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カヴェコ ペンシル スペシャル 新旧モデル比較【Kaweco Pencil Special レビュー】

2024年9月24日

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皆さんはメカニカルペンシル(シャーペン)を使うシーンにおいて何をお使いでしょうか?
 
ペンシルを使うシーンとして、中高大の学生さんは日常生活(勉強)で使うシーンは山ほどあるかと思います。
ビジネスマンは会議時に考えを整理する際に使ったり、提出書類以外の日常業務で使うという方もいらっしゃるでしょうか。(おそらくボールペンの方がメインのはず…)
 

 
私も仕事中のメモを取る際にペンシルを使うことがあるのですが、利用が殴り書きかつ後から見直す時の見やすさも含めて、デスク用に0.9mm芯のカヴェコスペシャルを置いています。
 
昨今はシンプルなデザインのペンシルが各メーカーの主流ですが、カヴェコスペシャルやぺんてるの製図ペンような少しレトロなデザインのペンシルも気分を上げてくれる良アイテムです。
 

 
レトロなペンシルにもデザインは大きく分けて2つ。クラシックな太軸タイプと製図ペンのような細身のタイプに分けられるかと思います。
使用感は、太めの軸には太めの芯が、製図タイプのペンシルには細字の芯が合うように感じます。
普段、太軸めのボールペンや万年筆を使っている私は レトロな太軸タイプのカヴェコがより手に馴染むわけです。
 
私のカヴェコスペンシルペシャル遍歴はというと、もともと0.7mmの旧タイプを使っていて、その後一旦手放し、再度 旧型0.9mmのスペシャルを購入。その後、息子にも使わせてみようと思い、最近になって現行の0.5mm(息子氏は0.5mm幅がお好みらしい)を購入。
 
私が以前スペシャルを手放した理由は、少し胴軸が滑りやすいかな?と感じ使用頻度が減ったこと。ただ、丸軸以外の「多角形軸で太め」というと、カランダッシュの849やエクリドールでは少し役不足となります。
そこで再度のスペシャル(0.9mm)だったのですが、やはり口金の形状に拘りがあり旧タイプを探し出して入手となりました。
 
息子用のスペシャル0.5mm(現行タイプ)との違いというと、口金とノックキャップくらいであとは一緒なのかと思いつつ、実際に細かな所まで比較してみると 実はほぼ全ての構成部品において違いがあることが分かってきました。
 

 
前回のカヴェコスペンシルペシャルの記事は2018年のちょうど今頃(7月)に書いていますので、6年越しのカヴェコスペシャル新旧比較記事となります。
そういえば6年前の新旧比較はあっさり口金のデザイン変更くらいしか触れていませんでしたので、ちょうど良い機会かと。
 
ということで、今回はもはやベストセラーとも言っていいかもしれません、老若男女利用者の多い「カヴェコ ペンシル スペシャル」の新旧モデル比較をしていきたいと思います。
 
比較する中でみられるカヴェコスペシャル改良の軌跡。
どうぞ最後までお付き合い下さい。
 

 

 

 

外観の違い【口金】

まずは一番の変更点といって良いでしょう「口金」の形状違いから。
口金の形状違いは、ぱっと見でも分かる大きな外観的変更点です。
 

 
カヴェコスペシャル専用のペンシースを境に、左側が旧型、右側が現行モデルとなります。
個人的にはこの口金とガイドパイプが一体となったレトロな外観が、カヴェコスペシャルにおける一番のチャームポイントではないかと思っているほどお気に入りのデザイン。しかし、数年前から故障しにくくメンテがし易いであろう シルバーカラーの一般的なガイドパイプに変更となっています。
 
変更の理由は、芯が折れにくい、筆記時の芯の固定精度向上、紙面への視認性の向上、メンテナンスのし易さなど諸説挙げられるかと思います。
 

 
ペン先部分を拡大してみるとこのような違い。
手元のモデルは旧型が0.9mm、現行が0.5mmですが、すべての字幅に対してこのデザインでの違いがあります。
 
どちらが良いかは好みの問題となりますが、まあ、黒いガイドパイプが良い場合は現行のガイドパイプにブラッククロームをスプレーすれば良いだけですので、ロゴ以外真っ黒がいい!という方は口金をマスキングしてガイドパイプを黒く塗装するのも良いかと。
そして、口金にちなんだカヴェコスペシャル旧型ならではの裏技として、口金の差し込み調整によってノックキャップの長さを微調整できるというネタがあります。(一般的に知られているかは別として…)
 
現行モデルこそ内部機構にOリングが設置され、内部機構と胴軸を固定する位置は決まっているわけですが、Oリングが設置されていない旧型のみ、内部機構の位置をずらしたノック位置調整カスタムが可能となっているのです。
 
具体的には、内部機構を胴軸と連結する際「先に口金を内部機構に嵌めてから胴軸に入れる」または「先に内部機構を胴軸に入れてから口金を嵌める」という2通りの方法があり、後者の方法により最大1mmまでノックボタンを引き出すことができます。
 

 
こちらが通常胴軸から出る内部機構の位置。
(口金を先に内部機構に嵌めてから胴軸に戻すとこの位置)
 

 
一方、先に内部機構を胴軸内に戻した場合、内部機構の真鍮パーツはここまで胴軸内に収まります。
ようは内部機構が1mm分だけ余分に胴軸内部奥に収まる形。
 

 
比較するとこうなります。
上が内部機構を先に胴軸内に戻した場合(A)で、下が通常位置(B)。
 

 
そうなると同時にノックキャップを嵌めるパイプも1mm多く外に露出する形となるため、ノックキャップを嵌めた場合、長さにこのような差が出てきます。
 

 
ノックキャップの位置が変わってもノックストロークは同じですので、どちらかというと指の長い方向けのカスタマイズ方法でしょうか。
それにしてもカヴェコスペシャルのノック感は気持ちいいですね。
 

 
左がボールペン、右がペンシル。
カヴェコスペシャルのボールペンはノックキャップが結構出ていますので、普段スペシャルのボールペンを使っていてノックボタン位置(操作感)をボールペンに似せたいという場合も使えるかも知れません。
(写真のペンシルのノックキャップは通常位置)
 
話が大幅にズレましたが、カヴェコスペシャルの新旧比較において一番の変更点は「口金のデザイン形状」となります。
個人的にはこの一体型口金が気に入っていますので、ペン先から落下させない限りは使い続けるでしょう。
 

 

外観の違い【塗装】

続いての外観の違いは「塗装の違い」。
どちらもブラックなのですが、実は同じブラックの中でも色が違います。(写真ではなかなか表現が難しいですが…)
 

 
「黒は300色あんねん」と誰かが言っていましたが、確かに頷ける事実かもしれません。
ここでは2色の黒の比較ですが、色味の違いは蛍光灯下では違いの判別が難しく、直射日光下だと違いが顕著となります。
 

 
ううむ、室内でしかも直射日光が当たっていない状態ではなかなか違いが分かりにくいですが、旧型はピュアブラック、現行はブルーブラック(少しパープルみが強い)となっています。
 

 
黒バックだと少しだけ分かりやすいかも知れません。
左が旧型(0.9mm)、右が現行です。
 
色味は断然旧型の方が好みなのですが、色の違いだけに止まらないカヴェコスペシャルの改善点があります。
 

 
それはというとグリップ感。
旧型と現行ではグリップ感に雲泥の差があると個人的には思っています。
色味も変わっている事から、塗料そのものに変更があったと考えるのが自然でしょう。
 
現行モデルの方がグリップ感が良い=操作感が向上している!
先代の旧型を手放した理由がグリップ感でしたので、これは嬉しい改良点。滑りにくい塗膜の塗料が採用されているものと思われます。同じ旧型でも現在手元にあるのは0.9mmですので、そこまで筆圧を必要としません。このあたりが今旧型のカヴェコスペシャルを使えている理由でもあります。
 
芯の太さが細くなるにつれ、無意識に筆圧をかけるようになります。
しかも太めの軸のため、滑りやすいと疲れて長時間の筆記が困難に。
それを助けるためにもグリップ感は必要、というわけですね。
 
これはカヴェコスペシャルのモデルチェンジにおいて、一番の改良点ではないかと思います。
 

 

内部の違い【ノックキャップ・消しゴム】

さて、続いては内部の変更点について。
ノックキャップは外観デザインとしては変わっていないものの、胴軸内に収まる部分に変更点が見られます。
 

 
旧型の分解図。
※クリップは外してません
 
パーツ点数は大きく5点。
口金、胴軸、ノックキャップ、内部機構、消しゴム。
一見ノックキャップは変更点がないようにも見えますが、実は使用感にも関わる改良が見られます。
 

 
左が旧型、右が現行モデルのノックキャップ。
現行は胴軸内に収まる部分に「Oリング」が設置されていることが分かります。
 
Oリングの効果ですが、筆記時にノックキャップが動き「カタカタ」というノイズが発生するのを防止する役割があります。
 

 
Oリングのお陰でノックキャップが胴軸内壁にピッタリと隙間無くフィットし、ノイズが出るのを完全に防止しています。
そのため、現行モデルにおける筆記時のノイズは皆無で、ペンを振ってもカチカチ音は鳴りません。
チューブ内に予備芯があるとき以外は無音。これは快適です。
 

 
また、付属の消しゴムについては、旧型が針金あり、現行は無しとなります。
この消しゴムの針金についてはオワコン説もありますが、一応これの機能を知らない方向けに説明すると、ペン先のパイプ内に芯などが詰まったときに取り除くためのものです。
 
今やあまり見かけなくなりましたが、製図ペン等のガイドパイプが長細いモデルには付いていたりします。消しゴム交換の際は、針金を抜いて新しい消しゴムに刺すことで使い繋いでいく仕様。
まあ、このペン付属の消しゴム自体が細く小さく柔にできているため、本当に手元にちゃんとした消しゴムがない場合の緊急用の代物。
こういったペン付属タイプの消しゴムは、ファーバーカステルのパーフェクトペンシル以外で使うことはほぼありません。
 
使う機会は少ないですが、精神衛生上必要なモノでもありますので、減ってきたら300円程度(3つセット)で交換は可能となります。
当然ですが、新旧とも同じ消しゴムを利用可能です。
 

 

内部の違い【芯繰り出し機構】

最後は、内部の芯繰り出し機構そのものの違いについて。
これも大きな変更点となります。
 

 
左が旧型、右が現行モデルの分解図。
口金、胴軸、ノックキャップと見てきましたが、内部機構についても一目で分かるOリング設置の改良点があります。
 
効果はノックキャップと同じでガタつき防止と操作性の向上。
ノックキャップもそうですが、胴軸から外す、胴軸に差すといった操作の際、Oリングのお陰でねっとりとした安心感のある操作感となり、パーツ同士の連結の気密間を高めています。
 

 
左が旧型、右が現行モデルの内部真鍮パーツ。
Oリングは2箇所で大きい方が胴軸と内部機構をつなぐ部分に設置されており、小さい方が内部機構と口金を接続する際に効いてきます。
このOリングにより口金の項で書いた全長調整のエラー(?)も防止されていて、内部機構は胴軸内の同じ位置で止まるようになっています。
 
真鍮金属パーツの形状変更及びOリング設置の改良のため、本体の重量は変わらず。
スペックは、
 
全長:141mm
重量:18g
 
のまま。
 
旧型から現行品へのモデルチェンジにおいて、基本スペックはそのままに様々な文字通りの「改良点」が見られるカヴェコスペシャル。
メーカーの意気込みを感じます。
 

 

 

さて、今回は6年越しの比較記事「カヴェコペンシルスペシャルの新旧比較」を行ってきました。
内容をまとめると、
 
①口金がガイドパイプ一体形成からシルバーのガイドパイプへ変更
→主に筆記時の芯ブレ軽減や芯折れ防止などの改良
 
②胴軸表面の塗装変更(ブラック→ブルーブラックへ)
→微妙な色の違いもあるが、現行品は塗膜の違いからかグリップ感が増している
 
③ノックキャップ内にOリング設置
→ペンを動かした際のカチカチ音防止
 
④内部機構へのOリング設置
→口金や内部機構の接点ガタつき防止
 
となります。
 
フラッグシップモデルを改良するにあたり、コスト削減でのパーツ素材変更は良く聞きますが、現行のカヴェコスペシャルは旧型に比べて間違いなく「改良」されており、パーツ構成に関しても妥協によるパーツ変更が見られません。
 
Oリングが良い仕事をしており、パーツが分かれていながらも一本の筆記具としてパーツ間のまとまりがあり、まるで一体形成のカランダッシュのような堅牢性すら感じます。
使っている人が多いのも頷ける名作として、これからもクラシックな外観が好きなペンシルユーザーを魅了していくことでしょう。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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