細軸好き必携万年筆! 【CROSS クラシックセンチュリー 万年筆 レビュー】
みなさんこんにちは。
カヴェコでミニ万年筆が気になりだし、モンブランマイスターシュテュックモーツァルト#114を経て、次なるコンパクトな万年筆を入手しましたのでレビューしていきます。
厳密に言うと今回は「ミニ」ではなく「極細」になるのですが…。
私が筆記具に興味を持ち出すきっかけとなったクロスのクラシックセンチュリー。
値段が手頃で手が出しやすく、デザインも洗練されているためプレゼントで貰ったという方も多いのではないでしょうか。
クラシックセンチュリーは歴史としても長いため、様々なバリエーションがあり、軸も細軸でかさばらないためコレクションされている方も多い思かと。
しかし、クラシックセンチュリーと聞いて思い浮かぶのはボールペンかペンシルで、万年筆について話題になることは少ないように思います。
円錐形のキャップトップである「コニカルトップ」を持つクロスの万年筆と言って真っ先に思い浮かぶのは「タウンゼント」ですが、このクラシックセンチュリーにも万年筆はラインナップされています。
それが今回レビューする「CROSS クラシックセンチュリー 万年筆」。
前々から気にはなっていたのですが、ついに手に入れたという感じです。
気になっていたのはなんと言ってもペン先のデザイン!
昨今モデルチェンジをしたため、慌てて旧型ペン先を持つクラシックセンチュリーをゲットしたわけです。
それでは見ていきましょう。
【クラシックセンチュリー万年筆のデザイン】
今回手に入れたのはクラシックセンチュリーのブラックラッカー。
クロスと言えばクロームやゴールドプレートやスターリングシルバーといった金属無塗装の軸がイメージされますが、金属にラッカー塗装も秀逸なのです。
グロスのラッカー塗装はしっとりとしていて、尚且つグリップ感も良し。
このキュッと指紋に吸い付くような塗装はクロスの筆記具の持ち味でもあります。
全体のデザインを見ていくと、クラシックセンチュリーのイメージはそのままに、目を引くのは尻軸のデザインではないでしょうか。
胴軸のラインとは一段下げてデザインされたクロームの尻軸には、キャップをポストするためのネジ切りがついています。
このネジ切り、ヴィンテージのクラシックセンチュリー万年筆にはない機構で、ここにキャップを差すか差さないかで随分と筆記感が変わってきます。
尻軸にキャップをポストした状態。
収納時と同じくクロームのリングがアクセントとなっていてとても洗練されたデザインです。
続いてキャップを詳しく見ていきましょう。
本体とキャップの間に段差がないのはクラシックセンチュリー共通のデザインですね。
近年の「CROSS」ロゴ。
個人的にはヴィンテージの筆記体ロゴの方が好みですが。
キャップのクリップと反対側天冠付近にも密かに「CROSS」の刻印があります。
コニカルトップにはドットがなくフラットな近年仕様となっています。
黒いラインは彫りに墨入れという凝った造り。
キャップの内部は素材である真鍮の色が見て取れます。
細軸ですがしっかりとインナーキャップも実装されていて丁寧に作られていることが分かります。
本体の構成は、キャップ・胴軸・首軸の3パーツで、コンバーターは非対応。
カートリッジ専用となっています。
クロスのカートリッジ/コンバーターは独自規格のためクロス以外のものは使えず。
嵌めてみたい気もしますがカヴェコのミニコンバーターも使うことができません。
カートリッジはスリムロングなタイプ(型番:8929S)を差しています。インク容量も十分で、驚いたのがカートリッジを差して数秒でペン先までインクが供給されたこと。
スピーディーに書き始めることができました。
各人、筆記時の首軸のグリップ位置は違うと思うのですが、私の場合はちょうどキャップのネジ切りあたりになります。そのため良いグリップ感なのですが、首軸はクロームで細めということもあり首軸を持つ方には滑りやすいかも知れません。
キャップをポストせずに握ると重量バランスは良いものの、やや手のひらへの収まりが悪いためキャップをポストしての筆記がベスト。
その分全長は長くなりますが、もともとクロスの筆記具(センチュリーⅡやタウンゼント)が長めに作られているため違和感なく使うことができます。
【CROSSのペン先をじっくり見て気付くこと】
さて、この項ではお気に入りのペン先だけにスポットをあてて見ていきます。
なんと言ってもこのデザイン。
ピッコロ大魔王の生まれ変わりかと思えるこのデザイン。
冒頭でも触れましたが、このニブのデザインは現行の一つ前のデザイン。
現行はクロスのシンボルであるライオンのマークが刻印されています。
ただ私はこのナメック星人の腕のような斬新なデザインの方が好きなのでこちらをチョイス。
よく見ると首軸に対して大型なペン先だということに気付きます。
ニブの刻印はハート穴下に「CROSS」、左脇に字幅を表すアルファベットの刻印。
ヴィンテージのクラシックセンチュリー万年筆のニブは、モンブランのノブレスのようなシンプルな五角形をしていましたが
一般的な形のペン先へと変更されています。
クロスの万年筆のペン先はペリカンと同じヘラウス社製。
ペリカンと並べてみると確かにニブのシルエットはソックリ。まさに異母兄弟と言ったところでしょうか。
クロスのこのペン先デザインもバイカラーがあると面白かったかも。
横から見たところ、クロスのペン先の方が若干下を向いています。
本来、ペリカンのスーベレーンと比較するのであればタウンゼントの方が好ましいのですが、また手に入れることがあれば後々…。
ペリカンスーベレーンM400のペン先と比較してみると、クロスは先細のペンポイント、ペリカンは球状のペンポイントとなっていることが分かります。
ペン芯もどことなくペリカンと似ているような…。
ペン芯の素材はプラスチックですが、このクオリティーのペン先が細いキャップの中に収納されていることに驚きを隠せません。
実はクロスの万年筆はクラシックセンチュリーで二本目になります。
一本目は現在Acruの手帳に挟んでいるXFのペン先を持つ万年筆(モデル名不明)。
こちらのペン先と比較してみると、やはりペン先は前のめりになっていて特有の硬めな書き心地。
同じ会社が作るペン先と言えど、クロスとペリカンとで書き味が180°違うというのが面白いですね。
【超細軸の書き心地とは】
コンパクトで超細軸のクラシックセンチュリーの書き心地はどうなのか。
①超細軸 ②クロスのペン先の書き味 という点の2点から検証していきます。
[超細軸]
クラシックセンチュリーの代名詞とも言える万年筆でありながら超細軸。
コンパクトなのはいいけれど、それが仇となって持ちにくくなってしまっては意味がありません。
冒頭でも触れましたが、クロスのブラックラッカーはしっとりとしていて実に指馴染みが良いです。
金属にラッカーなんですが、滑ることが無くどことなく密度の高い樹脂を握っているような感覚。
手触りや握り心地については申し分ありません。
そしてボールペンや万年筆の中では細軸のクラシックセンチュリーも、実は我々の昔から慣れ親しんだ「鉛筆」とほぼ同じ軸径なのです。
ファーバーカステルのペンシルと並べてみるとこの通り。
そしてもちろん、クラシックセンチュリーのボールペンやペンシルを使っている方にも違和感のないサイズ感です。
[クロスのペン先の書き味]
続いて書き味はどうなのか。
先ほども書いたとおり、クロスのペン先は弾力があり少し硬めの書き心地。
手元のクラシックセンチュリーは細字(F)で、書いてみると硬めのペン先と相まって素直な細字を吐き出します。
シェーファーやクロスのような欧米の万年筆は、欧州(特にドイツ)の万年筆と比べて細字はちゃんと細く出るように感じます。
言うなれば日本の万年筆の字幅に近い感覚でしょうか。
クロスの細字(F)と超極細字(XF)、ペリカンの極細字(EF)を書き比べてみました。
XFはさすがに細いですが、クロスのFとペリカンのEFが同じくらいの太さとなっています。
ちなみにクロスに入っているのは初めて使うクロスのブルーブラック。
ペリカンのブルーブラックと比較すると若干黒が濃く、より濃紺といった感じ。
ついでに、クロス、ペリカン、モンブラン、パーカーのブルーブラックを書き比べ。
クロスのブルーブラックもなかなか良い色です。
最後はクロスのペン先の書き味とはズレましたが、硬めで素直な字幅で文字が書ける、万年筆を始めてみようかという方にも書きやすいペン先ではないでしょうか。
【他の万年筆と外観やペン先を比較】
最後はお馴染みですが、他の万年筆との外観等比較です。
この比較でサイズ感や雰囲気を味わって頂ければと思います。
まずはマイスターシュテュックモーツァルト#114、そして#144との比較。
全長はクラシックセンチュリーが133mm、モーツァルトが114mmですので約20mmほど違います。
クラシックセンチュリーはマイスターシュテュック#144と長さがほぼ同じで一回り細くしたようなサイズ感。
クラシックセンチュリーとモーツァルト#114のキャップは回転式でどちらも尻軸にキャップをポストできます。これがポイント高いのですよ。
筆記中のキャップのすっぽ抜けを気にしなくて良いこの安心感!
ペン先を比べてみます。
いずれもコンパクトな軸に収まっているだけあって、ペン先は同じようなサイズ。
モンブランは14金ペン先、クラシックセンチュリーはスチールペン先。
さて、今回はクロスの極細万年筆「クラシックセンチュリー」を見てきました。
センチュリーの系統では一番リーズナブルな当万年筆ですが、チープな感じは一切せず、総金属仕上げの程よい重量感とブラックラッカーのしっとりとした手触りが所有満足感を満たしてくれます。
筆記感も硬めで素直。スチールの良さを体感できます。
ペリカンと同じヘラウス社製ということもあってかインクフローも良好で、サリサリとペンを走らせることができました。
硬めでインクフロー良しの金属軸万年筆。
それは鉄の棒で書いているようだと比喩されるウォーターマンのカレンに近い書き心地に感じました。
クラシックセンチュリーの書き味が気に入ってしまったので、未だに使ったことのないタウンゼント万年筆の書き味も気になるところです。(ペリカンとのペン先比較もしてみたいですし…)
それでは今回はこの辺で。
お読み頂きありがとうございました。
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