ガチニブはお絵描きにも最適!ウォーターマン カレンデラックスコンテンポラリーホワイト万年筆レビュー
皆さんこんにちは。今回は今まで触れていなかったメーカーの筆記具をレポートしていきます。
当ブログをはじめた頃に良く記事に出てきた万年筆があります。私が初めて自分で買った万年筆、ウォーターマンのカレンです。
カレンと言っても様々なバリエーションがありますが、手元にあるのはカレンデラックスコンテンポラリーホワイト。軸が透き通るようなホワイトラッカーで、キャップはガンメタルPVDのモダンなデザイン。
金属の筆記具こそすべてと思っていた5~6年前に「万年筆だけど万年筆っぽくないデザイン」に惹かれて購入。コンテンポラリーと言うだけあって、今見ても先進的でモダンなデザインは美しいの一言に尽きますね。
なぜ今頃数年前に買った万年筆を掘り出すのかというと、最近手に入れた、気になっていた万年筆がウォーターマンのものだったからです。
ということで、今回のウォーターマンカレンのレビューの比較として、最近手に入れた同じくウォーターマンのフィリアスを使っていきます。フィリアスの記事は次回の記事にて、たっぷりとレビューしていきたいと思います。
【カレンのコンテンポラリーなデザインを見る】
ウォーターマンというと万年筆としての歴史は最も古いのですが、その万年筆の知名度はなぜかモンブランやペリカンの陰に隠れてしまっているように思うのです。
筆記具に興味があり様々な万年筆を見てこられた当ブログ読者のような方々は別として、それほど筆記具に興味が無い人たちからすると、万年筆といえば剣のようなペン先のデザインで軸は黒くて何か古臭い雰囲気がある、と感じている方も多いのが現状です。
このカレンのデザインはモンブランのマイスターシュテュックやペリカンのスーベレーンのような伝統的でクラシカルなデザインではなく現代的なデザインのため、万年筆慣れしていない方々や野暮ったいデザインの筆記具が苦手だという女性の目にも止まりやすいのではないかと思います。そうした意味では現代的なデザインであるウォーターマンの筆記具は万人に受けやすい筆記具といえるでしょう。
ということは、万年筆業界というのは熱心なクラシカル万年筆愛好家とモダンな万年筆を支持する層でうまい具合にバランスを取りながら今もなお成長を続けている業界だと言えますね。
それではカレンの流線型の胴軸から見ていきます。コンテンポラリーホワイトはソリッドな純白のラッカー軸。真ん中が太く、両側にかけて緩やかにシェイプされています。
よく船の船首のようなペン先と言われますが、個人的にはシャチのようなデザインに見えます。
首軸とペン芯は一体型で横から見たデザインはおおよそ万年筆離れした風貌です。
続いてキャップです。
コンテンポラリーとついたモデルのキャップは建築物のような、はたまた光を反射する水面のようなデザインをしています。このキャップのデザインとニブに惚れて買ったと言っても過言ではありません。
ガンメタルPVD仕上げのキャップは単なるシルバーカラーではなく、ガンメタル特有の深みや鈍い光り具合が楽しめます。
クリップはシルバープレート仕上げ。手元にあるものは経年変化でクリップがくすんできていますが、これはこれでいい味を出しています。
キャップには「WATERMAN」「FRANCE」の刻印。クリップにはウォーターマンのロゴが刻まれています。
【スペックについてフィリアスと比較】
冒頭でも触れたようにカレンの軸はラッカー仕上げの金属軸です。首軸以外は金属製のため重量も30gとそこそこあり、キャップを外した筆記時の重量は20gと安定感は言うまでもありません。
首軸は樹脂のため握ると程よい感じのリアヘビーとなります。尻軸にキャップを挿すとさらにリアの重みが増すのでキャップは外した状態で書くのが良いかもしれません。
金属部品以外樹脂製のフィリアスと比べると重量の差は10g。カレンのキャップを外した重量とフィリアスの重量はともに20gです。ちなみにフィリアスはキャップを外して筆記する場合15gとかなり軽くなります。
こう見ると現代的なデザインのカレンとクラシカルなデザインのフィリアスはまるで対局にある万年筆といえます。フラッグシップモデルであるカレンとエントリーモデルだったフィリアス、クラシカルなデザインから近代的なデザインへと移行した路線変更の跡が、廃盤となったフィリアスのデザインから読み取れます。
ウォーターマンと言えばほとんどの万年筆が嵌合式です。ネジ式のキャップを持つウォーターマンの万年筆と言えばチャールストンくらいではないでしょうか。
私は嵌合式よりネジ式キャップの方が断然好きなのですが、先進的なデザインの万年筆であるカレンには嵌合式がよく似合います。
嵌合式の万年筆を作り続けてきたウォーターマンだけあって、開閉時にはカチンと上品で小気味いい音を立てます。
一方、フィリアスはバチンと大きめの音。これは嵌合部の違いから来るもので、カレンはバネが仕込まれた爪があるのに対して、フィリアスはキャップに金属パーツの部分をはめ込む形となっています。これはひとえにエントリーモデルとフラッグシップモデルの造りの差といっていいでしょう。
【美しいペン先と筆記感】
続いてカレンの代名詞とも言える特徴的なニブと筆記感をレビューします。カレンのニブを拡大してみると本当に美しいデザインをしているのが分かります。
刻印はセンターにウォーターマンのロゴ、その左右に「18K」「750」。
横から見るとクルーザーの船首かシャチのようなデザインが引き立ちますね!
よく、カレンはコンバーターだとインクのボタ落ちが発生するためカートリッジで使った方が良いと言われますが、コンバーターでもカートリッジでもそう変わらないと思います。インクがボタ落ちするときはしますし…。なぜなら、カートリッジを使っていたときインクが減ってきた頃に一度だけですがインクがボタ落ちしたことがあるからです。
創設者のウォーターマンのようにインクがぼた落ちしたことで大切な契約書類が台無しになった!というわけではありませんが、ウォーターマンの万年筆に限らずボタ落ちするときはします。なのでカレンも自由に使うのが一番。色んなインクを入れて楽しみましょう。
筆記感は、金ペンですがガチニブということで書き味硬め。サリサリと音を立てて滑るペン先は万年筆を使い始めたばかりの方にも受け入れられやすいのではないかと思います。
筆圧をかけて書いても首軸がしっかりしているのか心許ない感じは一切しません。ガシガシ使えます。どちらかというと文字より絵を描く時に使うことが多いカレンデラックスですが、この首軸と一体型となった安定感のあるニブが絵の描きやすさと関係しているように思います。
字幅を比較してみます。
手持ちのカレンはEFですが、海外製万年筆によくある「EFなのにMみたい」ということはなく、書きやすい字幅で快適に日本語が書けます。
上から、カレン(EF)とフィリアス(F)とペリカン(EF)。
見ていただくと、決してウォーターマンのEFが太くないことがお分かり頂けるかと思います。
【まとめ】
今回はウォーターマンの万年筆、カレンデラックスコンテンポラリーホワイトをレビューしました。
近代的な流線型のフォルムに美しい配色と特徴的なニブが、万年筆だけど万年筆過ぎないデザインを作り出していました。数十年前はどのメーカーもインレイニブの万年筆をラインナップしていましたが、その特徴的なニブを現代的なデザインに昇華させたのがウォーターマンのカレンという万年筆ではないでしょうか。
書き味は鉄の棒で書いているようなガチガチな書き味と称されますが、それは首軸一体型のペン芯が織りなす筆圧に応える書き味なのであって、決して柔らかさがないという訳ではないように感じました。安定感のあるペン先のため文字はもちろん絵を描くのにも適した万年筆ではないかと思います。
ウォーターマンというと名だたる万年筆メーカーに隠れがちですが、カレンのような名品は存在します。クラシカルなスタイルの万年筆を愛好されている方も、近代的なフォルムを持つ万年筆をコレクションに加えることでまた新たな万年筆の魅力に気づくキッカケになるかもしれません。
それではまた。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません