個性溢れる銀軸のソネット!【パーカー ソネット フジェール ボールペン レビュー】
皆さんこんばんは。
今回は久しぶりの銀軸ボールペン記事です。
ひとたび銀軸の筆記具を手に持てば、金属軸の中でも温かみを感じる独特の手触りと美しい彫刻、時間を共にしていくことで味わい深く変化する表面など、幾つもの魅力を感じることができます。
銀軸を持つ人で、銀軸の経年変化による硫化の黒ずみを「磨かないといけないから面倒くさい」と感じている人が少ない(ほぼいらっしゃらないのではないでしょうか?)のも面白いところ。
長年連れ添っている車や愛用するクラシックカメラを磨くのと同じで、道具を磨くという行為はますますその道具との距離を縮めていくということになるのです。
今回レポートする銀軸ボールペンは「パーカー ソネット フジェール」。
1994年に発売され、その後ソネットの25周年記念モデルとして2019年末に復刻。
今もシズレと並びソネットのスターリングシルバー軸ラインナップとして名を馳せています。
手元にあるフジェールBPは少し変わった、というより面白い仕様で、なんでこうなったと声が出てしまう特徴を持っています。
たまたま出来上がった珍品も筆記具の醍醐味!
ということで、パーカー ソネット フジェール ボールペンを比較しながら見ていきたいと思います。
誰の手にも合うのがソネットというボールペン
職場の後輩にお勧めしたのがパーカーのボールペン。
どのモデルを勧めたというわけではないですが、後輩が買ったのがソネット。
私の職場だけかも知れませんが、自分が職場を異動する前も異動したあとも、男女問わずパーカーのボールペンを使っている人が多いんですよね。
(ちなみに1位はジェットストリームエッジ、2位がCROSS、3位くらいにパーカーです)
海外メーカーボールペンの中でも油性インクの性能が良く(変なクセがない)、ネームバリューもあるため家族や親戚からプレゼントされる人も多いようです。
ソネットの人気の理由は、この10mmという絶妙な軸径に加え、胴軸・キャップともに総金属軸からくる20g~30gまでの重量、そしてその重みから感じる高級感ではないでしょうか。
このソネット フジェールは見た目に関しては好き嫌いがスパッと分かれるデザインをしています。
貴族かどこぞの御曹司が使っていそうなエレガントな彫刻。
Vの字に規則正しく並んだギロシェパターンがシェブロン柄を形成しており、さながら羊歯(シダ)のような模様となっています。
これはパーカーのフジェール以外では見たことなく、オリジナリティ溢れる彫刻と言えますね。
しかしその彫刻からか、同じスターリングシルバー軸のシズレほどのグリップ感はなく、筆記する際はシズレより保持に力を要します。
▲ソネットスペシャルエディション ストレータPGT
ラッカー軸の握りやすさもパーカーソネットの使いやすさを決めているポイントではないでしょうか。
胴軸がグレーラッカーのストレータPGT。
キャップには地層を模したレーザー刻印のデザイン。
キャップの地形図は登山地図を連想させ、旅で抱く「探究心」や「内省」を表しています。
矢羽クリップはまるで行き先を示しているかのよう。
モダンなデザインが多いパーカーソネットは、きっとお気に入りのデザインが見つかるはず。
フジェールの軸と刻印
見る角度によって様々な表情を見せるフジェールの胴軸。
シダの葉のように連なったギロシェパターン。
それを隔てるストライプも絶妙な配置で、パーカー75 プラスヴァンドームでもそうだったように個性的な柄でありながらクドくならず、上品さが感じられます。
フジェールは特にキャップに刻印が集中しており、中でもキャップリングの情報量は多め。
パーカーの旧ロゴに「PARKER SONNET」「FRANCE I」の刻印が見えます。
「I」はお馴染みの製造年を表すコードで、こちらの製造年はフジェールが発売された1994年のものだと判断できます。
※2004年製造という線も無くはないですが、フジェールが10年間も製造されていたとは考えにくいため。
旧タイプのソネットの特徴として、キャップリングの幅が広くラインが上部に1本のみ。
2019年に復刻されたフジェールのキャップリングは現行のソネットと同じく二本のラインが入っており、よりスタイリッシュなデザインとなっています。
さらに「FRANCE I」の下にはお馴染みの「PPマーク」。
さらにさらに、キャップの方に目をやると そこにもPPマークと925の刻印が見えます。
フジェールのキャップと胴軸の素材はスターリングシルバー(シルバー925)のため、それを表す刻印と、ここにも菱形のPPマーク。
その横にはほぼ潰れてしまっていますが、ホールマークのようなものが刻印されている事が分かります。
クリップの付け根には「METAL」の素材刻印。
これは通常モデルのソネットにはついておらず、胴軸やキャップにシルバー925が使われているモデルについている事が多い刻印。
手元のモデルではシズレには無く、あるのはフジェールのみとなります。
そして冒頭にも書いた通り、このフジェールには特殊なモデルと言っていい個性が刻まれているのです…!
キャップリングに「Canon」。
言わずと知れた日本の大手精密機器メーカー。カメラやプリンタなどでもお馴染みですね。
はい、ということで、こちらはCanonの贈答品と思われます。
1994年のCanonというと、IBM社と小型コンピューターの開発・生産で提携したなど色々な事が起こっています。
手元のフジェールがどのような出来事による贈答品として配られたかは定かではないですが、企業刻印とシリアルコードから、企業のその年に起こったことを遡って調べるのも面白いものです。
そして、これだけでは終わらない手元のソネット フジェール。
天ビスに目をやると「T」のマークが…!
これはパーカーがよくやるティファニー(Tiffany & Co.)とのWネームではないですか。
パーカーの他モデルではデュオフォールドの天冠に「Tマークとロゴ」や、パーカー75のキャップリングに「Tiffany & Co.」の刻印があるものを見かけます。
ソネットの天ビスに「T」はあまり見かけたことがありませんが、TのフォントからTiffany & Co.のWネームであることはまず間違いないでしょう。
ということで このソネット フジェールは、パーカーとティファニーのWネームモデルのCanon贈答品というややこしい個体だということになります。
うーむ、1本のペンに3社のロゴ入りという情報量。
こういった珍品に出逢えるのも廃番モデルを探し、手にする楽しさと言えましょう。
3本のソネットから見る、年代によるバリエーション
さて、手元にあるソネットはフジェールとシズレとストレータの3本。
実は製造年代が異なることから、同じソネットでも微妙に各部のデザインが異なっているのです。
▲左から、シズレ、フジェール、ストレータ。
胴軸のバリエーションを集めだすと相当な数になることから、ソネットのコレクターの方は大変だと思いますが、私はこの3本で十分です。
ほとんどのソネットがストレータのようなラッカー塗装となっており、シルバー925が使われている軸は記念モデルであることが多いです。
ペン先の比較です。
口金の金属型はいずれのモデルも同じ。
違っている点としては「ライン」の本数で、バリエーションは写真の3種類を確認しています。
おそらく線の数が増えるほど「上位モデル」という位置づけになるかと。
キャップを外した胴軸部分の比較。
構成されるパーツは3本とも同じようですが、キャップとの接続部分のみフジェールと他の2本で違いがありました。
接続部分の拡大です。
おそらくですが、シズレ(右)とストレータ(左)のネジ切りパーツは同じで、フジェールのみ形状が異なっています。
フジェールは、ネジ切りに向かう部分が傾斜しているのとラインが一本。さらに素材も色合いからシルバー925が使われていそうです。
となると、1994年製の線がますます濃くなったような気がする手元のフジェール。
(黒い樹脂パーツに部分も一番くたびれていますし…)
続いて、それぞれのモデルのクリップとキャップリングを比較してみます。
まずはフジェールのクリップとキャップリング。
現行より前の世代のクリップであるフジェールは羽のラインが片面が7本。
これはあくまで考察ですが、パーカーのアイコンである矢羽クリップの羽の数は、年代を追うことに少なくなっており、デザインもアイコニックなものに変更されていると考えています。
(ラインナップによって矢羽の形状はことなりますので“ソネットについては”ということを付け加えておきます)
手元のフジェールとシズレは矢羽クリップ自体の形は似ていますが、羽を形取るラインの本数はフジェールよりシズレの方が少なくなっています。
こちらがソネット シズレの矢羽クリップとキャップリング。
クリップの矢羽ラインの本数は5本で、キャップリングのシリアルコードのアルファベットは「T」。
おそらくですが2005年製造です。
フジェールに比べてキャップリングの幅も狭くなり、現行のソネットのデザインに近づいているようにも思います。
(シズレは最近磨いていないので変色していますね…)
そしてこちらが現行に最も近い(というか現行品も同じ?)、ストレータのクリップとキャップリングです。
クリップはアイコニックでモダンなデザインの3本矢羽。
キャップリングも3本のラインが等間隔に配置され、デザインとしても非常に洗練されています。
シリアルコードの刻印は「ⅢP」。
2018年に発売が開始されたストレータですので、製造が2017年というのも頷けます。
ストレータのトリムは「PGT」=ピンクゴールドトリムですので、他の2本とは色味が異なります。
個人的に歴代のソネットで一番好きなキャップリングのデザインがこのデザインです。
最後は、天ビスの比較です。
左から、シズレ、フジェール、ストレータ。
基本、丸い天ビスが嵌まっているソネット。
横から見ると丸かった天ビスは現行品に向けてエッジが立つようになり、よりシャープな印象に。
同じソネットでも年代毎に違いが見られるのが面白いところ。
これはソネットに限らず、デュオフォールドやエントリーモデルのジョッター等にも見られる、ベストセラーの筆記具だからこそあり得るデザインの違いなのです。
↓デュオフォールドの年代によるバリエーションの違いについてはこちらの過去記事へ
パーカー筆記具サイズ比較
最後はまとめ的に、手元にあるパーカーのボールペンを並べてみます。
左から、
デュオフォールド プレステージ ブルーシェブロンGT
プリミエ ラックブラックST
ソネット フジェールGT
ソネット ストレータPGT
ソネット シズレGT
パーカー75 シズレ
面白いことに、右のパーカー75以外はほ全長が同じというパーカーのボールペン達。
プリミエ~デュオフォールドと上位モデルになるにつれて軸径は太くなり、より高級感が増しています。
この中ではパーカー75以外が回転繰り出し式、75のみノック式となっています。
パーカーのボールペンはスプリングが硬めでしっかりとした回し心地。
その操作感が気に入って使われ続けている方もいらっしゃるようです。
さて、今回はパーカー ソネット フジェール ボールペンを、同じソネットと比較しながらレポートしました。
新旧含めかなりの数のデザインが出ているであろうソネット。
2022年現在、28年目のソネットはこれからどのようなデザインの軸が発売され、この先どのように変化していくのでしょう。
ボールペンとしてもクインクフローのインク性能を踏まえ十分に信頼できるもので、男女問わず贈答品が多いのも納得できます。
また、ノック音が気になる方、リーズナブルだけど高級感のあるボールペンをお探しの方に「ソネット」はピッタリの選択肢となるのではないでしょうか。
そんな中、フジェールのような個性豊かな一本を手にするのもお勧めです。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません