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和とスターリングシルバーの融合が美しい!パイロット カスタム切子(碁盤) レビュー

2024年10月1日

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突然ですが、皆さんはスターリングシルバー製のボールペンと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
 
私は「パーカー75」なのですが、細軸のパーカー75に対して太軸のスターリングシルバー製ボールペンと言えば思い浮かぶのがコレ。
 

 
パイロットの「カスタム 切子」。
個人的にですが、パイロット製のボールペンの“あがり”モデルは、
 
①カスタムウルシ
②カスタム槐(エンジュ)
③カスタム切子
 
ではないかと考えています。
 
いずれも言わずと知れたパイロット油性ボールペンの上位モデルですが、漆軸・木軸・スターリングシルバー軸と、購入意欲を特に刺激する3種類の上位モデルを用意しているところ、パイロットという会社はなかなか侮れません。
 
今回はその中の一本である「カスタム 切子 碁盤」をレビューしていきます。
 
ウルシでもなく槐でもなく、なぜカスタム切子を選んだかというと、よくよく普段使うペンケースの中を見てみると結局入っているのはシルバーの軸かシルバー×ブラックのコンビ軸がほとんどで、仏壇カラーのボールペンは非常に少ないということ。(万年筆は仏壇カラーも良く持ち運びますけどね)
 
ボールペンは仕事で使うのがメインですので、必然とシルバー系かブラック×シルバーの出動が多くなるわけで…。
 
ということで、手元のボールペンは増えていますが私はコレクターではなく実用派ですので、実際に仕事で使えないと…。
という理由からカスタム切子を選んだわけです。
 
これまた個人的な意見になるのですが、今まで様々な国産ボールペンを使ってきて思うこととしてパイロット製のボールペンが書きやすく国産では一番ではないかということ。
(国産の万年筆ではセーラー製が私の手に一番合っているな、と。)
 
とにかく優秀なのがパイロットのボールペンで使われる「アクロインキ」。油性ですが固すぎず、ヌルヌルとペン先が走ります。
インクの柔らかさから、筆記時に余計な力の入らない太くて重量のあるボールペンとの相性が良く、今回レポートするカスタム切子ともマッチングは完璧かと。
というか、太軸のボールペンはインクが固くても柔らかくてもどちらでも合ってしまう万能なボールペンと言えます。
 
さて、前置きが長くなりましたがパイロットボールペンの上位モデル「カスタム 切子 碁盤 ボールペン」の詳細を見ていきたいと思います。
 

 

 

 

カスタム切子はカスタムヘリテイジ91のカスタム

カスタム切子のシルエットを見た時、真っ先にカスタム91と比較したくなりました。
と言うくらい、シルエットや各パーツが似ています。
 
ここでは、カスタム切子のデザインとカスタムヘリテイジ91との比較をしていきます。
 
 
と、その前にカスタム切子についてですが、
スペックは、
 
携帯時の全長:141mm
重さ:43
胴軸径:12mm
 
で、ボールペンの中でもかなり大きめ且つ重みのあるモデルとなっています。
素材にスターリングシルバーを使っているにも関わらず、価格が30000(税抜き)とハイクオリティでリーズナブルなのは日本製品ならでは。
 
海外メーカーで同じスターリングシルバー軸であればこの値段ではききません。
(海外メーカーはブランド料が高いのか、または様々な審査機関を通すからなのか…)
 
そして、カスタム切子はガラス細工の切子模様をモチーフに、スターリングシルバー軸に彫刻を施したモデル。日本の伝統的な模様のため、どこかノスタルジックな雰囲気も漂うボールペンです。
 
切子模様は「格子」「菊篭目(きくかごめ)」「碁盤」の3種類。
どれも魅力的ですが、菊篭目などは「鬼滅の刃」に登場する竈禰豆子(かまどねづこ)の着物「麻の葉文様」にもちょっと似ていて美しいです。
 
私はビジネス用途ということもあり「碁盤」をチョイス。
こちらは言うまでも無く囲碁の碁盤がモチーフ。
 
太軸のでっぷりとしたシルエットとこの大きめの「碁盤」柄は非常に良くマッチしています。
 

 
さて、カスタムヘリテイジ91との軸比較ですが、随所に見られるデザインの相似。
まず目に入るのがクリップの形状ではないでしょうか。
 

 
パイロット臭さを感じる玉クリップとは対象的な、剣先のようなシンプルなクリップ。
デザインは同じなのですが、横から見るとキャップの形状の違いから全く同じ部品では無いことが分かります。
 
キャップの長さや素材も違うため、カスタム切子のクリップはカスタムヘリテイジ91のクリップよりさらに目立たず控えめな印象。
うーむ、奥ゆかしい。
 

 
キャップリングのデザインも従来のカスタムシリーズのような膨らみは無く、フラットなデザイン。
正面にはシンプルに「CUSTOM」の刻印。
ヘリテイジ91のようにスミイレは無く刻印のみです。
 

 
キャップリングの刻印を拡大して、じっくり見てみます。
溝にはクスミが見られますね。(溝をクロスで掃除するの楽しそう…!)
 

 
背面にあたる場所には「PILOT JAPAN STERLING SILVER」の刻印。
日本製のスターリングシルバー軸には海外製軸のような複雑な刻印は無く、「STERLING SILVER」のみというのが多いです。
 
この若干黄みがかったぬくもりのある色としっとりとした手触りからクロームメッキ軸との違いを感じます。
やっぱり所有満足感が高い!
 

 
ヘリテイジ91との比較に戻りますが、実は同軸の形状にも違いがあります。
 
カスタム系ボールペンの胴軸はグリップポイントに若干の膨らみを持たせてある、極端に言えば「樽型」の胴軸が特徴ですが、カスタム切子はモンブランのようなストレート形状からペン先に向かって緩やかに細くなるシルエットが採用されています。
 
これは憶測ではありますが、歪みのないまっすぐな胴軸にすることで「切子柄」を正確により美しく見せるためではないかと考えます。
キャップからペン先までの段差の少ないシルエットが、美しい文様を際立たせる役割を担っているのではないでしょうか。
 

 
似ているようで似ていない箇所として、天冠のデザインがあります。
 
ヘリテイジ91はトップに段差のあるデザインでした。
一方、カスタム切子はクロームシルバーのパーツにラインがデザインされています。
 
あとはクリップリングがありません。
 
プリン型の天冠にシンプルなラインの彫り込みのみ。
これもまた切子柄を際立たせるひとつの要因なのかもしれませんね。
 

 

ところで、切子碁盤と格子はどこが違うのか

さてここで、カスタム切子の「切子柄」とパーカー75等に採用される「シズレ」のようなチェック柄との違いはどこなのかを見ていきましょう。
 

 
まずはパーカーソネットシズレのシズレパターンを拡大してみます。
 

 
細かいチェックの溝には黒いスミ入れが施されてる事が分かります。
 
私も愛用しているパーカー75はこのようなスミ入れは無く彫り込みのみ。
同じパーカーシズレでも年代により若干の違いがありそうです。
 
そしてよく見ると横向けのヘアライン加工が施されていることも確認できます。
パーカーのシズレに見られるグリップの良さは、細かなチェックパターンと下地のヘアライン加工が深く関係していそうです。
 

 
続いてカスタム切子「碁盤」の柄を拡大してみました。
 
つるりとした下地に大きく大胆な彫り込み。
その溝をよく見てみると、彫刻刀の三角刀で彫ったような美しい溝だということが分かります。
 
「碁盤」以外の「菊篭目」と「格子」の彫り込みについては未確認ですが、切り子ガラス好きにも納得のデザインではないでしょうか。
こちらのグリップ感はシズレほどではないものの、大きめの彫り込み+スターリングシルバーのしっとり感+太軸により良好。
 
軸の美しさと素材感が絶妙にマッチしていると言えます。
 

 

やっぱり書きやすい「アクロインキ」は太軸とも相性抜群!

書きやすさという点で言うと、軸の性能ももちろんですがインクの性能も忘れてはなりません。
 
毎回書いている気がしますが、飛ばし読みも恐れずに再度書きます。
 
パイロットと言えば「アクロインキ」。
 

 
最初から装填されているアクロインキ「BRFN-30」はMの字幅でヌラヌラとした筆記を楽しめます。
 
余談ですが、日本の三大筆記具メーカーであるパイロット・セーラー・プラチナのボールペンはそれぞれ独自のリフィル規格を採用しているため互換性はありません。
アクロインキを楽しむにはパイロット一択、ということになります。
 

 
スペックで紹介したとおり、カスタム切子は回転繰り出し式。
 
ここでもカスタムヘリテイジ91と比較してみます。
回転繰り出し機構自体はヘリテイジ91と同じものが使われていそうですが、感触はカスタム切子の方が若干重めに感じます。
 

 
並べてみるとキャップ側のパーツは同じ。
それ以上に目が行くのが、胴軸側の素材の分厚さ!
 
シルバーン(万年筆)のときもそうでしたが、リーズナブルな値段の割にコストカットしている節が無く、惜しみなくふんだんにスターリングシルバーが使われていること!
 
43gという決して軽くはない軸ですが、その重みは贅沢使われたスターリングシルバーの賜なのです。
さらにただ重いだけで終わらないのがパイロットのボールペン。アクロインキとの相性が本当に良い。
 
パイロットグランセのレビューの時に細軸との相性が良いと書きましたが、太軸とも相性が良いのがアクロインキの凄いところ。
 
まさに「パイロットにアクロインキあり」と言えます。
コレ本当に快適なのです。
 

 
そして、パイロットのカスタムシリーズボールペンを語るうえで省けないのが、回転繰り出し機構のなめらかさとねっとり感!
 
回転繰り出し式というのは親指ワンプッシュで済むノック式に比べ ペン先出しに手間がかかりますが、その所作の優雅さや機械感・精密感はノック式メカニズムよりも遙かに優れて()いて、意味も無く回してしまうこともしばしば。
文字は書かないけどキャップを回すんだぜ!という方も少なくないのでは。
 
私もその一人で、この「回転繰り出し式」にある意味ロマンを感じ、キャップを回すことに喜びを感じてしまうのです。
そう、簡単に言えば病気なのかもしれません(笑)
 
ただ、ボールペンをチェックする時にそれが「ノック式」か「回転繰り出し式」かという切り分けはまず最初に行う方です。
 
皆さんは如何でしょう?
 

 

おまけ比較&まとめ

最後におまけで同じ太軸のボールペン、セーラープロフィット21ボールペンと、同じスターリングシルバー軸のパーカー75シズレの大きさ比較画像を。
 

▲左からセーラープロフィット21、カスタム切子、パーカー75、いずれもボールペン。
 
胴軸~グリップポイントの太さはセーラープロフィット21と同クラス。
シルエットも近いため、プロフィット21ボールペンを持っている方は太さのイメージがしやすいかも知れません。
 
また、特に記事中にも出てきたパーカー75との大きさの違いですが、これだけ違います。
 

▲左からパーカー75、カスタム切子、シルバーン(万年筆)
 
素材は同じですが、パーカー75シズレは少しシルバーをくすませて使うのが粋に感じます。
一方、カスタム切子はシルバーの硫化を味として楽しむよりは、いつもピカピカに磨いて透明感のあるまま使いたいです。
 
写真のシルバーンは若干くすんできていますが、キャップリングやクリップ、天冠の変化しないクローム部分との表情の違いも面白い。カスタム切子も同様に口金とクリップ、天冠はクロームのため変化せずスターリングシルバーとの素材の違いが楽しめそうです。
 
異素材、異なる太さのボールペンで書き味は様々ですが、どれも書きやすい愛すべきボールペン達。
使えるボールペンは何本あっても良いものですね。
 

 

さて、今回はパイロットのカスタム切子「碁盤」を、カスタムヘリテイジ91と比較しながら見てきました。
 
比較していて非常に楽しかったです。
スターリングシルバーの贅沢な軸も、切子ガラスをモチーフにした美しい彫刻も、アクロインキの書きやすさも全てにおいて満足度が高い。
私にとってパイロットボールペンの“あがり”と言える一本でした。
 
とはいえ、同じ“あがり”軸として定義している「カスタム槐」と「カスタムウルシ」。
こちらもパイロット至高のボールペンとして、いつか切子と比較できれば良いなと思います。
 
今回も長くなりましたが、この辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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