これぞ大人の筆記具!ファーバーカステル 伯爵コレクション クラシック ペルナンブコとギロシェのペンシル比較
皆さんこんにちは。
かなり前にファーバーカステル伯爵コレクションのメカニカルペンシル「ギロシェ」を手に入れてから、すっかり伯爵コレクションペンシルの虜なのですが、今回、憧れの木軸であるクラシックシリーズのペルナンブコを入手しましたのでギロシェと比較レビューしていきたいと思います。
▲一番右が伯爵コレクション クラシック ペルナンブコ ペンシル。
まさにキングオブメカニカルペンシルと呼ぶにふさわしい存在感。ファーバーカステルの茶色い木軸の筆記具は同じくブラウンレザーのペンケースによく似合います。
これからギロシェとの比較を中心にレポートしていくのですが、単にレジンの軸か木軸かという違いに止まらず、様々な違いがあるようです。それでは見ていきましょう。
伯爵コレクションペルナンブコの外観とスペック
まずは伯爵コレクション ペルナンブコペンシル単体から。
伯爵コレクションの中でも「クラシック」と呼ばれる木軸の筆記具は、伝統的な佇まいをしています。
この中世の槍のようなフォルムがとにかく美しい。極限までシェイプされた口金は筆記時の視認性もよく、クラシカルな天冠・クリップと合わせて伯爵コレクションのシルエットを形作っています。
それにしても、輝くプラチナコーティングのトリムに伝統を感じるペルナンブコの茶色い木軸がなんともマッチしているではありませんか。
レトロな造形が好きな方やガジェット好きにはこのクリップ周りのフォルムが堪らないのではないでしょうか。小さなペンシルでありながらこの密度感。
実際に手に持ってみてもずしりと重く、重量は約37gあります。これは単に重いペンシルなのではなく、伝統と格式の重さでもありますね。
芯は天冠を回転させてノックする方式。
ノック感は適度な重みで、約1mmずつ芯が繰り出されます。芯を収める時は天冠を回転させた状態で止め、指か机で芯を押して収納します。
ペルナンブコを使ってみて一番感心したのが軸の加工です。クラシックシリーズは伝統的なリブパターンが施されているのですが、軸をよく見るとリブパターンはペルナンブコの繊維と垂直になるように加工されています。
見た目が美しくなるだけで無く、こうすることで軸の強度も増すのではないかと考えます。
装填できる芯は0.7mm。海外メーカーでは一般的な太さですが、国内では0.3mmや0.5mmが主流のため少し太めに感じるかもしれません。
0.7mmのメリットとしては太い線も細い線も書けるということ、つまり日本語のとめ・はね・はらいも美しく書くことができるということでしょう。
クラシックとギロシェのデザインや使用感の違い
ここからは2本のファーバーカステル伯爵コレクションを比較していきます。
私が使用する筆記具の中でギロシェはかなり古株になるのですが、今回ペルナンブコを手に入れて初めて気付く相違点や改めて関心するギロシェのデザインがあります。
ぱっと見でペルナンブコとギロシェの違いとして認識されているのが、
①天冠のデザイン
②クリップ周りのデザイン
③軸の素材の違い
ではないかと思います。
まずはこの3点から見ていきましょう。
①天冠のデザイン
改めて天冠のデザインを比較します。シングルのローレットはプラチナコーティングの証。このローレットがダブルだとスターリングシルバーということになります。ギロシェはロジウムコーティング。
天冠の刻印もクラシックはファーバーカステルの紋章と社名ロゴ、ギロシェは大きめの紋章のみ。
ちなみにこちらは旧タイプで現行モデルは紋章のデザインが変わっています。
ペンシルの場合、天冠はイレーサーキャップを兼ねていて、外すとどちらも同じ規格のイレーサーとなっており無くなれば交換することができます。
ただこの消しゴム一つとってもかなり高価なので私はおいそれと使う気にはなれません(笑) このノックユニットもクラシックとギロシェで若干の違いが見られますね。
②クリップ周りのデザイン
続いてクリップ周りです。ペルナンブコはクラシックというだけあってクリップリングがクラシカルな印象を引き立てています。ギロシェは軸の素材からクリップが出ているデザイン。
実はこれ、製造過程においてはギロシェの方が手間がかかるのではないかと思うのです。軸の樹脂を寸分狂わずクリップの形にくり抜く必要があるわけですので、そういう意味でもエントリーモデルながらなかなかに優れたデザインです。
また、2本を並べてみて初めて気づくのが、クリップパーツの処理の違い。
形が同じということもあり同じパーツを使っているのかと思いきや、実はエッジの処理がクラシックは角が丸く滑らか、ギロシェは角張っているという違いが…。このあたりもクラシックとギロシェそれぞれの「デザインに対する拘り」が感じられます。
③軸の素材の違い
最後は軸素材の違い。これは見たとおりなのですが、クラシックが木軸でギロシェがレジン。
やはり木軸は握っていて安らぎを感じますね。縦に走るリブパターンが握りやすさに一役買っていて、かつ握りやすいだけでなく非常に硬質なのが触り心地からも分かってきます。
ギロシェが経年変化を感じないのかというとそうではありません。ギロシェのレジンも長年の使用により指の指紋でレジンの表面が削られるのか、手元にあるものは艶が出てきています。こういう見た目の変化は愛用していて嬉しくなる部分ですね!
さて、ここまでの見た目の違いは一般的に認識されている部分かと思うのですが、2本を並べてみて初めて気付いた事がありました。
それは、ペンの全長がクラシックの方が長いということ!
見た目がほぼ同じコレクションのため全長も同じかと思いきや、クラシックの方が約3mm長いのです!
たかが3mmされど3mmで、持ち比べてみるとその差が体感できます。口金のパーツと天冠のパーツの長さは同じですので、軸の長さが純粋にクラシックの方が長いということになります。
いやー、これは知りませんでした。
使用感については好みが分かれるところで、クラシックは軸内やペンシルユニットに真鍮が使用されていて、先にも触れた通り結構な重みを感じます。重量は37gとペンシルとしても重い部類。
この重さで使う人によっては合う合わないがありそうです。ただ重い分高級感が増していて好きな人が持つと手放せない逸品なのです。
一方、ギロシェは26gで高級筆記具ではよく目にする数値で一般的な重さと言えます。書いた時のバランスはギロシェの方が良いですね。
実は中身が全く違う2本のコレクション
見た目も違えど、中身も違う。ということで今度は中のペンシルユニットを見ていきましょう。
口金を回して中のペンシルユニットを取り出します。クラシックは口金の部分が全て外れるのに対して、ギロシェは口金のリングを軸に残します。ユニット自体の素材にも違いが見られますね。
さらに口金とペンシルユニットを分離することもできます。
クラシックは金属製のペンシルユニットでギロシェは樹脂製のペンシルユニット。芯はどちらも0.7mmで5本まで収納可能と記載されています。
口金には品番が刻印されていて、クラシックが「020704」、ギロシェが「021014」。外見では互換性があるように見える口金もまったく別物のパーツということが分かります。
ペンシルユニットのキャップにも違いがあり、クラシックが真鍮製、ギロシェが樹脂製。クラシックはこのようなペンシルユニットのキャップに至るまで金属で非常に凝った造りをしています。
軸側の中身はクラシックが真鍮製、ギロシェがニッケル製?となっています。2本の重量の違いもこの辺りからきていそうです。クラシックの木軸は厚みとしては薄いので軸割れに気をつけなければなりません。
このように似ている2本の伯爵コレクションですが、実際はデザイン・内部機構共に異なった造りをしていることが分かります。これについてどちらがいいということではなく、クラシックペルナンブコは素材・デザインが拘り抜かれたまさにパーフェクトなメカニカルペンシル。
ギロシェは高級感を与えつつ取り回しのしやすさも重視したバランスモデル。
どちらもファーバーカステルの筆記具に対する情熱を感じる素晴らしいペンシルだということがお分かり頂けるかと思います。
おまけ比較とまとめ
それでは最後に、かなり久しぶりとなりました筆記具×その他のおまけ比較を。
ペルナンブコの木肌やリブパターンの処理に既視感を感じた方もおられることでしょう。私もそうなのですが、どこかで見たなーと思ったら、アレに似ているではありませんか。
アレというのはコレで、その名もカルパス。
ようするに細いサラミであり、皆大好きな定番おつまみです。
連結したミニカルパス×2とペルナンブコを並べて比較してみます。もう少し色が濃くてシワのあるカルパスを選ぶべきでしたが…、実際並べてみると似ているような似ていないような。いや、確かに感じた既視感は間違いなくコレなのです…!
なんとなく色艶は似ているのではないでしょうか。ペルナンブコは愛用していくうちに深い色合いへの変化と表面のツヤが増してきます。カルパスはスパイスの効いた加工肉で生まれ(製造)ながらにツヤがあります。
綺麗に並べたカルパスを見ながら、ペルナンブコの経年変化に思いを馳せるのでした。
※このあとカルパスは子供達がおいしく頂きました
さて、ついに手に入れた伯爵コレクション クラシックのペルナンブコ ペンシル。噂に違わずまさに一生モノのメカニカルペンシルとなりそうです。まさに大人のための筆記具!
ぶっちゃけるとペルナンブコを手に入れたらギロシェを手放そうかと考えていました。
しかし、ペルナンブコとギロシェではどちらが高級で…という捉え方は無粋で、色々比較してみて気付いた事はそれぞれに良さがありそれぞれのコレクションにおいて最高の完成度を目指して造られているということです。
あえて「買うならどっちが良いのか」という永遠のテーマを挙げるとしたら、所有満足感が高い一生モノのペンシルが欲しいなら間違いなくペルナンブコ。メカニカルペンシルとしての書きやすさやバランスを選ぶならギロシェかなと思います。
ただ、どちらを買ってもその筆記具としての完成度に後悔はしないと思います(手に合う・合わないは別として)。クラシカルな趣が好きな方であれば一度手にされることをお勧めします。
それではまた。
ディスカッション
コメント一覧
こんにちは、コメント失礼します。
今年の最初の方にファーバーカステルの「ギロシェ シェヴロン」の万年筆を買って使用していたのですが、この記事のものとクリップの形状が異なっており、これはもしや…?と思っていました。
更に最近同モデルのボールペンも入手して、改めてこの記事を参考に比較すると、やはりクリップの形状がギロシェシリーズよりも伯爵コレクションのものの方に似ているのです。もしかしたらエラー品か、初期型は伯爵コレクションのものと部品が共通だった可能性もあります。他にもネットで画像を漁ってみたのですが、確認できる限りこのような個体はありませんでした。(確認がザルだったかもしれませんが)
めっちゃ細かいことで申し訳ないのですが、ファーバーカステルの考察の材料になれば幸いです。
KT-Dさん
コメントありがとうございます。
ファーバーカステルのギロシェについて、情報ありがとうございます!
お手持ちのギロシェ(万年筆)、クリップ形状が伯爵コレクションに近いとのことで、興味深く読ませて頂きました。
クリップの形状ですが、ギロシェを含め伯爵コレクション初期モデルの特徴として「エッジが丸い」傾向にあるようです。
KT-Dさんの万年筆も丸形のクリップではないでしょうか?
ギロシェというよりは伯爵コレクション(クラシックコレクション)を見てきてとなりますが、確かにメーカーからするとギロシェとクラシックでデザインの似たクリップの製造を明確に分ける必要はないのかもしれません。
ということで、初期型においてクリップが共通していたという考えはあながち間違いではなく、それぞれの特徴から見ても同一パーツの可能性は高いです。
様々なバリエーションがある中で、今回の情報提供も考察するうえで貴重な材料となります。
今後もこうした情報をコメント頂ければ幸いです。