検証!ファーバーカステルクラシックコレクションのローラーボールと万年筆は互換性があるのか
最近、仕事で使う筆記具は油性ボールペンとローラーボールがメインとなっています。
万年筆はどちらかというと、どっしりと腰を据えて物書きする時に向いていると感じていて、走り書きが多くなる(ということは速乾性が求められる)仕事中は出番が限られてくるように感じているからです。
今までの記事で、ローラーボールはモンブランとペリカンの水性インクがお勧めですよ~というのを何回か書いているのですが、ことペリカンの水性インクについてはリフィルに互換性があるメーカーの軸が多く、書きやすいインクかつ軸がある程度自由に選べるという点で重宝する形となっています。
私自身は美しいアウロラのマーブル軸やファーバーカステルのシルバー925軸にペリカンのリフィルを入れて使うのが定石となっていて、今は個人的な興味も油性ボールペンや万年筆よりローラーボールに向いていると言って良いでしょう。
さて、今回は少し前に入手して仕事で絶賛活躍中のローラーボール、
「ファーバーカステル クラシックコレクション スターリングシルバー ローラーボール」
(以下シルバー925)
を見ていくのですが、さらに前から使っている同じくクラシックコレクションのエボニー万年筆と主軸の互換性確認やキャップの特徴の比較などを行っていきたいと思います。
それではいきましょう!
一本は持っておきたいクラシックのシルバー925軸
書く筆記具メーカーから発売されている(過去にされていたものも含む)シルバー925モデル。
ズッシリとした手応えと、シルバー特有の温かみのある金属の色合い、クロームとは明らかに違う手に吸い付くようなグリップ感など、筆記具好きであれば一本は手にしたいと感じるのではないでしょうか。
(昨今は木軸が流行っていますが、金属軸も良いものは良いです)
銀無垢の軸は使っているうちに硫化して黒ずんできますが、それもまた味。
手入れが面倒だなと感じる方は、プラチナコーティングが施されたものを選ぶのも◎。
シルバー925の軸には銀無垢を表す小さな刻印があり、各メーカーや製造国によって様々な刻印が楽しめるのも面白いところ。
ファーバーカステルも「楕円に925」という刻印が至る所に見られます。
打ち込まれた刻印にそそられるのは私だけでしょうか?
クラシック エボニーとシルバー925の軸を並べてみました。
パッと見の違いは油性ボールペンの時と同じように天冠のリングの数とクリップの長さでしょうか。
天冠のリングの数はクラシック木軸モデルが一本、シルバー925モデルが二本。
クリップからローレットまでの長さが違うため、ファーバーカステルのエンブレムは木軸モデルが大きめ、シルバー925モデルが小さめとなっています。
尻軸パーツの形状は全く同じ。
こちらは取り外しのきかない部分となりますので、2個イチやユーザーでの交換は不可。
胴軸が木軸かソリッドな金属かで随分と印象が変わります。
キャップリングの刻印はどちらも打ち込みで、シルバー925モデルの方が文字が大きめ。
こちらのモデルはエンブレム(ロゴ)が変わる前の旧モデルのため刻印系は打ち込みですが、近年のクラシックコレクションはレーザー刻印となっているため印象が少し異なる場合があります。
エボニーとシルバー925のボールペン・万年筆・ローラーボール。
油性ボールペンはご覧の通りのデザインですが、万年筆とローラーボールは他のメーカーと同じで外観がほぼ同じで見分けが付きにくいです。
それにしても美しいクラシックコレクションのデザイン。
「伯爵コレクション」と言われるだけあって大人の道具としての雰囲気たっぷりでエレガンスを感じます。
それぞれのモデルの天冠の比較。
あとでまとめておきますが、リングの違いの他にクリップにも違いがあるなど、フラッグシップモデルの最上級グレードたる仕様となっているのです。
万年筆の首軸と入れ替えて使ってみた
手元のクラシックコレクション シルバー925モデルがローラーボール。
これほど万年筆と見た目が同じなら、グレードが違う木軸モデルの万年筆と互換性はないのだろうか?
ということで、これを検証していきます。
キャップをとって二本を並べてみました。
キャップの違い以外はパーツの互換性が多そうなエボニー(万年筆)とシルバー925(ローラーボール)。
首軸のグリップ部分のデザインも全く同じですね。
槍のように美しいペン先。
万年筆のバイカラーニブも美しいですが、ローラーボールのシンプルで直線的なフォルムも捨てがたい。
ペリカンやクロスのローラーボールペン先とも似ているデザインが、いつかローラーボールが増えてきたらペン先の比較もしてみたいです。
それでは、本題です。
925と刻印されてあるローラーボールの首軸をクラシック エボニーの万年筆首軸を交換してみます。
首軸を外してみます。
カートリッジを差してある方が万年筆。
二本の首軸を比べた時、ネジ切りの長さが違うことに気付きます。やはり構造は全く同じではなさそうですね。
胴軸側はどうでしょう?
エボニーの方の内部が汚れているのはご愛敬。
造りやネジ切りの数は二本とも同じ。ということでネジ受け側は同じようです。
付け替え後。
ネジ切りの数は違えど、軸径やネジ受け側のパーツが同じということもあり違和感なくすんなり嵌まりました。これは…いけるぞ…!
しかし、よく見ると「シルバー925ローラーボール→エボニー万年筆」の方は首軸と胴軸の間に隙間が生じています。
首軸側の形の違いからこのようになると考えますが この状態でもガタつきなどはなく、キャップも問題なく着けることができました。
逆にクラシックエボニーの首軸はシルバー925の胴軸にしっかりと収まっている事が分かります。
ということで結論は、
925ローラーボール首軸→クラシック万年筆胴軸への装着は△。
クラシック万年筆首軸→925ローラーボール胴軸への装着は○。
となりました。
ファーバーカステルの伯爵コレクションはエントリーモデルのギロシェ、木軸のクラシック共に18金ペン先が採用されています。
ギロシェの万年筆は持ち合わせていませんが、色々組み替えを試してみるのも面白そうです。
木軸モデルとシルバー925モデルのキャップの比較まとめと首軸のナンバーについて
それでは前項までのキャップ比較の情報をまとめてみます。
似たような造りですが並べると明らかな違いがあり、これを理解しておけばキャップのみ入れ替わっている個体があったとしても 写真を見ただけで判断できるかと思います。
さて、以前の記事でファーバーカステル伯爵コレクションの首軸(口金)に刻まれるナンバーの謎について書きました。
今回クラシックコレクションでは初のローラーボールを手にしましたのでナンバーを確認し、考察していきましょう。
前項で登場した首軸内部のネジ切り部分です。
伯爵コレクションの全モデル(ギロシェ、クラシック、シルバー925)を通して、ほぼこの部分にナンバーが刻まれています。
左のエボニー万年筆には「020707」、右のシルバー925ローラーボールには「020914」というナンバー。
Twitterで数本の伯爵コレクションをお持ちのフォロワー様とナンバーを確認したところ、どうも「**/MM/YY」ではないかという結論に。
最初の2桁「**」の部分は01~04までのナンバーしか確認できず、もしかすると時期に合わせた通番か、週に割り当てられたナンバーという考えが有力となりました。
それを当てはめると、エボニー万年筆は2007年7月製造、シルバー925のローラーボールは2014年9月製造となります。
手元にあるすべての伯爵コレクションのモデル・筆記モード・ナンバー等の情報を表にすると書きのようにまとめることができます。
やはり最初の2桁には05以降の数字はなく、また、筆記モードによってナンバーがまとめられているということもないようです。
ナンバーのあとに付く「PT」はおそらく「プラチナコーティング」の意。
惜しむらくはメーカーロゴが「新」のモデルがシルバー925のボールペン一本しかないことですが、最初の2桁の謎が解ければスッキリしそうですね。
ローラーボールの安定的な書きやすさ
最後に伯爵コレクションのローラーボールの書きやすさについて記していきます。
冒頭でも書いたとおり、私は伯爵コレクションのローラーボールにペリカンのリフィルを差して使っています。以前にイントゥイションのローラーボールを持っていたのですが、インク滲みが酷かったため手放してしまいました。
ファーバーカステルの水性インク全体がそうではないかも知れませんが、筆記感や水分量がクロス(CROSS)に近く感じられ、インクフローもドバッと出てくる感じが私には合わなかったのだと思います。
一方、ペリカンやモンブランのローラーボールリフィルは水性インクでありながらどことなく油性に近い粘度で、言ってみればジェットストリーム等の低粘度インクに近いように感じます。
水分量が多すぎないことのメリットは紙に書いた時に裏抜けしにくいこと。
特にノートに書く場合は裏抜けすると次ページの読みにくさ・見づらさに繋がります。
そのため、高粘度?の水性インクは裏抜け防止対策という意味でも出番が多くなるわけです。
首軸を入れ替えたついでと言っては何ですが、
クラシックの万年筆(EF)とクラシックのローラーボール(F)を書き比べてみました。
筆圧によって字の太さがある程度変わる万年筆と違い、一定の字幅で文字が書けるのがローラーボールの特徴であり日本語を書く上での強み。
うーむ、よくよく考えるとエボニー万年筆に入れてあるインクもペリカンでした。
字幅EFの万年筆よりもFのローラーボールの方が細い字が書けますので、細字好きにもローラーボールは適しているのかも。
クラシックスターリングシルバーのキャップを省いた胴軸の重さは35g(キャップのみで17g)。
とズッシリとした筆記感。
軸の重みと水性インクから筆圧は必要とされず、スラスラとペン先が走ります。
見た目も万年筆然とした出で立ち。
万年筆を使ってみたいけど手入れや書くまでの準備が大変そう、とお感じの方にもこの手軽さはお勧めできます。
軽い軸がお好きな場合はペリカンやモンブランの軸も良いでしょう。
本当に美しい首軸のシェイプとペン先。
これはまさに一生モノの相棒です。
さて、今回は「ファーバーカステル クラシックコレクション スターリングシルバー ローラーボール」の万年筆首軸交換と、クラシック(木軸)とのキャップデザインの比較を見てきました。
クロスのタウンゼントもそうでしたが、万年筆とローラーボールには首軸・胴軸に互換性のあるものが多く、このファーバーカステル クラシックコレクションについても例外ではないことが分かりました。
万年筆のような軸のシルエットにボールペンの手軽さを合わせたローラーボール。
これからも各メーカーのモデルについても注目していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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