ペンケースに拘る 土屋鞄のトーンオイルヌメ ロールペンケース
万年筆、使っていますか?
今回は筆記具を入れるペンケースをレポートしていきます。
もう何年も愛用しています「土屋鞄製造所のトーンオイルヌメロールペンケース」
皆さんはどんなペンケースをお使いでしょうか?
今回レポートする土屋鞄のトーンオイルヌメロールペンケースは、革でくるくると巻いて紐でとめるタイプのペンケースです。ペンの収納本数は5~6本とそこまで多くはないものの、必要最低限のお気に入り筆記具だけを選んで入れる、それはもう中に入れるペンへの愛情が一層深まるペンケースとなっているのです。
私にとってペンケースといえば、素材はナイロンでもプラスチックでもなく、レザー。
ペンというアナログな媒体を収納するには、同じくアナログで自然的な素材である本革がマッチしています。お気に入りのものを皮で包むと、例えば手帳を開いてスケジュールを書くことや本を読むといったことが、特別な時間になったように感じます。
また、傍らに置いて使った時間だけ革の表情は変わっていきます。自分と過ごした時間だけ自分の色に染まっていくのが革製品の醍醐味といえましょう。
このロールペンケースも購入してかれこれ3年ほどになり、だいぶんいい色に育ってきました。
こちらのロールペンケースに使われている素材は一般的なヌメ革とは少し異なっています。
土屋鞄製造所のトーンオイルヌメは植物の渋でなめしたあと、オイルをたっぷりしみこませてあり柔らかな風合いと芳醇な香りが特徴。買って箱を開けたときの香りがとにかくかぐわしく、満足感が高いです。
2024年9月現在のカラーラインナップはミディアムブラウンとブラックとこげ茶の三色。販売時期によってカラーラインナップは変わるため、気になった色があったら入手が吉。特にクリスマスには限定カラーも発売されます。これがまた絶妙な色で
私はまず色の変化がわかりやすいブラウンをチョイスし、その後、ペンが増えていくにつれこげ茶やナス紺、クリスマスカラーのコニファーグリーンなどを購入。(写真は元記事執筆時の2017年以前に発売されていた、キャメルっぽいカラーのもの)
入れるペンによってロールペンケースのカラーを変えたりとコーディネートを楽しみつつ、家でも職場でも常に傍らに置いています。
今やロールペンケースというと様々なメーカーから発売されていますが、使い方はおさらいしてく必要がありそうです。
それではさっそく、使い方を見ていきましょう。
通常のペンケースとは異なり、くるくると革を巻いて紐でとめて携帯する。未体験の方にはその動作も新鮮なペンケースです。
開いてデスクに置くときは、ペンが取り出しやすいようにベロをペンの下に敷くとよいでしょう。
内側の素材はさらに柔らかなピッグスウェードで、外側とはまた違った触り心地が味わえます。ピッグスウェードは外側の革より若干小さめに作ってあり、巻く際に自然と革が内側に曲がっていくため非常に巻きやすい。デザインだけでなく、こういった使いやすさにも拘って作ってあるところがたまりません。
ポケットは、軸径8㎜くらいのボールペンやペンシルから軸径10㎜超えの万年筆のような太めのペンまで差せる小さなものが4つ、右側に大きなポケットが1つと至ってシンプル。小さいポケットには一般的な万年筆が入れられますが、私の持っている万年筆ではモンブランの#149やデルタのドルチェビータミディアムが入りませんでした。軸の最大径15mmの万年筆でギリギリ入るかといったところ。
大きいポケットにはペン以外にも分度器や物差し、ボールペンのリフィルやカッターナイフやペーパーナイフ、ハサミなど色々挿せそうです。
私は万年筆・ボールペン・メカニカルペンシルのお気に入りをなるべくたくさん持っておきたいためペンばかり入れています。
大きいポケットには土屋鞄のロゴが押されています。革を切るナイフのマークですね。ステッチも丁寧に縫ってあり高級感があります。
巻くときはベロを再びペンに被せて、逆さ向けてもペンが落ちないようにします。ロールペンケースの中でペンを固定させるという意味合いもあるこのベロ。いい仕事しています。
外側のシボ革、内側のピッグスウェード、ベロ、ポケットと各パーツが違う風合いの革でできているところがポイント。(当然ですが天然革ですので風合いに個体差はあります)
あとはくるくると巻いていき、さらに紐を3周ほど巻いて留めれば完成。留め紐の巻き方も自由ですので、自分だけのオリジナルな留め方を模索するのも楽しそうです。
さて、使い方はここまでですが…、
実は土屋鞄のロールペンケースが好きすぎて6つ持っているため、ついでに革の風合いや色などの違いを比較していこうと思います。
左は買ってからもう10年ほどになるもの、右が6年ほ使ったものです。
中に入れるペンは時とともに移り変わっていますが、左のペンケースにはモンブランのペンシルたちを。右のペンケースにはカランダッシュのエクリドールを詰め込んでいます。エクリドールくらい細いと、左側の4つあるポケットには2本入れることも可能。
2つを見比べて分かることが、使われている革質が違いそれぞれまったく違った印象だということ。これがトーンオイルヌメの面白いところでもあります。内側に使われているピッグスウェードの色も右側の方が明るく、ポケットもシボがなく通常のヌメ革に近い質感となっていますね。
これこそ天然素材である革の面白さというべきものでしょう!言うなれば同じ製品でありながら革の表情でいうとそれぞれが一点モノで同じものが一つと無い。これまた愛着が沸く一つの要素ではないでしょうか。
ピッグスウェードを拡大するとこのような感じで、同じ茶色でもハッキリとした違いがあります。
これも時間がたって育ってくるとまた違った色味に変化していき、手元の10年使っているペンケースの方はピッグスエードの色が指が触れる部分だけ濃くなったりと、自分の使い方に合わせた変化を見せてくれています。
外観比較です。
左の10年モノはシボがずいぶん馴染んできています。対して右の6年モノはシボが細かくて深いです。10年モノのほうがツヤがありオレンジっぽいのですが、写真にすると分かりにくいですね…。6年モノは深い赤茶色へと育っていき、シボ表面にはツヤも出てきました。
▲左:ネイビーと、右:ナス紺。同じ紺でも表面のシボやツヤの具合が異なる
この先、まだまだ違った熟成を見せてくれそうです。
10年モノの方は買って間なしに万年筆のインクが付いてしまい、当時はとてもガッカリしたものです。しかし今から思うと万年筆を使い始めた頃のよい思い出であり、今や勲章ともいうべき愛着のあるワンポイントになりました。
筆記具と同じで、傷や汚れはその道具を愛着持って使ってきた証。傷がいくからより愛着が増すと言っても言い過ぎではありません。
留め紐は使っているとステッチがほつれてくる場合がありますが、土屋鞄製造所のショップで修理もしていただけるそうです。末永く使うためのうれしい配慮ですね。
手に持った時のこのサイズ感、とてもコンパクトです。
ポケットをフル活用して巻いた状態でリレーバトンと同じくらいの太さでしょうか。リレーバトンも革で作ったら滑らないため、バトンの受け渡しミスもなくなるかもしれませんね。
よりしっくり巻けてコンパクトに持ち運べるように、中に入れるペンのサイズを工夫したり、クリップの向きなどを考えながら使うのが愉しいです。
今回はペンを持ち運ぶことにまでこだわった、土屋鞄のトーンオイルヌメロールペンケースをレポートしました。一風変わったペンケースもよいものです。ぜひ、ペンケース選びの選択肢に加えてみてはいかがでしょう。
それではまた。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません