特別生産品の美しさ!【ペリカン スーベレーン K800 ストーンガーデン ボールペン】
最近は特別生産品を記事にすることが多いのですが、その魅力といえばなんと言ってもテーマに沿って趣向を凝らした美しいデザイン、ベースとなるモデルに裏付けされた優れた操作感と筆記バランス。
そして本数限定生産による所有満足感。
特に人と違う物を持つ喜び、アイデンティティーの確立には欠かせないアイテムではないでしょうか。
特別生産品というと、フィーチャーされた歴史や人物に沿ったテーマで作られ、例えば私が所有する筆記具ではスティピュラのアメリゴ・ヴェスプッチがそうであるように、実用的という観点からは少し離れてコレクション性の高いモデルがあったりと、必ずしも書きやすさに直結するデザインではないものも存在します。
それは特別生産品の価格に大きく左右され、「価格が高い=凝った装飾」のものは、筆記具自体も大きく・重くなり、書きやすさと所有満足感のバランスは後者に傾いていくと言えるでしょう。
では、ミドルクラスの価格帯の特別生産品はどうでしょう。
ミドルクラスという位置づけの特別生産品は価格帯で言えば、万年筆であれば5万円~10万円あたり、ボールペンなら3万円~6万円あたりという個人的な認識があります。
(これは筆記具に興味のない方からすると恐ろしい額なのだと思いますが…)
このあたりのクラスは各メーカーのフラッグシップモデルがベースとなっており、筆記バランス・重量・サイズが実用的で、かつ所有満足感も満たしてくれるという非常にバランスの良い筆記具となっています。
例えばモンブランであればマイスターシュテュック、ペリカンならスーベレーン、パーカーならデュオフォールドといった具合いでしょうか。数十万の特別生産品はとても手が出ないが、筆記具に充てる分の小遣いや給料をコツコツ貯めれば手が出せる額の特別生産品。
使いたい筆記具がそろってきたけど、そろそろアイデンティティーを確立したい、所有満足感の高い一本を手にしたいという方には打って付けのモデルかと思います。
今まで当ブログでも幾本かの特別生産品を取り上げてきましたが、今回はペリカンの特別生産品。
ペリカンの特別生産品の特徴として、他の海外メーカーに比べてリーズナブルな価格帯、そして、不変のシンボルであるペリカンクリップがもたらすデザインの統一感が挙げられます。
ペリカンのフラッグシップモデルであるスーベレーン(SOUVERÄN)をベースとした特別生産品は、他のメーカーの特別生産品と比べて揃えた時の統一感が出やすく、ペンケースに並べると壮観の極み。
個人的に今まで出ているペリカンの中で(トレドを除き)一番好きなモデルで絶対に欲しかった一本。
(Twitterでフォローしている方が使われていて随分前に一目惚れ)
「スーベレーン ストーンガーデン K800」をK600やモンブランのマイスターシュテュックとサイズ比較していきます。
まずおさらい、というか初めてペリカンの筆記具を目にする方への情報共有として、ペリカン(PELIKAN)スーベレーン(SOUVERÄN)の型番につく「K」や「M」のアルファベットや800といったナンバーの基本的な意味合いですが、
M…万年筆
K…ボールペン
D…メカニカルペンシル
R…ローラーボール
800等のナンバーはサイズを表しています。
サイズは5種類あり、大きい順に1000、800、600、400、300。
ナンバーの末尾が0の場合はゴールドトリム、5の場合はシルバートリム、とざっくり書いておきます。
ストーンガーデンは万年筆1200本、ボールペン400本の数量限定。
まずこれだけでもワクワクするのですが、特筆すべき点は軸の美しさ。
キャップはネイビーとブラウンのマーブルなのですが、混ざり方(斜めに入ったサシ?)が“ストーンガーデン”というテーマに沿ったものとなっていて、所々に入ったパールがまるで石庭の日向と日陰のようなコントラストを生み出しています。
磨かれたキャップのセルロースアセテートが醸し出す透明感もペリカン スーベレーンの見所。
前述しましたが、スーベレーンは特別生産品を含めクリップの形状が同一となり、それがもたらすスーベレーンとしての統一感が楽しめます。
男性の手には特に馴染みやすいK800のサイズ感。K600が127mm、K800が139mmと約12mmの全長差ですが、この12mmがあるお陰で合谷にしっかりと重みが分散し軽やかにペン先を走らせることができます。
スーベレーンの800と言えばこの筆記バランスの良さが万年筆共々に人気。
ついでにスーベレーンシリーズでサイズの比較をしてみます。
▲左からK420、K800、K605、K300。
K420とK605はサイズが同じ、K300はスーベレーンでも最小サイズ。
こう並べるとモンブランのマイスターシュテュックと違い、クリップの長さが各モデルに合わせて違うペリカン。
一番大きなサイズの1000のナンバーは万年筆(M1000)のみのラインナップのため、実質スーベレーンのボールペンの最大サイズはK800ということになります。
ペン先の金具の長さもK300~K800でそれぞれ違うことが分かりますね。
ちなみにノック式のK400も待っていましたが、大切な友人にプレゼントしたため手元にありません。
モンブランの#161および#164と並べてみました。
ペリカンでは最大サイズのボールペンであるK800ですが、マイスターシュテュックと並べると#164より少し大きいくらい。
軸径も#164と同じですが、重量が#164が約21gに対して、K800が28gと7gの違いがあるため筆記感も別物。K800はどっしりとした重量を感じます。
続いて万年筆であるM800と比較。
こちらは太軸のM800に対して軸径は細いK800。しかし長さは合わせてあるため、このコンビで持ち出すことが多くなりそうです。クリップの長さも同じですね。
いやー、万年筆のストーンガーデンも気になるところ。
個人的にM800のモデルでは、ストーンガーデンかバーントオレンジが好みです。
ストーンガーデンは近年発売された特別生産品のため、天冠はメタルのボタンが付いています。
左から、ストーンガーデン、K420、K300。
個人的には黒い樹脂のペリカンロゴの方が趣があって好きなのですが…。
写真が分かりにくいですが、ペリカンクリップの裏には「metal」の刻印。
この刻印は特別生産品のみでなぜかレギュラーモデルのスーベレーンにはついていません。
キャップリングには「PELIKAN SOUVERÄN GERMANY」の刻印。
スーベレーンであれば通常モデルも特別生産品も同じ刻印です。
ストーンガーデンの堪らないポイントはキャップだけではありません。
ネイビーの胴軸も魅力。前々回の記事のモンブランJFKの胴軸もネイビーでしたが、こちらは少し赤みがかったネイビーで、パープルに近いネイビーとなっています。
それがまたたまらん…!
K600とK800の胴軸部分を比較。
K600に比べてK800の胴軸の樹脂は厚めで、軸径は同じながら金属パーツは違うものが使われていることが分かります。
K800、K600、K300のペン先は回転繰り出し式のため、キャップを胴軸に対して時計回りに回して外してリフィルを交換します。
K800とK600の回転繰り出し機構の型番でしょうか、金属筒の部分に「18」や「11」といったナンバーが見られます。
ペリカンのリフィルですが、K800・K600・K400はG2タイプのリフィルが適合。
K300は軸のサイズから4C芯が適合となっています。
K300のキャップを外したところのメカニカルな感じもまた良い。
ストーンガーデンのキャップの内側は表面とはまた違う表情でステンドグラスのようになっています。
この柄からも分かるとおり、ブラック・ブラウン・ブルーのセルロースアセテートの帯が斜めに走り、表面の柄を作っているのです。
最後にペリカンK800とモンブラン#164で書き比べてみました。
どちらも純正リフィルで字幅はM(中字)のブラック。
ペリカンのインクはモンブランに比べてグレーっぽく、インクの粘度も高め。
モンブランのインクは濃いめのブラックで粘度もペリカンより柔らかく、書き始めや線の方向転換時に擦れることが少ないです。
個人的な見解ですが、この2メーカーでいうと油性ボールペンのインクはモンブラン、水性ボールペンのインクはペリカンが使いやすくお勧め。
ペリカンのローラーボール用水性インクは使っていて一番用紙の裏抜けに強く、ペン先の倒し具合いによって線の強弱もある程度調整できるため ネタ帳のイラストに重宝しています。
(モンブランの水性インクも素晴らしく良いのですけどね…。まさに水性インク2強!)
油性ボールペンは粘度や色味においてモンブランに軍配が上がるように思います。
さて、今回はペリカン特別生産品のボールペン、スーベレーン K800 ストーンガーデンを見てきました。
キャップがとにかく美しく、胴軸のネイビーと相まってエレガントで落ち着いた大人の筆記具といったボールペン。
軸が美しくなればなるほど持ち出すことに躊躇しますが、ネイビーやグレーのスーツにも合うため営業に連れて行ったり、もちろん書斎で軸を眺めながらゆっくり物書きにも◎。
秋冬の季節にピッタリなペリカンの特別生産品。
皆さんのペンケースに加えてみては如何でしょう。
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