手触り最高のナガサワ キップレザー ロールペンケース!【NAGASAWAと土屋鞄のロールペンケース比較】
皆様、新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
筆記具について文房具について、そしてたまーにガジェットについて、本年も比較記事をメインに書いていきますので、変わらぬおつき合いよろしくお願い致します。
(そういえば去年はガジェットについて書いただろうか…)
新年一発目の記事は毎年何にしようか迷うのですが、今回はペンケースについての記事から始めたいと思います。
Twitterでは手に入れた筆記具・文房具をほぼリアルタイムに呟いていますが、如何せんブログの方は気軽に書くというわけにもいかず、書きたいネタが溜まっていってしまうのです。
というわけで少し前に呟いたペンケースについてのレポートをしていきたいと思います。
私がメインで使っているのが土屋鞄のトーンオイルヌメロールペンケース。
トーンオイルヌメロールペンケースはどちらかというと細軸向けのため、最近増えてきた太めの万年筆は2本ずつペンシースに収めるか、持ち歩きを断念して書斎で使うかという運用をしていました。
そんな中、前から気になっていたナガサワ(NAGASAWA)のキップレザーロールペンケース。
こちらは5本差しや10本差しがあることと、“キップレザー”という、私としてはまだ持ったことのない革素材のため、太軸を複数持ち歩きたい欲に負けてポチリ。
10本となると大きくなるので、5本差しを購入しました。
気になるそのキップレザーの触り心地と運用をしてみて感じたこと、土屋鞄のトーンオイルヌメロールペンケースとの比較などを行っていきます。
それでは見ていきましょう。
【もっちりな手触り!キップレザーの魅力】
手に取ってみてまず驚いたのがレザーの柔らかさ。
牛革というと硬めのヌメ革をイメージするのですが、こちらは特殊加工によりしなやかソフトに仕上げてあります。
さらにオイルが染みこんだ肌理の細かい革質が使っていくうちに光沢を持ち、色合いも変化していくようですので育てるのも楽しみなペンケースと言えます。
買った時の状態でもツヤがありますが、指紋や手脂に揉まれてどう変化していくのか非常に楽しみな逸品。
それではデザイン的な部分を見ていきます。
特徴的な端が湾曲したデザインのペンケース。
これは神戸港のポートタワーをイメージしたデザインで、このキップレザーシリーズの特徴とも言えます。
反対側には「鍵」のマーク。
こちらはペンケースを巻くと内側に隠れます。
上部からペンを差し込むのですが、秀逸なのがこの切り込み。
ペンを出しやすくするだけでなく、めくることで中の生地もチラ見えするのでとてもお洒落。
柔らかい革だからこそできる機能とデザインの両立ではないでしょうか。
内側の生地は一見ピッグスエードにも見えますが、東レが開発した「エクセーヌ」というスエード調人造皮革。使われている超極細繊維のお陰で、触り心地、万年筆の出し入れも非常にスムーズです。
ペンケースの紐はだいたい3周巻き終わるくらいで留められるようになっています。
紐の先は丸く結んであるため最初は挟み込むのに苦労するかも知れません。
素材が柔らかいため紐留めの際、爪で傷つけないように注意です。
ペンケースを巻いたところ。
上部は開いているので、巻いてある状態でも何の万年筆が入っているか一目で確認できます。
しかしながらポケットには深さがあるため、鞄の中でも大切な万年筆の天冠を傷つけることはありません。
尻の部分を拡大してみると肉厚な革の貼り合わせであることが分かります。
キップレザー×エクセーヌが2セット、しっかりとした縫製で繋ぎ止められています。使われているボルドーの糸も艶やかなキップレザーと好相性。
いちいち格好良いです!
巻いた時のサイズ感は太めですが、縦が短いためちょうど良いサイズ感に収まっています。
本当にモチモチでいつまでも撫でていたくなりますね(笑)
【細~太軸の多種多様な軸に対応できるペンケース】
さて、続いて収納力についてみていきます。
私が現在入れているのはこの5本。
左からペリカンスーベレーンM800、ファーバーカステルイントゥイションアイボリーローラーボール、モンブランアーバンスピードローラーボール、パーカーデュオフォールドセンテニアル、ビスコンティファンゴッホマキシサイズ。
特にファーバーカステルのイントゥイションとビスコンティのマキシサイズは太めなのですが、すっぽりと収めることができました。
また、この写真にはないですがモンブランマイスターシュテュック#149も全てのポケットに対して収めることができています。
モンブランの149が入るということは、まず太軸は入ると考えて良さそうです。
※限定モデルなど特殊なデザインの万年筆は除く
単にポケットが広いというだけではなく、「キップレザー」と「エクセーヌ」という素材の組み合わせが伸縮性をもたらし、入るけどガバガバじゃない絶妙なフィット感を実現しているものと考えます。
中~太軸が難なく入る安定のペンケースですが、ご安心あれ。
細軸もしっかり入れることができます。
手元にある最も細い万年筆「クロスクラシックセンチュリー」を他の太軸万年筆と一緒に巻いたところ、逆さ向けても落ちることなくしっかりとホールドされました。
エクセーヌの起毛とグリップの良い紐が安心のホールド感をもたらしています。
ということで、このナガサワのキップレザーロールペンケースの守備範囲は細~太軸の万年筆にまで及ぶことが分かりました。
【キップレザーロールペンケースの3つの便利な使い方】
一般的にロールペンケースと言うと紐でクルクル巻いて持ち歩き、使う時は紐をほどいてペンを出して使うという利用シーンが浮かびますが、このキップレザーロールペンケースはそうした一般的な考え方を払拭してこそ真の魅力が見えてくると思うのです。
最初の項でも書いたとおり、キップレザーロールペンケースの紐は先端が丸いため、頻繁なペンの出し入れの際少々手こずる事があります。
そのようなこともあってか このロールペンケースは、ペンの出し入れについては「巻いたまま行う」のがベストな使い方だと思います。
(もともとそれが正しい使い方なのかも知れませんが…)
ここでもエクセーヌの良さが生きてくるのですが、巻いた状態で尻の部分を指で押します。
そうするとねっとりした手応えで万年筆が上部へ運ばれていくのが分かります。
そしておみくじのように頭から万年筆が顔を出すという訳です。
10本差しだと中に巻かれた万年筆に対してこの手は使えないかも知れませんが、5本差しだとこの方法で5本全ての万年筆にアクセスできます。
続いてはペンケースを立てて、ペン立ての要領で使う方法。
これは土屋鞄トーンオイルヌメロールペンケースでも良く使う方法なのですが、ペンケースを立てるとU字になる革のクセを生かした利用方法と言えます。
さらに画像ではやってないですがキップレザーロールペンケースの場合、スリットの入った上部を“めくる”ことでさらに見栄えも良く、ペンスタンドとしても使いやすくなるのです。
最後はロールペンケースではお馴染みの「ペントレー」として使う方法。
これは紐を解放した状態で行います。
ペンを入れたことでつくアタリ(膨らみ)を利用したペントレー。こうして机上に並べておくだけで使いたい時にさっと手に取ることができます。
3つの方法を試してきましたが、これだけ多様な形態に変化できるのはペンケース沼広しと言えどロールペンケースだけではないでしょうか。
【トーンオイルヌメロールペンケースとの比較】
最後は以前から使っていた土屋鞄のトーンオイルヌメロールペンケースとの比較です。
どっちもロールペンケースじゃないの?という声が聞こえてきそうですが、意外と違いは多いのです。
というか、同じロールペンケースですが、運用方法は180°違うと言って良いかもしれません。
それでは、まず巻いた時の比較からしていきましょう。
左がキップレザーロールペンケース(以下:キップレザー)、右がトーンオイルヌメロールペンケース(以下:トーンオイルヌメ)。
太軸を収納しているだけあってキップレザーの方が太いですが、縦の長さがトーンオイルヌメの4分の3くらいに収まっています。
こうして並べると革の風合いが全く違うのがお分かり頂けるかと思います。
尻の部分の肉厚の違い。
キップレザーは内側に革が織り込まれているのに対して、トーンオイルヌメは切りっぱなしになっています。
トーンオイルヌメの方は肉厚が薄めですが、これは使われる革によって個体差が若干あるため一概に革が薄いとは言えません。
紐の出所を比較します。
キップレザーは補強デザインされた部分から紐が伸びています。一方、トーンオイルヌメはハトメがあり紐の脱着ができるタイプ。
使っていて紐がちぎれるということはまず無いと思いますが、紐の付け替えや補強はハトメの方が便利が良さそうです。ちなみに紐の長さはどちらも同じ。
続いて紐の先の比較です。
キップレザーは丸く結んであるのみで、トーンオイルヌメは三角の差し込みがデザインされています。
これもトーンオイルヌメの方が使いやすいですが、先に書いたようにキップレザーは巻いた状態でペンの出し入れができる構造のためあまり気にすることは無さそうです。
最後は裏地の比較。
キップレザーはエクセーヌ、トーンオイルヌメはピッグスエードですが、見た感じほとんど区別がつきません。
裏地の持つ方向性が違うことからも、それぞれのロールペンケースに対してベストな裏地が使われていると言えます。最先端の素材で収納しやすく出しやすいキップレザー、上質な素材でペンを柔らかく保護するトーンオイルヌメ。
比較をまとめると、
キップレザーは、太軸5本収納でありながらコンパクト。かつ、上部からペンの抜き差しができるという機能的なデザイン。
トーンオイルヌメは細く手中に収まるサイズで細軸向き。紐の先の三角の差し込みデザインでペンの出し入れなど操作性も良好。
そしてどちらにも言えることが経年変化を楽しめるということ。
私にとってキップレザーの経年変化は未知ですが、色濃くツヤが増すという噂もありとても楽しみです。
さて、今回はナガサワ キップレザー ロールペンケースを様々な角度からレビュー・比較してきました。
忘年筆・新年筆とペンが増えていくことは避けられませんが、お気に入りの万年筆をスタイリッシュかつ安全に携帯するロールペンケースも一本あるととても便利です。
それでは今回はこの辺で。
今年も一年、よき筆記具に出会えますよう。最後までお読み頂きありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
私もまさに今「忘年筆・新年筆とペンが増えていくことは避けられません」状態ですw
質感やデザインは土屋鞄のものが圧倒的に好きなんですが、
いろんな方のレビューをみるとやはり太軸には厳しそうでナガサワさんのものを購入することにしました。
オンライン限定色のオールブラック5本差しが在庫切れだったので問い合わせてみたところ今後入荷するまでお待ちくださいとのことでした。
土屋鞄がもう少しペン同士の干渉が気にならないくらい一本一本幅が広かったら完璧だったんですが。。
あとはサッと取り出す実用面でもナガサワさんの方に軍配が上がりそうですね。
帯に短し襷に長しって感じでペンケース選びも難しいですね。
Aさん
コメントありがとうございます。
シーズン的に、今年も忘年筆・新年筆という言葉がちらほら見られるようになってきましたね。
温めてきた懐を開放する機会になるか、さらに懐が寒くなるか…。笑
ナガサワさんのキップレザーペンケース良いですよね。
上からスッと抜き出せるのは「今書きたい」を叶えるという意味でも理にかなっています。
オールブラック、はやく販売再開されると良いですね。
世に出ている筆記具の数とバリエーションに対して、ペンケースについてはまだまだ開拓の余地があると考えています。
究極を言うと、「自分が気に入るペンケースは自分でしか作れない」と思っています。
ということで、ペンケースの最終的な境地はセミオーダーやフルオーダーという事になるのかもしれません。
(どこかのメーカーさん、私が考えているペンケースを作っていただけないでしょうか…?笑)
一本一本の万年筆を独立させて持ち運ぶ(保管する)という用途では、&Liebe(アンドリーベ)さんのペンケースも人気が出てきています。
我々としては選択肢が増える分、Aさんのようにペンケースの特性や使いたい機能をしっかりと理解したうえで選ぶ必要があるのだと思います。
また、お勧めのペンケース情報がありましたらコメントを頂ければ幸いです。
返信いただきありがとうございます。
&Liebeさんのももちろんチェックさせていただいておりますw
万年筆好きの方はフルオーダーされている方もちょくちょくみかけますが、値段を聞くとなかなかの額でそれならもう一本良い万年筆を買った方がいいかなぁと。
自分の中のよくわからない美学で革製品はできるだけ革と糸のみでシンプルに仕上げて欲しいというものがあって、チャックや金具は極力無くして欲しい。。
求める保護性能も加味してとなると市販のものではどんどん選択肢が少なくなってきます。
「ここに糸使ったらペンに当たってしまう」とか「ペンを差し込むところの裏地がいまいち」とか考え出すとキリがないですね。
5本程度は入れたいしロールペンケースのロマンも感じたいし。。
悩ましいですが、まずは目移りせずにナガサワさんの入荷メールを待ちたいと思います。
ありがとうございました!