上位モデルのカヴェコスポーツ=所有満足感!【カヴェコ スポーツ ルックス 万年筆レビュー】
みなさんこんにちは。
10月に入って朝晩が随分過ごしやすくなってきました。順調にペンを走らせていらっしゃるでしょうか。
さて、前回はワンランク上のボールペン軸としてパーカーデュオフォールドをレポートしましたが、今回は「カヴェコスポーツの中で」ワンランク上の万年筆を見ていきたいと思います。
カヴェコスポーツを研究しだしてまだ一ヶ月ちょっとですが、スポーツシリーズはリーズナブルな価格設定もありどんどん増えていくプチ沼感のある筆記具だと実感しています。
そんな比較的手の出しやすい万年筆でありながら、万年筆の筆記感もしっかりと味わえチープな感じもせず、携帯性やカスタマイズ性に優れている。
そして、なんと言ってもとてもお洒落な万年筆のため男女問わずファッショナブルに持ち歩けるところが魅力ではないかと思います。(ちょっと褒めすぎでしょうか)
カヴェコスポーツの種類をザックリまとめると、
【樹脂軸】
・クラシックスポーツ(ロゴがゴールド)
・スカイラインスポーツ(ロゴがシルバー)
・アイススポーツ(クリア軸でロゴがシルバー)
・フロステッドスポーツ(半透明軸でロゴがシルバー)
・スポーツルックス(廃番モデル)
・アートスポーツ(限定モデル)
【金属軸】
・ブラススポーツ(真鍮製)
・スチールスポーツ(スチール製)
・アル(AL)スポーツ(アルミ製でカラバリ有り)
・アル(AL)スポーツストーンウォッシュ(アルスポーツ亜種)
・エーシー(AC)スポーツ(アルミ×カーボン製でカラバリ有り)
となります。
アートスポーツ以外はボールペン・ペンシルのラインナップもあるのでかなりの種類ですよね。
さらには文具店オリジナルの限定スポーツが出たりと、その種類は多岐に渡ります。
上記に加えてTwitterのフォロワーさんの情報ではスターリングシルバー製のカヴェコスポーツも確認されています。(こちらは日本での発売はまだのようですので待ち遠しいばかりです!)
その中から樹脂軸の「カヴェコ スポーツ ルックス 万年筆」をレビューしていきます。
造りや値段的に樹脂軸スポーツシリーズの上位モデルと位置付けられる当モデルですが、簡単に言うと数々書いてきたカヴェコスポーツの魅力に所有満足感をプラスしたようなモデルなのです!
それではその贅沢(Luxe)なルックス(容姿)から見ていきましょう!
カヴェコスポーツルックス(Kaweco Sport Luxe)
ルックスとはLuxe(贅沢)のことで文字通り通常のスポーツと比べ様々な部分でグレードアップを感じることができます。
まずはそのスペックとデザインから見ていきましょう。
◆スペック比較◆ ※クリップ装着時
スポーツルックス…重さ:14g、収納時の長さ108mm
クラシックスポーツ…重さ:13g、収納時の長さ106mm
アルスポーツ…重さ:25g、収納時の長さ106mm
このようにルックスとクラシックの重さはほぼ同じで、全長はクラシックやアルに比べて2mm長くなっています。
ルックスは軸に使われている樹脂は、一般的なスポーツのようなABSではなくアクリル樹脂だと思われます。
しっとりしていてエッジが落としてあるためなめらかな手触り。
素材の違いが重さの違いにも、若干ではありますが関与していそうです。
ただ、ネットで調べる限りルックスが製造されていた年代によって重さに違いがある可能性があり、モノによっては尻軸の中に真鍮の“おもり”が入っているものもあります。
この真鍮のおもりがある場合、ミニコンバーターを最大まで引いた状態で収納することができません。
そのためカートリッジ専用となるわけです。
さて、スペックの次はデザインを。
まずはキャップですが、通常のカヴェコスポーツと違いクリップが備え付けとなっていることろにご注目。
クリップのシルエットは鰻クリップなのですが、設置位置は天冠に近く、一般的な万年筆の趣を感じます。
キャップには「Kaweco Sport Luxe GERMANY」の刻印。
クラシックのように金押しではなく控えめな彫り込みのみで実に渋いです。
尻軸にはゴールドのリングが配置されており、キャップのクリップリングと合わせてデザイン的なメリハリとなっています。
細かい点ですが、このゴールドリングを境に尻軸側が一段細くなっているところがポイント!
ペン先・ペン芯はクラシックスポーツと同じでデフォルトはスチール金色のM。
こちらは金属軸スポーツと同じで「ペン先ユニット」を交換して字幅を変更することが可能。
ルックスだからこそ、いずれは14金ペンのバイカラーに交換したいと考えています。
クラシックスポーツとのデザイン比較
それでは、クラシックスポーツとデザインの比較を行っていきます。
全体像の比較はこちら。
スペック比較にもあったようにクラシックより若干長めで、デザインも角が無いためつるんとした印象。
クリップから天冠のロゴマークにかけて。
クラシックはクリップリング(?)もそうですが、八角形に角張った印象が強いですね。
ルックスは元祖鰻クリップといった感じ。
尻軸について、ルックスにはクラシックのようなローレットは無くなめらかに尖っています。チェルシー(飴)のようなとろける質感と言いましょうか。(例えが自分でもよく分からないですね…)
横から見た図。
遠近法でルックスの方がかなり長く見えますが差は2mmです。
クラシックはエイトシェイプクリップ装備のため印象が大きく異なります。
首軸から上を比べてみます。左がルックスで右がクラシック。
首軸の形もルックスは丸くなめらか。ここで注目して頂きたいのがネジ切りです。
ルックスのネジ切りは浅く、クラシックの2分の1程しかありません。
アルスポーツと比べるとネジ切りの深さが同じくらいだと分かります。
試しにキャップを付け替えてみたところピタリと嵌まりました。
同じペン先ユニットを共有できるモデルのため、ネジ切りを含め首軸に互換性があるのでしょう。
最後に筆記時の全長を比べてみました。
キャップを尻軸にポストした状態でもルックスの全長はクラシックやアルより長くなっていることが分かります。それぞれ違う素材のですので軸の輝きも違っていますね。
ルックスの質感はパーカーデュオフォールドやモンブランのマイスターシュテュックにも似た、まさに上位クラスの万年筆といったしっとりした風合いを醸し出しています。
同じMでも書き味が微妙に違うカヴェコスポーツ
カヴェコスポーツのデフォルト字幅はM(中字)です。
しかしながら、カヴェコスポーツのMは他の欧州万年筆メーカーに比べてMでも細い字を出す傾向にあります。
そしてカヴェコの面白い点として、同じ字幅Mでも微妙に書き味が違うところです。
これを単に安価な万年筆の品質のバラつきと取るか、バリエーション豊かな万年筆の個性と取るかは人それぞれですが、文字が太めに出るMに当たった・細めに出るMに当たったと一喜一憂するよりは、その時はその時で好みの字幅のペン先に換えてカスタマイズを楽しもう!という寛大な心が必要かと思います。
現に手元にあるカヴェコスポーツの書き味は十人十色(凄く似たのもありますが)で、同じスチールのMと思えないほど書き味はバリエーションに富んでいます。
今一度ルックスとクラシックのペン先を並べると、刻印の内容は同じこそ微妙な違いがあります。
「M」の字幅の刻印やニブの形が違うのがお分かり頂けるでしょうか。
この辺りは製造年代による差である可能性が高いです。
3本のスポーツで書き比べをしてみました。
どれもスチールペン先の字幅はMで、ルックスとクラシックがゴールド、アルがシルバーです。
書いてある文字を見てもお分かり頂けるかと思うのですが、筆記感もまるで別物なのです。
手元にあるルックスは、スチールペン先とは思えないほど柔らかな書き味。
字幅も一般的なFに近いMといった感じ。インクはモンブランミッドナイトブルーのカートリッジです。
クラシックは真逆で硬めの書き味。アウロラの書き味に近くサリサリと音がするほどです。
個人的にこのクラシックの書き味は気に入っていて、横線は細く縦線は太めに出ます。
カヴェコ純正インクとの相性も良く、クッキリと見やすい字を書くことができます。
一方、アルスポーツはザ・中字と言えるほど純粋なMの字幅。
そのため、インクは濃淡の出やすいパーカーのブルーブラックを入れています。
このように同じペン先なのですが書き味には違いがあり、生まれる字にも違いがあります。
これぞカヴェコの面白さ!
またEFのペン先を入手したら比較をしてみようと思います。
同郷のモンブラン万年筆と書き比べる
最後は「同じドイツの万年筆」ということでモンブランのマイスターシュテュック#149と比較をしていきます。
なぜよりによって#149?という声も聞こえてきそうですが、モンブラン最大の万年筆とコンパクトなカヴェコの万年筆、大きさはどのような差があり書き味はどう違うのか。
これを比較しない手はありません。
ということで早速、#149&大きさの参考としてモーツァルトのペンシルも並べて比較してみました。
全長はモーツァルトよりも小さく、同じ万年筆の#149と比べると全長は約3分の2程しかありません。
キャップを外し筆記字のサイズ比較です。
まさに大人と子供(笑)
数ある万年筆の中でも#149の軸は力強くペン先もかなり大型です。
そして最小の万年筆とも言えるカヴェコスポーツ。このスポーツルックスは質感も#149に迫るほど素晴らしいのです。
ペン先を並べてみました。
こちらもニブのサイズはほぼ半分なのですが、書き味は負けていません。
これは是非ともカヴェコのバイカラー14金ニブを手に入れて並べてみたいものです。
書き味はこちら。
文字にあるとおりなのですが、同じインクで書いているとは思えないほど違いがあります。
モンブラン#149のインクフローが良すぎるのか、字はかなり太く濃くなっているのが分かります。
ルックスはインクの濃淡が分かるMでも細めの字幅。
コンパクトな軸と相まってメモをしたりノート記入に向いています。
さて、今回はカヴェコスポーツルックス万年筆の魅力について書いてきました。
リーズナブルなスポーツシリーズの原点とも言えるクラシカルなデザインとしっとりとした質感、カヴェコスポーツの中では異質な書き味(個体差はあるかも知れませんが)と、まさに贅を尽くした仕上がりでした。
廃番品ではありますが、置いてある文房具店には置いてあるのでカヴェコファンや小型万年筆ファンは見つけたら確保は必至かと。
それではまた。次の沼でお会いしましょう。
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