ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
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人生の歩み方を考えさせる、モンブラン作家シリーズのボールペンレポート【1994年 オスカー・ワイルド】

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皆さんこんばんは。
暑くなってきて2025年もいよいよ夏本番に近づきつつありますが、夏の前には雨の季節。
雨音を聞きながら静かな室内で行う物書きはとても愉しいものです。
 
万年筆、ローラーボール、ボールペン、ペンシル。
じっくりとペンと向き合って考えをまとめたり、思いのままにペンを走らせたり、新しいインクの試筆をしたり…。
梅雨刻に使う筆記具がいつもより魅力的なのは、曇り空の窓から差し込む青白い光のせいかもしれません。
 
さて、今回はそんな物書きの時期にぴったりの、モンブランは作家シリーズのボールペンをレポートしていきたいと思います。
 

 
今から約30年前の1994年に発売された、作家「オスカー・ワイルド」に敬意を表したモデル。
モンブランは、1992年に発売した「ヘミングウェイ」を皮切りに、毎年「Writers Edition(ライターズ エディション)」を発売しており、去年(2024年)も「ジェイン・オースティン」が発売されています。
※2025年6月現在、2025年モデルの作家シリーズは未発表
 
作家シリーズは、モンブランの筆記具ラインナップの中でも 作家の生涯や作品をデザインに落とし込んだクラシックなモデル。
モンブランのフラッグシップである「マイスターシュテュック」をベースとした、重厚でクラシックなデザインが好きな方には“どハマり”なペンコレクションなのです。
 
私自身もモンブランペンのクラシックなデザインに惚れ込んでおり、何かの節目や懐に余裕ができたタイミングで少しずつ作家シリーズを入手しているのですが、今回のオスカー・ワイルドも例に漏れず素晴らしいデザイン、そして所有満足感。
 

 
イエロー、ホワイトパール、ブラックのレジンが散りばめられた、マーブル模様のプレシャスレジンの軸。因習にとらわれない自由な軸柄はまさにオスカー・ワイルドの情熱と精神を表現しています。
 
「MONTBLANC」ロゴが刻印されたティアドロップ型のクリップや、ペン先繰り出し操作部を兼ねた天ビスは モンブランのクラシックなペンシルがイメージされたシルエット。
クラシックモンブランファンには堪らないデザインです。

 

オスカー・ワイルド(ボールペン)のスペックは、
 
全長:140mm
重量:28g
軸径:10.5mm
 
数量は、万年筆が5000本、ボールペンが8000本、メカニカルペンシルが7000本(プラス、それぞれ5000本を万年筆・ボールペン・ペンシルのセットとして販売)
 

 
オスカー・ワイルドのクリップやトリムはシルバー925にゴールドプレートを施したバーメイル仕様。伝統的なモンブラン山が付加されたロゴがポイントです。
このクリップ、1999年に発売された作家シリーズの「マルセル・プルースト」ともデザインが同じ、しばしば使われるヘリテージデザインとなっていて、個人的にですが、たまらんポイントの一つなんですよね。
 

 
クリップに向かって左側にはシリアルナンバーの刻印があります。
ボールペンは「*****/13000」(単品で8000本、セットで5000本の計13000本)。
こう考えると、よくあるイタリアメーカーの限定万年筆にくらべて十分な製造本数ではないかと思います。
 

 
クリップの右側にはオスカー・ワイルドのサイン「Oscar Wilde」。
刻印にグリーンの墨入れで、他の作家シリーズにはない渋さがあります。
 

 
そしてクリップ天面?の目立たない部分にひっそりと佇む「925」の刻印。シルバー925が使われているモンブランのペンには、素材のどこかに刻印されているもの。
サークルに「StΟD(?)」の刻印は、モンブランペンのシルバー925の刻印と共によく使われており、おそらくモンブラン独自の品質基準を表す表記ではないかと考えています。
 

 
クリップ全景。厚めに生地にも挟み込める余裕を持った設計と、クリップ先のティアドロップ型の止め。
美しい流れです。
オスカー・ワイルドが語ったとされる「私の好みは極めて単純で、ただ最高のものだけが好きなのだ」という言葉、その言葉を物語るようなシンプルで美しいシルエットです。

 

このマーブルレジンの軸柄を見たとき、手持ちの筆記具のあるデザイン(素材)が思い浮かびました。
その素材を意図してオスカー・ワイルドの軸がデザインされているわけではないのですが、せっかくなので比較してみたいと思います。
 

 
並べたのはファーバーカステル アンビションのココスウッド。
いや、素材も何もかも違うんですよ。それは分かってはいるのですが、オスカー・ワイルドのランダムに入った黒のレジン、ココスウッドの繊維と似ている…気がする…。
 

 
アップで見てみると、ああー!と、なりませんか?
ココスウッドも個性的な樹種柄ですが、オスカー・ワイルドの自由な精神と似ているような気がします。
 
オスカー・ワイルドの名言のひとつにこのような言葉があります。
「人生には選ばなければならない瞬間がある。自分自身の人生を充分に、完全に、徹底的に生きるか、社会が偽善から要求する偽の、浅薄(センパク)な、堕落した人生をだらだらと続けるかの、どちらかを。」
 
この軸の一本一本の黒い線こそ、人生における分岐点なのかも知れません。
まさに心に響く名言です。
 

 
作家シリーズ「オスカー・ワイルド」ボールペンのリフィル交換方法は、ペン先のパーツを外して行います。
純油性ボールペンリフィルの中では屈指の書きやすさを誇るモンブランの純正インク。オスカー・ワイルドのような重めの軸にはねっとりとした中字(M)がよく似合います。
 
ペン先の繰り出し方法は、この形のペンにはよくある天冠を捻って芯を出すやり方。
天冠のデザインとアールデコ調なローレットにより操作感も抜群で、ねっとりとした回転動作を愉しめます。
モンブランをはじめ高級筆記具のボールペンは回転繰り出し式のものが多いですが、この「ねっとりとした操作感」は 高価な筆記具を使っているという実感も得られる瞬間です。
 

 
樹脂軸というと軽いイメージがありますが、芯材に真鍮が使われていることから 28gという絶妙な重量を得ています。
心地良い重量感と共に金属芯材がもたらすメリットはペン自体の強度が上がること。
口金パーツを噛み合わせる操作も精度高しです。
 

 
最後は、今手元にある作家シリーズの7本を並べてみます。
左から発売年が古い順。
 

 
先にも書いたとおり 作家シリーズは毎年発売されています(全部で33種類※)ので、ここに並んでいるモデル以外に26本のモデルがあるということ。…これは長い道のりです。笑
(※1993年はアガサ・クリスティとインペリアルドラゴンの2種類あり)
 

 
伝統的なモンブランのロゴが刻印されているモデル。
手前から、ヘミングウェイ(1992年)、ボルテール(1995年)、オスカー・ワイルド(1994年)。
 
作家シリーズはいずれのモデルもその作家をイメージさせるデザインがうまくペンと融合されており、コレクション性をくすぐります。
 

 
シルバートリムの作家シリーズ。
トリムにはシルバー925が使われており、使用や保管に伴う硫化(黒ずみ)も磨きつつ使っていく愉しみと変わります。
 
フランツ・カフカのボールペンについてはまだレポートできていませんので、また機会をみて記事にしたいと思います。(軸のレジンがとにかく綺麗)
 

 
さて、今回はモンブランの作家シリーズから1994年に発売された「オスカー・ワイルド」をレポートしました。美しくも予測不能なマーブルレジンの胴軸は、まさにオスカー・ワイルドの生き方や作風そのものといってもよい、力強さを感じるデザイン。
 
ねっとりとした操作感、素晴らしいモンブランの油性インク。書くことの愉しさを思い出させてくれる要素が作家シリーズにはあります。
 
私の入手よりも速いスピードで毎年新しいモデルが発売されていくため、全て手元に置いて書き比べできるのはいつになることか…。
ただ、その時筆記することを愉しみに、作家シリーズは これからも使っていきたいと思わせてくれるモデルです。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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