。
 

 

そのすぐ下に刻印が入っています。

スミ入れはなく彫り込みのみですので見えにくいですが、「PARKER」「FRANCE」「シリアルナンバー」の三種類。

シリアルナンバーについて詳しくは過去の記事↓

パーカー75の後継ボールペン【ソネットとプリミエ比較】

をご覧頂くとして、通常キャップに入っていそうな刻印が尻軸に控えめに入っているというのもさりげなくお洒落ですね。

 


 

ちなみに尻軸にキャップをポストして使った場合、キャップは尻軸の段差までしか差さらないため その全長は175mmにもなります。ビッグというよりはウルトラロングな万年筆になるのです。

私はキャップをポストせずに使う派ですが…。

 

ペン先については次のパーカー75との比較で見ていきます。

 

 

パーカー75(XF)とデュオフォールド(F)を書き比べ

それでは続いてパーカー万年筆の中で絶大なる信頼を置いているパーカー75スターリングシルバーとデュオフォールドセンテニアルの書き味を比較していきます。
 

 

まずペン先ですがデュオフォールドが18K、パーカー75が14K。

ニブのサイズも随分違いますが、書き味はどちらも一級品。
 

 

ペン芯はどちらもフィンが無く、ペン芯に字幅の刻印が打たれています。

通常の万年筆ではだいたいニブに字幅の刻印があるのですが、パーカーはペン芯。
 

▲ペン先の拡大図。

 

万年筆の字幅を決定付けるものにニブの切り割りの幅がありますが、パーカーの場合はもしかしてペン芯の構造に字幅ごとに調整による小さな相違点があるのかも、と考えてしまいます。
 


 

インク吸入方法はこのクラスの万年筆には珍しいカートリッジ/コンバーター両用式。

ヴィンテージのデュオフォールドにはプランジャー式のものもあります。現行品でプランジャー式のデュオフォールドが出れば飛びつくのですが…。
 

 

ついでに全体像を比較してみます。

並べると大きさの違いが顕著に出ますね。細軸タイプのパーカー75と太軸のデュオフォールドセンテニアル。このコンビもなかなか面白いかも知れません。何気にデュオフォールドの胴軸のシルエットが好みです。
 

 

字幅はパーカー75XF(極細)、デュオフォールドがF(細字)です。

どちらもパーカーのブルーブラックを入れています。

 

ペン先XFの細さが目立ちますが、それ以上に同じインクを使っているのにこの字幅による印象の違いに驚かされます。Fで書いた文字は青みの強い紺色が引き立つ色となっていますね。

 

デュオフォールドの書き味は噂通りで、コシが強く指先に独特なフィードバックがあります。

なんと表現するのが良いのでしょう、例えるなら“刀では無く槍のような書き心地”とでも言いましょうか、とにかく書いた時の手応えがペンポイントの先から来るような感覚です。

 

あ、パーカーといえば“矢”でしたね()

でも「槍」のような、鋭いようでしなやかな書き味なのです。

 

今までモンブラン、ペリカン等色々な万年筆で書いてきましたがいずれとも同じではない、まさにデュオフォールドはデュオフォールドだけのアイデンティティが確立されている。

これだから万年筆は面白い!!

 

 

モンブラン#146・ペリカンM800とサイズなどを比較

それではライバルメーカーであるモンブランとペリカンのフラッグシップモデル、マイスターシュテュック#146とスーベレーンM800の3本で比較します。
 

 

左からスーベレーンM800、デュオフォールドセンテニアル、マイスターシュテュック#146

この3本はサイズがほぼピッタリです。
 

 

キャップを比べてみてもそれぞれの個性が出ているのがよく分かります。特にクリップ・キャップリングの位置。いずれの万年筆も天冠にはそれぞれのシンボルマークが配置されています。
 

 

首軸を比較します。

ここで気付くのがデュオフォールドの首軸の長さ。キャップを閉めるためのネジ切りがより胴軸寄りに配置されています。

私は万年筆を握る時このネジ切りの辺りを握るのですが、この万年筆から感じる“槍のような筆記感”はこの首軸の長さから来るのかも知れません。
 

 

キャップを尻軸にポストした時のはめ込みの浅さはキャップ内部からも覗えます。モンブランやペリカンに比べてネジ切りの位置は浅くネジ切りが長いです。

 

キャップを閉める時の回転も、モンブランは約一回転、ペリカンは一回転強。

対してパーカーは二回転と4分の1。かなりキャップが深いです。

 

このひとつひとつのカッチリと決まる動作もデュオフォールドの魅力ではないかと思います。

 


 

キャップを尻軸にポストした時の長さ比較。

このように並べてみるとマイスターシュテュック#146ですら小さく見えてしまいます。

 

 

モンブラン#146・ペリカンM800と書き味を比較

最後は、3本の書き比べです。

 

インクはそれぞれの純正インクを入れています。

146にはモンブランのミッドナイトブルー。

スーベレーンM800にはペリカンブルーブラック。

そしてデュオフォールドにはパーカーのブルーブラック。

3本とも字幅はF(細字)です。

 

 

デュオフォールドとスーベレーンM800のインクフローは似ており 字幅も同じような太さになっています。

それでもペリカンの方はペン先の柔らかさもあってか同じ筆圧で書いても若干太く書けているように思います。
 


 

純正のインクを使っていることもあり文字の濃淡も美しく相性抜群!

 

一方、手元のモンブラン#146はインクフローが渋めなのかEFのような太さ。

持っている70年代の#146は同じFでもこちらの90年代~の#146よりも太く書けますので、一概に#146Fでも細く書けるとは限らないようです。

 

書き味の違いを見た上で、ペン先の違いを比べてみましょう。
 

 

ペン先を横から見ると、ペン芯の違いに書き味の秘密があるような気がしてなりません。

特徴的な薄い形状のペン芯。他の2本とは明らかに違います。

この形状が独自の“しなり”を生んでいるのではないかと考えます。

 

 

 

さて、今回はパーカー万年筆のフラッグシップモデル、デュオフォールドのセンテニアルをレビューしました。書き味についてはなかなか私の拙い表現で伝えることが難しいのですが、試せる環境があるのならぜひ試して頂きたい書き味です。

 

それでは今回もお読み頂きありがとうございました。

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