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イタリア軸の万年筆が面白い!マーレンのコンティネンティで万年筆の良いとこ全部乗せを味わう

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皆さんこんにちは。
 
今回は予告の通り万年筆の記事となります。
万年筆の記事は、年始にレポートしたオマスのアルテイタリアーナ パラゴン以来になりますので、実に約3ヶ月振り。どうしてもビジネス用ボールペンの記事が多くなりますが、しっかりと万年筆も使っていますので 使用感をレポートできればと思います。
 
今回レポートする万年筆のメーカーは「マーレン(Marlen)」。
スマホ(調べる手段)が普及してもう随分と経ちますのでマーレンをご存じの方は多いかと思いますが、イタリアの万年筆メーカーでは老舗となるアウロラやオマスやモンテグラッパに比べ、まだ若いメーカーで知名度はそれほど高くないのかもしれません。
 
マーレンの創業は1982年となっていて、旧デルタと同い年。
万年筆の製造開始でみると、イタリアメーカーではモンテグラッパが一番古く(1912年)、アウロラ(1919年)、オマス(1925年)と続くのですが、マーレンとデルタは1982年から万年筆の生産を開始していて現在で約40年ほどなり、その後はビスコンティ(1988年)と続きます。
 
1982年というと、まだインターネットも普及していない時代かつヨーロッパ発のメーカーということで、知る人はほとんどいなかったかと思われますが、昨今の万年筆ブームに乗って国内でもマーレンについての情報や万年筆を取り扱う店舗(主にCEサイト)も増えてきたのが現状です。
 

▲特徴的なシルエットを持ったものが多いマーレンの万年筆
 
結論から言うと、マーレンの万年筆は面白い!
イタリア軸ならではの美しく磨かれたレジン、トリムに使われるシルバー925、どのモデルにもほぼデフォルトで装備される金ペン先に、ピストン吸入機構。
それらが、万年筆職人の手作業により造られているのです。
 
スペック的にも万年筆の面白さが凝縮されているため、カートリッジ/コンバーター両用式の手軽な万年筆から本格的な万年筆へと移行される方にもうってつけではないでしょうか。
 
マーレンの代表的なモデルとして、アレクサンダーやイマジナ、オリンピカ等がありますが、今回は2004年に開催されたアテネオリンピックの記念モデルである「コンティネンティ」を見ていきたいと思います。
(実は今年、私の地元である滋賀県が国体で盛り上がっている事もあり…!)
 
それでは、マーレンの「コンティネンティ ヨーロッパ」を見ていきましょう。
 

 


 
まずはマーレン コンティネンティについて。
先にも書いたとおり、このモデルは2004年に開催されたアテネオリンピックを記念して発売されたモデルです。
オリンピックを記念している事もあり、カラーラインナップが五大陸に合わせた下記の5色展開。
 
ヨーロッパ:ブルー基調
アジア:イエロー基調
オセアニア:パープル基調
アフリカ:ブラック基調
アメリカ:レッド基調
 
オリンピックの5つの輪は、ブルー、イエロー、ブラック、グリーン、レッドですが、何故かグリーンを基調としたカラーラインナップは無く、それぞれの大陸からイメージされるカラーが使われていると思われます。
 
その中で私がヨーロッパ(ブルー×イエロー)を選んだ理由は、単純に落ち着いたブルー基調かつ色の組み合わせが好みだったことと、そして既に手元にあったカヴェコ(Kaweco)のARTスポーツのデザインがマーレンのコンティネンティ オセアニアのカラーと同じだったことから。
 

 
偶然なのか何なのか真意は定かではありませんが、2003年頃にカヴェコから発売された「ARTスポーツ」のデザインやカラー配置と同じなコンティネンティ。
 
ギリシャの伝統的デザインと言えば、アウロラやモンテグラッパ、オマスも取り入れている「メアンドロス模様(雷文)」ですが、そういった模様的なデザインではなく、カラー配置がデザインになったような…。
これがヨーロッパ(特にギリシャやイタリア)の他の伝統的なデザインなのか、はたまたアテネオリンピックにちなんだデザインなのかと調べましたが 出てこず。
 
どなたか このデザインの出自を知っているよという方は、記事にコメントを頂ければ幸いです。
 
写真下のARTスポーツのカラーリングは、コンティネンティのオセアニアと同じですので、あえてオセアニアを買う必要ないかな、というわけですね。
 

 
ついでに2本を比較しますが、兄弟モデルかのような素晴らしいマッチング。そして、コンティネンティのブルー、イエロー、スモーククリアの配色が良い感じ。
 
サイドのスモーククリアな小窓部分からは内部が透けて見え、これもとてもお洒落です。
 

 
コンティネンティのスペックは、
全長(携帯時):138mm
全長(筆記時):119mm
重量:25g
胴軸径(最太部):13mm
筆記モードのラインナップは、万年筆とボールペン。
 
カヴェコスポーツサイズと比べると当然大きいですが、キャップを外した筆記形態のサイズは120mm以下とコンパクト。
軸の形状も寸胴ではなく独特となっていて、流線型でグリップ部が一番太くなる珍しいシルエットです。
 

 

 

さて、改めてマーレン コンティネンティのデザインですが、少し短太いキャップから見ていきましょう。
携帯時の万年筆(またはボールペン)の顔とも言えるクリップの部分は、マーレンの個性に溢れたデザイン。
 
神殿の柱のような装飾が刻印されたクリップはモデルによってはシルバー925製で、コンティネンティについては硫化が確認できないことから合金にプラチナコーティング系だと思われます。
 

 
クリップ先にはイタリア万年筆御用達のローラーが付いており、挟み込む際に洋服の生地を傷めにくい仕様。
オマスやデルタの万年筆にも見られるこのローラーが付いたクリップを見るだけで、イタリアの万年筆を使っているという実感が湧いてきますね。
 

 
キャップリングはシルバー925製。
左が硫化後、右が磨いたあと。個人的にですが、トリムにシルバー925が使われているというだけでテンションが上がります。
スペック上シルバー925になっていますが、よく見かけるホールマーク等の刻印はありません。
キャップリングの刻印は「marlen i continenti EUROPA collezioni」(マーレン 大陸コレクション ヨーロッパ)。
 
使っていると硫化でくすんできますが 磨いてリフレッシュもできる。万年筆は無機物の道具ですが、まるで生きているかのような「状態の変化」がみられるのが使っていて面白いところでもあります。
 

 
キャップの天冠部分には、少しポップなフォントのロゴはマーレンの頭文字のM。
このロゴも抜かりなくシルバー925が使われています。(左が硫化後、右が磨き後)
 
ピントが外れている部分(クリップの根元上面)に、横向きの「M」の刻印が見えるかと思います。
マーレン(Marlen)のMなのか、字幅のM(中字)なのか…。字幅のMだったら凄いことですが、これを2本以上もっていないと真意は分かりません。
 

 
続いて尻軸側を見てみましょう。
尻軸のブラックの樹脂を捻って外すと、この万年筆の売りの一つでもあるピストン吸入機構のノブが出てきます。
 
そうです、コンティネンティはピストン吸入式。
アウロラやオマスのように尻軸自体を捻って内部のピストンを上げ下げするのではなく、尻軸のキャップを外し、ノブを出したうえでピストン操作を行います。
 
直径約6mm程の小さなノブですが、しっかりとローレットも刻まれており操作感は良好。
外付けのコンバーターではなくピストン吸入機構が組み込まれているところからして、しっかりとユーザーの心を掴もうとしていることが覗えます。
 
カートリッジ/コンバーター両用式ではない、ピストン吸入式。
万年筆としての完成度として見たときに、ピストン吸入機構を備えた万年筆の方に軍配を上げざるを得ません。
 

 
キャップはネジ式で手応えのある締め心地。
キャップと胴軸の柄がちゃんと合うのも、ヨーロッパ系万年筆では珍しいかと思います(失礼)。
それもあって、デザインがほどよく練られた万年筆だなと感じるコンティネンティ。
 
そして、出てくるペン先は18金のバイカラーニブという拘りよう。
 

 
ニブの形状や刻印からもマーレンの個性が見て取れます。
ニブの製造は自社製造ではなくドイツのペーター・ボック社製。しかし、ニブ形状はマーレン用にカスタムされている感じあり。
 
ボック社製のニブはヨーロッパの万年筆メーカーでは多く採用されていて、他のイタリアメーカーでは ビスコンティやデルタ(旧・新)、レオナルド、モンテグラッパ(の一部モデル)、ピナイダー、さらにドイツ筆記具メーカーのファーバーカステル(伯爵コレクション)、スイスのカランダッシュ(レマン等の高級モデル)、イギリスのヤード・オ・レッド(銀軸万年筆)等。
 
これら筆記具界の主要メーカーで使われていることからも ニブとしての書き味を含めた信頼性は高く、後ほど書き味はレポートしますが、ニブの形状はカランダッシュのレマンに近いかな、と。
 

 
ニブの刻印を詳しく見ていくと、シンプル且つ個性豊かな飾り刻印の下に、「MARLEN」「ITALY」「18K」「M(MIDIUM)」という必要不可欠な情報が刻印されていることが分かります。
 
特に特徴的な飾り刻印。
ハート穴下の部分はマーレンの「M」がモチーフかと思われますが、どことなくパックマンに見えなくもない。
ペン芯はプラスチック製ですが、デザインは手元にある万年筆では見たこと無いようなデザインのペン芯です。
 

 
そして、ニブのスペックも良いですが、それに付随するように「握りやすさ」という部分でも優れていると感じるコンティネンティ。
万年筆の全景でもあったとおり、丁度グリップする部分が膨らんでいる事で中太軸から太軸の軸径を自分が選んで握りやすいようにコントロールできる、というのが使ってみての感想。
 
私は太軸好きですので、一番膨らんだ部分を握って筆記するのですが、首軸・胴軸のラインがなだらかなため、変なひっかかりもなく自然で滑らかな握り心地が得られています。
 

 
キャップを尻軸にポストするとさらに書きやすいと感じます。
そして、キャップが太めだけにバランスも良くなり安定感増し増し。
 
合谷(ごうこく:人差し指と親指の間の谷)に 程良い重量のキャップが収まり、実に心地よい。
18金の弾力あるペン先に加えて、このソフトな握り心地の首軸。金属素材と樹脂素材、そして形状のバランスが、個性的なデザインの中でもしっかり担保されているところ。
そういう意味でも、なかなか希な万年筆ではないでしょうか。
 

 


 
最後は書き味についてこの3本で比較していきたいと思います。
左から、カヴェコ ARTスポーツ、マーレン コンティネンティ、アウロラ マーレティレニア。
デザインが似ているドイツ軸と、私が持っている万年筆の中でも断トツに美しくて気に入っているイタリア軸。すべて字幅Mとなります。
 
マーレンを見慣れるまでは、キャップが短くて異形な感じがしましたが、見慣れてくると足長でスタイリッシュだと思えてきます。(慣れって怖い)
 

 
ペン先を並べてみます。スペックはそれぞれ下記の通りで左から、
 
カヴェコ:スチールペン先・字幅M(Jowo社製)
マーレン:18金ペン先・字幅M(ボック社製)
アウロラ:18金ペン先・字幅M(アウロラ自社製造)
 
それぞれで書いた文字は次のようになります。

▲同じ字幅Mでの書き比べ
 
カヴェコはジョウウォ(Jowo)社製のペン先で、毎回書いていますがスチールペン先ではこのニブの右に出るものはないと思うほど書きやすい。しっかりと芯がありタッチが滑らか。
 
マーレンは弾力があり紙面へのタッチが柔らかい印象。同じ製造元だけあって、ファーバーカステルの伯爵コレクションに近い書き心地。柔らかめのインクを入れているのもありますが、ペン自体のインクフローも良いと感じます。
 
アウロラはガチニブの代表格。特に字幅Mはインクフローも良く、ずっとエルバンのインクを入れて使っています。
 
字幅は同じヨーロッパ系の中字だけあっていずれも対等な太さ。
書き心地は先に書いたとおりで個性は様々。これぞ万年筆の面白さですよね。ニブの素材や形状の違い、インクフローの違い、グリップ感との兼ね合いによって書き心地が異なり、同じ条件でも同じ書き味がないという多様性。
 

 
コンティネンティで書いた文字の拡大。
中字の万年筆らしいインクの濃淡、私のような文字の抑揚がでない走り書きの文字でもこれだけ味のある文字が書けるのって本当に面白いです。
 
ちなみにインクはパイロット「色彩雫」の深海。
書いたときは鮮やかなブルーで、時間が経つ(乾く)と若干枯れた色合いに変化する、これまた愉しいインク。インクの粘度は低めのため、インクフローが渋い万年筆に入れたりもします。
 

 
イタリア軸は軸の見た目も色とりどりで美しいものが多く、そして書き味も十人十色な個性を持つ万年筆が盛りだくさん。
万年筆を愉しむ幅が広がること請け合いです。
 

 


 
さて、今回は老舗のイタリア筆記具メーカーが多い中、1982年設立という新しめなメーカーのマーレン(marlen)から、アテネオリンピックモデルの「コンティネンティ」をレポートしてきました。
 
特徴的なシルエットですが、書き心地や使いやすさという部分も抜かりなく調整されている印象を受けたコンティネンティ。
美しいカラーの樹脂軸、18金ペン先、ネジ式キャップ、シルバー925のトリム、ピストン吸入式という、万年筆のいろはを全部詰め込んだスペックは万年筆を使って書くことの愉しさを教えてくれます。
 

 
これから万年筆を使ってみようかと考えておられる方、万年筆を長年使って成熟してきた方どちらにもお勧めする、「万年筆の面白さ」が凝縮されたイタリア軸。
 
自分に合った一本をイタリア製の万年筆から探してみてはいかがでしょうか。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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