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カランダッシュ バリアス メットウッド BPは画材のようにシンプルで美しい高級木軸ボールペン

2021年6月13日

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前々回、ついに憧れだったヤード・オ・レッドのボールペンを入手したという記事を書きました。

まさに銀軸ボールペンの最高峰だったわけですが、久しぶりに銀軸を手にしたことで別の物欲に飛び火してしまいました…。

 

同じように職人が手作業で軸を仕上げるスイスの老舗筆記具メーカー「カランダッシュ」。

 

カランダッシュというと最近849の新旧比較記事を出したところですが、そのクラシカルな六角軸を持つシリーズの最上位モデルである「バリアス」。

 

 

 

その中でも一本で金属の質感と木軸の経年変化の両方を楽しめる「バリアス メットウッド ボールペン」をチョイスしました。

 

カランダッシュ バリアスは鉛筆然とした六角形のデザインである849シリーズの正統進化モデル。

一つの金属素材から造り出される一体型胴軸を持つ849やエクリドールと違い、軸に異素材を組み合わせることでさらなる高級感と持つ喜びを増幅させています。

 

金属×木軸という筆記具のロマンを掛け合わせたバリアス メットウッド。

この記事では、849やエクリドールとの比較や同じ異素材コンビネーションを持つボールペンとの比較を行っていきます。

 

それでは見ていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【バリアスメットウッドの木軸デザインを比較する】

バリアスのデザインは849の流れを汲む六角軸。

 

 

胴軸の部分には金属とは異なる高級素材が組み合わされていて、手元にある「バリアス メットウッド」は茶色系の希少木材であるローズウッドが使われています。

 

ローズウッドと聞くと赤茶色なイメージを思い浮かべますが、結構明るめの色合い。

手元にある5本の木軸筆記具と並べたところ、一番明るい色をしていることに気付きました。

 

 

左から、ファーバーカステルエモーションペアウッド、パイロットカスタムカエデ、プラチナブライヤー、カランダッシュバリアスメットウッド、ファーバーカステルクラシックコレクションペルナンブコ、ラミー2000タクサス。

※プラチナブライヤーのみ万年筆

 

すべて違う木材が使われた筆記具達。

それぞれの木目の違いや加工の違いが面白い。ゴールドトリム・シルバートリムどちらにも合うところが茶色系木軸筆記具が多い理由でもありますね。

 

▲左から、ペルナンブコ、メットウッド(ローズウッド)、タクサス。

 

木軸筆記具は、それぞれの木材が持つ、色・手触り・柄が一つ一つ異なり まさに自分だけのデザインの筆記具が持てるという喜びと、木材の種類によっては経年変化を愉しむことができる、人類が残した最高の筆記具ではないかと思うのです。

 

バリアスには他にも中国産漆塗りのチャイナブラックやチャイナブルー、中世の鎖帷子を模したアイバンホーなど魅力的なラインナップが揃い、カランダッシュのフラッグシップモデルに相応しい存在感を放っています。

 

金属×希少木材というとファーバーカステルのペルナンブコやグラナディラが連想されますが、カランダッシュにもこの素晴らしい組み合わせの軸があったというのが嬉しいところ。

 

▲軸は若干バリアスが太め。バリアスの両側はクラシックコレクションのペルナンブコだが右のボールペンの方が経年変化で軸色が濃くなっています。

 

しかも六角軸でノック式という、すでにファーバーカステルのクラシックコレクションを愛用している方でも楽しめる一本となっています。

 

木軸と金属パーツの堺にはダブルリングが配置されていて、異素材への変化を上品かつナチュラルに見せています。

 

この金属パーツと木材の絶妙なバランス!

たまりませんな。

 

 

 

 

 

【バリアスのスペックと操作系の素晴らしさ】

バリアスメットウッドボールペンのスペックは、

全長:137mm、重量:35gと存在感抜群。

849やエクリドールが小さめの筆記具ですので、太めの軸径とも相まって少し大きめのボールペンと言ったところ。

 

そうなんです。

クラシックコレクションと比較すると、六角軸が作用してか、クラシックコレクションと重さは同じものの手の中にどっしりとした感触を味わうことができるのです。

 

 

円柱よりも六角柱の方が指に触れる面積が多いということが影響しているのでしょう。

六角軸の木軸の握り具合いというのがなんとも新鮮です。

 

 

バリアスの筆記スタイルはノック式。

カランダッシュ製品全般に言えることですが、ノック音がとにかく柔らか。

 

 

ノックボタンは軸に対して半時計回りに回すことで取り外すことができ、リフィル交換もここから行います。

 

ノックボタン自体がリフィル繰り出しの仕組みを兼ねていて、ギザカムを押し動かす通常のノック式ボールペンと異なるノック音の小ささを実現しているのです。

 

▲左がバリアス、右がエクリドール

 

そして、ノックボタンの押し心地の良さも特筆モノ。

バリアスのノックボタンは849やエクリドールのノックボタンと比べて大きく造られている点、トップに膨らみを持たせてある点が押し心地の良さの要因として考えられます。

 

このノック音の静かさと滑らかな押し心地は、849や“最近の”エクリドールと比べても遙かに上を行っていて、書く用がなくても押してしまうほど。

(エクリドールのノック音は過去モデルになるほど静かで滑らか)

 

 

ちなみにこのバリアスのノックボタンの刻印は、ボタン周りに「CARAN d’ACHE」と軸内に隠れる部分に「CARAN D’ACHE SWISS MADE」となっています。

 

このノックボタンの刻印と製造国の刻印、クリップの形状である程度製造年代を絞ることができます。

 

これは次回のエクリドールの比較記事で詳しくやる予定ですが、バリエーションが多岐に渡るためとても面白いのです!

 

 

トップには「CdA」のロゴ。(写真左側がバリアス)

これも製造年代によって変わるのですが、こちらは現行の一つ前のモデルということになります。

 

右側はエクリドールの旧モデル(おそらく初期モデルの復刻版)で、モノグラムはコーティングされています。

バリアスやエクリドールは、このようにいくつかのノックボタン・クリップのバリエーションを持つため、柄や刻印の違いを探したり、ペンそのものの造りの違いを比較するといった楽しみ方もできるのです。

 

 

クリップの付け根には「CLIP METAL」の刻印。

この刻印については古くから同じ刻印となっていて、クリップ形状については先が反る近代モデルの特徴を持っています。(旧モデルはストレートで長めのクリップ)

 

まさに奥が深い、カランダッシュの筆記具!

 

 

 

 

【849やエクリドールとの違い】

それでは次に、バリアスは849やエクリドールとどう違うのかを見ていきます。

 

分かりやすくサイズの比較から。

 

 

左から849、849(限定モデル)、エクリドール(レトロ)、バリアス(メットウッド)です。

 

ご覧頂くとおり、バリアスは849やエクリドールといったコンパクトなモデルと比べノックボタン一つ分頭抜けています。

 

軸の太さも一回り大きくなりグリップ感が向上、そして軸の素材が木材のため握った時に滑らないという利点があります。

 

共通点としては六角軸ということ。シリーズの統一感が嬉しいです。

849でカランダッシュデビューした方は、ぜひエクリドール→バリアスとコレクションを進めて頂きたい!

 

 

クリップはエクリドールと同等のものが着いています。

※写真のエクリドール(レトロ)は旧モデルのためクリップに仏語の刻印あり。

 

849のクリップが軸を挟み込むようにデザインされているのに対して、エクリドールとバリアスは軸からダイレクトに出るようデザインされています。

どちらのクリップも格好いいですね!

 

 

軸から出るペン先は、どのモデルも一定になるように設計されているのがよく分かります。

カランダッシュの安定した滑らかな書き味は、どのラインナップでも体験できるようになっているというわけですね。※左の849はリフィルアダプター×4C芯が入っています。

 

 

近年のカランダッシュのクリップは旧モデル復刻の短いクリップ。

バリアスにも右のエクリドールのように仏語刻印が入ったクリップモデルや、旧型の長いクリップモデルも存在しバリエーションは豊富。

 

最新モデルのバリアスはノックボタンのロゴも写真の「d’」から「D’」へと変更になり、天面のCdAモノグラムも六角形のペンシルマークへ変わっています。

 

 

右側はエクリドールの同世代モデルのノックボタン。

エクリドールとバリアスの違いは刻印の彫りの深さ。エクリドールがレーザー刻印なのに対してバリアスはしっかりと彫ってあります。

 

ノック音はエクリドールが高音が響くのに対して、バリアスは「シュコッ」と落ち着いた低音。

聴き比べると意外と違う849、エクリドール、バリアスのノック音。

これもカランダッシュの楽しみ方の一つですね。

 

 

 

 

 

【絶妙な六角軸の握りやすさと書き味】

軸の素晴らしさもさることながら、カランダッシュの一番のアドバンテージは何といっても書き心地。

 

滑らかなノックボタンから押し出されたペン先は書き味に定評のあるゴリアット芯。

海外製油性ボールペンの書き味では間違いなく最高ではないでしょうか。

 

 

私は仕事で青いインクを使うことが多いので、ついでに各社の青インク比較を載せておきます。

 

カランダッシュの青インクは淡い目のブルーブラック(ブルー強め)でクラシカルな色合い。

色にじみが少なく、クッキリとしたラインを引く、線を重ねるといった用途に向いていると感じます。

 

ペン先のボール(耐久性の高いタングステンカーバイド製)に送り出されるインクは、タンクから5本の溝を通り潤沢に供給されるため書き始めが擦れず、ダマになりにくい構造なのです。

 

 

ペン先へのインク供給が潤沢ということは書き味も軽くなるということ。

まるで画材を優しく握るように余分な力が抜け、サラサラと書き進めることができます。

 

鉛筆が起源となる六角形の握り慣れた胴軸と絶妙な太さ。

いつまでも触れていたくなる優しい触り心地のローズウッド。

 

 

六角形の軸は指先に優しくフィットし、心地良さをもたらしてくれます。

ペンを短く持つ方は金属部分を、万年筆のように長めに持つ方は木軸部分を持つという風に絶妙な位置で素材分けがされています。

 

私はもちろん、筆っぽく長めに持つのが好きですね。

一流画材メーカーとしてのカランダッシュを感じることができる逸品です。

 

 

 

さて、今回はカランダッシュの上位モデル、「バリアス メットウッド ボールペン」をレポートしてきました。

バリアスに限らずですが、金属×木軸の筆記具は どこか書くことに真面目に向き合わせてくれる力があるように思います。

ボールペンをローテーションで使っていても出番が必然と多くなる、天然素材である木軸筆記具は指との一体感が無機物のそれとは違っている気がします。

 

今後、ゆっくり時間をかけて使い倒して、この淡いローズウッドの経年変化を愉しんでいきたいと思います。

(うーむ、バリアスの万年筆やローラーボールも気になるところ…)

 

それではこの辺で。

次回はカランダッシュ エクリドールの年代にみるバリエーションについて書きたいと思います。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

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