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モンブランの作家シリーズをお勧めしない理由と買うべき理由 【モンブラン作家シリーズ チャールズ・ディケンズ ボールペン】

2024年10月1日

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皆さんの憧れの筆記具は何でしょうか。
 
筆記具が好きな方であれば、いずれは出てくる“いつかは使って(持って)みたい筆記具
 
私の場合、そもそもが「仕事で使えてモチベーションが上がる筆記具を探す」という目的のもと始めた筆記具(主にボールペン)収集。
色々な筆記具を使って また調べてを繰り返すうちに、いつかは使ってみたい!と思う憧れの数本が、何となく頭の片隅に残るようになりました。
 
ただ、その「いつか使ってみたい筆記具」というのが、過去の限定モデル(値段も高い)かつビジネス向きかどうかという観点から購入予定リストには入らず、当ブログもはや三年余り。
 
結局、欲しい筆記具と出会うタイミングは図らずもやってきて(新商品以外の場合)、考える間もなく反射でポチってしまうのです。
 
仕事で使えるかどうかは別として、どうしても欲しかったボールペンがこちら。
 

 
2001年特別限定品、モンブラン作家シリーズ「チャールズ・ディケンズ」
リフィルの書きやすさと重量バランスの良さからモンブランの筆記具が好きで、その中でも作家シリーズやドネーションペンにはデザイン的な憧れがありました。
 
このチャールズ・ディケンズは作家シリーズの中でも大人しめのカラーリングとデザインで実用向きなボールペンと言えます。
逆に「作家シリーズ」ということを考えると地味で人気の無い部類かも知れませんが…。
 
どうしても欲しかったチャールズ・ディケンズと、未だ憧れのアガサ・クリスティ、アレキサンドル・デュマ。この3本はモンブランのボールペン中でも個人的に「いつかは使ってみたい筆記具」です。
 
縁がありその中の一本を入手することができました。
 
それでは前置きが長くなりましたが、パッケージからじっくりと見ていくことにしましょう!
 

 

 

 

作家シリーズ「チャールズ・ディケンズ」のパッケージ

モンブランの作家シリーズと言えば、ペンだけでなくその豪華なパッケージにも注目。
 
パッケージなどペンを出してしまえばただの箱なのですが、こういった特別限定品のパッケージは鑑賞用としても十分な造りとなっています。
 

 
構成品は、ペン一本とペンが収まっているボックスとブックレット(兼保証書)、外箱、それと写真には写っていないですが、外箱を保護する白いボール紙のカバーとなります。
 

 
外箱側面のモデル名表記ですが、「MONTBLANC MEISTERSTÜCK CHARLES DICKENS」とあります。
この表記から分かるのが、作家シリーズはマイスターシュテュックの中の特別限定品だということ。
作家シリーズは「マイスターシュテュック=最高傑作」の名にふさわしいモデルと言えます。
 

 
続いてボックスを見てみると、古書のようなデザインをしています。
流石は“作家シリーズ”。世界の文学史に確固たる足跡を残した作家の名誉を称えるためのコレクションというだけのことはありますね。
 
表紙にあたる面にはチャールズ・ディケンズのサインと「LIMITED EDITION」の表記。
意外だったのは「2001年」といった、どの年代の特別限定品かという表記が無いこと。
 

 
背表紙も重厚感があります。
素材は紙ですが、レザーのような質感や下部の「MONTBLANC」の型押しなど、非常に雰囲気のある造りとなっています。
これだけでずらっと本棚に並べておきたくなりますね。
 
これを各年代で並べると壮観でしょうが、集めるのに膨大な年月と費用がかかることでしょう。
コレクターの方はそうしていらっしゃるのでしょうか?
 

 
荘厳なボックスを静かに開けると真ん中にペン一本。
このギャップ。
 
いや、すべてはこの一本のペンのために用意されているのです。
しっかりと真ん中に固定されたペンは、まさに特別限定品の風格。
 
ちなみにブックレットの中身はモンブラン特別限定品についての説明やチャールズ・ディケンズについての他、各筆記モードに対応した取説、巻末には保証書の構成となっています。
(ネタバレになるので詳細な写真は載せないでおきます)
 
次の項ではボールペン本体を見ていきます。
 

 

モンブラン チャールズ・ディケンズのシックなデザイン

作家シリーズ「チャールズ・ディケンズ」のデザインは、他の作家シリーズに比べると大人しめに思えます。
私がこのペンを選んだのもそんな理由から。
 

 
デザインが大人しいほどビジネスにも使いやすくなるためですが、実際ビジネス向きかどうかは置いておいて、カラーリングとデザインが絶妙です。
 

 
特にこのグレーグリーンのプレシャスレジンは自然光ではグリーン味が強く、蛍光灯下ではグレー味が強く出るように感じます。
(左が自然光、右が蛍光灯の場合)
まさに伝統的なブリティッシュグリーンに石畳のグレーが混ざったような作家が生きていた当時をイメージさせるカラーではないでしょうか。
 
外観の素材はプレシャスレジン(胴軸・ペン先・天ビス)とスターリングシルバー。作家シリーズの特別感を感じたところは、スターリングシルバーのパーツの多さ。
 
スターリングシルバーを使った軸に多いのがペン先やクリップのパーツが合金製というパターン。
しかしモンブランのチャールズ・ディケンズは、ペン先・グリップ部のリング・胴軸の一部・クリップ・天ビス周りすべての金属パーツがスターリングシルバーとなっています。
 
経年によるクスミはでてきますが、それを丁寧に磨くのもこの筆記具を使う楽しみのひとつ。
 

 
グレーグリーンの胴軸にはチャールズ・ディケンズのサインが刻印されています。
シルバーのスミ入れも雰囲気がありますね。モンブランの作家シリーズには必ずそれぞれの作家のサインが刻まれていてこれが魅力のひとつとなっています。
 
アレキサンドル・デュマのペンに間違った(息子の)サインが刻印されて販売され、希少価値がでたというのも有名な話で、モンブラン作家シリーズにおいて作家のサインは大きな存在です。
 

 
天ビスのホワイトスターは大きめサイズ。
写真では分かりにくいですが、色も真っ白ではなくアイボリーなホワイトスターです。
 
この本体上部から天ビスにかけての凝縮感のある怒濤デザイン構成がたまらなく格好良いです。
チャールズ・ディケンズが生きた産業革命期のビクトリア朝イングランドの時代背景が見事に凝縮されたデザイン。
 
クリップもストレートではなくアウロラのような美しい曲線を描き、スターリングシルバーの部分はまるでビクトリア様式の柱のよう、そして天ビスは紳士御用達といえるステッキのグリップのようなカットとなっています。
 

 
胴軸のスターリングシルバー部分には素材を表す「Ag 925」の刻印。
少し見えているクリップですが、裏側に刻印はありません。
 

 
クリップ裏に刻印がない代わりか、クリップに隠れる部分に「Pix®」の刻印。
最初は気が付きませんでしたが、シルバー磨きクロスでクスミを除去している時に偶然発見!
隠れミッキーならぬ「隠れPix®」を見つけたようでプチ嬉しいです。
 

 
天ビス周りのデザインと刻印です。
グリーンレジンの部分に「MONTBLANC」と「シリアルナンバー」、クリップリングのクリップと反対側には「GERMANY」の刻印。
 
シリアルナンバーですが、ボールペンは16000本の生産。
(ボールペン単品が12000本、万年筆/ボールペン/ペンシルのセットが4000本生産で合計16000)
 
ちなみに万年筆は合計18000本生産されています。
ペンシルは単品販売がなく、セット販売の4000本のみですので生産本数的にも貴重かも知れませんね。
 

 

作家シリーズと他のボールペンを比較/リフィル交換方法

それでは、モンブラン チャールズ・ディケンズと他のボールペンとの比較をしていきたいと思います。
 
サイズですが、チャールズ・ディケンズは筆記時の全長が138mmと比較的コンパクト部類のボールペンです。
 

 
左からマイスターシュテュック ル・グラン#161、チャールズ・ディケンズ、マイスターシュテュッククラシック#164(ユニセフ)
 
軸の太さは#161と同等となりますが、全長は#164よりも短く少しずんぐりとした体型。
 

 
グリップポイントからペン先までの長さが長く、胴軸からペン先にかけてがマイスターシュテュックのように緩やかなカーブではなくデュオフォールドに近いシルエットとなっています。
 

 
軸の太さは違えど、グリップポイントからペン先までの長さが似ているため、デュオフォールドの筆記感が近いです。(軸のバランスは違いますが)
 
グリップポイントとペン先までの距離が長いメリットは、文字の視認性の向上と筆記時に余計な力が抜けることではないかと考えます。
 

 
逆にかなりペン先寄りを握って書かれる方にはバランスが取りにくく取り扱いが難しくなるのがこのシルエット。チャールズ・ディケンズの場合、ちょうどリングのある部分に指を添えることで一番書きやすくなると感じました。
 
一般的なマイスターシュテュックはキャップを回転させて外し リフィル交換を行いますが、チャールズ・ディケンズのリフィル交換方法はペン先を回して行います。
 

 
リフィル交換時の分離図がこちら。
胴軸から天ビスにかけては一体型という造りで、リフィル交換も言うなればスターウォーカーシリーズのようになっています。
 
この構造の善し悪しは次の項で書いていくとしましょう。
 

 

モンブラン作家シリーズをお勧めしない理由と買う理由

さて、作家シリーズの書き心地はどうなのか。
筆記具の大前提として書きやすいか否かというのは常について回ります。
 
そしてこの作家シリーズもしかり、モンブランの筆記具であるがゆえ最高のリフィルを生かす軸でなければなりません。
 

 
結果から書くと、モンブランの筆記具の中において「最高に書きやすいボールペンではない」です。
 
しかし、この作家シリーズに至高の書きやすさを求めるのは無粋ではないかというのが私の結論です。
 
 
書きやすいボールペンではない理由としては二点。
 
まずは、先の項でも書いたリフィル交換のための構造。
ペン先を外してリフィル交換を行うという構造により、ペン先の部品間にどうしても隙間が生じます。
 

 
そのためこのペンは胴軸を持って書くというスタイルだと、人によっては若干ペン先のグラつきが気になるかも知れません。
個人的には全く気にならない程度ですが、ブレンなどのペン先がブレないボールペンが主流の今、違和感を感じる方もいらっしゃるのではないかと。
※シルバーのリング部分を握って書くと大変書きやすいです
 
 
もう一点は軸のバランスです。
 
これは他のボールペンと比較をしながら書いていきます。
 

 
左からマイスターシュテュック#161、チャールズ・ディケンズ、ペリカンK420、パーカーデュオフォールド。これらを使って重心の比較をしていきましょう。
 
 
チャールズ・ディケンズは胴軸の一部や各パーツにスターリングシルバーが使われています。
デザイン上、天ビスに近い位置にこの素材が配置されているのですが、それが影響してかなりリアヘビーな重量バランスとなっています。
 

 
マイスターシュテュック#161と重心の比較。
161は全長150mmに対して重心の位置がペン先から78mmのところ。ほぼペンの真ん中が重心となっています。
 
一方、チャールズディケンズは全長138mmに対して重心の位置がペン先から82mmのところ。
数値からも分かるとおり、かなりのリアヘビーです。
 

 
重量バランスとしてはペリカンK420に近く、後ろに持っていかれがち。
ペリカンK420もキャップがスターリングシルバーで、その点チャールズ・ディケンズと同条件となっています。
それゆえ使う人によっては筆記時のバランスが取りにくく、書きにくいと感じられるかも知れません。
 

 
比較に使った4本のボールペンのスペックと重心をまとめました。
 
作家シリーズは万年筆もそうですが、デザイン上キャップにその作家をイメージした装飾が施されることが多く、それにより筆記バランスがリアヘビーとなるのも頷けます。
 
この二点によるボールペンとしての扱いにくさが、作家シリーズを実際に使ってみてお勧めしない理由です。
 

 
 
しかし…!
 
それでも余りあり過ぎる程の所有満足感とデザインの完成度。
優れた粘度のリフィル、適度な軸径やサイズから来るモンブランとしての書き味の基準値をクリアしながら、軸のデザインを最高峰まで突き詰めた作家シリーズ。
 
筆記具はいくら書きやすくても握りたくならなければ使われることはない、と思っていて、私が作家シリーズを買う理由がそこにあります。
人によっては好きな作家への敬意からや、限定品だから歴史的資産の保護という目的もあるでしょう。
 

 
多少書き難さがあっても、握ってみたいと思わせるペン。モンブランにしか造り出せない作家シリーズを持つという喜び。
筆記具でありながらその強烈なインパクトこそが、モンブラン作家シリーズを手に入れる一番の理由ではないでしょうか。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうござました。

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