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モンブラン マイスターシュテュック ソリテール #20164 ラムセス2世 ボールペン レビュー

2024年9月22日

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皆さんこんばんは。
今回は久しぶりにモンブランボールペンの記事となります。
 
年末年始はモンブランの記事、みたいに毎年の恒例のようになってしまっています。以前はモンブランの記事が年間の全記事の4割くらいのイメージでしたが、前回のモンブランの記事が先月11月、その前が5月で、さらにその前が丁度 去年の今頃ということで、この記事を入れて2023年のモンブランの記事は4つということになります。
 
いよいよモンブランへの物欲も随分と収まってきたな、という印象ですが、これはモンブランへの興味が薄れたというよりは、モンブランの新旧含めたラインナップを歩いてきた中で、私の物欲(強いてはビジネス向けのモデル)を だいたい網羅できたのではないか、という感覚が近いです。
 
とは言っても、まだまだ触りたくても触れないモデル(主に過去モデル)があるのは確かで、それに「出逢えるタイミング」というのもあります。
そう、過去モデルとの出逢いはまさにタイミングなのです。
 
前オーナーが手放さない限りは決して手にすることができないのが、モンブランの限定モデル。
手放されたとしても、それが運良く目の前に出品されているという偶然もそれほどない訳で…。
 
知らぬ間にその機会を逃し、また数年後に出品されるものを探すというサイクルでしょうか。
そう思うと、筆記具と言えど一期一会なんですよね。
 

 


 
今回は、そんな私の需要と前オーナーの供給タイミングが噛み合って運良く入手することができた、モンブランのボールペン「マイスターシュテュック ソリテール ラムセス2世」をレポートしていきます。
 
私がいつかは使ってみたいと思っていたボールペン。ラムセス2世はマイスターシュテュックベースの筆記具では最上位モデルに位置し、その軸の美しさからも憧れの筆記具でした。
 
通常、歴史上の人物にフォーカスしたモデルだとパトロンシリーズや作家シリーズやグレートキャラクターズがあるのですが、こちらはマイスターシュテュックのデザインを踏襲したモデル。型番も#20164で、#164(ボールペン)の派生モデルだということが分かります。
 
ちなみにキャップの素材が「ラピスラズリ」のラムセス2世の素材違い的な位置づけのニコライ1世は、キャップの素材が「マラカイト」で型番は#22164です。
 

 
少しくたびれた状態で出品されていたラムセスⅡ世。
コレクション向きではないところが正に私向き(笑)のコンディションでした。
 
少々小傷が多い方が修繕する楽しみが増えるというもの。
凹みや亀裂でない限り、耐水ペーパー(5000/7000/10000)とサンエーパール、そして金属磨きクロスがあればなんとかなります。
 

 
自身としては2本目のソリテール。
もう1本は右側「シルバーファイバー ギョーシェ」のペンシル。
 
ソリテールは胴軸(グリップ部)も金属製のため、重量は35g前後と程良い重み。
ペンシルはシルバー925で真っ黒に硫化していたため、撮影にあたりピカピカに磨きました。
 
金銀のコンビもなかなか良いですね。
 

 
ベースモデルがマイスターシュテュック#164のため全長は136mm。
ペンシルの方はペンシルユニットがペン先から出る分、数ミリ長くなっています。
 

 
925の緻密な刻印が所有満足感を満たしてくれます。
ラムセス2世はシルバー925の上から22金のゴールドコーティングを施したバーメイル仕様。
 
エジプトと言えば金と宝石!ラムセス2世はエジプト新王国第19王朝のファラオ。
ファラオ(王)をイメージしたゴールドとラピスラズリの濃紺が美しいモデルです。
 

 
今回ラムセス2世入手にあたって気になっていた点は、キャップのラピスラズリがどのようなものかということ。興味はそれに尽きます。
 
今回、全体的に小傷が多いラムセス2世を耐水ペーパーとサンエーパールを使って磨いたのですが、キャップを磨く際に気付いたのが、非常に「石っぽい」ということ。
 
「ラピスラズリ」と名の付いた筆記具は実は他メーカーにもあって、有名なのがクロス(CROSS)のダウンゼント。
同じくファラオのツタンカーメン王をモチーフにしたとされるパッケージに収められた ラピスラズリのモデルですが、それは石そのものというよりはラピスラズリの粉末を顔料として真鍮に吹き付け、金箔をちりばめたうえ、クリアラッカーを重ねるという仕上げでした。
 
もう一本、今は手元にないのですが、パーカー75のバリエーションの中にラピスラズリがあり、それのボールペンを所有していたことがあります。
それも どちらかというとブルーマーブルのようなラッカー塗装で、疑似ラピスラズリといったところでした。
 
できれば筒状に加工したラピスラズリ(の石)そのものを使って欲しいところですが、一般的にイメージされるラピスラズリが群青に金色の含有物という見た目のため、致し方ないかなとも思えます。
 

 

一方、モンブランはどうかというと、それが「分からない」のです。
 
前述した通り、耐水ペーパーでキャップのラピスラズリ部分を磨く際 5000番のペーパーを使ったのですが、表面を削ると白い粉をふき、濡らすと元の色に一旦戻る。7000番、10000番と磨いていくのですが、触り心地、温度(冷たさ)が本当に石のそれっぽいのです。
 

 
仕上げにサンエーパールをたっぷりと付けて磨くと、このような透き通った輝きを取り戻します。
(この写真は紺に近く見えますが、実際はもっと青紫色です)
 
触った感じのヒンヤリと感じる石の冷たさ、硬さが指先に伝わります。
 
ネットで調べても、素材がラピスラズリとは書いてあるものの、どのように造られているかは記載が無く、それが樹脂に練り込まれた石なのか、塗料として吹き付けられたものか、はたまた原石なのか…。
 

 
ラピスラズリの部分を拡大してみます。
ラピスラズリは複数の鉱物が集まってできていて、群青色の部分はラズライト、水色がソーダライト、金色の部分はパイライトとされています。
 
モンブランのラピスラズリはというと、パイライト(金色)部分が金箔に見えなくもないですし、一方、所々に水色の不純物が見られたりと そのもの(原石)と見られるような部分もあります。
 
真相は専門家や造ったメーカーにしか分かりませんが、美しさには変わりなしということで、これはロマンのまま残しておきましょう。
(おそらく分解すると一発で分かると思うのですが、ソリテールはいつもの#164みたいに天ビスを外して~という手順で分解が不可能となっています)
 

 

さて、ラピスラズリへの探求はこの辺りまでにしておいて、軸の刻印を見ていきたいと思います。
 

 
まずはマイスターシュテュックではお馴染みのクリップリングの刻印から。
ラムセス2世は1997年~2002年頃までの約5年間ほど生産されていました。
 
ということで、クリップリングの刻印もそのあたりの年代の#164がベースになっていると思われます。
 
クリップに向かって右側が「シリアルナンバー」、背面側が「GERMANY」、クリップの左側が「METAL3」となっています。
 
クリップリングを含むクリップの素材はマイスターシュテュック全モデル共通で、この部分のみシルバー925やバーメイルからは外れます。
 

 
製造年代が2000年の初頭までということで、クリップの裏に「Pix®」等の刻印はなくフラット。
製造国や素材の刻印はすべてクリップリングに打たれてあります。
 

 
続いて胴軸上部にある、ラムセス2世やニコライ1世のワンポイントとなっている刻印。
(ここは案外ゴールドコーティングが薄い部分のようです。耐水ペーパーで磨く際、この部分にマスキングした方が良いかも…)
 
シルバー925に関する刻印が4つ。
「(StOD)?」「925」「天秤に925」「セントバーナード」。
 
ここで、おやっ?となった方は、おそらくカランダッシュファンかスイスの高級時計好きの方でしょう。
そう、モンブランの筆記具にはあまり見慣れない刻印「セントバーナード」があるではないですか。
 

 
向きを変えて拡大してみます。
確かに、これはスイスの検査所の印であるセントバーナード。
 
ということで、このラムセス2世の胴軸部分もしくは、全体の製造がスイスで行われていた?ことが覗えます。
一つ謎なのが、セントバーナードの刻印に付くのがアルファベットではなく「★」マークであること。
例えばカランダッシュ エクリドールの純銀モデルには「G」(ジュネーブの検査所)のように検査所の地名にちなんだアルファベットが打たれているのが通例です。
 
ところがラムセス2世には「G」でも他のアルファベットでもなく「★」マーク。
これが何を意味しているのか…。
「★」マークを付ける地域の検査所があるか、もしかすると22金コーティング用の刻印?
 
謎は深まるばかりです。
 

 

次は、ラムセス2世(ソリテール)の造りについて。
 
全てにおいて完璧な筆記具というのは存在しないと思ってはいるものの、値段の割に意外で、少し拍子抜けしたのが胴軸の部分。
大きく2つありますので分けて書いていきたいと思います。
 

 
①胴軸部分のシルバー925が薄い(気がする)
これはリフィル交換の時に見られるのですが、胴軸に使われている金属(シルバー925)の厚みが薄くないですか?という事です。
写真の胴軸内部はグレーの樹脂製で、外殻が金属。
 
いや、モンブランのソリテール(ボールペン)は初めてですので、こんなもんだよ!と言われればそうなのかも知れません。
 
ヤード・オ・レッドやセーラープロフィットの純銀モデル、カランダッシュの純銀モデルを見過ぎてきたのかも知れませんが、それらと比べると明らか薄いです。
 
薄い=落下耐性が心配(落としたときに凹みやすいのでは?)。
 
うーむ、モンブランがと言うより、もしかしたら他のメーカーも外殻はこのような厚みで、ラムセス2世は内部が真鍮ではなく樹脂のため余計に薄く見えるという可能性もあります。
 
また、金属×樹脂のネジ結合が逆に耐久性に優れるとどこかで効いたことがあるので、そのようになっているのかも。
はたまた胴軸の内側を真鍮にすると重量が重すぎるために、あえてこの素材でこのバランスにしてあるのか…。
 
と、色々考えてみます。
 

 


 
②筆記時に持ち上げたときに内部でリフィルが当たる音がする
今は対策を講じたためそのようなことはないのですが、手元に届いた時は胴軸内でリフィルが安定しないような、たまにカチカチとどこかに当たるような音がしていました。
 
注意点としてこれはユーズド品ですので、もともとそのような仕様ではなく、どこかにユーズド品故の欠陥を持っていた可能性も捨てきれません。
 
胴軸内を見てみると、最近(と言っても2000年以降発売)のマイスターシュテュック#164にあるようなスペーサーがありません。
 

▲年代による胴軸内のスペーサーの有無
 
ラムセス2世の生産年から、スペーサーが無かった頃のモデルというのは想像がつきます。
そのためもともと設置されていないか、もしくはユーズド品であるが故、あったものが無くなっているか。
 
ということで、どちらにせよ毎回ペンを持ち上げたときにカチカチと音がするのは精神衛生上よくないので、以下の対策をしています。
 

 
まあ、対策というほど大掛かりなものではないですが、#164ジャンクパーツより胴軸内のスペーサーを拝借して、ラムセス2世に移植。
これだけで快適な筆記具ライフ、確保完了です笑
 
2000年代以降の#164(Pix®モデル)に設置されているスペーサーは、接着されているわけではないので、粘着テープを先端に巻いた割り箸を突っ込めば容易に取り外せるのが便利なところ。
 
これでカチカチ音はしなくなりました。
「持つべきは友」とはよく言いますが、まさに「持つべきはジャンクパーツ」と言ったところで、いざという時に重宝します。
 

 
リフィルは美しい群青×ゴールドの軸にちなんで「パシフィックブルー」をチョイス。
もう20年以上も前にリリースされた限定軸に、モンブラン最新のちょうど良いねっとり系粘度のリフィルを入れて使う。
 
最高です。
 

 
マイスターシュテュック#164を派生モデルを含め並べてみました。異素材でアレンジが加わるものの、完成されたデザインを維持し続けるマイスターシュテュック。
左から、#P164、ユニセフモデル、ラムセス2世、スターリングシルバードゥエ、ステンレススチールドゥエ
 
モンブランを持つなら、まずはこのベースが#164というフラッグシップモデルを押さえておきたいところ。
 

 
ソリテールとソリテールドゥエの大まかな見分け方は、胴軸が金属かそうでないか。
ソリテールはグリップ部も金属のため、滑る人には滑りやすいかも知れませんが、重量が増すため筆記が安定するという一面もあります。
 

 
ペアで持つのにピッタリな2本と言えば、こちらの組み合わせもあります。
エジプトマニアとラムセス2世。
 
エジプトマニアはモンブランのヘリテージモデルでは珍しいノック式のボールペン。
その名の通り、デザインの各部にヒエログリフやスカラベなどエジプト文明にちなんだアイテムが散りばめられています。
 

 
エジプトマニアドゥエだとさらに似合いそうですね。
 

 

さて、今回はモンブランのボールペン「マイスターシュテュックソリテール ラムセス2世 ラピスラズリ バーメイル #20164」をレポートしてきました。
 
なかなかお目にかかることのないモデルを手にして、修繕して使う。
やっぱり限定モデルでも気兼ねなく使いたいですし、自分が使いやすいようにアレンジするというのは良いことだと思います。(いつも書いていますが、ミント品を手にしてしまうと使うのが憚れます)
 
ラムセス2世は軸の美しさはさることながら、マイスターシュテュックがベースとだけあって使い勝手も上々。使いやすく、かつ非常にエレガントな一本です。
ビジネスでガンガン使えるかというと微妙なモデルではありますが、胸に挿しておいてさり気なく取り出せば格好良いのではないでしょうか。
 

 
今後もモンブラン(特にボールペン)については注目していきたいと思いますが、まずお目当てのモデルに出逢えるかどうか…笑。
 
その時を逃さないように、皆さんも一期一会を大切にかつ、電光石火の判断で最高の一本を手にして下さい。
 
それでは、長くなりましたが今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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