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カヴェコスポーツのスチールペン先のバリエーションと考察 【アートスポーツとクラシック系スポーツ】

2024年10月10日

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しばしば再発するカヴェコ熱。
 
ということで、今回の記事ではカヴェコスポーツの軸・ペン先・ペン芯のバリエーションについてと、EFMの字幅比較を行っていきます。
 
今まで幾度となく記事にしているカヴェコスポーツは、軸のバリエーションやカスタマイズ性に富んでおり 気がつくとかなりの本数に…。
 

 
特に樹脂軸のカヴェコスポーツであるクラシック・スカイライン・アイス・フロステッドは1本3000円ほどと手軽に楽しめるだけでなく、コンパクトかつ軽いため集めやすくなっています。
 
そして歴史もそこそこ長いため、軸のバリエーションに比例してペン先のバリエーションも豊か。
デフォルトで付属するスチールペン先をニブとペン芯に分けて、現在手元にあるものを紹介していきます。
 
それではカヴェコ樹脂軸スポーツの軸のバリエーションから順に見ていきたいと思います。
 

 

 

 

樹脂軸カヴェコスポーツのバリエーション

樹脂軸のカヴェコスポーツはバリエーションが豊富。
クラシックスポーツ、スカイラインスポーツ、アイススポーツにフロステッドスポーツ、廃番のスポーツルックスとチェススポーツ、限定のアートスポーツ。
※さらに金属軸のカヴェコスポーツを合わせるとかなりの数のラインナップに…!
 

 
樹脂軸の素材を大きく2つに分けると、クラシック・スカイライン・アイス・フロステッド・チェスがABS樹脂。
スポーツルックスとアートスポーツがアクリル樹脂でできています。
 
どちらも同じ樹脂ですが質感には大きく違いがあり、ABSはカチッと硬めの触り心地でソリッドなカラー。
アクリルはなめらかな触り心地で透明感のあるカラーです。
 

 
まずはABS樹脂のカヴェコスポーツから見ていきましょう。
 
手元にはフロステッドスポーツがまだ無いため、クラシック・スカイライン・アイスの3種類を比べます。
(フロステッドスポーツは可愛すぎるため買うのを躊躇っています)
これらのラインナップにはカラフルな軸が多く表面の仕上げも様々。
グロス仕上げやマット仕上げ、クリアなどバリエーションに富んでいます。
 
落ち着いた色合いで選ぶならクラシックとスカイライン。
クラシックはブラックやグリーン、ボルドーなど重厚な色味が多くラインナップされています。
 
一方、スカイラインはグレーやミント、マキアートといった淡い色合いがメイン。
クラシックとスカイラインの違いは樹脂の色味だけでなく、キャップのロゴと天冠ロゴのカラーの違いも挙げられます。
 

 
天冠のカヴェコロゴはクラシックがゴールド、スカイラインがシルバー。
 

 
キャップのロゴもクラシックがゴールド、スカイラインがシルバーです。
 
カヴェコスポーツの中ではベーシックな2種ですが、軸のカラーはそれぞれのロゴ色にマッチしておりコンパクトなデザインも相まって全色揃えたくなります。
 

 

続いては、アイススポーツ。
こちらは氷のように透き通った軸が美しいカヴェコスポーツです。
 

 
アイススポーツの万年筆は廃番となっているのか、ネットでもイエロー以外あまり見かけません。
基本構成としてはキャップがクリアブルーやクリアレッド等で、胴軸が無色透明。
 

 
首軸もキャップと同じ色で統一されています。
 
アイススポーツの醍醐味は何といっても透けた胴軸から見えるコンバーターやカートリッジ。
使用中はインクの色や残量が見えるため管理しやすいという一面もあります。
 
ABS樹脂軸の最後はチェススポーツ。
 

 
ソリッドな色合いはクラシックスポーツと同様ですがキャップにはチェス柄が刻まれていて、シンプルなクラシックスポーツに比べどこか遊び心のあるデザイン。
 
デザインはクラシックスポーツの延長ですのでロゴはゴールドとなっています。
 

 
個人的にはクラシックスポーツよりもさらにクラシックな感じがして気に入っており稼働率は高い1本です。
手元にあるブルーはネイビーっぽい色合いで手帳のブラウンともマッチ。
 

 

最後はアクリル樹脂の2本を見ていきます。
 

▲しっとりとした手触りのスポーツルックス()とアートスポーツ()
 
アートスポーツの方は限定品で、私が“サツマイモキンツバ”と呼んでいるこの一本はアートスポーツでも2003年発売の初期のもの。
 
アートスポーツの軸は非常に美しく、発売されても即完売するほどの人気。
また発売されることがあれば狙いたいものです。
 
もう1本のカヴェコスポーツルックスは以前も記事にしましたので詳しくは書きませんが、ワンランク上のカヴェコスポーツ。クリップも標準装備となっています。
 
よく磨かれたなめらかな表面は触り心地抜群で所有満足感あり。カヴェコスポーツの中でも一万円を超える価格設定だけのことはあります。
 

 
ただ欲を言えば標準で14金ニブを装備して欲しかったところ。
まあ、必要であれば自分で付け替えてくださいということでしょう。
 

 
キャップのロゴも泊押しではなく刻印となっています。アクリルの透明感のある輝きと非常にマッチしているではないですか。
 
 
さて、様々なカヴェコスポーツを見てきましたが、お好みのデザインはあったでしょうか。
コンパクトで携帯しやすいだけでなく、書き味も良い(面白い)のがカヴェコスポーツ。
 
次の項からはその面白い書き味を生むペン先について。私が今のところ遭遇したペン先のバリエーションをレポートしていきます。
 

 

ニブのバリエーション

カヴェコスポーツの書き味は面白い!
そのインクフロー豊かで素直な書き味を実現しているのが、小さいけどしっかりと作り込まれたペン先。
 
モンブランに年代によるニブのバリエーションがあるように、カヴェコにも年代によるニブ・ペン芯のバリエーションがあります。
 
これから紹介するニブやペン芯は、今のところ手元にあるもので これら以外にも種類がある可能性があります。カヴェコスポーツをお持ちの方はお手元に用意して見て頂くと面白いかも知れません。
 
現在私が確認しているニブとペン芯の種類は各4種類。製造年によって変化しているものと考えられます。
 
それではまず、それぞれのニブをA・B・C・Dに分けて特徴を見ていきましょう。
 

 

[A:現行ニブ]
 

 
こちらは現役で使われているニブ。
ハート穴の大きさからも分かるように非常にコンパクトなニブです。
刻印としてはハート穴の左右に「GERMANY」「since1883」。
製造国と創業年の刻印です。
 
そしてその上の飾り模様も、よく見るとバランス良く配置されていることが分かりますね。
 
ニブの真ん中には「KA WE CO」のロゴ。
こちらは1929年から使われ初め、現在もカヴェコのシンボルマークとして定着しています。ニブの真ん中に鎮座するこのロゴがなんとも可愛らしい。
 
ロゴの下には字幅を意味する刻印。
デフォルトは中字()が装備されていますが、樹脂製スポーツは首軸ごと交換することで他の字幅(EF/F/M/B/BB)へと変更が可能。
 
交換用の首軸も1600円強で販売されているため、ペリカンなど他の万年筆に比べると驚くほどリーズナブルにペン先交換が可能となっています。
 

 

[B:ハート穴無しニブ]
ここからはニブとペン芯の組み合わせを見た上での私の考察です。
 

 
こちらのニブは欧州で販売されていたとみられるアイススポーツに装備されていたもの。
 
切り割り左右の飾り模様や「GERMANY」「since1883」、カヴェコロゴの刻印は現行ニブと同じ。
違う部分は「ハート穴がない」点と「字幅の刻印がロゴ下ではなくサイド(ニブに向かって左側面)」に刻印されている点。
 
ブリスター入りの新品を購入しているため、ニブとペン芯が付け替えられているということはあり得ないのですが、このペン先とペン芯のコンビについては不可解な点があります。
 
ニブの特徴からして おそらく現行品の1世代前のものと思われますが、ペン芯の形状が20年ほど前のものと同じなのです。
このタイプのペン先が20年ほど生産されたと考えればつじつまが合わなくもないのですが、手元にある他のニブとペン芯の組み合わせからそれも考えにくい気がします。
 
どちらにせよ、刻印の配置や刻印の“線の太さ”から現行ニブに近いニブと言えます。
 
それでは次のニブを見ていきましょう。
 

 

[C:GERMANY刻印なしニブ]
 

 
こちらのニブは飾り模様ありの「GERMANY」「since1883」刻印無しに加え、カヴェコロゴ下の字幅刻印が円で囲まれています。
製造国・創業年の刻印が無いだけでかなりシンプルに見えるニブ。
ニブ自体の形状も現行のニブに比べて寸胴な形をしていて何となくクラシカルです。
 
刻印自体の線の細さを見ても古いタイプのニブだということが分かるのですが、不思議な事にこのニブに組み合わされているペン芯は先ほどの「ハート穴無しニブ」と同じペン芯なのです。
 
このニブについて考えられる事は、刻印の内容と刻印の太さからハート穴無しニブよりも古いバージョンのニブであること。
 
ちなみに手元にあるこのニブとペン芯の組み合わせのカヴェコスポーツは、アイススポーツ(オレンジ)とクラシックスポーツ(ライトグリーン)、そしてアートスポーツ(サツマイモキンツバ)の3本。
 

 

[D:GERMANY刻印のみニブ]
4つ目は、先ほどの製造国・創業年刻印の無いニブに「GERMANY」刻印のみが追加されたニブ。
 

 
こちらも刻印の線の細さから古いタイプのニブであることが分かります。
 
特に飾り模様の線の細さに歴史を感じますね。
(Aの現行ニブの飾り模様と見比べてみると面白いです)
 
Cのニブとの違いは字幅刻印の下に刻まれた「GERMANY」の刻印。現行ニブのGERMANY刻印との違いは、「G以外が小文字で構成されている」こと。
 
刻印の特徴からCのニブの前後の世代のものと思われます。ただ、ニブ自体の形状は現行のニブに近く寸胴にはなっていません。
 
刻印・形共に個人的に一番気に入っているニブです。
 
 

 
手元にあるニブはこの4種類。
ネットを見ていても他のデザインのニブの情報がないので定かではありませんが、これがカヴェコスポーツのニブの全てではない可能性は大いにあります。
 
ニブを古い方から順に並べると、D→C→B→Aである可能性が高いことが分かりました。
お手元のカヴェコスポーツのニブはいかがでしたか?
 
次はペン芯です。
 

 

ペン芯のバリエーション

ペン芯もニブと同じように4種類あるためA・B・C・Dに分けて見ていきます。
 
 
[A:現行ペン芯]
 

 
お馴染みの現行品に装備されるニブです。
特徴としては大きな(といってもペン芯自体小さいですが…)カヴェコロゴと存在感のある4枚のフィン。
 

 
さすが現行品でインクフローは良好。
デザインも一目でカヴェコと分かるお洒落なペン芯ではないでしょうか。
 
こちらのペン芯は現行のカヴェコの万年筆を買うともれなく拝むことができます。
 
 
[B:ペリカンタイプペン芯]
 

 
全然ペリカンのと違うやん!とツッコミが聞こえてきそうですが、ペン芯を横から見た時のシルエットがペリカンのペン芯に似ているので勝手にそのように呼んでいます。
 
真ん中に太めの縦溝、左右には短めのフィンが並びます。
 

 
ペリカンペン芯との比較がこちら。横顔が似ていませんか?
 
現行以外のペン芯では見る機会も多いこのペン芯。
Cのニブとの組み合わせをよく見かけます。
 
手元にあるカヴェコでこのペン芯を搭載するものは、アイススポーツ(オレンジ)とクラシックスポーツ(ライトグリーン)、そしてアートスポーツ(サツマイモキンツバ)の3本。
全てCのニブとの組み合わせです。
 
出回っている数の多さから、20年ほど前はこの組み合わせのペン先がメインだったと考えられます。
 
 
[C:ヴィスコンティタイプペン芯]
 

 
これも、ビスコンティにこんな形のペン芯なかったっけ?ぐらいの認識ですが、確かファン・ゴッホにこのようなペン芯が付いてたような覚えが…。
 
このペン芯はアイススポーツイエローの万年筆をハイライター化した時にもともと付いていたペン芯。
かなり平べったい形状をしていて、真ん中に大きな縦溝があるだけのシンプルな形状。
 

 
ヴィスコンティタイプとか書いておきながらパーカーデュオフォールドのペン芯の厚みに近いかもしれません。
現在はACスポーツに付けて使っているのですが、ペン先がしなってなかなか良好な書き心地です。
 
これもたまーに見かけるペン芯で、組み合わされていたニブは現行と同じニブ(Aのニブ)。
アイススポーツイエローも新品を買っていますのでニブとペン芯がテレコになっているとかは無さそうです。
 
そう考えるとこのニブが付くカヴェコの万年筆は比較的新しいモデルなのではないかと。
 
 
[D:伯爵タイプペン芯]
こちらは手元にあるチェススポーツ(Dのニブ)に付けられていたペン芯。
 

 
ファーバーカステル伯爵コレクション万年筆のニブをそのまま小さくしたような形状のニブです。
※スネークウッドは違うペン芯みたいですが…
 

 
真ん中の凹みに5本のフィンが特徴的。
手元にあるアンビションのペン芯と比べても似ています。
 
ニブとの組み合わせからこのペン芯もかなり古いモデルに付いているものと思われます。
 

 
さて、これで4種全て見てきました。
ちなみに全てのペン芯はプラスチック製です。
 
ニブとペン芯の組み合わせからだいたいの年代を推測できそうです。
おそらくは古い順に、B→D→C→AかD→B→C→Aという並びが想像できます。
 

 

カヴェコ万年筆字幅の比較

最後はカヴェコの字幅を比較していきます。
 
といっても全ての字幅を網羅しているわけでは無い(太字を持っていない…)のでEF~Mまでですが、EFとMの違いや、同じMの字幅でも個体差(個性?)があることが分かる比較です。
 
現在インクを入れている9本のカヴェコスポーツで書いてみました。
 

 
一番上がEF(極細字)、二番目がF(細字)、それ以外は全てM(中字)です。字幅の右に書いてあるのは使用したインクのメーカーと銘柄。
 
EFはさすがに細いですが、FとMの字幅の差はそれほど無いように感じます。
 
入れるインクの粘度によっても文字の太さに若干の差は出てくると思いますが、Mは下に行くほど太めになっています。
上の方のMと下の方のMではかなりの違いがあるとことがお分かり頂けるでしょうか。
 

 
続いて純粋にMとEFを比較してみました。
5mm方眼に書いています。
 
EFはMに比べて2分の1くらいの字幅でしょうか。スチールニブのため書き味は硬めですが、EFだとさらにカリカリな書き心地に。
インクの濃淡を楽しむならM以上が良いかと思います。
 
Mの守備範囲がかなり広いカヴェコの万年筆ですが、文字の太さだけでなくモノによってはスタブっぽい文字が書けるものもあり、どのような個性に当たるのかちょっとした購入後のワクワク感も味わえます。
(良くも悪くもですが…汗)
 
 
今回はカヴェコスポーツ万年筆の樹脂軸・ペン先のバリエーションについて書きました。
読んで頂いた方の何かの参考になれば幸いです。
 
かなり長い記事になってしまいましたが、今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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