シェーファー インペリアル 330 万年筆レビュー
皆さんこんにちは。
万年筆のニブについて、皆さんはどのような形のものがお好みでしょうか。
一般的な万年筆のような剣先型のニブやウォーターマンカレンのような首軸一体型ニブ、ラミーのような差し込み型のニブ、ヴィンテージ万年筆に見られるようなフーデッドニブなど色々あります。
私が以前から使い続けている万年筆にシェーファーのインペリアルがあります。
ウォーターマンのカレンやパイロットμのような首軸一体型にありがちな、いわゆるガチニブ感が無く、独特な書き味を貫くシェーファーの万年筆。
シェーファーの象嵌ニブと呼ばれる首軸一体型のニブは、見た目が美しいだけでなくペン先の“反り”によってもたらされる柔らかなタッチが魅力なのです。
そして、首軸一体型のニブは剣先型のニブに比べてペン先がコントロールしやすいように思います。
ペンを握っている部分とペン先が一直線のため、昔から慣れ親しんでいる「鉛筆」のような感覚で筆記に集中できるからでしょうか。
そんな書きやすいインペリアルに魅せられ、もう一本シェーファーの万年筆を入手してしまいました。
次に買うシェーファーはスノーケル搭載のモデルと決めていたのですが。
ついついデザインに魅せられてしまいました…。
今回レビューする万年筆は「シェーファー インペリアル 330」。
樹脂軸の軽い万年筆なのですが、シェーファーのフラッグシップモデルである「PFM(Pen For Men)」のデザインを踏襲しながら、インペリアルのサイズにダウンサイジングしている万年筆がインペリアル330。
インペリアル スターリングシルバーと比較しながら見ていきたいと思います。
【まるで小さなPFM!インペリアル330のデザイン】
ペンの名前はインペリアルなのに、デザインはまんまPFMではないか!というのがインペリアル330。
1970年代の万年筆ですが、今も受け継がれるPFMのデザインだけあって古さを感じさせません。
写真で全体像だけ見るとPFMなのかインペリアル330なのか見分けがつきにくい非常に洗練されたデザイン。
PFMと違うところはサイズ(太さ)と吸入機構、ペン先の素材とニブのデザインです。
インペリアル330は樹脂製で非常に軽くて、コンバーターを装備した状態の重量は約19g。
胴軸だけだと13g程ですのでかなり軽い万年筆です。
胴軸の嵌合部に近い位置には「SHEAFFER-MADE IN U.S.A」の刻印。
ディオフォールドやオプティマに見られる胴軸の刻印が大好きな私にとって、この刻印はかなりのお気に入りポイント。
刻印の内容は一般的でなんてこと無いのですが、キャップをした状態でも隠れることがないためシンプルな胴軸の良いアクセントになっています。
キャップを見てみると太めのキャップリングが目を引きます。
他の万年筆ではお目にかかれないくらい大きなキャップリング。シルバーとブラックのコントラストを高めていて重厚な印象を与えています。
ペン先はスチールの象嵌ニブ。
この首軸一体型の流れるようなラインは本当に美しい!
刻印は「SHEAFFER®」と「USA」のみというスチールペン先ならではのシンプルさ。
ペン先を横から見るとわずかに反っていることが分かります。
このわずかな反りが滑らかなタッチを生んでいるのです。首軸からペン芯、ペン先へと流れるようなラインも魅力。
インクの吸入機構はカートリッジ/コンバーター両様式。
1970年代の万年筆ですが現行のコンバーターが使用可能。シェーファーのコンバーターは独自規格のためペリカンコンバーターのような欧州規格のものが嵌まりません。
しかしシェーファーのコンバーターが1本あれば、だいたいの年代のシェーファー製万年筆に合わせることができて便利です。(一部嵌まらないモデルもあります)
キャップをポストして持ってみるとかなりバランス良く持つことができます。
見た目もキャップリングが良いアクセントになっていて、非常に格好いいシルエットとなっていますね。
【インペリアルスターリングシルバーと比較】
続いてインペリアル同士で比較をしていきます。
比較していくのはインペリアルスターリングシルバー(この項では以下インペリアルSS)。デザインこそ違えど各所に互換性があり色々なことができたりします。(色々なことは後ほど)
外観を順に見ていきましょう。
インペリアルSSとインペリアル330の天冠のデザインは違っていて、SSは丸く、330は四角い天冠。
タラニスもそうなのですが天冠の四角が胴軸に近づくにつれて丸くなっていくという独特なデザインが採用されています。
クリップはどちらもシェーファーの顔とも呼べるホワイトドットにショートクリップ。
小さなクリップですがバネが仕組まれていて取り扱いはしやすく、挟む力も申し分ありません。
尻軸は同じ丸いシルエット。
330は樹脂ということもありエッジの効いたデザインです。
インペリアルSSが天冠と尻軸の両方が丸いデザインをしているのに対して、330は四角と丸。
ペン先を比較してみます。
インペリアルSSが14金ペン先、インペリアル330がスチール。
刻印で見分ける方法もありますが、象嵌ニブの菱形(SS)と三角形(330)でも見分けることができます。
こちらは14金の長く大きなニブの方が高級感がありますね。
【インペリアルの互換性】
インペリアル330はデザインこそPFMでありながら「インペリアル」と名が付くだけあって、スターリングシルバー軸のモデルと互換性があります。
まず、首軸の径と胴軸の径が同じ。
2本を並べてみると胴軸のパーツの構成は違うのですが、長さ・太さが同じです。
330の胴軸を構成するパーツは樹脂のみで、スターリングシルバーの方はネジ切り部が樹脂、胴軸がスターリングシルバーとなっています。
首軸のネジ切り部分を見比べると、コンバーター差し込み部分のデザインは違いますがネジの溝数は同じ。
そのため、2本の胴軸は差し換えて使うことができるのです。
ただし、インペリアルスターリングシルバーはカートリッジ/コンバーター式のモデルとタッチダウン式のモデルがあるため、330と互換性があるのは前者のみとなりますが。
銀軸に銀(スチール)ニブはなかなかにマッチしていて格好いいですね。
キャップをそれぞれ嵌めてみました。
こちらも嵌合箇所と胴軸が同じゆえ互換性有り。
若干キメラな感じもしますが、どちらの軸とキャップも似合っています(と思うのは私だけ?)
インペリアル330の胴軸が軽いと感じる場合は、スターリグシルバーの胴軸に付け替えることで重さを調節することもできるわけです。
このように自由にカスタマイズを楽しめるのも互換性があるからこそですね。
【ペン先比較とシェーファーの書き味】
最後に手元にあるシェーファーの万年筆のペン先を比較して、その独特な書き味に迫っていきたいと思います。
インレイドニブとトライアンフニブ。
この見た目の美しさは、ある意味万年筆離れしていると言えます。
横から見比べてみましょう。
どちらのペン先も反っていることが分かるのですが、トライアンフニブはニブの厚みが分厚く、反りも3本の中では断トツで書き味についても一番硬いと感じます。まるで鉛筆のような真っ直ぐな書き心地。
個人的にトライアンフニブのペン先は特に美しさが頭抜けていると感じていて、このペン芯を包み込むような複雑な構造がたまりません。
ヴィンテージのシェーファートライアンフニブには14金やスノーケルを装備したモデルまで多種多様。
14金の書き味も気になるところです。
一方、インペリアル330のスチールのインレイドニブは、ニブの厚みは薄いのですがスチールらしいカッチリとした書き心地。
力をかけてもペン先は開くことはなく、しならないのに紙へのタッチは滑らかという不思議な感覚です。
スルスルとインクがでてくるのですが、よく見るとペン芯がエボナイト。
インクフローが潤沢なのも頷けます。
インペリアルスターリングシルバーの14金はさすがに金ペンとあって筆圧に反応してペン先が開き、ある程度字幅のコントロールが可能。
金ペンということで3本の中でも一番柔らかさを感じます。
手元にあるスターリングシルバーモデルはペン芯がプラスチックとなっています。
いずれも他の万年筆に比べてペン先が硬いと言えば硬いのですが、サリサリと音を立てるような硬さではない。首軸からペンポイントにかかる筆圧をペン先の反りがうまく逃がしているため、非常にタッチが滑らかなのだと考えます。
さて、今回はシェーファーのインペリアル330万年筆をレポートしました。
インペリアル330はPFMのデザインを手軽に持ち運べて、尚且つ同じインペリアルで軸交換カスタマイズして遊ぶことも可能という、一粒で二度おいしい万年筆でした。
定期的にぶり返すインレイドニブ使いたい欲とシェーファー増やしたい欲はいったい何なのか。
そしてスノーケルでインク吸ってみたい欲。
いつになるか分からないですが、インペリアル330を本家PFM(もしくはレガシーヘリテージ)と並べられる時を夢見て。
今回はこの辺で。お読み頂きありがとうございました。
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