10本差しペンケースを選ぶなら「ガレンレザー ラウンドジップ ペンケース」がいい理由
今回は久しぶりにペンケースについて書いていこうと思います。
皆さんはどのようなペンケースをお使いでしょうか?
お気に入りの筆記具はいつまでも大切に使い続けたい、そういう思いから最近はペン一本一本を独立して収納できるペンケースが流行っていますね。
私も大切な筆記具は丁寧にメンテナンスをしながら、なるべく傷が付かないように一本一本個室かペン同士が直接触れないようなペンケースを利用しています。
筆記具に拘るということは、ペンケースにも拘るということではないでしょうか。
昔からペンケースというと軽量で丈夫なナイロン製のものが広く使われてきました。
しかし昨今の筆記具ブームに乗って、経年変化を楽しめる高級レザー製のペンケースや、必要な本数をミニマルに収納でき、かつ定規や消しゴム・芯ケースなども一緒にコンパクトに持ち運べるライティングケースが多く見られるようになってきています。
中には希少な革素材を使っているものもあり、中に入れるペンの総額よりペンケースの方が値が張るといった事も…。
これは筆記具について特に拘らないという方には想像し辛い事かも知れませんね。
私の場合 所有するペンの数も増えてきているため、数本を持ち運べるだけのペンケースでは物足りず、やはり「10本~20本を同時に持ち運びたい」という欲が出てきてしまいます。
ペン同士の干渉を防ぎ、かつ大容量の筆記具を収納できるペンケースというのはそう多くはないのですが、以前から使っていて非常に使い勝手の良いペンケースをご紹介したいと思います。
と言っても、すでに既知のペンケースであり知っている人は知っているペンケースなのですが…。
ガレンレザーの「レザー ラウンドジップ 10本差し ペンケース」です。
筆記具好きの中にはすでに使っているよ!という方もいらっしゃるかと思います。
ガレンレザー(Galen Leather)は2012年に創業されたトルコ発の小さな革製品工房。
どちらかというとまだ創業されて間もないレザー工房ですが、既に日本国内でもその使いやすさは注目されており、メディアで紹介されることもしばしば。
ひと言でこのペンケースの何が良いかというと、レギュラーサイズのペン10本という収納力に対して非常にコンパクトであること。
そして価格がリーズナブルであること。
これって、国内メーカーではなかなか無いのです。
ペンを10本収納した状態で開くとこのようになっています。全てボールペンですが、もちろん万年筆も収納できます。
入れているペンのサイズは、大きいもので全長147mm、小さいもので128mm。
収納できるペンの最大サイズは150mm以下となっています。(しかし150mmはギリギリ入るか入らないかというところ)
左に5本、右に5本で計10本の収納本数。
内部の特徴は左右両方の収納スペースに対してフェルトの「ベロ」が設けられており、合わさる左右の筆記具同士が干渉しないように設計されていること。
最初はベロは左右どちらか1枚でもいいのでは…?とも思いましたが、本体を合わせる時このベロとベロの間にメモ(あまり厚くないもの)を挟んだり、定規や付箋を挟むことができるため これはこれで良くできているな、と感じるようになりました。
また収納するのが万年筆であれば、薄めの小さなケースに入れたカートリッジやこれまた試筆用の紙を入れたりと、色々アレンジはできそうです。
左にはベーシックなサイズの仏壇カラーボールペンや、少し大きめであるスターウォーカーを収納。
ということで、見て頂くと分かるとおりだいたい130mm~140mmくらいのサイズのペンを余裕を持って収納するのにピッタリなペンケースと言えます。
軸径が一番太いもので、シェーファー/レガシーの12mm径。
それも難なく収納可能となっています。
右側にもボールペン。
パーカー、ペリカン、アウロラに加えて、サイズが大きめのミミックを収納。
ミミックは全長147mmありますがしっかり収まっています。150mm近いペンを収納する場合は、端よりも中寄りに収納するのが上下の幅からも良いかも知れません。
ベロを閉じると前面がしっかりとカバーされます。
このベロですが、もしかするとグレード?(表側の革質)によって素材が違うという可能性があります。
このブラックについてはフェルトのような手触りの合成素材が使われていますが、「クレイジーホース」シリーズはスウェードだという情報もあります。
実際にクレイジーホースが手元に無いため確認や比較ができないのですが、手に取って確認できる状況であれば確認されてから購入される方が良いでしょう。
本体の素材についても手元のブラックはタンニン鞣しと言えど経年変化を感じない素材感のため、ペンケース自体の経年変化も楽しみたい!という方はクレイジーホースを選ぶ方が良いかもしれません。
アウロラを抜いてモンブランのNo.149を差してみました。
このようにギリギリではありますが収納可能です。
万年筆を10本持ち歩きたい方の要望にも応えるペンケースではないでしょうか。
この収納力でありながら非常にコンパクトなのが、ガレンレザーラウンドジップペンケースの魅力。
成人男性の手のひらサイズの大きさ。
造りがかなりガッチリとしていて堅牢であることも有り難いです。
この表面・中面の厚みとフェルト生地の内ベロ。
大切な筆記具が守られているという安心感を得ることができます。
外装の中央下にはガレンレザーのロゴ押しのワンポイント。
とてもバランスの良いロゴだと思います。
ぱっと見、マーティン(ギター)のロゴにも見えなくもないです。ということでギターやってる方にも親しみやすいロゴかも知れません 笑
ジップはYKK製でかなり大きめのものが採用されており、これがまたジャキッとしたハードな操作感を生んでいるのです。
ジップの縫製も弛むことなくピンと張っていて、丁寧に作ってあることがうかがえます。
最初のうちはジップの操作が硬いなと感じられましたが、使っていくうちに馴染んでいきました。
ゾネンレダーのペンケースも大きめのジップが付いていましたが、海外では大きめのジップのペンケースがトレンドなのでしょうか。
収納・携帯だけでなく、筆記具の保管・鑑賞用にも使えるガレンレザーラウンドジップペンケース。
しかも1万円ほどで買えてしまうというコスパの高さ。
国内メーカーやフリマ作家さんがこの本数の収納でかつレザーで同じ商品を作ろうとすると、この1万円という額内ではおさまらないのではないでしょうか。
手持ちの筆記具が増えてきて、なおボールペンや万年筆をコンパクトにたくさん持ち運ばれたいという方は必見のペンケースです。
続いてもう一つ、夏に軽快に持ち歩きたいカヴェコスポーツの母艦となるような20本差しペンケースを見てきましょう。
カヴェコスポーツの魅力は何と言ってもその小ささ。
万年筆、ペンシル、ボールペン(ローラーボールも)全ての筆記モードで全長わずか105mmほどというコンパクトサイズ。
以前に記事にした3本差しのペンケースは、手のひらサイズのペンケースに万年筆3本という機動力で身軽になりたい夏にもピッタリなものでした。
今回見ていくのはそれとは真逆の20本差しの母艦ペンケース。
コンパクトなカヴェコスポーツやレギュラーサイズのスチューデント、ディア等を大量に携帯、もしくは保管するためのペンケース。
早速見ていきましょう。
サイズは横168mm×縦204mm。
カヴェコ3本差しレザーペンケースの約6倍のサイズ感です。
オールブラックのレザー(クロム鞣し)に「Kaweco」の大きなロゴ押し。
レザーの質感は柔らかく、ペリカンやモンブランのペンケースに近い触り心地です。
背面は切り返しのあるデザイン。
これもペリカンの純正レザーペンケースにあるようなもはやお馴染みのデザインですね。
小さめのジップに大きな持ち手。
この持ち手は操作感の軽さにも一役買っており、ここは先のガレンレザーとは対象的。
スポーツを20本収納してみたところ。
これは壮観!
全て違う色のインクを入れてスケッチに持っていくのも良さそうです。
キャップの部分は太めのカヴェコスポーツですが、ゴムバンドでしっかりと挟み込むことができています。
クリップは上を向けても斜めを向けても収納可能。
(クリップをしたまま横を向けると隣と干渉しますので注意)
見て頂くと分かるとおり、カヴェコスポーツでなくても収納可能。
一般的なサイズのボールペン・万年筆に加え、ゴムがきつめですのでリリプット等の細軸も収納できます。
個人的にですが、これはスポーツ専用にして欲しかったなーというのが率直な感想。
スポーツ専用であれば、もう少し横幅をシェイプできたのではないかと思います。
ペンケースに対しての意識が高いカヴェコのことですので、もしかしたらスポーツ用というのもあるのかもしれませんが…。
こちらはガレンレザーと違い片方にのみベロが設けられています。
ベロはペンの全長が短い長い問わず、ペン全体をカバー可能。
ズラリと並んだ10本のカヴェコスポーツ。
片側にはグリーン、ブラック系のスポーツを収納しています。
手元には20本以上のカヴェコスポーツがあるのですが、このペンケースの20本にどれを選ぶか悩みました。
ここに入り切らない分は3本差しペンケースに収納されて職場に赴いています。
もう片側にはブルー、オレンジ、ホワイト(クリア)系。
カヴェコスポーツはカラフルなカラーラインナップも魅力の一つ。
ネイビー、パープル、フォックス等、明るすぎず暗すぎない、絶妙なカラーが揃っています。
ついつい増えてしまうカヴェコスポーツ、皆さんは何色のカヴェコスポーツが好みでしょうか。
さて、今回は増えてきたペンの収納方法の一つである大容量のペンケースについて書きました。
ガレンレザーのラウンドジップは非常にコンパクトで、且つ1万円の価格設定ながら10本も収納できてしまうという たいへんコストパフォーマンスの高いペンケースでした。
カヴェコの20本差しペンケースもしかり、お気に入りのペンが増えてくるとなるべくたくさんのペンを持ち運びたくなるもの。
ここに挙げたペンケース以外にも様々な大容量ペンケースが発売されていますので、自分に合ったペンケースを探したり、オリジナルをオーダーするのも面白そうです。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
>最初はベロは左右どちらか1枚でもいいのでは…?とも思いましたが
2枚必要です
このベロは、ペンを差し込む時に、差し込む側のファスナーにペンがカスって傷つかない為に必要との事です
こんにちは Hektorと申します。連投失礼いたします。たにけんさんの深い経験に基づく考察が楽しくて、いつも物欲を刺激されています。シルバーントクいいですね。さて私は中軸を常に10本くらい携行したいのですが、なかなか理想のケースに巡り合えません。5本差しロール2本ではだめなのです。わかっていただけますでしょうか。
ガレンを使っていて頑丈さ、軽量・コンパクトさ、価格、何よりも格好良さは理想的なのですが、何とも歯がゆいのは高さというか厚みの不足。細軸ペンじゃないとジッパーが閉まりません。中軸片面5本収納で我慢しています。そしてジッパーの歯が指を切るほど鋭利なこと。対策として尻軸を包み込むように、うすいレザーを下からあてがっています。
昨年話題になった&Liebeの10本差しは、ガレンを越える配慮の行き届いた繊細なケースですが、外殻が柔らかく、折れや衝撃に弱そうなのが惜しいです。
Hektorさん
いつもご愛読頂き、ありがとうございます。
筆記具への理解と愛情が深まるにつれ、なるべくたくさんのお気に入りを手元に置きたくなる、携行したくなる。
そして、一本一本の筆記具を独立させながら、いかにコンパクトに持ち歩くか。これは往年の課題でもありますね。
仰る通り、すべての条件が当てはまったペンケースというのは未だフルオーダー以外の分野では開拓されておらず、どこかに妥協が生じ、この課題は可決されないままではあるのですが…
記事のガレンレザーは外殻はしっかりしているものの、中に入れる筆記具について中型~大型万年筆複数本には厳しく、どうしても細軸寄りのボールペンやペンシルが限界だと思います。
筆記具を固定する仕組みがゴムバンド型であることも個人的には気になる部分(見た目的に)でもあり、上下にファスナーブロックが無いため、筆記具への干渉も気になりますよね。
(これは海外製品ならではの妥協点なのかもしれません)
そうなると、理想のタイプがどのようなスタイルのペンケースになってくるのか。
ランドジップというスタイルで求める場合、「GANZO」のシンブライドルジップペンケースや、工房楔のコンプロット、Creemaに出展されている「革小物yoshii( https://www.creema.jp/c/kawakomono-yoshii/item/onsale )」様のペンケースにあるような、レザーベルトで筆記具を固定し、かつ上下にファスナーブロックのベロ(もしくは受け)がついた形が、ある意味理想かもしれません。
今のところこのスタイルで10本差しというのが見当たらないため、近道は「革小物yoshii」様への相談・依頼となるのでしょうけど、その場合、依頼を受けてもらえたとして高額となる覚悟も必要かと…
10本差しの場合、ラウンドジップ型(2つ折り)のスタイルしにようと思うと、最もコンパクトに設計したとして最低でも50㎜~55㎜の厚みは必要かと考えます。
そして、中型~大型サイズの筆記具を入れた時の重さは500g超えとなる計算です。
この厚みと重さを考えたとき、10本を持ち運ぶのにラウンドジップ型が適切なのかという問題も出てきますね。
横一列に並べる「ドキュメントケース型」という選択肢もあるのかもしれません。
と、現在考えうるペンケースのスタイルで条件を満たすものとなるとこのあたりになるのかと思いますが、最終的には、ラウンドジップ等の2つ折りやドキュメントケースといった型に捕らわれない、新しい概念のペンケースが必要になってくるのでは、という結論に行き着きます。
今構想しているペンケースを形にできれば、Hektorさんのお眼鏡にかないそうなのですが…
今のところ私にレザークラフトのスキルがないことが悔やまれます。
長い返信になりましたが、私自身も現在市販されているペンケースにはどこかに妥協点があると感じているため、何か新しいモノを開拓できた際は改めて記事にさせていただこうと思います。
ご丁寧に教えていただきありがとうございました。
yoshiiさんの5本差しは初見でした。製作者のペンへの慈みを感じ、見とれてしまいました。
また、たにけんさんの考察・指摘により私のもやもやを少し解消することができました。あらためて感謝いたします。仕様としては、A4判トートバッグに書籍やバインダーと共に垂直横長に入れる。ペンのサイズは146級までとし、収納はラウンドジップで最低8本。厚さは5cm程度。多少重くても可。正方形は不可。皮革の強度はガレン並みでねじれ・折り曲げに強い。内装は衝撃吸収素材とスペーサーを使用し隙間なし。振っても無音。銀と漆を傷つけずエボナイトに非浸食。ゴム素材、リング形式は回避。—と、なるとなんだか&Liebeさんの甲殻版みたくなりますね。
理想的なペンケースの構想発表を楽しみにしています。今後もマニアックな話題を期待しています。首軸が銀製のOMASにかなり刺激されました。ありがとうございました。