S.T.デュポン×イージーフローはボールペンでも万年筆のような書き心地!【S.T.デュポン デフィ】
皆さんこんにちは。
最近はペンの購入を控えている(増えすぎた)ので、現在持っているペンを使っての比較記事になっています。今回はボールペンのインクについての話から。
海外メーカーのボールペンを主に使っていて便利だなと思うのが、ボールペンのインクについて互換性が高いこと。
「パーカータイプ」と呼ばれる国際規格のリフィルが入れられるボールペンメーカーはたくさんあり、しかもそれぞれのメーカーが新旧含めデザインを凝らした魅力的なデザインのボールペンを発売しているため、共通のリフィルを使いながら様々な種類・デザインのボールペンを楽しめるというメリットがあるのです。
ただ、モンブラン、クロス、ウォーターマンのように互換性のない独自規格のリフィルのみを使用可能としているメーカーもあるのは確かなことです。また、パイロット・セーラー・プラチナのような大手国産メーカーもまた、独自規格のボールペンリフィルを採用しています。
そのような状態のなか、国内では初めて三菱よりパーカー規格のジェットストリームリフィルが発売されたのは記憶に新しい事かと思います。
パーカー規格のジェットストリームリフィルが使えるようになったことをきっかけに、書き出しがダマになりやすい油性リフィルを捨て、海外メーカーのデザインに優れたボールペンを本格的に使い出した方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外メーカーのすべてが粘度の高い油性ボールペンリフィルのみを生産していたわけではありません。私が所有する海外メーカーのボールペンの中で、ジェットストリームに勝るとも劣らない低粘度インクがあらかじめ装填されているボールペンがあります。
それがSTデュポンの「デフィ」です。
ということで、今回の記事はSTデュポンのデフィを取り上げていきます。
STデュポンは「イージーフロー」という低粘度インクを出しており、スラスラと筆圧をかけない筆記が楽しめます。それではデフィ ボールペンをレポートしていきましょう。
【デフィ ボールペンの特徴や操作について】
まずはじめは毎回恒例ですが、ボールペン自体のレビューから。
STデュポンはフランスのメーカーで、筆記具以外の小物ではライター等が有名です。STデュポンが発売する製品はしっかり・きっちりとした製品というイメージが強く、厚みと言いますかとても堅牢に造られているなーと感じるのです。
STデュポンの筆記具では比較的新しいラインのボールペンである「デフィ」。雑誌等で見かける機会も多いのではないでしょうか。
まずデザインですが、流線型の太軸。航空機から着想を得てデザインされたとあって、確かにジェット機のようなシルエット。全体を眺めるとシルバーなのですが胴軸の黒いレジンが引き締めるいい効果を出しています
このレジンの部分のカラーや素材はデフィのバリエーションによって変わるため、お気に入りの1本を見つけるという楽しさもありそうですね。
シルエットが何か他のボールペンと似ているかな、と考えていたらありました。
シェーファーの「タラニス」。私が太軸の筆記具にハマっていた時に買った1本なのですがすっかり引き出しの肥やしになっています(笑)。
2本並べるとこのような感じ。タラニスもなかなか面白いデザインだと思います。画像では分かりにくいですが、ペン先側は丸く、キャップ側に行くほど四角い軸になるようにデザインされています。
ただ、個人的にはこの「SHEAFFER」という大きなメーカーロゴがちょっと…。
最近の車もそうですがエンブレムが大きすぎるのです。もっと控えめの方が断然格好良いと思うのですよ。
ブランドマークやロゴをデザインとして大きく見せているのでしょうが、私はあまり大きなロゴは好きではありませんね。
何だかこれについては以前も書いたような気がしますが…。
さて、デフィに話を戻しましょう。レジンの部分を除いてペン全体がほぼ金属のためズッシリとした重さがあります。重さはかなり重めの40g。
重さ=高級感というのは曲げようのない事実ですが、高級感だけではない洗練されたデザイン性を感じます。
胴軸と一体化しているような細くて長いクリップの形。スプリングが内蔵されていて大きく開くけど弾力のあるはさみ心地となっています。クリップ側面には小さく「MADE IN FRANCE」とシリアルナンバーの刻印。
天ビスには「D」のイニシャルが入っています。デフィのDではなくてデュポンのD!(だと思います)。デフィのようにクリップの付け根が直接天ビスになっていると先進的なイメージを受けますね。
【デフィのリフィル交換方法】
続いて操作方法について。デフィのリフィル交換方法は少し特殊で少々戸惑ったため、ここに交換方法を記しておきます。
まず、ペンの繰り出し動作ですが、この手の高級筆記具には珍しくペン先を回転させて行います。ちょうど180°回転させるとペン先が顔を覗かせ、回しきるとカチッとペン先がロックされ心地よい操作感。
リフィルを交換する場合、このペン先のユニットを胴軸からまっすぐに引き抜きます。この手のボールペンは通常、口金側かキャップ側にネジが切ってあるのですが、デフィはキャップという概念がないこともあり口金側を引き抜くのです。
回転繰り出しユニットは口金と一体型となっています。今ほどキャップという概念がないと書きましたが、こう見ると胴軸=キャップということになるのかも知れません。
ユニットの先の黒い樹脂の部分を捻って外し、中のリフィルを交換するのですが、いやはや手の込んだ機構ではないですか。中にあらかじめ装填されているリフィルはイージーフローの中字。これが日本の高性能な低粘度インクに引けをとらず良いインクなのです。
リフィルを換えたらキャップ(胴軸)をつけて交換完了。ちなみにですがキャップ(胴軸)がネジ式ではないため口金の「S.T.Dupont」の位置は自由に決められます。私はクリップ側にロゴが来るようにしています。
【低粘度インク比較】
それではデュポンボールペンの売りであるイージーフローを通常の油性インク、そしてローラーボールの水性インクと比較してきましょう。
比較に使うボールペンはこちらの3本。
左からSTデュポン「デフィ」、デルタ「プレステージ」、パーカー「デュオフォールド」。
いずれも名品ですが、この中ではデルタのプレステージのみ廃番となっています。
当然ですがそれぞれ互換性があるためリフィルの形は同じ。上から、STデュポンのイージーフロー、デルタのイージーフロー2500、パーカーのクインクフロー。低粘度インクは上の2本です。
STデュポンとデルタに至っては、おそらく製造元は同じではないかと思えるほど型番の印刷やリフィルの先の造りが似ています。
低粘度といっても油性は油性で、書き心地は油性と水性の間といった感じ。
個人的に水性インクで書くとサラサラし過ぎて文字が暴れてしまうのですが、低粘度は水性に比べると良い感じにねっとり感を残しています。
しかしながら私はボールペンを扱う際は筆圧が強めなので、油性が一番書きやすいのに変わりはないですが。
文字の比較がこちら。
低粘度インクはインクの出る量が多いためかかすれも少なくクッキリとした字になっています。中でもデュポンのイージーフローはかすれが特に少なく文字の視認性も良好。
デュポンのイージーフローは「パーカータイプ」リフィルのため、自分の筆圧に応じて数あるメーカーの油性リフィルに換えることもできます。もう少し細めの低粘度インクが良ければジェットストリームに、ねっとり系の油性が良ければパーカーやペリカンのリフィルを入れるもの良いですね。
また、様々な色のインクを試したければ、4C芯を変換するリフィルアダプター(PK-01)を使って色の種類が多い4C芯を装填できます。ということはゼブラ4C芯のブルーブラック他を入れることもできるのです。
※ただし4C芯は芯の軸径が細いためボールペンの口金との間にすき間が生じる可能性がありますが。
このように書き味は様々ですが、いまや万年筆のインクのようにとはいかないものの、デフィのようなパーカータイプのリフィルが使えるボールペンには様々なリフィルを入れて楽しむことができるのです。
【デフィ×低粘度インクだと何がいいのか】
最後に、なぜデフィ×イージーフローが良いのかについて考えていきます。
私の経験からにはなりますが、ペンを握るのに力が入る細い軸や軽い軸のペンには低粘度インクが合い、握る力を抜ける太軸や重い軸のペンには油性のインクが合うと考えています。
ボールペンの書きやすさには「ペンの自重・筆圧・インクの粘性」の三つの要素が関係しています。
しかしデフィは太軸&重量級で低粘度のインクなのに書きやすい。
最初の項でも触れた通り重さが40gというところがミソで、ここまで重い軸のため低粘度インクだとほぼ力を入れることなくペンの自重だけで文字が書けてしまうところ。これが書きやすい要因ではないかと考えるのです。
逆に筆圧をかけて書いた場合、ペンの重さも合わさった力がペン先に伝わり、低粘度のスラスラと合わさることで文字が暴れてしまうのだと思います。(ペンの自重+筆圧の力を受け止め、制御できるだけの粘度がないため)
そういう意味で筆圧のコントロールさえできれば「ペンの自重・筆圧・インクの粘性」のバランスのコントロールがしやすくなります。それがSTデュポンのデフィなのだと感じています。
ということで、万年筆を使う方ならデフィ+低粘度インクの中字は使いやすいのではないでしょうか。
デフィで力を抜いて書いた場合と力を入れて書いた場合それぞれの文字です。
左がペンの自重のみで文字を書いた時、右が筆圧をかけて書いた時。そして真ん中は緩急をコントロールして書いた時。
文字の太さに緩急がつけられるということは表現の幅が広がるということです。
同じ中字でここまで幅のある文字が書けるのはデフィの重さとイージーフローの書き心地ならではでないでしょうか。
今回は低粘度インクを搭載したSTデュポンのデフィをレビューしてきました。デフィを使うことで低粘度インクの見方が自分なりに変わったと思います。
低粘度インクは文字が走ってしまうから苦手という方も、重めの軸のボールペンを使うことでその緩急の出せる筆記を楽しめるのではないでしょうか。それではまた。
ディスカッション
コメント一覧
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