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バランスのとれた名品!セーラー プロフィット21 銀 万年筆レビュー

2024年1月23日

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みなさんこんにちは。

 

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、当ブログも100記事を超えたため最近カテゴリーの整理を行いました。

いつも読んでいただいている皆様、本当にありがとうございます!

 

今まで目当ての記事が探しにくくてご迷惑をおかけしていましたが、少しはマシになったかと思います。

 

そのカテゴリー整理の際気付いたことがあって、記事がモンブランに偏りすぎているなー、と。

一番好きなメーカーですので仕方ないと言えばそれまでなのですが、今年の初めに日本製万年筆の記事を充実させたい!と自らのたまっていたわりに、日本製万年筆の記事が合計10ほどしかない状態

 

 

ということで、今回は久しぶりに日本製万年筆の記事です。

思い返すと、日本製万年筆と言えばパイロットのシルバーン以来手にしていなかったのですが、今回は縁があり気になっていた「セーラー プロフィット21 銀」を入手しましたのでレポートします。

 

なぜプロフィット21が気になっていたのかというと、万年筆を買い始めた最初の方に出会った字幅H-Fのプロフィットスタンダード×セーラーナノインクの書き味が気に入っていたから。

 

ペン先に適度な弾力(柔らかすぎず硬すぎず)があり、トメ・ハネ・はらいがしやすい印象なのがセーラーの万年筆。

見た目こそベーシックな万年筆ですが、万年筆とはこういうものだよとお手本を見せられているような非常にバランスの取れた1本です。

 

それでは、すでに手元にあったプロフィットスタンダードとプロフィット21を比較しながら見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

初心者だからプロフィット21なのではなく、玄人だからプロフィット21

セーラーやパイロット等の日本製万年筆は万年筆初心者向けとして紹介されていることが多いです。

これだけリーズナブルな価格で且つクセが無く書きやすいのですからそれはそうなのかも知れません。

 

今まで様々な海外製万年筆で書いてきて、私が感じることはモンブランやペリカンやパーカーでしこたま書いてきたという方にこそ触って頂きたいのが日本製万年筆だということ。

 

万年筆初心者に「万年筆とはこんなに書きやすく面白いんだ」ということを知ってもらうこと以上に、万年筆慣れしたユーザーに、「やはり万年筆は素晴らしい筆記具だ」ということを再認識させてくれるのが日本製万年筆だと思うのです。

 

 

まずプロフィット21を使ってみて気付くのが、全てにおいてバランスが取れているということ。

ペンの長さ、重量からくる取り回しのし易さ、21金ペン先のしなやかな書き心地。

 

携帯時の重量が約24gでキャップ(8g)を除いた筆記時の重量が16g。

例えば同サイズのモンブラン#146が重量約29g、キャップ(9g)を除いた重量が20gですので、かなり軽量で21金の軽い書き心地を生かした万年筆になっていることが分かります。

 

 

本体のちょうど良い重量は、モンブラン#146のような金属のピストン機構を必要としないカートリッジ/コンバーター両用式+肉厚の樹脂軸というスペックからきていると感じます。

※ちなみにセーラーから出ているモンブランと同じ吸入式のプロフィットレアロは重量が約21gと、万年筆としてはさらに軽い仕様。

 

 

そしてセーラープロフィット21と言えば、その名の通り21金の大型ペン先。

基本的にペン先の金の含有量が増えるほど書き心地が柔らかになる?と言われていますが、書き心地が柔らかいかどうかはペン先の形や切り割りの長さにもよりますので、一概に21金だからふわふわで柔らかいと言うわけではなさそうです。

 

プロフィット21は「ふわふわで柔らかい」というよりは、「弾力がありしなやか」という印象を受けます。字幅が「H-M」なので同じMでも硬めなのかもしれませんが。

ただ、プロフィットスタンダード(H-F)のときと同じく、しなりが効くためトメ・ハネ・はらいがしやすいのです。

 

 

今回のプロフィット21H-Mのバイカラー。

中字なのでもう少し字が太く出るかなと思いましたが、インクフローが調整されているのかパイロットの中字ようにインクがドバドバ出てくる感じはしません。

 

 

それにしても美しい彫刻のバイカラーニブ。現在のプロフィット21のラインナップからはバイカラーニブは外れていますので、バイカラーを求める場合はプロフェッショナルギアの方になります。

さらに大型のニブであるKOPモデルやキングプロフィットも気になるところですね。

 

ペン先の刻印は「1911 21K 875 Sailor」。こちらはモンブランと同じような刻印レイアウトとなっていますね。それにしても「21k」が誇らしげに見えます。

写真では見づらいですが、ニブに向かって左側面に字幅の表記があります。

 

 

 

プロフィットスタンダードとプロフィット21の違い

続いてプロフィット21とプロフィットスタンダードのサイズやデザインの違いを見ていきます。

私がそうだったように、この2本はデザインが似ていてぱっと見は見分けがつにくいです。

 

 

左がプロフィット21、右がプロフィットスタンダード。

まずサイズからですが、2本を並べるとこのような体格差。どちらも黒樹脂にシルバートリムですのでまるで兄弟のようですね。

 

 

尻軸もサイズは違えどデザインは同じ。プロフェッショナルギアとは正反対の丸みのあるクラシックなデザインです。

密かにリングには段差があり、デザイン上のアクセントとなっていると同時に高級感も感じることができます

 

 

キャップリングの刻印やリングがダブルという仕様も同じ。

刻印は「SAILOR JAPAN FOUNDED 1911」。

キャップはネジ式で、キャップの閉め終わりあたりに手応えがありインナーキャップと胴軸の密閉感が味わえます。この辺の造りが日本製らしく丁寧。

 

 

クリップの比較です。

クリップのデザインが違いますが、これは右のプロフィットスタンダードがモデルチェンジ前のもののため。

個人的にはクリップにラインの入った現行モデルのクリップ()の方がメリハリがあって好みです。

 

 

ペン先の比較。

プロフィット2121金ペン先で、スタンダードが14金となっています。

現在のプロフィット21銀はバイカラーではなく銀一色のニブです。いやしかしどちらも美しいですね!

 

少しややこしいのですが、右のプロフィットスタンダードについては14金ペン先の「スタンダード」と21金ペン先の「スタンダード21」というのがあります。ひと言でいうとサイズは同じでペン先だけが違うモデルですね。

「スタンダード21」と「プロフィット21」の違いは最初に比較したサイズ・重量の違いです。

これは本当にややこしい(と個人的に思う)のでネットで買う場合などは注意が必要です。

 

プロフィット21とスタンダードを比較したついでに、H-MH-Fの書き味の違いも比べておきましょう。

 

 

上がプロフィット21×ナノインク青墨で書いた文字で、下がスタンダード×ナノインク青墨で書いた文字。

同じ青墨で書いたとは思えないほどインクの色合いに幅があります。

 

厳密に言うと、21金の中字と14金の細字ですのでペン先の柔らかさとインクの供給量からこれだけの違いになるのかも知れません。

H-」はハード(Hard)Hのため「硬め」ということになります。この硬めの調整がペン先のフィードバックに影響していて、セーラー独自のしなやかさを生んでいるのです。

 

 

 

同クラスの万年筆と比較

それでは、手元にたくさんある()他の同クラス万年筆と比較をしていきましょう。

 

 

左から、ペリカンスーベレーンM800、モンブランマイスターシュテュック#146、セーラープロフィット21銀、パーカーデュオフォールドセンテニアル、パイロットカスタム74

※同クラスだとカスタム742になるのかもしれませんが、全長が近いのでカスタム74で比較。

 

 

キャップを外して首軸~ペン先の比較です。

パイロット以外はバイカラーが並びます。美しきバイカラーニブ達。

※ニブサイズでいうとこの並びにはカスタム742の方が合うのかも知れません。

 

この5本は見事に首軸のネジ切りの位置が違いますね。そしてセーラー、パーカー、パイロットは首軸の金属リングが良いアクセントとなっています。

プロフィット21は首軸が細めで胴軸が太めの樽型ため、握った感じも指にフィットして非常に握りやすいです。

 

 

5本の万年筆の書き比べです。

それぞれの万年筆にはメーカー純正のブルーブラック系インクを入れています。

 

・セーラープロフィット21×セーラーナノインク青墨

・モンブランマイスターシュテュック#146×モンブランミッドナイトブルー

・ペリカンスーベレーンM800×ペリカンブルーブラック

・パーカーデュオフォールドセンテニアル×パーカーブルーブラック

・パイロットカスタム74×パイロット色彩雫「深海」

 

それぞれの字幅は画像にある通りですが、モンブラン#146はFでも細め、セーラーとパイロットは中字()ですが海外メーカーの細字()と同じような字幅だということが分かります。

 

インクの色はメーカーの個性が出ている感じで、一番黒に近いのがモンブランのミッドナイトブルー。

セーラーやパーカーは少し青みが強いことが分かります。

ペリカンとパイロット(深海)はグレーが混ざったような枯れた色合い。

 

どれも素晴らしい色です!

この中ではセーラーの青墨のみが顔料インクで耐水性あり。

 

 

 

ついでにほぼ同サイズの日本製万年筆で並べてみました。

左から、プラチナ#3776センチュリー、セーラープロフィット21銀、パイロットカスタム74

この3本も大きさは同クラス。

 

デザインはどれも日本製らしく真面目なデザイン、というと語弊があるかも知れませんが、クラシック且つスタンダードなデザインで、素直に「万年筆を扱っている」という気持ちになれます。

 

さて、万年筆の大きさ比較はここまでにして、次は日本製万年筆の中字を比較していきましょう。

 

 

 

セーラー・パイロット・プラチナの中字の書き心地を比較

今回プロフィット21の中字を手にしたことで、奇しくも手元にセーラー・パイロット・プラチナの中字が揃いましたのでその書き味を比較していきたいと思います。

 

※書き味といっても感じ方は人それぞれですのであくまで参考程度にお付き合いください。

 

 

各社の中字万年筆は、左からセーラープロフィット21銀、パイロットシルバーントク、プラチナ出雲空溜。

出雲だけ異様にデカいですがニブのサイズは同じです。

 

 

 

まずはペン先の比較から。

プロフィット2121金のバイカラーニブ。ニブの見た目の特徴として、先細りで側面までしっかり曲げてあえり厚みのある形状をしています。

 

シルバーンは18金のお馴染み首軸一体型差し込み型ニブ。この流線系デザインが美しい。

 

出雲空溜は18金のバイカラープレジデントニブ。プラチナ万年筆のペン先の特徴として、ニブが非常に平べったい形状をしていて筆記時に独特なしなりがあることです。

 

 

 

3本の中字を書き比べてみました。

上からプロフィット21銀、シルバーン、出雲空溜です。

 

それぞれペン先を、立てた状態、寝かせた状態、裏向けた状態の3パターンで「春夏秋冬」と書いてみました。中字ですので立てると細めに、寝かせると太く書けることが分かります。

 

ペン先の裏向き筆記ですがニブに負担がかかる書き方ですのでお勧めはしません。今回は比較のためということで。それにしても裏向けると極細字並みに書けますね。

 

出雲空溜には軸とのマッチングでパイロットの色彩雫「松露」を入れてあります。本来、純正のブルーブラック系インクで比較するのが好ましいのですが、プラチナのブルーブラックが手元に無いのですいません…。

 

▲左からプロフィット21、シルバーン、出雲空溜。

 

実際に筆記して比べてみたなかで気付いたことは、若干ですがこの3本ではプロフィット21の筆記感が柔らかめということです。

それもあってか、ペン先を立てた状態と寝かせた状態の文字の太さの差が一番あるよう思います。

この中ではトメ・ハネ・はらいもセーラーが一番しやすいかなと。

 

誰にでもペン先のコントロールがしやすいのがセーラーかと思います。

ハイと万年筆を渡されたとしても、いつでもいつも通りの文字が書ける感じと言いましょうか。本当にクセが無い書き味です。

 

 

パイロットは切り割りの長さが一番長いからか筆圧の影響を受けやすいです。

慣れてくると緩急が付けやすく動きのある文字が書きやすいように感じました。※この1枚の比較紙ではそれが出ていないですが…汗

長く使い続けることで自在な文字表現が可能になる相棒気質な万年筆かと。

 

プラチナはこの中では一番硬い書き味に感じました。

それが安定して同じ字幅の文字を書き続けることができる要因だと考えます。

 

 

さて、様々な角度からセーラープロフィット21銀の万年筆を見てきました。

最後の比較が全てかなと思いますが、とにかくクセのない書きやすさ!それがセーラー万年筆の強みではないかと思います。

 

デザイン、重量、全長、そして筆記感全てが誰にでも扱いやすいようにできているなと感じました。

普段、海外製万年筆を使っている方にも、この安定した日本語の書きやすさは試して頂きたいなと思います。

きっと新たな発見があるはず。

 

今回の比較が少しでも日本製万年筆を考えておられる方の参考になればと思います。

長い記事になりましたが最後までお付き合い頂きありがとうございました。

それではまた。

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