ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
たまーに気になったガジェットのレポートも。
物欲のままに手に入れたアイテムをレビューしたりしなかったり。

カランダッシュ廃番ペンシルの歩き方【フィックスペンシル0.5(FIXPENCIL 0.5)】

筆記具において星の数ほどある廃番製品は現代人からすると未知の領域。

 

メカニカルペンシルをはじめとした筆記具が発明されたのが18世紀や19世紀と言われていますので、それもそのはず。いったい今まででどれほどの数の筆記具が開発されてきたことでしょう。

 

ことメカニカルペンシル(一般的にシャープペンシルと呼ばれていたりもする)については各メーカーにおいても新旧合わせるとモデルチェンジやバリエーションが多く、機能美を纏ったソリッドなデザインのペンシルは若い世代にも人気があります。

 

最近当ブログで取り上げることの多い、カランダッシュも各モデルでメカニカルペンシルがラインナップされています。

 

もともと画材メーカーのカランダッシュはその名の通り鉛筆や芯ホルダーの歴史も深く、様々なモデルが発売されてきました。

 

そんななか、以前にも記事として出したカランダッシュのメカニカルペンシルの原点とも言える「FIXPENCIL(フィックスペンシル)」のバリエーションで珍しいモデルを発見しましたので記事として残しておきたいと思います。

 

 

通常、フィックスペンシルと言えば2.0mm芯を用いた芯ホルダーなのですが、入手した物は0.5mm芯を使うメカニカルペンシル。

 

ベースとなるモデルはフィックスペンシルですが、カランダッシュの口金部分が特徴的で、詳しくは後述しますがサイズは844よりもコンパクトだったりと様々な違いが見られます。

 

それでは早速、「カランダッシュ フィックスペンシル 0.5mm」を見ていきましょう。

 

 

【フィックスペンシル0.5外観的な特徴】

フィックスペンシル0.5の特徴として、胴軸中寄りに配置されたクリップ、クリップ背面の口金部分の金属パーツ、そして対応する芯が0.5mmということが挙げられます。

 


 
まずはクリップの違いから見ていきましょう。

 

 

▲左からフィックスペンシル2.0、同じく0.5、849コレクション(ボールペン)

 

クリップの形状は3本とも旧モデルの平型クリップ。

 

このようにペン先を合わせて並べるとフィックスペンシルのクリップ位置が胴軸中寄りに位置していることが分かります。

 

「SWISS MADE」ロゴの印刷もなく(もしかしたら経年品ですので使用によって消えた可能性もありますが…)、クリップ上部のスペースが目立つデザイン。

 

 

ちなみにおさらいすると、旧もモデルのクリップは平型で胴軸に対して真っ直ぐ、現行モデルはクリップの根元が盛りあがっておりクリップ先についても小さくなっています。

 

サイズは849ボールペンとほぼ同じで128mm。

 

重量は14gと通常の844ペンシルよりも重めで、おそらくは口金部分の金属素材(真鍮?)が影響しているものと思われます。

 

 

クリップ背面の印刷は「CARAN D’ACHE FIXPENCIL」「METAL」「0.5」。

 

通常のフィックスペンシルは他の849や844と同じくクリップの下にモデル情報が印刷されていますが、こちらは背面印刷と特徴的な使用。

 

 

この黒いボディに白く浮かぶ文字がたまりません…!

 

 

黒いボディと言えば、このカランダッシュ849シリーズやフィックスペンシルのマットブラック塗装は何とも言えない滑らかな質感で、軸の太さも相まっていつまでも触っていたくなります。

 

アルミニウムボディとの相性も良く、道具としての格好良さがあるというのは長時間筆記するモチベーション的にも重要な要素だと感じます。

 

続いて特徴的な口金を見ていきましょう。

 

 

通常の2.0mm芯を使うフィックスペンシルと比べてもペン先の違いは明らか。

 

ローレットが刻まれた口金は、デザイン的に異質ながら他の844やフィックスペンシルとはまた違った満足感があります。

 

次の項ではこのノック機構の違いについて書いてきます。

 

【ノック機構の違いについて】

2.0mmフィックスペンシルはドロップ式の芯ホルダーで、ノックすることによってペン先のチャックを解放、出したい分だけ芯を出すという方式ですが、0.5mmのフィックスペンシルはカランダッシュ844と同じくノック式。

 

なぜ844ではなく、0.5mmのフィックスペンシルなのか。

 

849が発売開始されたのが1969年、フィックスペンシルが開発されたのがその40年も前の1929年であることから、メカニカルペンシルとして844が発売される前のモデルではないかと推測します。

 

1969年に849コレクション(844)が発売され、0.5mmペンシルがフィックスから844へとモデルチェンジした後もしばらくの間フィックス0.5が発売され続けていた可能性もありますね。

 

そう考えると合点がいく点が幾つかあるため後述していきます。

 

(844よりもエクリドールの方が先発ですが、廉価モデルのペンシルということで)

 

フィックスペンシル0.5の芯出しはノック機構。

 

それも通常の844(現行品はメカニカルペンシルも849よいうモデル名)とは違い「ダブルノック式」のノック機構を搭載しています。

 

 

ダブルノック式は一度目のノックでガイドパイプを出し、二度目以降のノックで芯を出すという仕組み。

 

携帯時の落下によるペン先(ガイドパイプ)の破損を防げることがメリットとして挙げられます。

 

(まあ、使用中に落としたらあまり意味はありませんが…)

 

844(849)の0.7mm、エクリドールXSのペン先と比較します。

 

 

▲左から844(849)、フィックスペンシル0.5、エクリドールXS

 

並べるとそれぞれのペン先の特徴が分かります。

 

0.7mmの844(849)はガイドパイプ一体型?といいますか、細くなったペン先から直接芯が出てきます。

 

849のペンシルについてはアジア圏限定で0.5mmの芯径も用意されていますので、0.7mmは少し太いかなと感じる方は画数の多い文字もより快適に書ける0.5mmがお勧めです。

 

一方、エクリドールXSはガイドパイプのような細いペン先から芯が出るのではなく、ボールペンのような形状のペン先から芯が出てきます。

 

個人的にはこの見た目が一番好みですかね。

 

ちなみに、エクリドールXSの芯径については手帳特化の小型ペンシルのため0.5mm芯が採用されていますが、通常サイズのエクリドールは0.7mm芯対応となっています。

 

さて、ペン先を分解するとどうなっているのでしょう。

 

 

銀色の金属パーツを外すと、いかにも見慣れたメカニカルペンシルのチャック機構が見られます。

 

感心したのがペン先の金属パーツが噛む部分にΟリングが配置されていること。

 

一昔前のペンシルではあるが故、造りに妥協はなくコストがかけられている事が覗えます。

 

 

この状態でノックしたところ。

 

ペン先の機構は真鍮製でしっかりと作られており精密感と信頼性に溢れています。

 

芯屑が着いているためメンテナンスが必要ですね…汗

 

 

特徴的なペン先とマットブラックの塗装のコントラストが美しい。

 

アルミの堅牢な造りとマッチしていてペンシル好きにはたまらないペン先デザインではないでしょうか。   

【844、フィックスペンシル2.0、エクリドールXSとサイズ比較】

続いて、フィックスペンシルとカランダッシュ844(849)のサイズ・スペック比較です。

 

 

▲左から、フィックスペンシル2.0、フィックスペンシル0.5、844(旧クリップ)、844(新クリップ)

 

フィックスペンシル0.5の全長は849ボールペンとほぼ同じでしたが、ペンシルである844と比較するとこのようなサイズ感。

 

・FIXPENCIL 2.0

携帯時全長:138mm 重量:9g

 

・FIXPENCIL 0.5

携帯時全長:128mm 重量:14g

 

・844

携帯時全長:133mm 重量:13g

 

フィックスペンシル0.5は844よりもコンパクトでありながら 重量は844より重く、筆記時の重心は前寄りになっています。

 

ペン先の金属パーツや真鍮製の大きめなチャック機構により多少重量を感じる使用。この辺りも他の製図用ペンシルとしての特徴と一致しています。

 

ついでに同じ0.5mm芯を使うエクリドールXSとも並べてみましょう。

 

 

▲左から、フィックスペンシル2.0、同じく0.5、エクリドールXS

 

・Ecridor XS

携帯時全長:99mm 重量:19g

 

エクリドールXSとなると、もはや2.0mmフィクスペンシルの4分の3ほどのサイズ。

 

それでいて重量はこの中では一番重く19gとズッシリしています。

 

重量については素材が真鍮かアルミニウムかという部分が大きいですが、フィックスペンシルや844は老若男女に扱いやすい重量・サイズになっていると感じます。

 

学生さんに人気なのも頷けますね。

 

【適応する消しゴムや844との互換性について】

最後に、フィックスペンシル0.5に適応する消しゴムについて調べてみました。

 

フィックスペンシル0.5も一般的なメカニカルペンシルと同じように、ノックボタン兼キャップ部分を引き抜くと簡易消しゴムが姿を現します。

 

 

デフォルトで装填されている消しゴムはライトブルー。

 

多少経年劣化していますので消し字力でには期待できませんが、旧型エクリドールXSのような天然ゴムのピンク色消しゴムのような味わい深い色です。

 

 

さらに消しゴムユニットを引き抜くと、針金が出てきます。

 

製図用ペンシルではお馴染みのペン先の芯の詰まりを解消するツールですね。

 

最近のメカニカルペンシルにはあまり見かけなくなりましたが、これがついてるということは製図用ペンシルを意図して作られた可能性があります。

 

Twitterでこの消しゴムについての調査メモで替え消しゴムの型番を「0510-000」と共有しましたが、これが実は間違いだったということが分かりまして、実際は「0505-000」が適合します。

 

それを今から検証していきましょう。

 

 

フィックスペンシル0.5と844/849、それぞれのキャップを外したところ。

 

この段階だとどちらも同じ消しゴムが使えるような気もしますが、よくみると金具部分のローレット刻みに違いがあります。

 

消しゴムを外してみます。

 

 

金具の長さはほぼ同じですが、消しゴムの長さが違うのとフィックスペンシルの方のみ針金付きです。

 

この2つの消しゴムを入れ替えてもそれぞれに装着できず(差し込めないもしくはガバガバ)、型番が違うことが分かります。

 

左が「0505-000」、右が「0510-000」。楽天にて購入。

 

適応するモデル名はそれぞれ、

 

0505-000:ヘクサゴナル・マディソン・RNX.316・エクリドール・849コレクション

0510-000:アルケミクス・849・888

 

となっています。

 

購入時の注意点としてはどちらにも「849」が入っていること。

 

0505-000の適応モデルを見ると過去のモデルを含んでいることから、今回のフィックスペンシルのようなヴィンテージモデルや一部廃番モデルは0505-000で、844や849(現行モデル)は0510-000が適応すると考えられます。

 

どちらにせよ、カランダッシュメカニカルペンシルの消しゴム交換の際は、お手持ちのモデルの消しゴムをしっかりと確認した上で購入しましょう。

 

 

それぞれの消しゴムを新しく交換してみました。

 

フィックスペンシル0.5には0505-000がピタリとハマります。

 

うーむ、白い消しゴムも清々しい!

 

ついでにその他の消しゴムの適応モデルは、

0512-000:レマンスリム

0506-000:レマン

 

となっています。

 

レマンも軸の太さにより対応する消しゴムが違うようでとてもややこしいですね…。

 

ということで、メカニカルペンシル用消しゴムは全部で4種類ありますので間違えないようにご注意を…!

 

いずれの消しゴムも手元にいつもの大きな消しゴムがない場合の緊急回避用、もしくは細かな部分を消す用ですので消しゴムの容量含めて普段使いするものではありませんが、いざという時のための保険として常に新しくしておいて損はなさそうです。

 

(価格は楽天でそれぞれ税込み286円/1個)

 

 

さて、今回はフィックスペンシルの廃番モデル「カランダッシュ フィックスペンシル 0.5mm(FIXPENCIL 0.5)」を見てきました。

 

フィックスペンシルなのに0.5mmという意外性と特徴的なペン先のデザイン、前寄りの重心バランスやコンパクトなサイズが魅力のメカニカルペンシルでした。

 

まだまだ知らないモデルがある気がするカランダッシュのメカニカルペンシル。

 

歴史が深いということは、それだけ未知のモデルに出逢う機会もあるということ。

 

まるで深海や宇宙のように広大で未知な部分が多い、まだ見ぬ廃番筆記具に想いを馳せつつ今回はこの辺で締めたいと思います。

 

長い記事になりましたが 最後までお読み頂きありがとうございました。