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廉価版ペリカン「シルベクサ」の底力!【PELIKAN 21 SILVEXA レビュー】

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皆さんこんばんは。
 

今回のレポートは皆さんも大好きなペリカンの万年筆。
これは最近買ったものではなく約2年ほど前に入手し、検証のため長期保管しておいたもの。
 

いやー、ペリカンの万年筆は本当に良くできていて、私のようなずぼらな性格(と言うと語弊はありますが…)の人間にはピッタリな万年筆だと思うのです。
 

そもそも長期保管の検証に至った経緯として、ペリカン スーベレーンM400のインクフローの保ちが素晴らしかったことがあり、同じペリカンの廉価モデルではどうなのかを調べたくなったから。
 

 
という事で、今回レポートしていくのは1970年代ペリカンの廉価モデルである
「PELIKAN 21 SILVEXA」
 

 
結論から書くと、廉価モデルでも造りに抜かりが無く、安心して使えるのがペリカンの万年筆だということを再認識させられた、という結果。
約1年半以上眠らせておいたシルベクサですが、書き始めからスルスルとインクを吐き出してくれて、まるで時間を感じさせない使用感。
※保管中はキャップ側を下にして保管
※インクはペリカンの純正ブルーブラック
 

驚くべきはネジ式キャップではなく嵌合式キャップでありながらこの密閉感だということ。
 

個人的に万年筆において嵌合式キャップの密閉感に疑問を呈する派ですが、1年半放置後も普通に使えるとなると納得して唸らざるを得ません。
(多分2年超えでも普通に使えると思います)
 

 
▲左から、モンブラン モンテローザ、ペリカン シルベクサ、モンブラン ジュニア。
 

モンブランのモンテローザやジュニアにどハマりしているときに、同じ年代のペリカンを…と思い入手したシルベクサでしたが、デザイン的に素っ気ない印象もありモンブランの陰に隠れていました。
 

改めて見直すと、このドイツ組の同年代でもコンパクトなサイズで14金ペン先、見やすいインク窓、吸入式、デザインは70年代の筆記具に多く取り入れられていたヘアライン加工等、決して文字通りの廉価モデルではないことに気付きます。
 

 
▲左から、LAMY 226(ボールペン)、ペリカン シルベクサ(万年筆)、モンブラン turbo(ボールペン)
 

1970年代の筆記具にはメーカーを問わずヘアライン加工のものが多く発売されていたようです。
ヘアライン加工は金属のソリッドな美しさを十二分に発揮できる加工であると共に、マットな見た目からは高級感も漂います。
 

 
ヘアライン加工はブラックの樹脂とのデザイン的な相性も抜群で、自然光に映える筆記具とも言えるでしょう。
一方、点状の腐食や小傷が目立つ加工とも言え、保管や使用に気を遣わないといけない反面も持ち合わせています。(デザイン上、表面をヤスリ等で研磨調整できないのが残念な部分でもあります)
 

 
ペリカンのM400シリーズとサイズを比較。
同じ1970年代のモンブランよりコンパクトでしたが、スーベレーンM400シリーズと並べると長身となります。
 

スーベレーンのようなゴージャスな感じはなく、スリムでシンプルなデザイン。
デザインのコンセプトは全く対極ですが、それでも14金ペン先や吸入式という共通点はあります。
 

 
シルベクサのペン先は首軸一体型となり、ニブのデザインも随分とシンプルです。
同じ14金ペン先ですが、シルベクサのニブは刻印が「585 14C」のみで、ハート穴も無し。
複雑な刻印を施すほどのスペースもない、小さなペン先。
 

 
正面から見ると五角形となるニブはシルベクサのアイデンティティと言えるでしょう。
ペン芯の素材は見た目や質感からエボナイトと思われます。(もし間違っていたらすいません…)
 

このペン先で吸入式。
本当に面白い万年筆です。
 

 
横から見ると特徴的なペン先をしていることに気付きます。
ペン芯は一部だけが露出、おそらく首軸の中にあと5分の3ほどのニブが埋まっていると考えて、ペン芯側をカバーするように首軸が配置されています。
 

筆記に伴って発生したペン先を下から上に押す力は、この首軸の形状と金ペンの柔らかさでうまい具合いに逃がされ、結果、滑らかな筆記感を生んでいるものと考えます。
 

 
濃いブルーのインクビューはインクの残量を確認するには十分。
キャップがインクビューのところまで来ることを思うと、ニブが小さい分だけ首軸も長くなり、結果キャップの奥までペン先が差し込まれるため、インクの乾きが抑制されるとも考えられるのではないでしょうか。
 

 
キャップを見ていくとしましょう。
左がスーベレーンM400のキャップで、右がシルベクサのキャップ。
 

トレードマークのペリカンクリップはシンプルでアイコニックな形状になり、モダンな雰囲気。
スーベレーンと比べても長めのキャップだということが覗えます。
 

キャップの内部には白いインナーキャップが収められ、端に行くほど細くなるキャップ形状は、なるべくペン先周りに空間が空かないよう 考えられた設計となってるように思います。
 

 
ヘアラインのキャップに刻印されるのは「PELIKAN 21 SILVEXA + GERMANY +」。
シルベクサには、このキャップが金属で胴軸が樹脂のモデルの他、胴軸も金属製で全ヘアライン加工のものも見られます。
またインク装填についても、こちらの吸入式モデルとカートリッジ/コンバーター両用式のものもあり、入手時は慎重に見定める必要があります。
(吸入式もカートリッジ式も同じように青いインク窓がある)
 

 
個人的に気に入っている部分として、天冠のペリカンマークが挙げられます。
時代を感じる「2羽のヒナ」で、金属リングの中に透明の樹脂製メダルが嵌め込まれています。
 

これはこれで非常に格好良いと思いますがいかがでしょうか?
 

シルベクサのスペックですが、
 

全長(携帯時):132mm
全長(筆記時キャップ無し):125mm
全長(筆記時キャップあり):143mm
 

重量(携帯時):17g
キャップ無し:9g
キャップのみの重量:8g
 

となり、かなり軽くてコンパクトな万年筆です。
 

 
キャップを抜くと相当軽い万年筆かつタッチも柔らかですので、ペン先が走ってしまうことを抑制する意味でもキャップはポストして使うのがベスト。
キャップと胴軸の重量はほぼ同じなため、金属キャップでもリアヘビーになることなく、筆記は快適です。
 

 
インクはペリカンのブルーブラック。
やはりペリカン軸にはペリカンのインクが良く合います。
というか、ペリカンのインクは色合いや濃度が自分好みのため、ついつい色んな軸に入れてしまいますね。
 

 

さて、今回は1年半寝かせた「ペリカン 21 シルベクサ(PELIKAN 21 SILVEXA)」をレポートしました。
ペリカンにおいてのフラッグシップモデルは間違いなくスーベレーンシリーズですが、1970年代とはいえ、こんなに素晴らしい廉価モデルがあったのかと感心する出来です。
 

 
もう一度おさらいすると、132mmのコンパクトな全長にヘアラインのキャップ。
長期間使わずともすんなり書き始められる、密閉感の良い嵌合式の軸に、14金の小さなペン先に吸入式が乗っかっている。
 

もう、このスペックを聞くだけで使いやすさと万年筆としての面白さが全部入っていることがピンとくる、お手本の廉価モデル。
たまに中古市場にも出てきますので、気兼ねなく使えてスペックがいい万年筆をお探しの方はぜひチェックしてみて下さい。
 

それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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