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筆記具のメンテナンス方法あれこれ

2024年9月23日

こんにちは。
皆さんは普段、筆記具のお手入れはどのようにされていますか。
 
万年筆やボールペンやメカニカルペンシルなど、筆記具は使うこと前提ですが、毎日使っていてもなかなか本腰を入れてメンテナンスすることは多くないのではないでしょうか。
 
個人的には人がケータイやパソコンの次に一日によく使う道具が筆記具だと思っています。(もちろん業種によって違いますが…)
ケータイやパソコンも使用後は一度電源を落として休ませるのがいいのですが、筆記具はどうでしょう。
 

 

 
一般的にはめがね拭きなどのクリーニングクロスで軸を拭くメンテナンス方法がありますが、それ以外にも様々な場面に合わせたメンテナンス方法があります。
毎日使う自分の道具だからこそ、また、道具を長く使い続けるために良い状態に保ちたいもの。
 
そこで今回は普段あまり意識することのないであろう、筆記具のメンテナンスについてレポートしていきます。
一般的なクリーニングクロスを使ったクリーニングから歯磨き粉を使ったクリーニングまで、私が行っている方法でご紹介していきます。
 

 

 

 

クロスでのクリーニング

まずはもっともポピュラーなクリーニング方法から。
 
クロスといっても色々ありますが、おすすめはメガネ拭きです。筆記具の軸は樹脂やラッカー塗装された金属軸がメインですので、なるべく柔らかい布で拭きたいところ。
 
ティッシュなどで拭く場合もありますが、こちらもなるべく高級な柔らかいティッシュで。
また、布が柔らかい固い限らずにゴシゴシと拭くと必ず軸の表面に小傷ができてしまうので、あくまでソフトなタッチで拭いてあげましょう。
 

 
日常使用している道具ですので傷は必ずついてしまいます。
あまり神経質になる必要はないのですが、メンテナンスで傷を付けてしまっては元も子もありませんのでやさしく、やさしく。
 

 
ほら、この通り綺麗になりましたね!
 

 

ブロアー・ブラシでのクリーニング

クロスで拭くほど汚れていない時や、毎日のちょっとした筆記具への労いで使いたいのがブロアーやブラシです。
 
では、ブロアーはどのようなものを使うのがいいのでしょう?
パソコンキーボード用のガスが入ったブロアーもありますが、ここはエコかつ使用音が小さいカメラ用品のブロアーがおすすめです。
 

 
こちらはカメラ用品店で売られている安価なブロアーで、ブロアーとブラシがセットになっています。
カメラのメンテナンスやフィルムのホコリ飛ばしに最適。
筆記具も、樹脂製万年筆などは軸の表面には静電気によるホコリがつきやすいです。
 

 
表面についたホコリをブロアーでシュコシュコと飛ばしていきます。一日の終わりの軽いメンテナンスはクロスとブロアーで仕上げるのが簡単かつ効果的。
 

 
ブラシで凹凸のあるデザインの溝やクリップ裏の掃除をしていきます。
筆記具はいくつかのパーツで構成されているため、クリップ裏や胴軸とキャップの境目などホコリがつきやすい箇所が意外と多いのです。
 
ブラシは特に筆記具のデザインで入り組んだ箇所などのホコリ取りに最適です。特にクリップ裏にはホコリが溜まりやすいので、ブラシでこちょこちょしてあげましょう!
 

 

特殊なクロスでのクリーニング

通常のメガネ拭き用のクロスではなかなか対処できない傷や汚れには、特殊な効果(薬品)が付いたクロスを使いましょう。
研磨効果を持ったクロスには、プラスチック・レジン用クロスと金属用のポリマークロスなど数種類があります。
 

 
プラスチック・レジン用クロスは樹脂軸の筆記具に最適です。
 
超微粒子の研磨剤やツヤ出し剤を含んだクロスで、軽く拭くだけで小傷を目立たなくしたりツヤを出したりできるスグレモノ。ただし、めがね拭きと同じく力を入れてのゴシゴシはNG。あくまで軽く、磨きたい部分に当てて優しくていねいに磨いてくださいね。
 

 
注意点としては、小傷も全くない新品の筆記具に使うとツヤが損なわれる可能性があること。
小傷を消したい、目立たなくしたい時やツヤを蘇らせたいときに使うクロスということで、長年使ってきた筆記具や、フリマやオークションで買った中古品に使うことで効果があります。
 
レジン部分の本格的な小傷消しについては、超微粒子研磨剤「サンエーパール」を使って傷消しするこちらの記事↓
イタリア製の廃番ボールペンを愉しむ!【スティピュラ ヴェド ボールペン レビュー】
の中(おまけ記事内)で紹介していますので、使い古してきて小傷が気になりだした方や中古で買ったけど小傷が多くて気になる…という方はぜひご参考に。
 
筆記具の金属部分については金属用のポリマークロスを使います。
 

 
金属用にも種類がありますので、磨きたい金属の種類(シルバー925用やゴールドメッキ用など)で選びましょう。
スターリングシルバーのくすんだ軸を磨く場合はこのブルーのポリマークロスの出番です。
 

 
ヤード・オ・レッド等のスターリングシルバー軸は保管期間や経年使用により硫化して黒ずんでいきます。よくフリマやオークションでも長期保管されていた銀軸筆記具が真っ黒な状態で出品されていることがありますが…
そういった軸でも、ポリマークロスで軽く磨くだけでこのように美しさを取り戻します!
 
ポリマークロスを使った後は軸に研磨剤やツヤ出し剤が着くので、柔らかい布やアルコールティッシュで拭いてあげて完成です。
クロスの方は使った部分が黒くなりますが洗濯してしまうと研磨剤やツヤ出し剤といった有効成分が落ちてしまうので水洗いはNG。
※めがねやカメラのレンズをこのポリマークロスで拭くと逆に傷が付くので注意!
 

 

歯磨き粉でのクリーニング法

ここからは急に解説写真が多くなります(笑)
 

 
万年筆やボールペンのキャップリングやクリップリングなど、部分的に使われている金属部分を磨くときに私が使う方法をご紹介。
本格的に綺麗にしたい時にはこの「歯磨き粉クリーニング方法」がお勧め!経年劣化で筆記具の金属部分が黒ずんでいる場合や、レザーのペンケースに入れていて変色してしまった金属部分に使うと効果的です。
 
度々記事の中で書いていますが、レザーペンケースの中には内側に銀面(革の表面)を使っている場合と、床面(革の裏側)を使っているものがあります。
私がいくつかのペンケースを試した経験上で、レザーペンケースの内側が床面の場合はなめし剤?の作用で筆記具の金属部分が腐食あるいは変色する可能性が高いです。※同じ床面でもスウェード処理してある革の場合は発生しない。
 
もしそうなってしまった場合でも歯磨き粉を使えば、ピカピカの状態に戻すことができるのです!
それではやり方です。
 

 
今回は試しにマイスターシュテュックのキャップリングの黒ずみ変色(赤線で囲んだSとTの上の辺り)を直していきます。
経年劣化やペンケースによる変色でよく見る個所ではないでしょうか。
 

 
歯磨き粉を少量とり、磨きたい部分につけます。
歯磨き粉はだいたいが白いので着けた場所が分かりやすくていいですね。
 

 
爪楊枝や竹串など、先の細い物でていねいに擦っていきますが、ポイントはこのとき力を入れすぎないこと。
力を込めすぎると金属の無垢材ならまだいいのですが、金属にコーティング(ゴールドコーティングやプラチナコーティング)してある素材の場合にコーティング剥がれしかねないのと、周りの樹脂部分にも傷をつける恐れがありますので、軽くなでるくらい慎重に。
 
汚れが取れてくると歯磨き粉が黒くなってきます。この歯磨き粉の色変化(白→黒)の、異様なまでの汚れ落ちてる感が心強い。
 

 
あとは流水ですすぐか濡れティッシュで拭ったあと、から拭きして完成です。
このように綺麗になりました!(SとTの上の部分)
ちなみに真鍮なども歯磨き粉で磨くと綺麗になりますが、経年変化による“味”を狙っていた場合、リセットされてしまうので慎重に。
 
万年筆に歯磨き粉かよー…と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、歯磨き粉は優れた研磨剤かつ人の口に入れるものなので清潔かつ安全です。しかも爽やかなミントの香りで作業モチベーションも上がります!筆記具の金属部分の変色が気になる方はぜひお試しを!
 

 

保管や持ち運び時

毎日大切に使うため、道具に敬意を払うために保管や持ち運びにも気をつけたいものです。
 
大きめのペンケースにひとまとめに入れるのも効率的ですが、大切な万年筆などはやはり一本一本が孤立するペンケースの方が安心です。
 

 
樹脂は実はデリケートな素材ですので、筆記具同士が擦れ合うことで簡単に傷がつきます。
綺麗な状態で長く使うため、また、次のユーザーへ綺麗な状態で引き継ぐためにもペンケースに入れて持ち運びましょう。
 

 
家ではペントレーや保管ケースに置くのがスマートです。
 
私はペントレーを活用し、使いたいときにすぐに使える状態にしています。ペントレーの素材も経年変化が楽しめるレザーや真鍮製だとより気分も高まりますね。(金属製のペントレーは傷に注意ですが…)
 

 

メンテナンスについてのまとめ

さて、今回は筆記具の日常メンテナンスについて書いてきました。
 
様々なメンテナンス方法をご紹介しましたが役に立つものはあったでしょうか。
玄人にはお馴染みのメンテナンス法ですが、万年筆ブームに乗って始められたかたや、長年引き出しにしまわれていた錆びた筆記具を出して改めて使ってみようという方に少しでもご参考になれば幸いです。
 
ポリマークロス系においてはパッケージ裏の注意文をお読みいただき適正に使いましょう。歯磨き粉も本来の使い方ではないので、あくまで参考に。お勧めはしているものの、最終的な磨きの力加減や仕様判断等を踏まえ自己責任で行っていただくようお願いします。
 
色々なメンテナンス法がありますが、一つ言えることは、万年筆については「愛情をもって使い続けること」が一番のメンテナンスだということです。
貴重な限定モデルや歴史的価値のあるものは置いておいて、筆記具は使ってナンボですので、毎日傍らにおいて仕事でもプライベートでもガンガン使っていきましょう!
そして感謝の念を込めて一日の終わり、一週間の終わりには労いの意味も込めてぜひ磨いてあげてください。
 
それでは今日も良い筆記具ライフを。

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