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ビジネスに向くボールペンとは? 【パーカー75】

2024年12月30日

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世の中の仕事で一番出番の多いであろう筆記具はボールペン。
これは間違いないことだと思いますが、扱いやすさや筆記の満足感、先方にお貸しする場合に最適なもの、等といったときにどんなボールペンを使うのがいいのか。
 

 
ひとえにボールペンと言っても種類は様々で、ノック式、キャップノック式、回転式、レバー式など芯を出す機構だけでもいくつかあり、さらに軸の太さ、軸の色、重さ、素材、ボールポイントの太さ、と見ていくとまさに星の数ほどのボールペンが存在します。
 
その中で、一番ポピュラーなのがノック式ボールペンではないでしょうか。
ボールペンのキャップにボタンが付いていて、そこをカチッと押して芯を出す。見た目にも実に分かりやすい機構でボールペンというとまずこの形を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
 
次に、最近のボールペンではあまり見かけなくなったキャップノック式。
一昔前のボールペンではよく使われていて、ノック式に比べるとプチ高級感があるように思います。キャップごとノックして芯を出す方式です。メーカーにより呼び方は様々で、パイロットのHPではキャップスライド式と記載されています。
 
そして現代でも高級なボールペンで使われている回転式。芯を出す際にノック音が出ないため静か。
胴軸を回転させる動作が優雅で、高級ボールペンに似合った機構と言えます。ただ、一般的にノック式が普及しすぎていて先方にお貸しするときに芯の引っ込め方が分からず苦労されることがたまにあります。
 
レバー式は多機能ペンでよく見られる機構ですね。胴軸に付いたレバーを親指で押し下げで芯を出します。
今でこそ多機能ペン御用達のペン出し機構になっていますが、昔は通常のボールペンや多色芯シャープペンシルでも使われていたようです。
 
変わり種を加えるのであれば、ペンデュラム・グラビティ・システムなる変わった機構を持つペンもあります。多機能ペンに付く機能で、これは胴軸に書かれたマークや印において、出したいペンのマークを上に向けてノックすることで目的の芯を出すというものです。
私は持ってはいないのですが、そのような機構のパーカーやロットリングの多機能ペンを見たことがあります。また、Mecha SEAのノブ回転式ようにオリジナルの芯繰り出し機構を持つものなども出てきました。
 
水性インクを使うキャップ式ローラーボールの話は一旦置いておいておきましょう。
 
その中で私が最近注目しているのは、キャップノック式(キャップスライド式)のボールペン。分かりやすい機構でありながら随所に垣間見えるプチ高級感。
知らない人が触ると、あれ?どうやって芯出すんだ?となるプチマニアック感。厄介なのは、ぱっと見がキャップノック式なのか回転式なのか区別がつきにくいことでしょうか。
仕事で向けポケットにペンを挿すときに、このキャップノック式の出番が多いです。見た目は高級感があるノックボタンのないスッキリとした佇まい、それでいてお手軽かつシンプルなノック式。
まさに中級クラスのボールペンにふさわしい機構です。
 
ということで、今回はキャップノック式のボールペンをレポートしていきます。
 

 

 

 

パーカー75


 
最近のお気に入りがこちら。パーカー75(PARKER75)。
パーカーの数あるペンの中では比較的有名なモデルで、廃番品でありながらその販売数の多さから中古市場でもよく見かけます。
 
世界三大筆記具メーカーと言われる「パーカー(PARKER)」製の筆記具で、ペンの名前そのものに社名が付いているモデル。
特に万年筆のパーカー75は軸のバリエーションの多さとカートリッジ/コンバーター両様式のインク吸入機構、程よい重さに書きやすいペン先(細字が使いやすい)やペン先の角度調節ができるなどの機能的理由と、それでいて軸の素材がスターリングシルバーという、コレクターもつく人気ぶり。
 
パーカー75のボールペンも同様に、いくつもの軸のバリーエーションがあり、こちらも素材がスターリングシルバーのパーカー75シズレを筆頭にコレクションしたくなるモデルです。
 
以前のジョッターの記事でも触れていますが、パーカーは長い筆記具の歴史の中で、製造国が移り変わっています。
初期はアメリカ製造、そしてイギリス、最後はフランス。
 
今作られているパーカーのペンすべてがフランス製ということではなさそうですが、メインの生産拠点としてはフランスとなっているようです。(文房具店にあるジョッターの製造国刻印を見るとUKFRANCEがある)
このパーカー75は、1987年に誕生しました。パーカー筆記具の特徴としてアルファベットのシリアルコードがありますが、この75にシリアルコードは存在しません。
 
それでは全体を見ていきたいと思います。
胴軸とキャップにデザインされている、格子柄の「シズレ」パターンが目を引きます。
 
これは創始者の息子が当時のタバコのパッケージを参考にデザインしたものらしいです。このペンを人に見せたときの反応が二種類あって、レトロと言う人もいれば、未来的だと言う人もいます。
 
個人的にはレトロに見える派なのですが、現在のパーカー・ソネットなどにも使われているデザインということもあり、決して古いデザインというわけではありません。
 

 
また、このシズレパターンが筆記時のグリップ感にも一役買っており、同じスターリングシルバーの筆記具でも表面が鏡面仕上げのようなデザインのペンよりも格段に書きやすいと感じます。
 

 
続いて天冠のデザインです。
 
パーカーのボールペンやシャープペンシルは、天冠のデザインが優れているものが多く本当に感心します。
 
以前にレポートしたジョッター・スペシャルのヴィンテージや、シャープペンシルのインシグニアでも伝えたように、このパーカーの天冠には人を魅了するデザインがあるようです。(魅了されているのが私だけだったならごめんなさい)
ちなみに、初期モデルは天冠の部分がすべてゴールドでフラットになっていて、こういった細かい部分の仕様違いがコレクターが付く要因でもありますね。
 

 
そしてパーカーといえばこの矢羽クリップ。
パーカー75のクリップは金色で矢羽の形も現代のアイコニックな矢羽ではなく、リアルな形状の矢羽となっています。羽根の枚数は10枚。製造年によっては8枚羽根のものもあるようです。
 

 
キャップリングの刻印は「PARKER STERLING CAP&BARREL U.S.A.」。とても細い字体で繊細な刻印です。
刻印の位置は矢羽クリップとは反対側にあります。もしこの刻印が矢羽の下にあったなら、表面が少しごちゃごちゃしたペンになったのではないかと思います。(初期モデルは表側に刻印があるようです)
この全体を見たときのバランスの良さ、まさに洗練された大人のペンと言えるのではないでしょうか。
 

 
ノック感はとてもなめらか。ノック音も非常に上品。意味もなくカチカチしてしまいます。ノック音の良さは胴軸の素材も関係していそうです。
 

 
パーツ構成は通常のボールペンと同様。古いリフィルですが、パーカーのエクストラファインの青を入れています。
パーカー75といえば万年筆もそうですが極細字!万年筆の字幅「XF(エクストラファイン)」に合わせて、ボールペンも極細にしています。
 

 

ジョッターとパーカー75の比較


 
ノック式ボールペンの始祖、ジョッターとの比較をしていきます。
 
特徴的な矢羽クリップはジョッターはシンプルなデザイン、パーカー75はリアルな矢羽です。
発売された時期としてはジョッターの誕生が1954年。パーカー75がおそらく1964年なので、パーカー75は10年後輩ということになります。
 
「おそらく1964年」と書いたのは1964年は万年筆の発売時期であるためです。ボールペンとセットで販売されたケースもあるようなのでおそらく1964年かと。
 

 
全長はパーカー75の方が1㎜短く131mm(筆記時)。ノックボタンがない分すっきりとまとまっているように感じます。
軸径はシズレパターンの視覚効果もあってかパーカー75の方が細く見えますが、実際は10mmとジョッターと同じです。
 
グリップのしやすさは樹脂軸のジョッターに軍配が挙がります。
どちらのペンも非常に美しい軸色とデザインですね!
 

 
首軸部分のデザインはジョッターが短く、パーカー75が長めです。
ジョッターはこの部分が短いことで可愛くお洒落に見えます。一方パーカー75はエレガントな印象を受けますね。ペン先に向かってはパーカー75の方が細くなっており、芯を出したときのペンポイントへ向かうラインがまっすぐです。
 
現在入れているリフィルはジョッターがパーカーリフィルのM、パーカー75のリフィルはOHTOのFです。このOHTOのリフィルがまた書きやすいんですよね。さすが日本製。
 

 
他のノック式、キャップノック式のボールペンと並べてみました。
上から、パーカー75、ジョッター・スペシャル、エリート、アメニティのアレ。となっています。
アメニティのアレについては最後に見ていきましょう。
 

 

アウロラ イプシロン


 
こちらは少し太めのキャップノック式ボールペン、アウロライプシロンです。キャップの部分はスターリングシルバー、胴軸部分はレジン。
シルバーとブラックのコントラストが、ビジネスシーンでも誠実な印象を与えてくれます。
 
このペンはキャップノック式のボールペンの中でもパーカー75に次いでの稼働率。先方にお貸ししたとき、何人かに書きやすいと褒めていただいたことがあり、書きやすさも万人受けといえそうです。
 
長さ139mm、軸径は13.4mm、重量は31gです。
 

 
パーカー75との比較。イプシロンが一回り大きいです。
イプシロンはアウロラのエントリーモデルですが、胴軸の太さは回転式のペンのようでもあり重厚かつ高級な印象を与えています。このイプシロンについては後々独立した記事でご紹介できればと思います。
 

 

パイロット エリート


 
こちらはキャップノック式ではないのですが、パーカー75と同じ格子柄ということで最近出番が増えています。
芯の繰り出し機構はノック式。胴軸はステンレス製で、パーカー75のスターリングシルバーと比べるとシャリシャリした触り心地で違いが明確です。
 

 
ノックした感覚は、パーカー75に比べると角が立っているというか、大きめのノック振動が掌に伝わります。ノック音も少し甲高い金属音の余韻が残る感じ。
 

 
ペンの身長はノックボタンの部分だけエリートが7.5mm長いです。やはりボタンがあるかないかで長さが結構変わってきます。
ノックするのにキャップを動かしちゃえばいい、という発想がいいですね。軸径はどちらも同じで10㎜。
 

 
首軸部分はエリートが15㎜で、野暮ったくはなりますがノック部分と合わせた全体のバランスとしてはいいです。
この辺の見た目の収まりやすさというか、すっきりと見える比率にしてあるのは日本製品特有なのかも知れませんね。
 

 
前述した通りノック感はジョッターに比べると重みのある押し込みと、ステンレスを反響する独特な高めの金属音がします。ノックボタンのタイプは親指以外にペンを握った状態で人差し指でノックする方法もやりやすいと感じます。
 

 

おまけ:モンブランそっくりさん


 
再び登場。ヒルトンホテルのアメニティと思しきキャップノック式ボールペンです。
 
以前の記事でクリップ部分がマイスターシュテュックに似ているとレポートしました。こちらはアメニティらしきボールペンですが、ノックは軽く良好。
 

 
ついでにリフィルを見ていきましょう。使い捨てのボールペンによくある白いリフィルが入っています。
しかし、取り外し可能ということなので他のリフィルが入るかもしれません。
 

 
他のボールペンリフィルと比較し、検証していきます。形だけ見るとパーカータイプのリフィルに似ていますね。
 
それでは、パーカー・モンブラン・アウロラ・シェーファーの芯が装填できるか、試してみましょう!(パーカーとアウロラは同じ規格)
 

 
モンブランのリフィルには段差があり、バネが最後まで差さらないため使用できません。そしてパーカーとアウロラのリフィルは収納はできるものの、ノックしても芯が出ませんでした。
 

 
唯一使えそうなリフィルはシェーファーのリフィル。収納できてノックもできます。
完ぺきとは言いませんが書けるレベルで芯が出る感じ。筆記時もペン先は安定しません。
 
シェーファーのリフィルを買ってまでアメニティのペンを使い続けようとは思いませんが…。一応使える!ということで自己満足しました。
 

 

ビジネスに向くボールペンまとめ

今回はパーカー75を中心にキャップノック式のボールペンをみてきました。
 
キャップノック式は分かりやすいノック式でありながら、キャップがノック部を兼ねているためスッキリとした印象を与えるワンランク上のビジネス向きボールペンと言えます。
 
中でもパーカー75は、リアルな矢羽クリップ、シズレパターン、スターリングシルバーとゴールドのカラーコントラスト、未来的でもありながらレトロな雰囲気もある、まさに大人の身だしなみといったペンでした。
 
ビジネスに使う道具は自分が使いやすいのはもちろんのこと、お客様や取引先の方など第三者と関わる以上、その第三者にとっても使いやすいものでなくてはなりません。
大切な契約書にサインをいただくとき、また、職場仲間にちょっとペンを貸すときなども面白みのないペンを差し出すより気の利いたペンを差し出したいものです。
 
今回見てきたボールペンはそんな要望にも応えてくれるものだと思います。そして苦楽を共にする仕事の相棒としてこれという一本を選んでみてはいかがでしょうか。
 
今回レビューしたパーカー75のような軸の素材がスターリングシルバーのものは、一緒に年を重ねるごとに硫化して黒ずんでいきます。それを磨き上げる楽しさも醍醐味といえましょう。
たまにオークションで真っ黒に硫化したパーカー75を見かけることがありますが、たまらなく磨きたくなるんですよね。
 
パーカー75自体は過去のモデルのため現在はオークションなどで入手可能ですが、同じシズレパターンを継承したソネットは現行品として入手可能ですので、ワンランク上の自分のボールペン(または万年筆)として、贈り物としても喜ばれるかと思います。
 
それではまた。

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