ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
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和製極太万年筆!プラチナ万年筆の出雲溜塗り/空溜

2021年9月11日

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みなさんこんにちは。

ついにやってしまった…。ベーシックな筆記具ラインで万年筆を楽しもうと心に決めて、今までブログを書いてきたわけですが…。筆記具にも地方で普通に生活していてその辺の文房具店で手にすることはない特殊なモデルというのがあります。ちょっとお高いモデル。モンハンで言うところのリオレウス亜種みたいなもんです(限定品ではないので希少種ではない)。それに手を出してしまうとは自分でも意外でした。

いつか書いたように、私の筆記具沼の底はモンブランのマイスターシュテュック№149。だと思っていました、ハイ。149を手にするまでは。149が筆記具の沼の底だと思っていたのですが、実は149が筆記具沼の入り口だったということが判明しました。149に手を出すということは、太軸万年筆に興味が向いてしまうということだったのです!※太軸に向く傾向には個人差があります

 

実際に所有する万年筆も、一般のボールペン並みの太さ(9mm~10mm径)のものに始まり、ペリカンスーベレーンM400やプロフィットといった中級クラスを経て、パイロットカスタムやモンブラン146のような軸径が12mm~13mmの太めな万年筆に向かっていきました。そして149を手にしたとき、極太万年筆の持ちやすさ、筆記の安定感、所有満足感がこれほどまでに高く素晴らしいものかと感動しました。それ以来、万年筆やボールペンを物色するときは「軸径が太いか」がひとつの購入判断材料になっています。

 

 

そのような経緯から今回手にしてしまったものが、プラチナ万年筆の「出雲溜塗り/空溜」です。

出雲シリーズは、創業者 田中俊一氏の生誕の地である島根県出雲市の協力のもと2010年に創出された万年筆です。出雲シリーズの万年筆は、素材を吟味し、各分野の職人が最高の技術を施した「出雲ブランド」の筆記具となっています。

 

このブランド説明からも、ただならぬ亜種感が出ています…。

今回はこの出雲溜塗り/空溜の細部をレビューすると共に、他の太軸万年筆や#3776との比較も行っていきたいと思います。

 

 

 

 

【出雲溜塗り/空溜の各部詳細】

この出雲溜塗り/空溜(以降空溜)は漆塗りです。その「塗り」の幾つかある技法のなかの「溜塗り」という技法が使われており、炭で表面を研ぎ、漆を塗り込み磨くことを繰り返して仕上げられています。職人の技術と手間がかかった工芸品と呼ぶにふさわしい表面の艶は、時間とともに変化を見せてくれることでしょう。

出雲シリーズの万年筆はいくつか種類がありますが、この溜塗りは比較的リーズナブルに手に入れることができるモデルです。

 

 

さて、軸をよく見ると、真っ黒ではなく透き通っている事が分かります。幾重にも塗られた漆がこのような味わい深い深い色合いを醸し出しているのです。エッジの部分からは下地の緑色が見えていてこれがなんともシブい佇まいです。胴軸・キャップ・天冠はエボナイト製。エボナイトといえばクラシックモンブランのペン芯にも使われている素材ですね。素材が希少なために昔ほど万年筆の軸には使われなくなったようですが、空溜はこの希少なエボナイト軸に漆を塗ることで作られています。

手に収めた感じはまるで陶器を触っているかのようなしっとりとした手触りと剛性感があります。それもそのはず、胴軸・キャップともに厚みのあるエボナイトで作られているため強度も期待できます。しかし他の万年筆同様、取り扱いには細心の注意を払う必要がありますが。

 

全体のフォルムは飾り気のないつるんとした出で立ちで、胴軸から尻軸にかけてはリングはなく一体型。まっすぐな軸ではなく、流れるようなラインがつけられています。このラインもキャップのシルエットとつながっていて、ゴールドやシルバーのトリムをあしらった王道のスタイルを外した、おおよそ万年筆離れした形に見えます。

 

 

キャップを外すと首軸に向かって段階的に細くなっています。黒・緑・金の組み合わせから和を感じることができ、まさに「日本の色」と呼ぶにふさわしい色合いではないですか。金色の部分はネジ切りでキャップ開閉と、コンバーター(またはカートリッジ)へのアクセスを兼ねています。現行品ではこの金色のネジ切りは黒に変更されているようです。黒もまたシブい!

 

 

コンバーターまたはカートリッジ式で、純正コンバーター500の金色が付属しています。ここまで来たら吸入式にしてほしかったですが、わがままは言いません。コンバーターにはいつか深緑のインクを吸わせたいものです。今はウォーターマンのブラックインクを入れています。

 

左が#3776、右が出雲。

 

ペン先を見てみましょう。

ニブはプレジデントと同じ形の18金ニブが使われています。バイカラーとなっていて見た目もかなり格好良く仕上げられていますね。プラチナ万年筆お馴染みの「ハート型のハート穴」の下には刻印が「PRESIDENT 18K M(字幅) PRATINUM」。センチュリー#3776と見比べてみると、形は違えどニブの大きさはほぼ同じ。ペン芯はフィンが細くなり、横から見た形はどちらも同じような平べったい形をしています。ちなみにペン芯まではエボナイト製ではないようです。書き味はサリサリと音が鳴るほど硬めで、インクフローが潤沢ということもあって筆圧あり・なしでも同じような文字を書くことができます。

 

 

続いてキャップを見てみます。

径が18mmもある太いキャップは、特殊なクリップを含め出雲のシンボルのようです。天冠とキャップをつなぐエッジにも溜塗りの色合いが出ていてアクセントになっています。クリップは大型かつ特殊な形状で、「PRATINUM」の刻印付近の飾り刻印は和を思わせるデザインとなっています。

 

 

【モンブラン№149他との比較】

 

では、ここからは同じ太軸万年筆であるモンブラン マイスターシュテュック149他と比較していきます。全体はこのように149が可愛く見えてしまうほど。2本ともクリップやリング全体の仕上げで見事に和と洋を表現していますね。本当に素晴らしい万年筆です!

 

 

胴軸はくびれがない分149の方が太いですが、全長は154mmと空溜が長くなっています。空溜は34.5gと重量もあるためキャップは尻軸に差さず使っています。というより、漆塗りの軸に傷がいくためにキャップは尻軸に差さずに使うのが本来の使い方のようです。ニブの大きさは№149の方が大きいですね。こう比べると、いやー、流石はマイスターシュテュックの首軸からペン先にかけてのこの存在感ですよ。

 

 

ニブのサイズでいうと空溜(プレジデントニブ)はモンブランの№146と同等のサイズとなっています。ついでにM800のニブサイズとも比較してあります。こう並べるとニブサイズは似ていますが、いずれも書き心地は全くの別物。これが万年筆の面白さでもありますね。この4本の万年筆だと書き心地は右に行くほど硬くなります。

 

 

【まとめ】

 

出雲溜塗り/空溜、いかがだったでしょうか。職人の技術と漆塗りの深い透明感からにじみ出る和の雰囲気。日本製の万年筆も見た目は和洋折衷なものが多いですが、これは純和製のデザイン(ニブはプレジデントですが…)。たまらなくシブいです!いつまでも手に持っていたくなるしっとりとした漆塗りの手触りは他では味わえないものとなっています。

かなり全長が長いため、これに合うペンシースがなかなかありませんが、モデルによっては万年筆袋がついているものもあるようです。私はレザーオーダーメイドの店で特別に作ってもらおうかと考えています。

またこのような特殊なモデルを入手した際は追ってレポートします。

 

ではまた。

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