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デザインに優れたOMASの金属軸!フレックスニブで特別な筆記を楽しむ【OMAS 50 レビュー】

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皆さんこんばんは。
金属軸はお好きでしょうか?
 

たまに使いたくなる1970年代~80年代のスリムな金属軸。
筆記具業界にもデザインの流行や波があるようで、書籍「Collectible Stars ~1946年から1979年までのモンブランの筆記具~」を見ていても、それまでのずんぐりと力強い樹脂軸から一転して、1970年以降に突如として出てくるのがスリムな金属軸群。
 

これはモンブランに限らず他のメーカーでも見られ、今回ご紹介するオマス(OMAS)のペンについてもデザインの流れはそうだったのでは、と思わざるを得ません。
 

オマスはイタリアの筆記具メーカー。
1925年に設立されています。
 

創業者のアルマンド・シモーネは、「ペンは書くことを楽しくするものでなければならない」という思想のもと、1930年代にギリシャのパルテノン神殿の柱からインスピレーションを受けた12面体の筆記具を生み出します。
その12面体の軸を持つ「パラゴン」は、オマスの顔とも呼ぶべき筆記具として今も広く認知され、オマスの筆記具と言えば12面体という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
 

そんな1925年の工場創立から50周年を記念して、1975年から1年間のみ製造された金属製12面体のペンがあります。
 

 
それが、今回レポートしていく「OMAS 50」
精巧に削り出された美しい12角柱の金属棒のような出で立ち。
 

万年筆の首軸に加えて、ローラーボール用の首軸も備えたセットで発売されています。
言わば、CROSSで言うところのセレクチップのような感じでしょうか。
 

同じようなデザインに「OMAS 72」「OMAS 80」もありますが、72はゴドロンのようなラインのデザイン、80は円筒の軸となっています。
 

その中でも異彩を放つOMAS 50。
1975年の発売から約50年経つ今となっても、なかなか珍しいデザインかと思います。
 

 
直線的でありながら、両端に向かうにつれて緩やかに絞られていくデザイン。
カランダッシュやラミーが好きな方には刺さりそうなデザインです。
 

横向きのヘアライン加工は持った時にザラッとした独特な感触。
対象的に、クリップは鏡面仕上げとなります。
 

 
クリップ下には「OMAS 50」のプロダクトネームが刻印されています。
深めの刻印にマットブラックのスミ入れが映えます。
 

 
拡大するとまるで鉱物のような、超自然的にも見えるヘアライン加工。
素材はステンレスと思われますが、正確な文献がないため不明です。
 

ヘアライン加工の特長として、指紋がつかないのも良いですね。
 

 
天冠から伸びるストレートクリップ。
デザイン的にも分かるとおりグリップ内にバネは設けられておらず、金属のしなりによって記事に挟みます。
キャップは嵌合式になりますので、負圧によるキャップ内インク飛散を防止する穴も設けられています。
(幼児の誤飲時対策とも言われていますが、真意は不明)
 

 
キャップと胴軸の接合部。
表面側と裏面側で段差のあるデザイン。面と面が合わさるようにする工夫だと思われます。
 

キャップ嵌合時の注意点は、ニブの面を見ながら(上にして)キャップを嵌めると噛み合わない事。
ペン芯側に「OMAS 50」の刻印が来るため、ペン芯を見ながら(OMAS 50の刻印を上にして)キャップに収める感じです。
 

 
▲キャップを外し、筆記モード。
 

軸のデザインと同じく、首軸のデザインも12角柱。
カクカクしたデザイン、堪りません。
胴軸と首軸の境目にはしっかりと段差があり、グリップ感は良好。この状態でも重さが15gあります。
 

 
キャップをポストするとよりバランスが取れますが、胴軸にキャップ痕が付くことを恐れて普段はキャップをポストせずに使っています。
 

でも、キャップをポストした方が格好良いんですよね。悩ましいところです。
 

 
首軸に見える数字「BREV.006559」は、シリアルナンバーではなく特許番号。
このペンのどの部分の特許なのかは不明ですが、でかでかと刻印されているのは少し笑えます。
 

 
ペン先はスチール。どうやら14金ペン先のものもあるようです。
ハート穴のないシンプルなデザインの小さなニブが着いています。
12角柱の首軸からペン先にかけて急に丸くなる形が面白い。
 

ニブには「OMAS」の刻印。
この万年筆自体もそうですが、ニブも含めて実にオマスっぽくないというか…、工場創立50周年記念という割りには攻めたデザインとなっています。
 

 
ペン芯はプラスチックで、タケノコのようなデザイン。
インクフローは渋めで、ペン先の硬さも相まってガチガチな書き味。
 

 
横から見るとペン芯の上にちょこんとニブが乗っているという様な変わったデザインです。
ペン先も反っており、どことなくシェーファーのトライアンフをも彷彿とさせるペン先。
書き味についてのレポートは後ほど。
 

 
OMAS 50はカートリッジ専用の万年筆となります。
現在モンブランのカートリッジがささっていますが、欧州規格のものなら適合します。
 

万年筆は様々なインクを入れて楽しみたいもの。
ということで、OMAS 50においてコンバーターが利用可能かを検証してみると…。
 

 
結果はカヴェコのミニコンバーターのみ適合となりました。
今回試したのは、モンブランとペリカンの純正コンバーター、そしてカヴェコのミニコンバーター。
 

いずれも首軸には差し込めるものの、モンブランのコンバーターは横幅が太く軸内に収めることができず、ペリカンのコンバーターは横幅は丁度でしたが、長さの面で収めることができず。
 

そのあたり カヴェコのミニコンバーターは万能で、こういった欧州企画のコンバーターが使えない中でもしっかりと収まってくれます。
その分インク容量は少なくなるのですが、少ないインクを次々と楽しめるという点ではちょうど良いのかと思います。
 

 
基本はカートリッジで手軽に運用しつつ、好みの色のインクが使いたい場合はカヴェコのミニコンバーター運用でいきましょう。
 

 
OMAS 50セットに付いているこちらのプラスチックケース。
中にはローラーボール用の首軸とリフィルが格納されています。
 

こういったコンバーチブルなセットはとても交換が持てて、無駄な軸が増えないというか、今の時代では見られないサービス精神ではないかと思うのです。
 

モンブランの作家シリーズとかでこれやってくれないかな、と思うのですが…。
 

 
中はこんな感じです。
約50年前のセットということで、残念ながら手元のセットのローラーボールリフィル(?)はペン先が腐食しており使うことが出来ません。
 

 
ペン先拡大図。
緑青やら錆やらでリフィルを抜くことができません。
というか、見たところローラーボールリフィルというよりは、フェルトチップが付いていたのではと思う腐り方。
 

この万年筆の書き味が面白いのでローラーボールとして使う予定はないのですが、暇ができたらこのローラーボールのペン先も蘇生したいなと思います。
 

 
万年筆の書き味が楽しいと書いたのには訳があります。
通常筆記ではガチニブを楽しむ超極細のペン先、少し筆圧をかければペン先がフレックスニブのようにしなり、字幅をコントロールする事ができます。
 

 
かなりしなっていることが分かるかと。
ペンを浅く持って筆のように使うことができるのがフレックス系ニブの面白いところ。
(これがフレックスを意図して作られたのかは定かではありませんが…)
 

 
さらに筆圧をかけるとペンポイントが大きく割れ、インクフローの渋さから二重線を書くことができるようになります。
 

個人的にもこれほどしなるペン先で書くのは初めてですのでまだ慣れませんが、使いこなすと面白い文字が書けるのではないか、また、イラストにも生かせそうなペン先だと思います。
 

 
筆圧に抑揚をつけて、変わった文字を書いてみました。
筆圧のかけ方によって、通常の極細字幅、太字、割れ字と三種類の字幅が使えます。
 

これがなかなか面白い!フレックスニブ、ハマりそうです。
 

 
さて、今回は1975年発売(今から約50年前…!)の万年筆「OMAS 50」をレポートしました。
まず、軸のデザインが現在のモダンな筆記具にも退けをとらない、アイデンティティーに溢れるものであること、そして、ペン先はフレックスで遊び甲斐のある一本となっています。
 

たまに中古市場でも見かける本軸ですが、14金ペン先のモデルも含め、探すのに値する軸ではないかと思います。
 

なかなか日本国内では情報の少ない万年筆「OMAS 50」。
細軸好き、フレックス好きは要注目の万年筆ではないでしょうか。
 

それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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