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極細字の日本製万年筆 【プラチナ #3776 センチュリー】

2021年9月11日

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こんにちは。皆さん、順調に万年筆は使っていますか?以前の記事でセーラー万年筆のプロフィット、パイロットのカスタム74のレポートを書いてきました。そして少し前に、日本三大万年筆メーカーの残りの一つである「プラチナ #3776センチュリー」を手に入れましたので、プロフィットST、カスタム74との比較を一部交えながらレポートしていきたいと思います。

 

 

 

 

ほとんどのビジネスマンは日常、日本語を書くか打つかして仕事をしていると思います。仕事で万年筆を使う方、使わない方、様々だと思います。まあ、普段仕事では専らボールペンを使うという方がほとんどではないでしょうか。(こういった記事を好んで読まれる方以外は)

私は仕事でフィードバックコメントを書くときや会議のメモには積極的に万年筆を使うようにしています。万年筆を使ったことがない部下から見ると「変わったペン使ってますね」なのですが、やはり仕事は一日の大半なわけですから、どうせなら書く気が高まる筆記具を使わないと!と思うのです。大きめの用紙に書く場合は海外製万年筆のFEF、日本製万年筆のMでダイナミックに。小さめのメモ帳や罫線の入ったノートに書く場合は繊細な日本製万年筆のEFを、といった具合に使い分けています。

 

シーンに応じて様々な万年筆を使っていると、書くことが楽しくなり、仕事もより楽しくなります。ボールペンの筆記感とはまるで違う、紙の上をペン先が滑りインクを置いていく感覚がなんとも楽しいではないですか!

 

そんな毎日楽しい思いをするキッカケになったのは一本の万年筆でした。

「モンブランNo.22

これは筆記具の師匠から譲っていただいたもので、今でも大切に持っています。私の始祖の万年筆ですね。一年半ほど、常備する手帳に挿して使っていました。万年筆で一番細いペン先はEFである、と自己学習して知っていたので、このNo.22のペン先も一番細いのだろうと思って使っていたのですが

次に手にしたウォーターマンのカレン、いわゆるガチニブのEFを体験したときに、「アレ、同じEFなのにコイツ、No.22より細いぞ?」と気付いてしまったのです。ペン先は字幅の表記が同じでも生産国やメーカーブランドによって微妙に字幅が異なるということを。それから一本、また一本と万年筆が増えていったのは言うまでもないです。

 

ということで、私の万年筆の導入は海外メーカーのものです。かなり前に、instagramで海外製万年筆について投稿したところ、ある方から「プラチナのUEF使ってるけど良いよ!」というコメントをいただきました。そのときはなんとなく「プラチナのUEF」というワードだけが頭に残った程度だったのですが、海外製万年筆から日本製万年筆に移行しだした頃、私はセーラープロフィットで日本語を書いたときの書きやすさに、ものすごく大きな衝撃を受けることになります。

 

その衝撃で頭の片隅にあった「プラチナのUEF」が脳ミソの真ん中に滑り出たわけです。

 

今まで持っていた万年筆の中で一番日本語が書きやすいと感じていたのがセーラープロフィットのH-Fでした。漢字がとにかく書きやすい。しかし今回、それに勝るとも劣らない万年筆があることに気付きました。プラチナ センチュリーの頭の片隅に残っていたUEF(極細字)のペン先を手にして、やはり日本語を書くには日本製万年筆が適していると確信したのでした。(ここまで書いていて、次はパイロットの細字も試してみたくなりました)

 

とてつもなく長い前置きで、しかも話が脱線しまくりましたが、今よりプラチナのセンチュリーをレポートしてきます。

 

 

 

 

 

 

 

【#3776センチュリーの外観】

 

私が手に入れたのは#3776センチュリーのブラックダイヤモンド。写真では分かりにくいかも知れませんが、濃いめのクリアブラックで中の構造がほんのり透けています。クリップやキャップリングといった金属部分の色はシルバーです。持っている黒軸の万年筆はゴールドとの組み合わせが多いのですが、シルバー×黒のソリッドな感じはゴールド×黒以上に好みです。

 

デザインはまさに王道。日本のもの作りの真面目さがそのデザインにも出ているといえます。プラチナ #3776センチュリーは発売当初から大きくデザインが変わったということはありませんが、現代に合った外観デザイン・筆記バランス・書き味・インクの流れ等の機能について改良に改良が重ねられ、まさに熟成した万年筆となっています。

 

 

 

 

【インク乾きが起こらない秘密はキャップにあり】

 

キャップからは「スリップシール機構」がうっすらと見えています。スリップシール機構とは回転ネジ式キャップの中に完全気密キャップを組み込むことで、インクの乾きを最大限に抑える機構のことです。これにより、通常の万年筆の場合、キャップをした場合でも4ヶ月程でインクが流れなくなるところ、#3776センチュリーは約2年もインクを持たせることができるそうです。

 

万年筆を使っていて、他の筆記具と比べ一番気になる点はやはりインクの乾きだと思います。特に手帳などに挿して使う場合、ペンケースの中にあるときとは違いペンがむき出しになるため、ペン先の乾燥は避けられません。手帳にいざ書き込もうと思ったとき、インクが出てこないという体験をしたことがあるので、2年持つということは本当に革新的なことです!

これはプラチナ万年筆を使うにあたり大きなアドバンテージと言えますね。

 

 

 

クリップは実にシンプルな形をしています。モンブランとも若干似ているところがありますね。シンプルでありながらしっかりと挟む力もあり、非常に機能的なデザインです。

 

 

続いてキャップリングの形状と刻印です。#3776 センチュリーは細いリングが一本、太いリングが一本となっています。刻印は「#3776 p PLATINUM MADE IN JAPAN」。3776の字体からはクラシカルな印象も受けます。

 

 




 

 

【独特な書き味を生むニブの形状】

次にニブを見ていきます。国内外問わず、万年筆のニブはアーチ状になっていることが多いのですが、センチュリーは平べったい形をしています。

 

 

 

ニブの刻印。上から「#3776 p 14K UEF 585」。3776とは富士山の標高を指しています。このあたりはモンブランの万年筆と同じですね。

 

 

 

ニブのラインは富士山を形取っています。言われてみれば、あー富士山!となる、さりげないデザインではないでしょうか。

 

 

 

さらに、プラチナ万年筆のニブのチャームポイントとして、「ハート穴の形がハート」であることが挙げられます。他のメーカーの万年筆はほとんどが丸型です。(一部の万年筆には三日月型やその他の形の穴もあり)これは女性から見ても可愛い!となるのではないでしょうか。

 

 

 

ニブを横から見たところ。大きめのニブですが、横から見たときの厚みはなく、平べったいニブだとうことが分かります。

この独特な形状がペン先のしなりを生んでいるようです。ペン芯のスリット数は多くはなく、大きさも小ぶりです。

 

 

 

 

【#3776センチュリーの尻軸・コンバーター】

 

尻軸は丸みが強いです。シルバーのリングがアクセント。キャップのクリップリングの太さと同じにしてあるあたり、デザインの統一感を感じます。

こちらもうっすらと中のコンバーターが透けて見えています。

 

 

コンバーターは700#9。容量は0.53ccです。今回は軸がシルバー×黒のためシルバーの700#9を選んでいますが、色違い(ゴールド)の500#9もあります。デモンストレーターのような透明軸の場合、好きなコンバーターの色を組み合わせるのも楽しそうです。

 

インクはセーラーの青墨を入れています。細字の万年筆には粒子の細かいセーラーのナノインクがいいかなと勝手に思って入れていますが、乾きが早い、裏抜けしない等、手帳で使うのにかなり使い勝手がいい組み合わせです。

 

次の項では日本三大万年筆メーカーの比較を行います。

 

【日本三大万年筆メーカーのエントリーモデル比較】

 

 

左から

 

・パイロット カスタム74

・プラチナ #3776センチュリー

・セーラー プロフィットST

 

いずれも2万円以内で買える万年筆です。外観ですが、カスタム74がこの中では一番長く、プロフィットがやけにコンパクトに見えますね。国産万年筆はどれも似たような形と思っていましたが、比べてみると違いがよりハッキリしてきます。

黒×シルバーかゴールドかで与える印象が大きく変わりますね。ゴールドだと豪華に、シルバーだとスタイリッシュに。

 

 

 

続いてキャップです。

 

こう見るとパイロットのクリップ形状は個性的だなーと思います。ひと目でパイロットと分かるデザインは感心するばかりです。

一方、プラチナとセーラーは万年筆の王道なデザインを作り上げたと言っていいでしょう。シンプルなクリップデザインでありながら洗練されています。

 




 

 

【ペン先比較/#3776センチュリー×プロフィット】

#3776センチュリーのUEFとプロフィットのH-Fのペン先を見比べてみます。どちらも極細字ということですが違いがありますね。筆記感がまったく違うので当然と言えば当然なのですが…。

 

 

表から拡大して撮影。センチュリーはペン先がかなり尖っています。一方、プロフィットは丸くなっています。

 

 

ペン先の裏側を拡大。

これはそのまま筆記感に現れていて、センチュリーの方はサリサリと音がするくらい硬め。少し角張っているペン先の形状が指に伝わり、ペン先の向きを変えるときは少し抵抗を感じるくらいです。よほど筆圧をかけない限りは安定して同じ細い線が書けますね。ニブの形状も関係しているのか、まさに極細字を書いてる!という感じがします。

 

 

ペン先を横から。 

プロフィットは細いながらもペン先が柔らかくまろやかなタッチ。丸い形状のペン先がその筆記感を物語っているようです。筆圧をかけるかけないで字幅もある程度変えることができます。言ってみれば極細の筆のような感じでしょうか。

 

 

 

同じ内容をそれぞれのペンで書いてみました。やはりUEFの方が字幅は細く、漢字を見たときに筆圧をかける永や夏や楚のような漢字の「はらう」部分に差が見られます。波の図のように円形や斜めの線を書く際は、センチュリーのUEFは硬い筆記感特有の抵抗を感じ、逆にプロフィットの丸くて柔らかいペン先だと斜め線はスムーズです。しばらく使うことでペン先が筆記癖に馴染んできますので、センチュリーの筆記時の抵抗が変わる可能性もあります。

 

カッチリした硬めのペン先で安定した細字を書きたい場合はセンチュリーのUEF

柔らかい書き味で強弱をつけた文字を書きたい場合はプロフィットのH-F

 

どちらが良いかは好みになりますね。

 

 

 

 

【#3776センチュリーまとめ】

入手した#3776センチュリーの詳細および日本三大万年筆メーカーのエントリーモデルを比較してきました。センチュリーのUEFというペン先は噂に違わず、ペン先の細さとインクの供給により安定した細字を約束してくれます。また、プラチナ万年筆ならではのスリップシール機構が、乾かない万年筆として安心と信頼を与えてくれます。こういう、万年筆のウィークポイントを潰していく発明は素晴らしい。とにかく日本の丁寧なモノづくり精神が随所に生きた万年筆です。私は手帳に挿して使っていますが、手帳との相性も抜群だと感じています。あとは使っていくうちにペン先を自分のものにしていくだけでしょうか。

軸色のラインナップとしてブラックの他にブルーやレッドもありますので、お手持ちの手帳に合わせてみるのもいいかもしれません。

 

以上、プラチナ#3776センチュリーのレポートでした。

ではまた。

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