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モンブラン ジョン・F・ケネディ スペシャルエディション ボールペン【モンブランの偽物を回避するポイント】

2024年2月4日

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いまだに偽物の出品が絶えない某オークションで、なぜかよく見かけるモンブランの偽物があります。
 
逆に通常のマイスターシュテュック#164の偽物は減ったような気がしますが、それはよりも高価なモデルの偽物が出回るようになったからでしょうか。
当記事は「偽モンブランを掴まないための記事」の派生記事としてご参考に頂けたらと思います。
 
さて、今回の偽物比較は手元に偽物があって比較するのではなく、ネットの写真や情報と手元の本物を比べて違う部分を洗い出していこう、という内容です。
そして比較する筆記具は、
「モンブラン ジョン・F・ケネディ スペシャルエディション ボールペン」
 

 
これはモンブランが歴史上の偉大な人物をテーマに製作した「グレートキャラクターズ」というシリーズの中の一モデルで、言わずと知れた歴代アメリカ大統領のジョン・F・ケネディ(以下、JFK)へのオマージュ作品です。
 
様々な特別生産モデルを発売しているモンブランですが、作家シリーズ、パトロンシリーズ、ドネーションペンと同じ部類の特別モデルと言って良いでしょう。
そして、このJFKモデルには2種類あり、今回取り上げる「JFKスペシャルエディション」と「JFK 1917 リミテッドエディション」。
JFK 1917 リミテッドエディションは世界1917本の限定モデルとなっています。
 
モンブラン JFK スペシャルエディションには、万年筆・ローラーボール・ボールペンの3種類がラインナップされていて、そのいずれにおいても偽物が確認できます。
マイスターシュテュック#164の偽物がなかなかの出来(笑)でしたので、JFKスペシャルエディションも似せてくるのかと思いきや、詳細を見比べていくとそれほどでもない事が分かってきました。
#164のようなシンプルなデザインの普及モデルをコピーするのは容易かもしれませんが、こういった特別生産品はディティールが凝っていますので真似るのはなかなかに難しいようです。
 
それでは前置きはこれくらいにして、本題に入っていきましょう!
 

 

 

 

モンブランの特別生産品の偽物全般に言えること

某オークションを見ていると様々なモンブランの偽物ペンを見ることができます。
 
最近は落札者の目も慣れてきたのか、入札者数も減り、偽物が高額で落札されることは少なくなってきていますが、注意が必要なのがこれからオークションを始めようとしてる方や、始めたばかりの新規オークション参加者ではないでしょうか。
手軽なフリマよりも相当な品数が望めるオークションは、未開の品物やずっと探していた製品に出逢える場と言って良いでしょう。フリマメインに購入していたけど、オークションもやってみようかな!という方は特に気をつけて頂きたいです。
 
オークションに出品されているモンブラン筆記具の偽物のパターンとして、#164や#165の偽物がベースとなっているということ。
例えば近年で多かった偽物でいくと、「星の王子さま」や「スターウォーカー」や「ボエム」。
これらは、万年筆とローラーボールの偽物が多いです。
 
どちらにも言えることが、「万年筆のニブが違う」ということ。
前述した偽物のパターンを思い出して頂くと、偽物ベースとなっているモデルであるマイスターシュテュック#165。
モンブランの万年筆はペリカンと違ってペン先を交換しようと思うと特別な工具が必要です。
 
そのモデルに対してあり得ないニブが着いているというのが偽物の特徴。
 
コピー業者はこの#165のニブの複製に成功しているようで、その贋作クオリティーはぱっと見は本物と見分けがつきにくいほど。
(まあ、よく見るとニブの刻印がものすごく薄かったりするんですけど)
その複製の成功がよほど嬉しかったのか、本来#165のニブが乗っていないはずの「星の王子様」や「スターウォーカー」にそのニブを着けてしまっています。
 
しかしこれの恐ろしいところが、我々(このブログを読んで頂いている方々)のような筆記具に対して興味と知識のある人が見れば一発で気付くのですが、そうでない方(これから本格的な筆記具買ってみようかな!という方)からすると、そういうモノだと思ってしまうこと。
それこそがコピー業者の狙いなのでしょうが、ようは興味が出たことに対しては走らずに“しっかりと調べてから買いましょう”という事です。
 
一方、ローラーボールの偽物によく見る状態でいうと、初めから装填されているリフィルの先に丸い樹脂のインク止めがついているもの
非常に親切なのですが、実際のモンブランの筆記具の新品リフィルにはそんなモノはついてないです。笑
 
ローラーボールの真贋判断は万年筆に比べて難しい部分がありますが、ディティール(特にトリムのメッキが安っぽい)や本来のデザイン知った上で見ると違いに気付くことができるのです。
偽物をポチらないことがコピー業者を衰退させる手がかりとなります。
 
さて、話を戻して特別生産品のニブですが、#165のコピーニブが着いているケースともう一つ、「特別生産品っぽいコピーニブ」が着いている場合があります。そして、JFKモデルについては後者のニブが着いているのをよく見かけます。
 
特別生産品っぽいコピーニブとはどんなものかというと、通常の#165ニブの刻印ような、上から「4810」「モンブランロゴ」「14K 585」「MONTBLANC」というような流れではなく、一部の刻印の順番が入れ替わっていたり、「4810」がハート穴の上に来ていたりするコピーニブのこと。
 
特別生産品のニブはハート穴の付近にそのモデルの象徴とも言うべきモチーフが描かれ(刻印され)ます。例えば、今回のJFKモデルであればニブにはケネディ大統領に縁のある「アポロ計画の月面着陸船」が刻印されています。
 

 
他のモデルもしかり、モンブランはオマージュする人物・作家・音楽家・アーティストに縁のあるデザインを筆記具に組み込んでいるのです。
 
ようはモンブランに限らず、筆記具メーカーが出す一流の筆記具は莫大なお金と時間をかけてデザインし、職人の手によって丁寧に造られているのであって、そもそも、お金や手間暇をかけずに完璧な複製を作ることなど不可能ということになります。
 

 

JFKモデルの偽物を見抜くポイント①(キャップ・尻軸)

それでは、本題のモンブランJFKモデルの偽物を見抜くポイントを各部分ごとに分けながら見ていくとしましょう。
 
まずはキャップと尻軸について。
(尻軸は万年筆とローラーボールのみ)
 

 
特徴的なJFKモデルのキャップ。
大きなキャップリングには3連のリングがあり、これはケネディの兄のジョセフ、弟のロバートを含めたケネディ家の3兄弟を表しています。
 

 
本物と偽物の違いとして、この「3連リングのローレットの有無」が挙げられます。
リングの下面にのみ施されたローレットがアクセントとなっていますが、偽物にはこれがなくツルッとしています。また偽物はメッキの質もチープ。
「MONTBLANC・」の字体や並びは本物と似せてありますので、キャップリングでの真贋判断は「ローレット」を見るのが一番です。
 
また、万年筆とローラーボールについては尻軸にもトリムがあり、シングルのリングが着いています。これにも本来はローレットがあるのですが、偽物にはありません。
これは多少オークション上の画質が粗くても気づける範囲となりますので、見逃さないようにしましょう。
 

 
ちなみに、モンブランのキャップと言えば天冠の「ホワイトスター」。
 
JFKモデルはボディこそ大きいですが、ホワイトスターは実は#164や#161と同じサイズ。
このちょこんと乗った小さなホワイトスターが可愛いです。
 

 

JFKモデルの偽物を見抜くポイント②(クリップ周辺)

続いてクリップの周辺のディティールの違いから偽物を見抜くポイントです。
 
JFKモデルのクリップは一見シンプルなようで以外とディティールが詰まっている箇所。
クリップだけで5箇所「偽物を見ぬくポイント」があります。
 

 
一つ目はクリップのイニシャル。
 
上から見ると細い楕円形をしているクリップの上部には「JFK」のイニシャルが刻印されています。偽物も同じように「JFK」は刻印されていて、ここだけで見分けるのは困難かも知れません。
 
しかし、偽物の中にはどういうわけか「JFK」が刻印されていないものも確認できます。
クリップに「JFK」が着いてなければ間違いなく偽物。
着いている場合は違う部分での判断となります。
 

 
2つ目のポイントはクリップベース。
 
JFKモデルにはクリップと同じ楕円形のクリップベースがデザインされています。
しかし偽物はこのクリップベースとクリップが一体化したようなデザインをしています。
言うなれば、デザインが全く違うクリップなのです。
 
JFKモデルのデザインを見るうえで、テーマの一つであるアポロ計画にインスピレーションされるスペーシーなデザイン。これをはしょってしまっているのが偽物。
 

 
続いて3つ目のポイントは、クリップ先サイドのディティール。
これはサイドからのアングルの写真があまりない、オークションの画像では気付きにくい部分ではあります。
 
クリップの横側には流線型の凹みのあるデザイン。このデザインは偽物にはありません。
こういった細かいディティールがこのペンの横っ面を面白みのあるものへと変えています。
非常に重要なデザインと言って良いでしょう。
 
残りの2つはクリップの刻印です。
クリップの根元右側面には「9桁のシリアルナンバー」が刻印されています。
お馴染みのモンブランノルムと言ってよいのか、独自の字体が使われた英数字のシリアルナンバー。
 

 
そして最後は、これもお馴染みのクリップ裏の「Made in Germany」と「metal」のエンボス。
発売時期と特別生産モデルという位置づけから、これ以外の文字のバリエーションは存在しないものと思われます。
 
偽物にこのあたりの刻印やエンボスがあるのか無いのかは、偽物の実物が手元に無いため不明ですが、無いものはまず疑ってよいでしょう。
 
ということで、クリップだけでも5箇所の偽物回避ポイントが存在しました。
オークションの画像において一番気がつきやすいのが2番目のクリップベースの有無ではないでしょうか。
 

 

JFKモデルの偽物を見抜くポイント③(サイズと口金)

JFKモデルの偽物を見抜くポイントの最後は、サイズと口金です。
まずはサイズですが、この「グレートキャラクターズ」というシリーズ全般に言えることですが、とにかく大きく重いということ。
 

 
私も入手する前はせいぜいル・グランのようなミッドサイズであろうという読みでしたが、実際は違いました。
 
今回のJFKモデルでいうと、まず胴軸の部分だけで20g。(リフィルを入れると24g)
これだけでマイスターシュテュック#164一本とほぼ同じ重さがあります。
 

 
加えて、キャップの部分が33g!
これはスターリングシルバーのボールペン約一本分の重さ…!
 
全体で約57gの重量となり、私が持っている筆記具の中で二番目に重いという結果に。
(ちなみに一番重いのはスティピュラのアメリゴ・ヴェスプッチ万年筆:約71g)
JFKモデルは胴軸とキャップの素材がプレシャスレジン(濃紺およびバーガンディ)ですが、総金属軸かと思うほど重いのです。
 
それでもグレートキャラクターズの中でJFKモデルはまだ軽い方で、他には80~90gのペンもゴロゴロしています。
どっしりと安定した書き味を求める方にはこれ以上ないモデルですが、逆に重いのが苦手という方には全く向かないシリーズではないでしょうか。
 

 
全長はル・グランと比べると若干短めですが、重量・サイズからの存在感、所有満足感は特別生産モデルの中でも高いと言えます。
 
特にJFKモデル(スペシャルエディション)は、濃紺のプレシャスレジン。
これがとにかく格好良いのです。
 

 
日中、太陽の下ではグレーにも見える黒に限りなく近いネイビー。
 
マイスターシュテュックのようなクラシックデザインのモンブランでは、ネイビー×シルバートリムのペンは珍しく、それだけでもそそられます。
(私がこのモデルを欲しいと思ったキッカケでもある)
 

 
そして、JFKモデルはじめグレートキャラクターズのペン達は重いだけでなくとにかく「太い」。
この太さはJFKや他のモデル共通の特徴ですが、偽物のJFKモデルはシルエットが細い。
いや、それでも#164などと比べると十分太いのですが、本物と偽物を比べると明らかに偽物は細い。軸が細いため太めのキャップリングとのバランスが非常に悪いのが偽物。
 
某オークションの小さな画像では判別しにくいかも知れませんが、シルエットとトリムとのバランスで見ると明らかに違うため、入札前は予めモンブランブティックを見た上でそれが本物かどうか判別しましょう。
(というかモンブランのショップで買うのが一番なのです、高いですが…)
 

 
最後は口金について。
 
これはよく見ると分かる違いです。
まず本物のJFKモデルの口金は胴軸と一体型パーツで口金のみの取り外しは不可能。
ペン先はダブルのリングがあり、先に行くほど細くなるというデザイン。
 

 
偽物はと言うと、ダブルリングとペン先の間が少し長く、別パーツによる分割線が確認できる状態。
汎用品を組み合わせて作っているのか、こういったデザイン面でも雑な部分が見られます。
 

 
口金からリフィルが出る部分については、マイスターシュテュックP164の偽物の時のような切りっぱなしではなく、滑らかな処理が施されておりこのあたりは本物に似せてあるといった印象。(画像は本物)
 

 
ということで、今回はモンブランのグレートキャラクターズ「JFK スペシャル エディション ボールペン」を偽物回避の情報と共に見てきました。
 
まだまだ、偽物を掴む可能性がある某オークション。
偽物も質を上げてきている(?)ことから、正確な情報を掴んで偽物回避の参考にして頂ければと思います。
 

 
JFKモデルは大きなボディサイズでどっしりとした重み。太軸好きにはたまらない一本です。
デザインも他のグレートキャラクターズのものに比べ良い意味で落ち着いているため、ビジネス利用にも耐えます。
 
そして、モンブランのラインナップでは珍しいネイビーの軸。
これが本当に格好良いので、濃紺×シルバートリムのモンブランをお探しの方は購入候補に加えてみては如何でしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
 

 
今回の記事のベースであるマイスターシュテュック#164の偽物回避の記事は↓
「偽モンブランを掴まないための記事」まで。

 

 
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