ボールペン・万年筆・メカニカルペンシルなど、文房具好きの購入記を写真多めで比較レビュー。
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カランダッシュ エクリドールのお勧めモデルと置き方にまつわるプチネタ

2024年10月1日

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皆さんこんばんは。
 
最近は金属製のボールペンを取り上げることが多いです。
今回はカランダッシュ エクリドールのお勧めモデルについて書いていきたいと思います。
 

 
その比較的リーズナブルな価格設定と様々なバリエーション、六角軸の持ちやすさとヌラヌラで気持ちの良い書き味のゴリアットリフィルによってユーザーに愛される、カランダッシュの「エクリドール」。
 
私自身も前回の記事「エクリドールの年代による仕様の違い」を書いて以来、改めてエクリドールに夢中となっているのですが、何本かをローテーションして使っていくうち利用頻度が高く使いやすいモデルや気付いた点などがでてきたため まとめていくことにします。
 

 

 

 

定番ながらバランスの良いエクリドール「レトロ」

エクリドールと言えばシェブロンかレトロか、というくらい有名なデザインではないでしょうか。
 

 
新品でも購入でき、中古でもよく見かけるのがこの網目模様がデザインされた「レトロ」。
私の手元にも3本あります。
 
レトロはとにかく「デザインに飽きがこない」というところがポイント。さらに単なる網目模様ではなく、見る角度(光の当たる角度)によって連なる三角形が見えるところも面白い。
この飽きがこないというのは重要で、ペン自体のシンプルな形状とも良くマッチしているという証拠でもあります。
 

 
手元にあるのはクリップに刻印のある50thアニバーサリーモデルと、ノックボタンに赤いロゴ(企業ロゴなのかどうなのか不明)のあるモデル。
 
特に2本ある50thアニバーサリーモデルは代わる代わるポケットに挿さる、私にとって超レギュラーなペン。クリップの緻密な仏語刻印がポケットに挿している時も筆記している時も、チラリと見えるところが気に入っています。
「CARAN D’ACHE / FABRICATION SUISSE」
 
ちなみに、なぜスイスの筆記具なのに仏語(フランス語)の刻印?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、スイスの公用語はドイツ語、フランス語、ロマンシュ語、イタリア語の4つとなっているため。
 
それぞれの言語で「SWISS」を書くと、
 
ドイツ語:SCHWEIZ
フランス語:SUISSE
ロマンシュ語:?? (スイスの一部地方でのみ話されているため不明)
イタリア語:SVIZZERA
 
となります。※SWISSのロマンシュ語翻訳は発見できず
 
4つの言語の中でも仏語「SUISSE」をチョイスしているのは、世界的に馴染みのある英語の「SWISS」にスペルのイメージが近いからではないかと考えています。
 

 
見る角度によって浮かぶ三角の模様も、個体差が若干あるようです。
もし手元で何本かから選べるとしたら、個人的には彫りが深い個体がお勧め。クッキリとした三角の模様が楽しめます。
 

 
また、ノックをした時のノックボタンの沈み具合いと尻軸のエッジ、クリップの刻印のバランスが良いのもこのモデルのたまらんポイントでもあります。旧タイプのノックボタンは現行のような飾り文字のロゴではなく、シンプルな文字の彫り込みのみ。
これが実に渋い!
 

 
ちなみに50thアニバーサリーモデルと現行モデルのクリップの形状は若干異なっており、横から見ると50thの方(写真左)が大きく湾曲しており、現行(写真右)は少し平たい形状をしています。
この大きく湾曲したクリップがよりヨーロッパの筆記具らしい出で立ちを醸し出していますね。
 
ビジネスでも好まれるスタンダードなデザインに見え隠れする拘りの刻印バランス。
カランダッシュエクリドールの入門としても、50thアニバーサリーモデルはぜひ手にして頂きたい逸品です。
 

 

国旗をパターンデザイン化したエクリドール「スイスフラッグ」

次にご紹介するのはスイスの国旗が軸に刻印されたモデル「スイスフラッグ」。なんともスイス愛に溢れています。
 

 
スイスフラッグというと849のデザインが思い浮かびますが、こちらはクリップの形状からも1980年代に発売されていたと思われるモデル。
 
エクリドールのスイスフラッグは2009年あたりにも日本限定で発売されていますが、そちらのデザインはカランダッシュ849と同等のデザイン(一部相違があるとの記事もあります)が採用されていました。
 

 
手元の旧タイプのスイスフラッグは、胴軸に縦に連なったスイス十字がデザインとしても面白い。
左の849スイスフラッグと比較しても印象は大きく異なります。
それにしても、849のスイスフラッグを見るとマインクラフトの降雪を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか。
 

 
ペン先の方までギッシリとスイスフラッグ。
スイスフラッグというと赤と白ですが、シルバーのスイスフラッグというのもなかなな粋ですね。
 

 
ノックボタン上面にはコーティングされたスイスフラッグのマーク。
こちらはしっかりと赤白になっています。(若干黄ばんでいますが…)
 
ノックボタンにコーティングされたロゴが配されているモデルは、当然ですが指当たりが良くまろやかな押し心地となります。
 

 
クリップは80年代のロングクリップ。
ロングクリップは鏡面仕上げの胴軸と非常に相性が良いように感じます。
 

 
スイスフラッグの彫り込みは浅めのため、ほぼナチュラルな金属軸を楽しむことができます。
しかし指が乾燥している時は滑りやすくなるという反面も持ち合わせていますので、春夏の利用に向いているのかも知れません。
 

 

美しさと造りの良さから持つべきは旧型の「ベネシアン」

お勧めモデルの3つめは美しいデザインでお馴染みのベネシアン。
 

 
手元にあるのはおそらく70年代のベネシアンです。
 
「おそらく」と書いたのはクリップの形状と“胴軸の彫り”から。
70年代のベネシアンは、現行や1世代前のショートクリップベネシアンと比べて胴軸の彫りに違いが見られます。
 
美しい鏡面仕上げの胴軸に職人が丹念に手作業で彫りを入れていった過程が覗えるのが70年代ベネシアンの特徴。
所有満足感に繋がる最大のポイントです。
 

 
ベニスの穏やかな海のさざ波をイメージしてデザインされた線の細い細かな彫り。
そのラインはひとつひとつがランダムなうえ細かく起伏がつけられているため、光が反射するとまるで本物のさざ波を見ているかのようにキラキラと輝くのです。(写真では伝わりにくいのですが…)
 

 
現行及び1世代前のベネシアンは、さざ波のパターンが刻印されているため この70年代のベネシアンとは大きく印象が異なります。
 
私も以前、現行1世代前のベネシアンを所有していたのですが、以前の記事で触れたペン先問題とこのランダム細波パターンのベネシアンが欲しくて手放してしまいました。
(写真で比較できると一番良かったのですが…)
 
現行のベネシアンも美しいのですが、一度手にして頂きたいのは旧型のベネシアン。
旧型はパラジウムコートが施されていないため くすんではくるのですが、銀磨きクロスでピカピカに磨き上げた後の旧型ベネシアンはえもいわれぬ美しさ!
 
現行品をもっていらっしゃる方にこそ持って頂きたいのが旧型ベネシアンなのです。
 

 
ベネシアンに限らず旧型エクリドールのノック音はとても静かで、ノック時にはわずかに金属が擦れるシュッという音しかしません。
(私が持っている10本のエクリドールの中では一番静か)
 

 
現行の洗練されたデザインのエクリドールも良いですが、1970年~80年代の旧モデルエクリドールもベネツィアの細波を忠実に再現した美しい彫刻やノック音に見る「造りの良さ」が魅力。
 
ベネシアンを愛するエクリドールユーザーはぜひ一度 手に取ってみてはいかがでしょう。
 

 

エクリドールの各モデルから考察する“一番デザインを楽しめる置き方”

さて、お勧めのエクリドールは色々ありましたが、ノックボタンに企業ロゴやエンブレムを持つエクリドールにおいて気付いた点が一つあります。
 

 
エクリドールをお使いの皆さんは、なぜノックボタン上面のエンブレムがクリップに対して真っ直ぐになっていないのだろう…、と思われたことはありませんか?
 
エクリドールのノックボタンは胴軸に対してねじ込んで固定するため、エンブレムの向きを意図的に変えることはできません。
 
皆さんのお手元のエクリドールはいかがでしょう。
 
 
実はこれ、大半のモデルにおいて同じ仕様なのです。
 

 
ノックボタンにエンブレムや企業ロゴがある6本のエクリドールを並べてみました。
いずれのモデルにおいてもクリップを上面にしてペンを置いた場合、エンブレムは左に傾きます。
 
そこで六角形におけるクリップの右面が上面になるようにペンを置くと…。
 

 
このように綺麗にエンブレムが正しい向きに揃うのです(少しの角度ズレているのもありますが…)。
 
このことから考えられるのは、カランダッシュエクリドールを置く時の向きはノックボタンのエンブレムが正面を向く向き、すなわちクリップを左に一角倒した向きが正しいのではないかということです。
 

 
正直、向きがどうとか正しい正しくないというのは無粋ですが、確かにクリップを傾けて置いて見てみると、軸のデザインがクリップに邪魔されず一番綺麗に見えるように感じます。
 

 
さらにクリップも立体的に見え、より美しくエクリドールを楽しめる(ような気がします。)
 
※現行のペンシルロゴの場合、置く面を変えてもロゴの向きは同じ。
※刻印ではなくプリントされている一部の企業ロゴには当てはまらないものもあるようです。
 

 
ということで最後はプチネタでしたが、エクリドールを机に置く際はクリップを左にひとつ倒しておいてみてください。
軸の模様、クリップの形状や立体感、銀軸ならば925刻印といった、エクリドールの美しいデザインをより一層楽しめるのではないかと思います。
 
それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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