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美しさと書きやすさの同居!Penbbsの万年筆 「落日」レビュー

2021年5月19日




 

みなさんこんにちは。今年ももう残すところわずかとなりました。一年が過ぎるのは早いです。最近巷でよく聞く()ようになった「忘年筆」という言葉。皆さんも使っているでしょうか。この言葉、なんとも都合のいい言葉だと思うんですよね。万年筆というのは文字通り筆記具であることから一般的に何本も必要ない、そして他の筆記具と比べて少し値の張るところを考えると普通は次から次へと買うものではないのですが、何かしらの理由を付けて買ってしまおうという。特に私のように世帯がある者にとってどこにいくら使うのかは重要になるのですが、自分への最後の一押しとして「忘年筆」という言葉が活躍してくるわけです。まあ一年間頑張った自分へのご褒美と思えば良いのですが。いやはや実によくできた言葉だな、と。

「これが最後」という言葉を幾度となく繰り返しながら増えていく万年筆(筆記具)なのですが、「忘年筆」は一年の締めくくりとして使われる側面もあります。要するに「忘年筆」という言葉を使っている=沼にハマっている、と考えて良さそうです。

 




 

さておき、かく言う私も「忘年筆」という言葉を借りて今年最後の万年筆を購入しました。Pennbbsの万年筆308/266の「落日」です。Penbbsというと聞き慣れないメーカーですが、それもそのはず2005年設立というまだ新しい中国の万年筆メーカーです。中国製万年筆と聞くとあまり良いイメージを持たれない方もいらっしゃるかと思います。私もそうでした。この「落日」を使うまでは。

 

購入のきっかけはその美しい軸色にあります。というか値段もそれほど高くない万年筆でしたので、ガンガン使うというより綺麗な軸の万年筆をコレクション用にと思って買ったのです。しかしながら実際に手元に置いて使ってみてその独特の書き味に正直驚いてしまった。良い意味で裏切られたのです。

それではPenbbsの「落日」がどのような万年筆か、他の万年筆と比較しながら見ていきましょう。

 




 

 

 

Penbbs 308/266「落日」の胴軸】

まずは胴軸からじっくり見ていきます。何といってもこの美しいマーブルレジン。

 

 

名前からも分かるとおり、日が落ちる間際のブラウンに近い暗めのオレンジで落ちていく太陽に染められた空の色を、陽が当たらなくなった大地を限りなく黒に近い深緑のレジンの2色で見事に「落日」を表現しています。この空と大地のマーブルレジンの割合は2本として同じものはなく、それがまたこの万年筆の価値を高めているのではないかと思います。

 

上から、マイスターシュテュック№146、落日、カスタム74

 

軸の長さは収納時で145mm。これはパイロットのカスタム74やモンブランマイスターシュテュック№146とほぼ同じ長さ。一番ベーシックな長さですが、手に持ったときの収まりの良さと万年筆という道具を所有する満足感という点からはベストなサイズではないでしょうか。

重さは20gと軽め。マイスターシュテュック№14630g、カスタム7421gですので、持ち具合いはカスタム74をイメージしていただければ分かりやすいかと。しかし胴軸の形は先細りの樽型でマイスターシュテュック寄り(というよりセーラー/プロフィットに近い?)なのです。

 

 

キャップリングには「Penbbs」とロゴの「P」、背面には型番の「266」が刻印されています。非常にシンプル。値段のことを考えると妥当なのかもしれませんが、ここはもう少し凝って欲しかったところ。クリップ自体は剣先のようなデザインで嫌みがありません。

 

 

落日にインク吸入をしてみて感心したのが、首軸のネジ切りにOリングが設置されていて万が一のインク漏れに備えている点です。このOリングのお陰で首軸から胴軸を外す際、心地よい感触がありちょっとやみつきになりそうです。もっちりしている感触というか、胴軸内が密閉されていくような独特な感覚です。

コンバーターは初めから装着された状態で、つまみの部分が円筒ではなく平べったくなっているため操作感はまるでラミーのコンバーターのようです。コンバーターの中には小さめのコイルのようなもの()が入っていて、使っている時にインクが首軸側に落ちていくように工夫されています。※写真ではコイルのようなものがインクに没していて見えません。

 

 

【ペン先の比較】

続いてペン先の比較をしていきます。比較に使うのは先ほどと同じカスタム74とマイスターシュテュック№146、そしてペン先の形が少し似ているプロフィットST

 

左から、マイスターシュテュック№146、プロフィットST、落日、カスタム74

 

並べてみると落日のペン先はスタンダードな万年筆と比べ少し大きめで存在感があります。長さだけ見るとマイスターシュテュック№146と同等。大型のペン先はしっかりと筆圧を受け止めてくれます。ペン先の刻印は「PENBBSSINCE2005FChina」。刻印は少し薄い気がしますがインクに浸けるうちにクッキリしてくるのでしょうか。

 

 

裏を見てみると、驚いたことにペン芯にはエボナイトが使われています。どうりでぬらぬら書けるわけです。このインクを吸ってチョコレートブラウニーのようにしっとりとしたペン芯がインクフローの良さに一役買っているのです。いやはや5000円前後の万年筆にしては凝った造りをしています。この落日の仕様からもPenbbsの本気度がうかがえますね。

 

 

【書き味について】

先ほどからぬらぬら書けるとかペン先に独特な「しなり」があると書いていますが、まさに字のごとく。落日を使って中華万年筆への見方がガラリと変わりました。スチールペン先なのですがタッチは柔らかく、今まで使った万年筆の中だとカスタム74の筆記感に似ていると感じました。母国語が漢字であるためかインクフローが良いと言ってもペリカンのようなぬるふわ感とはまた違い、文字に緩急をつけやすいしなりというか独特なコシがあります。

海外の万年筆掲示板でもこの書き味についてはなかなか良い評価を得られているため個体差というわけでもなさそうです。私が使っていて一つ残念なことはペン先のインクが乾きやすいということ。キャップの気密性の問題かもしれませんが、使用したらなるべく早めにキャップをして、そのまま放置しない方が快適に付き合えると感じました。

 

 

筆記感については百聞は一見にしかずなので、機会がありましたら一度試していただきたいものです。

 

 

【まとめ】

さて、今回は私の中でもいろんな意味で意外だった中国製万年筆であるPenbbs308/266「落日」をレビューしました。ネットにはあまり情報がないため参考にしていただければ幸いです。いろんな意味で意外だったというのは、まず一つ目が自分が進んで中国製万年筆を買ったということ。これは軸の美しさに惹かれたわけですが、ジンハオや英雄のような重々しいデザインではなく、あくまでお洒落に美しく、そしてラインナップによってはポップに仕上げられていることに好感が持てます。

二つ目にその書き味。その昔、デュークの万年筆を買ったことがあるのですがとにかく書き味が固かった。まさにスチールといった書き心地で閉口した覚えがあったため、中華万年筆には手を出すまいと思っていました。Penbbsはまだ新しいメーカーということで、中華万年筆も昔とは事情が変わってきているということだと思います。スチールペンでありながらしなやかで固さを感じさせない書き味。これはビスコンティのスチールペン先の万年筆を初めて使ったときと同じ衝撃です。中国製万年筆侮るべからずですね。

それではまた。

 




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