KOKUYO WPに見る、国産水性インクのレベルの高さとバリエーション【KOKUYO WP 2025 Limited「イチイガシ」レビュー
皆さんこんばんは。
2025年も今日で最後。
仕事上は年度(4月)で括りますが、2026年の幕開けは1月1日をもって盛大に迎えたいところです。
さて、このサイトを設立したのが2017年の2月ですので、間もなく9年。今まで様々な筆記具のレポートを書いてきました。(2025年は全27記事でした)
ビジネスに使える高級筆記具を探す中、自分が使いやすい軸径、サイズ、重さ、字幅、インク、筆記具のデザインなど自問自答し、たまに偽物(パチモノ)の筆記具にもぶち当たりながら、自分が使いたい筆記具は何なのかが随分と分かってきた気がします。
長きに渡りご愛読頂いている読者様に感謝しつつ、2025年最後の記事となります。
そして2026年も引き続き、当ブログサイトを愉しんで頂ければと思います。
それでは、今回は12月に一般販売が開始されたKOKUYO(コクヨ)のWPシリーズから、2025リミテッドエディション木軸バリエーションの「イチイガシ」をレポートしていきます。

コクヨWPの木軸リミテッドエディションは、2024年末に「ウワミズザクラ(300本限定)」が発売されて、今回が2作目。2025年リミテッドエディションは、木軸「イチイガシ(1000本限定)」の他に、金属軸の「モスマーブル(2000本限定)」も同時発売されています。
【KOKUYO WP Limited edition 2025】メーカー販売価格
・WP-L001「イチイガシ」:38,500円(税込)
・WP-L002「モスマーブル」:27500円(税込)
※コクヨのオンラインショップにおいて、2025年12月末日現在でまだ在庫あり。
(記事の最後にKOKUYOオンラインサイトへのリンクを掲載しています)
WPシリーズの発売は2023年の10月ですので、1周年のリミテッドモデルを皮切りに毎年発売される流れとなりそうです。

▲今回はグリーンの本革ペンシースが付属。キャップとのアースカラーのコンビが愉しめる
1年前も書きましたが、価格はかなり“強め”に感じるも、それでも高級筆記具のジャンルではギリギリ手が出る価格かと思います。
前回の300本限定がほぼ即完売だったこともあり、木軸は1000本に増産。この数字は前回買えなかったユーザーの事を一番に考えているということの現れであり、同時に昨今の転売事情への対処とも考えられる十分な数ではないかと。
既に某フリマサイトではメーカー販売価格よりも高額で出品されているものもありますが、まだメーカーサイトに在庫がありますので、適正な価格でKOKUYOから買いましょう!

それでは、KOKUYO WP「イチイガシ」を見ていくにあたり、今回の記事では、デザイン(主にウワミズザクラとの比較)や筆記感(ローラーボール&ファインライターの筆記比較)を中心にレポートしていきたいと思います。
2025年のWPリミテッドエディションは非常に魅力的な2本となっており、私もイチイガシにするかモスマーブルにするか相当迷いました。悩みまくった挙げ句、やはり木材の経年変化を感じたいという願望が勝り「イチイガシ」を購入。
(お値段的に2本同時購入はなかなか…)
いやしかし、モスマーブルも金属軸でありながら 通常金属軸にはなかなか出せない「軸の個性」を出してきているところ、KOKUYOさんは高級筆記具ユーザーの心が読めているな、と。
懐に余裕ができた時にまだ残っていれば、ぜひとも実物を拝んでみたい軸であります。

樹種のイチイガシは、西日本の神社等に多く見られるブナ科の常緑高木。堅く丈夫なことで知られ、建築材や器具材に利用されています。
ちなみにイチイガシのドングリは渋みが少なく、古くは縄文時代から食用にされていたとか。
イチイガシは「虎斑(とらふ)」と呼ばれる杢目が特徴で表情豊か。個性に溢れています。
これぞ木軸筆記具の醍醐味ともいえる、一本として同じ模様がない、手元の個体だけの個性というものですね。

1年使ったウワミズザクラとの比較。
イチイガシの触り心地はザラッとしていて粗く、対象的にウワミズザクラはスベスベでツヤが出てきています。
実際に手で握って使う道具の筆記具だからこそ木材の経年変化は敏感で、使えば使うほど愛着が湧く一本となっています。
イチイガシもこれからどんな経年変化を見せてくれるのか、愉しみでなりません。

胴軸に使われる樹種の違いだけではない、今回のリミテッドエディション イチイガシ。
ランダムなパターンで切削されたキャップ部分は、ウワミズザクラ(右)のマットな表面加工とは異なり、よりエッジが引き立つブラウンのグロス加工。
光の当たり具合によってグラデーションの表情を見せるWPリミテッドエディションですが、イチイガシはさらに明瞭なコントラストを生んでいます。

キャップトップの違い。
フラットな金属感を愉しめるイチイガシ(左)とガンメタルな色合いのウワミズザクラ(右)。
クリップの表面加工もキャップのイメージに合わせて、イチイガシはグロス、ウワミズザクラはマットな質感となっています。

イチイガシのクリップ、購入前に目にする写真では艶消しのシルバーかな?と思えたのですが、実際はグロッシーなシルバー。
個人的にはマットな艶消しのシルバーがよかったのですが、これはこれで、キャップを外した時のペン先の加工(メタリックなグロスシルバー)ともマッチしていて、ああこういう事か、と納得。

首軸はWPシリーズ共通のリフィルが透過されるスモーククリアなデザイン。軸内のリフィルの模様(これは使うリフィルによって変わります)が良いアクセントに。
写真のローラーボールリフィルは市松模様ですが、ファインライターの方は鱗紋(三角版市松模様のような柄)となっており、筆記の際は中のリフィルがローラーボールなのかファインライターなのか一目で分かるようになっているのです。
デザインと機能性の両立。モダンな筆記具好きには嬉しいギミック。

改めて全景を比較。左がイチイガシ、右がウワミズザクラ。
リミテッド第一弾のウワミズザクラはダークなキャップも相まってシックな印象でしたが、今回のイチイガシはクリップのシルバー、キャップのメタリックブラウン、そして胴軸に使われるイチイガシの虎斑が軽快な印象を与えます。
もちろん同じWPですので、2本とも持っている人はキャップを入れ替えて使ってもオリジナリティが出て良いのではと思います。

リフィル交換は首軸と胴軸を外して行います。
WPリミテッドエディション木軸の嬉しい部分が、たっぷり厚めの木材が使われているところ。
今回も木材部分の加工については家具メーカーの「カリモク家具」とのコラボ。
結合部のネジ切り素材には真鍮が使われ 強度も十分。
胴軸内にはリフィルを受け止める役割の 太めで弾力のあるスプリングがあり、滑らかな筆記感にも一役買っています。

ネジ切りの金属部分にはリミテッドエディションの証、シリアルナンバーが刻印されています。
イチイガシは1000本、モスマーブルは2000本がそれぞれ母数。

さて、ここからはKOKUYO WP イチイガシをもとに、改めてWPシリーズの書き心地を見ていきましょう。
【スペック】
全長:140mm
軸径(グリップ部):10mm
重量:28g
筆記時の重量:17g
筆記時は17gと軽快な重量で、グリップ部(首軸)の形が三角形であることも重なり、極力余計な力が指に入らない設計。
胴軸部分だけで金属、樹脂、木材の3種類の素材が使われ、筆記の命とも言えるグリップ部は10mmで太めであることと、また樹脂のグリップ感が握りやすさを担保してくれています。
「書く」という本質の中にある、高級筆記具ならではの書きやすさと素材の高級感。
書くという行為だけではない、書く時間を特別なものに引き上げる大人の道具です。

KOKUYO WPといえば、独自開発リフィルのファインライター。
公式サイトにペン先の断面図など 魅力的な解説があるのですが、ざっくり説明すると樹脂製のペン先(チップ)には無数のスリットがあり、そこを低粘度インクが毛細管現象を利用して出てくるという仕組み。
文字で書くと簡単ですが、この技術たるや流石は日本製と感心するばかり。
左のファインライターのペン先部分を見ると微細な穴が無数に設けられている事が分かります。
右は同じくWP ローラーボールリフィルのペン先。こちらはペン先のボールを転がしてインクを出す機構は通常のボールペンと同じですが、インクの粘度が一般的なローラーボールのそれよりも低く、よりインクフローが潤沢となっています。

毎日ではないですが、1年使ったウワミズザクラのファインライターの筆跡と、イチイガシに入っていた新品のファンライターリフィル。(共にブルーブラック)
1年前の疑問だった、使い続けることで樹脂のチップが潰れて文幅が太くなるのでは?という自らの問いに対しての答えがこちら。
字幅は新品時(ほぼF)から比べて、M(中字)ほどの太さへと変化していることが分かります。
ラッションペンやマジックのようなフェルトのペン先と比べると緩やかではありますが、使用により柔らかくなる樹脂製のペン先。
リフィルは消耗品ですので、この変化は想定内。
若干太くなった字幅により、インクのカラー(ブルーブラック)はよりはっきりと認識できるようになっています。

細かな文字を書くというよりは、プリントに注釈等を追記するのに使っていましたので、字幅の変化は新品と改めて比べてみて気付く程度。
WPローラーボールと比べてもインクフローは控えめのため、使いやすいリフィルと言えます。

ファインライターにはブルーブラック、ブラック、ダークグリーンの3色のインクがあり、初期装填されているブルーブラックの他、お勧めなのがダークグリーン。
抹茶色のような淡い色合いは、水性インクの色ではなかなか珍しいのではないでしょうか。
写真はWPファインライターのダークグリーンと、万年筆(AURORA)インクのエルバン グリーン系インク「エンパイアグリーン」を書き比べたもの。
滑らかな書き心地のファインライター。スルスルとインクが出てくる様は実に気持ちよく、どのような紙質に対しても同じ書き心地で書けるのは、1年使ってみても新鮮です。

ダークグリーンとして明確なアイデンティティーを持つファインライターのインク色。
万年筆には万年筆の良さがあり、普通に書くだけでインクの濃淡を愉しめる且つ、エルバンのエンパイアグリーンは特に、筆記直後から時間が経つにつれて色味がブラック寄りに変化していくのも愉しい。
ということもあり、エルバンのインクはエンパイアグリーンに関わらずリピート率が高いです。

続いて、ローラーボールリフィルも書き比べねばなるまいと、この3本で書き比べてみます。
左から、アウロラ(AURORA)プリマベーラ、KOKUYO WP、ポスタルコ レイヤード。
アウロラはイタリアの高級筆記具メーカーで、こちらは純粋な水性インクのローラーボール。
ポスタルコのレイヤードは油性インクですが、国内では一番使われているであろう油性でも低粘度のジェットストリームインクが入っています。

上から、WPローラーボール、アウロラの水性インク、低粘度の油性インクであるジェットストリーム。
紙はロディアのメモ帳を使っています。
水性インクは油性インクよりもはっきりしたコントラストを生み、文字が見やすいインクですが、WPローラーボールは万年筆インクに近い性質を持っているように思います。
インクフローはペン先が紙面と触れている間、際限なく出てくるためじっくり書くよりは速記に向くインクとなります。

紙面を拡大してみました。
様々なインクを試す前の私であれば、「インク暴れてるなー」と感じるだけかもしれません。
インクの粘度が低い分、紙面に下りたインクは紙の繊維を縫って広がります。
それを滲みと感じるか味と感じるかで、このインクの評価は分かれそうです。
この特性を「味」「個性」「アイデンティティー」とみて愉しめる人にとっては、とにかく面白いインクではないかと。

使う紙によって評価も分かれそうなWPローラーボールインク。
いつも使っているPLOTTERのリフィルに書いてみると、繊維へのインクの広がりはロディア以上でした。
紙が薄い分、繊維の密度も減り、その分インクも広がりを見せる。
ただ、拡大して見てみると、ローラーボールでありながら万年筆の筆跡のようなインクの濃淡が見られます。
これこそが、WPローラーボールの面白さではないかと思うのです。

少し前にXで、KOKUYO WPで万年筆首軸のオプションがあればいいのに…、と呟きましたが、同じローラーボールという筆記具の括りで見て、WPのローラーボールは万年筆に近いローラーボールという役割を担える希な筆記具であることに気づき、やはりWPに万年筆首軸は必要ないと考えを改めたのでした。
さて、今回は2025年最後の記事としてKOKUYO WPシリーズからLimited edition 2025「イチイガシ」をレポートしました。
高級筆記具業界に参入したコクヨと、同社の高級筆記具として定着したWPシリーズ。
筆記具という書く道具としての高級感や完成度もさることながら、新たな書き味であるファインライターと、万年筆の書き味にも肉迫したWPローラーボール。
こうしたコクヨ独自の新しい筆記体験の提供は、我々の「好奇心」をくすぐり、書くに止まらない価値を見出してくれると今後の展開の期待も込めて締めくくりたいと思います。
それでは今回はこの辺で。
2025年も、当ブログサイトをご愛読下さりありがとうございました。
2026年も自分が筆記具から感じた驚きや感動、率直な感想を綴っていければと考えています。
引き続きよろしくお願い致します。
最後に、記事が面白かった、役に立ったとお感じ頂けたら、コメントやX(@tanikeeeen)のフォロー、および文房具ランキングでのフォローをぜひよろしくお願い致します!(とてもとても励みになります)
【KOKUYO WP Limited edition 2025へのリンク】
・コクヨ ステーショナリーオンラインショップ











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コメント一覧
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