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続・日本製万年筆への誘い 【パイロット/カスタム74】

2024年10月2日

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以前、セーラー万年筆のプロフィットを紹介しました。
 
やはり日本製万年筆の完成度は高い!と改めて感心したわけですが、今回、プロフィットと並び高く評価されている「パイロット カスタム74」を入手しましたので、プロフィットとの比較や書き味をレポートします。
 

 

 
 

 
パイロットの万年筆は少し懐かしい感じがするのです。
 
なぜかというと、小学生の頃、祖父の書斎で見た万年筆が確かパイロットのものだった?から。小学生の自分には万年筆の使い方など分かるわけもなく、ペン先を見てどうやって書くのかと不思議に感じていたものです。
 
今はもうその万年筆は実家にありませんので、あれがパイロットカスタムだったのかは知る術はありません。記憶に残っているのは、この特徴的な丸い形状のクリップのみです。
 

カスタム74の外観


 
軸からペン先に向けてとキャップ部です。
 
これぞ万年筆!といった出で立ち。しかも黒と金の仏壇カラー。プロフィットほどスタイリッシュな感じはしませんが、プロフィットと比べても大きめで存在感があります。
王道でデザインではあるものの、「万年筆」と聞いてます思い浮かべるのはこの形ではないでしょうか。
そう言った意味でも、万年筆の権化のような、アイコニックなデザインとも言えるでしょう。
 

 
天冠と尻軸もプロフィットに比べると丸く、ずんぐりしています。プロフィットもカスタム74も、キャップの先端(天冠)と尻軸のデザインが似ており、シルエットとしてバランスが取れています。
 
リングがシルバーかゴールドかで印象もずいぶん違いますね。私の好みとしては断然シルバーなのですが、カスタム74のリングは細くて上品な印象を受けます。
 

 
特徴的な丸いクリップは個人的にはあまり格好良いと思わないのですが、見慣れてくるとキャップのゴールドリングとのデザインのバランスもなかなか見事。
パイロットの刻印があるクリップの三角形の先に丸いクリップエンドがクラシカルな感じを醸しています。
 

 

その他万年筆との比較


 
軸はプロフィットと同じ黒い樹脂なのですが、カスタム74のほうが軸色がわずかに赤みががった黒に見えます。どちらにも深い艶があり、高級感の演出と樹脂軸ならではの手に吸い付くような持ちやすさを両立しています。
長さはカスタム74が約8mm長くなっており、この長さと軸の丸いデザインもあってか重厚な印象を与えていますね。
 
ついでに他の万年筆を集めて長さ比較をしてみましょう。
知名度の高いドルチェビータスリムやスーベレーンM400、プロフィットと比べても少し大きめです。
 

 
左から、デルタ/スクリーニョ、ウォーターマン/カレン、パイロット/カスタム74、デルタ/シーウッド、アウロラ/イプシロン、セーラー/プロフィット、デルタ/ドルチェビータスリム、ペリカン/スーベレーンM400 。
デルタのスクリーニョがモンブランマイスターシュテュック№149並のかなり大型な万年筆ですので、カスタム74はちょうど「大」くらいのサイズといえます。
こう並べてみると、スーベレーンM400のコンパクトさが引き立ちますね。
 

 

パイロットのペン先


 
カスタム74はプロフィットと並び非常にペン先が滑らかで日本語が書きやすいことで定評があります。ニブは14K。PILOT、14K585、5、SMと刻印が並びます。バイカラーニブではなく金一色。14K585とは、合金の金の含有量が58.5%ということ。
また、5とは「5号のペン先」を表しています。細字はプロフィット(H-F)ですでに保有済なので、今回は少し太めのSM(ソフト・ミディアム)をチョイス。
 

 
ニブを横から見たところ。ペン芯の見え方も控えめです。大きすぎず小さすぎず、このバランスが書きやすさの要因のひとつでもあります。
 

 

コンバーター/CON-70


 
両用式の万年筆について、私はカートリッジではなくコンバーター派です。
 
今回パイロットの万年筆を試してみたいと思った理由にプッシュ式のコンバーターがあります。今まで使ってきた万年筆はすべて回転式のコンバーターかピストンフィラーだったため、プッシュ式とは何ぞ?という好奇心に駆られてしまいました。
 
調べてみると回転式のコンバーターよりインクタンクの容量が多いらしく、こちらにも魅力を感じての導入です。
 

 
今まで回転式のコンバーターしか使ったことがないため少し手間取ります。コンバーターの上部を押してタンク内の空気を出し、放すことでピストンが戻りインクがタンク内に入っていく仕組み。
 
これを数回繰り返してインクを満たすようです。試しに何回かエアで動作テストをしましたが、なかなか力のいる作業だと感じました。
 

 

インク


 
カスタム74に入れるインクは何にしようかと考えた結果、以前から少し気になっていた同じパイロットの色彩雫にしました。
 
カラーは全部で24種類。「月夜」が人気のようですが、ペリカンのブルーブラックと被るのを避けるため、もう少しグレー味の強い「深海」にしてみました。
なかなか良い色です。
 

 
早速インクを入れてみましょうコンバーターの上を何回か押してインクを少しずつ入れていきます。確かにインクタンクの容量は今までの回転式コンバーターに比べて入りますね。
吸入できるインクは1.1cc。パイロット現行の回転式コンバーター(CON‐40)が0.4ccですのでその差は歴然です。
 

 

筆記比較/カスタム74・スーベレーンM400・プロフィット


 
筆記の比較をしたのは、
・カスタム74SM:色彩雫(深海)
・スーベレーンM400EF:ブルーブラック
・プロフィット:H-F:極黒
 

 
書いてみるとインクの乾きとともに枯れた色へ変化していきます。ペリカンのブルーブラックと比べても灰味が強く、また違う色味です。
字の太さはカスタム74SMとスーベレーンのEFが同じくらいの太さか、気持ちカスタム74SMの方が太いかなと感じます。
 
そう思うとカスタム74でいえば、日本語を書くにはFあたりの字幅が最適かも知れません。プロフィットのH-Fはかなり書きやすいと感じています。
インクの濃淡はほとんど出ませんが、細かい字を書くときはこれくらいの細さがいいですね。
さらに、このカスタム74はインクフローが潤沢でインクがドバドバ出てきます(笑)
これはインク色彩雫のせいなのか、ペン先がSMのせいなのか、はたまた個体差か。文字が少し滲んでしまっています(ちなみに紙はRHODIAのメモ帳)。
インクフローが潤沢のため大容量コンバーターの恩恵を受けられるか、経過を待ちたいと思います。
 
以上、セーラー/プロフィットに続き、パイロット/カスタム74のレポートでした。
 
ペン先は柔らかく、大きさもあるため筆記した時に満足感があります。
万年筆で字を書いているという感覚を味わいたい方は値段もリーズナブルですしお勧めです。個人的にも、これを機に太軸の万年筆の方向へ目を向けてしまいそうです。
 
今回で日本製万年筆は3本目になります。(セーラー×2、パイロット×1)こうきたらプラチナ万年筆も試したくなりますね~。
ではまた。

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